B6studio
Member of B6studio

尾形 達 / Tatsu Ogata
蔵本 高弘 / Takahiro Kuramoto
佐々木 拓 / Taku Sasaki
高山 翔吾 / Shogo Takayama 
馬場 隆介 / Ryusuke Baba
星 匡朗 / Masaaki Hoshi

Profile 
メンバー全員2008年卒の同級生。

B6studioは2010年に設立したプロダクトデザインユニットです。家電、家具、照明など異なるジャンルで経験を積んだメンバーが共同のスタジオを構え、 それぞれの持ち味を生かしながらユニットでしか生み出せない物作りを目指し活動しています。

2010  
第2回四万十川カッパ造形大賞 /入賞

2013  
富山プロダクトデザインコンペティション 2013 / 入選  
NEWSED UPCYCLE DESIGN AWARD 2013 / 審査員賞  

2014
日本デザインコミッティー主催 「Designer's Catalogue 2014」出展
interiorlifestyle TOKYO / TALENTS 出展  
NEWSED UPCYCLE DESIGN AWARD 2014 / 準グランプリ


インタビュー
聞き手:安次富 隆


PRODUCT DESIGN EXHIBITION 2015の展示デザインありがとうございます。 尾形くんとこうやって一緒に仕事をすることになるとは、思ってもみませんでした(笑)。でも一緒に仕事をしてみて、本当に頼りになることを実感しています。尾形くんの足手まといにならないように必死に頑張っている自分を面白く見ています(笑)。 思い出してみれば、尾形くんは学生の頃から妙に落ち着いていましたねぇ。その時は、おっさんみたいな学生だなくらいにしか思わなかったわけですが(笑)、私が尾形くんの才能を見抜けなかったのだと思います。 尾形くんは同級生で作るプロダクトデザインユニット、B6studioのリーダーでもあるわけですが、リーダーである理由が良くわかったように思います。

Q1:B6studioが目指しているデザインは何ですか?

プロフィールでも少し触れていますが、6人ユニットでしか生み出せないコトを目指して活動中です。 これは、設立当初からの命題でして・・・皆で夜通し話し合っても結論が出なかったりで(笑) 今はまず、自分たちが面白いと思った様々なプロジェクトやワークショップを行いながら、そこから生まれたデザインを1つでも増やしていきたいと思っています。 数年後にでも「B6studioってなんだろう」を自分たちの作品群から読み取れればと思っています。後、リーダーというのは名ばかりです(笑) B6ではメンバー全員がリーダーでキャプテンを心がけています。

Q2:今回の展示の狙いを教えてください。

今回は学生が楽しんでもらえる展示を心がけました。 展示台は全て学生の皆さんの身の回りにある素材を使用して手作業で制作しています。 しっかり作りこめば「びけん」で手に入れられる安い材料でも見栄えがするんだぞ!!というのを感じて頂ければ本望です。
B6studio
B6studio
Acryl Tag Plate

アクリルの端材を使った鍵などに取り付けるタグプレートです。世界にひとつだけの好きな柄と文字の組み合わせを選ぶことができます。
NEWSED UPCYCLE DESIGN AWARD 2013 審査委員賞(minna)  受賞作品

B6studio
B6studio
BIRD CALL
木琴の端材を使用したバードコールです。もともとの材のプロポーションを生かしながら、さまざまな鳥をイメージしてかたち作っています。

NEWSED UPCYCLE DESIGN AWARD 2014 準グランプリ 受賞作品

B6studio
B6studio
YCC Entrance Cart
YCC ヨコハマ創造都市センターのエントランス用カート。インフォメーションや物販の役割を持った、駅のキオスクのようなデザイン。


Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

やはり同じ志を持つ友人と出会えた事が1番だと思っています。 4年間、徹夜で作業したり,講評会で落ち込んだり,先生のチェックが嫌で逃げ出したりと・・・濃厚すぎる時間を共有した友達はそうそう出来ません。 卒業してそれぞれの道を歩んでいますが今でも仲良くやっていますし、同年代に30人以上のライバルがいるって素敵だと思います。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

