特色
大学院博士後期課程の目標は、高度な制作能力とコンセプトを持ち、また美術全般に通じる幅広い見識を備えた、将来において指導的地位につくことのできる人材の養成にあります。
現代社会においては、学術研究の著しい進展と多様化、急速な社会の変化に対応できる幅の広い視野と総合的な判断力を備えた人材が求められています。美術の分野では、創作と理論の双方に通じる人材の養成が求められています。細分化された個々の領域における「深さ」と、それらを包括的に捉える「広さ」のバランスのとれた人材を、社会は必要としているのです。
本学の大学院では博士前期課程(修士課程)が絵画・彫刻・工芸・デザイン・芸術学の5専攻に細分化されているのに対して、博士後期課程は美術専攻という一つの領域に統合されています。これは近年の美術やデザインの状況が、従来の専門分野における区分の枠を越えつつあることに対応するためのものです。
博士後期課程では、美術創作研究と美術理論研究の総合化を図っています。美術創作研究は作品の制作・実技に関する研究であり、美術理論研究は、美術の理論や歴史に関する研究です。この両者を有機的に結びつけること、具体的には「作る」「知る」「考える」「語る」「書く」を総合的に身につけることにより、より高いレヴェルへの移行が可能になると考えています。
博士号に値する高度な質と内容を備えた作品の制作と論文の執筆のため、学生の研究テーマに即して担当教員を決め、創作系教員と理論系教員が連携しながら指導にあたります。さらに博士後期課程指導教員全員による総合研究指導によって、創作と理論の双方にわたる総合的な視野を涵養します。
大学院博士後期課程は、幅広い視野と見識を備えた芸術家や芸術理論家を目指すことができるように構成されています。