あくまで私個人の意見ですが「いっぱい挑戦して、いっぱい失敗して下さい。」数多く挑戦し、失敗することでとんでもない量のフィードバックを得られます。 視野も増えますし、戦略も身につきます。私は悪い意味で学生時代は優等生でした。それを今でも後悔しています。 それになんといっても失敗話の方が数年後、良い笑い話のネタにもなりますし。 又、私は平日は副手として研究室にいます。何でも相談にのりますので声かけて下さい。


そうそう、「学生の時失敗しないで、いつ失敗するんだヨ?」って私も思います(笑)。尾形くんが優等生だったとはあまり思っていませんが(失礼。笑)、常にチャレンジャーだったことは、卒業制作での力作「桐材を使用したチェスト」でも証明していますよね。そういうチャレンジを一人でコツコツ積んで行くのではなく、多くの仲間を巻き込みながら、さらに大きなチャレンジに挑む活動がB6なのではないかと思いました。 !今回の「PRODUCT EXHIBITION 2015」の展示は、尾形くんの力なくしては実現しませんでした。本当に感謝しています。ありがとうございました。 多くの学生たちが尾形くんを頼りにしていることからも、これからさらに多くの仲間を巻き込んで、将来B100くらいになっているのかもしれませんね。 これからもよろしくお願いします。

facebook share twitter share ページトップへ

早川
プロフィール 
1984年 岐阜県高山市生まれ

2007年 アートセンターカレッジオブデザイン(LA)交換留学
2008年 多摩美術大学プロダクトデザイン学科卒業後、セイコーウオッチ株式会社勤務
2014年 早川和彦デザイン事務所設立 多摩美術大学Pacific Rim Project非常勤講師(2012/2014) 

Bicycle Street Design Competition Aoyama最優秀賞、 神戸ビエンナーレ国際玩具展・奨励賞、 木のデザイン展・入選、Heineken open design exploration in milano salone・日本代表選出 など

インタビュー
聞き手:安次富 隆


早川くんは学生時代から「おしゃれ」という印象を持っています(笑)。容姿だけではなく、デザインも如何におしゃれであるか?を追求しているように感じていました。デザインにおけるおしゃれとは見た目だけでなく中味もおしゃれでなければなりません。卒業制作の「その風のエアーサーキュレーション」は、人感センサーを備えた41個のファンを個別に制御することで、自然の風のように室内の空気を循環させる装置の研究でしたが、システムもスタイリングも、おしゃれだなぁと思った記憶があります。 「何故、本体を白色にするの?」と質問した覚えがありますけど、自然と人工の絶妙なデザインバランスを追求していたからに違いなく、今思えば愚問だったと反省しています。
早川
そよ風のエアーサーキュレーション(卒業制作、2008年)

ものの価値とは機能や形状だけではなく、そのものに含まれるコンテクストが大事だと思います。なぜならば、価値は時間の中で揺れ動き、時代にとって相応しい物事も変化してゆくからです。そのために、物事の前後にある環境・状況等様々な文脈から関係性を導きだし、それぞれに適した手法や表現方法でデザインを行っています。人類が脈々と受け継がれてきた是迄のものづくりの歴史の上で、時には起源まで遡りフラットな視点で思考し、次の時代へと続いて行くデザインをしていきたいという思いがあります。

Q1:早川くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

デザインで大切にしていることは対象によって様々ありますが、自分にとってデザインとはと考えた時、個人として活動を始めた頃からずっと悩み続けていました。ある時、人に話していて気がついたのは、物事を考える時、ルーツというか起源にまで遡りそもそもそのものは何だったのかと探る癖があるということでした。普段無意識にしている自分の行動や思考を知る事が一番難しいのかもしれません。今ではそれが、意識的にデザインを考える上での自分のスタイルの一部になっています。人類が昔から繰り返してきた事や、DNAに刻まれている感覚、民族を超えてのそこにある共通性のようなものに興味があります。 おしゃれと言って頂きありがとうございます(笑)。デザインを考える上でおしゃれということを最優先にしている訳ではありませんが、おしゃれとは今いる時代の空気感やバランス感覚や「らしさ」のようなものだと思っています。ですので、提案する上でそのセンサーは持っていたいし、心地よさや調和等、過剰なものではないおしゃれさみたいなものは意識しているのかもしれません。

Q2:今回の展示作品デザインについて解説してください。

今回展示は製品化になったもの、ならなかったプロトタイプも含め、活動初期のころの作品から、現在進行中のプロジェクトまで、考え方の最初の部分から生み出したものを選びました。

展示作品について

早川
BRICK STAND
自転車スタンドのコンペで最優秀賞を頂いた作品です。コンクリートを用いて、景観を損なわず、環境に応じて配置や保管可能な自転車スタンドのデザインをしました。

早川
早川
Half stool 
初めての家具の提案です。持つ座るという機能だけでなく、空間の中での親和性や台としても機能するスツールを考えました。 様々な物が空間を占める中で半分に切り取られ た面があるからこそ、空間に存在する他の家具や面との親和性があり、すんなりと生活空間に馴染み収まることができるのではないかと考えました。 玄関先のスツール、ベッドやソファーのサイドテーブルとしても使用できます。

早川
Blooming curiosity(アクリル玩具)
透明アクリルの中に彩色されたアクリルを封入するという技法のもと、透明な中に輪郭が溶けたような色の形が浮かぶアクリルの玩具を作成しました。花や植物に見られる形態を抽象化しその形状を積み上げる事と、その重なりの中で形が表れることの現象を取り入れました。反射し 色を透過し、見る角度によって見え方が変化し様々な表情を見せる光のオブジェでもあります。

早川
Oil & SAUCE POT / SALT & PEPPER  
既存のものに何かを加える事で新しい用途を生み出すという試みの一環で制作しました。既存のガラスの容器に、穴や注ぎ口等の機能のある栓を 加えることで、オイル、ソースポットやソルトペッパー等の テーブルウェアとして使用することができるシリコン性の栓をデザインしました.
早川
Illumicap(KIRIN x WHITE共同開発) 
飲料メーカーであるKIRINが仕掛けるIotプロダクトのデザインを担当しました。IotとはInternet of thingsという言葉の略でインターネットにつながるモノを表します。飲料から新しい体験をというテーマのもとアプリと連係して光を自在に操ることのできるデバイスとその拡張性も含めデザインしました。スパイラルの溝は、その外へ繋がる実用的なスクリューとして機能し、ボトルとの接続だけでなく様々なアクセサリーとの接続を可能にします。

早川
Dining table  
製品化途中のダイニングテーブルのデザインです。鉄の鋼板のみを素材としたの構造という制約の中、シンプルにしすぎてモダンな印象になりずぎず、古いアンティークの椅子やモダンな椅子まで組み合わせて使用出来るという要望を叶えるデザインをしました。アンティークで扱われる家具は西洋のものが多く、その家具の歴史を遡り様々な意匠のなかから抽出された形状の骨組みをテーブルの脚のデザインに取り入れました。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか? 
当時の僕は身勝手なところが多かったように思います。これだ!と思って勝手に進んでみて、違った失敗したと思ってまた次は違う方向で試すの繰り返しで、自分の課題を振り返っても一貫性がなかったなと思ってます。自由に発想を展開出来た環境の中での学びといっても独自のデザイン論などを教わる講義ではなく、課題を通して先生方が一人ひとりの考えやプロセスに対して真摯に向き合い指導をして頂ける環境にあったことで、考える事とはなにか、観察することとは何かという、プロダクトデザイナーを育てる以上のデザイナーとしての大事な基礎を学べたと思っています。卒業して数年経ちますが、当時の自分ではまだまだ理解に及ばなかった先生方から言われていた事が時間差で効いてくる薬のように、今の自分を支える言葉となっていることにとても感謝しています。また、今となってもそれぞれ活躍し刺激し共有し合える仲間に出会えた事も良かったと思うことです。 

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。 
個人で仕事を始めてからですが、様々な人と出会う中で学生の頃に思っていた以上にプロダクトデザイナーが活躍出来る場所が多くあるという発見がありました。自分もまだまだ未完成な身ですが、今は学生の頃のように新しい分野に入って揉まれて進んで戻ったりしながら、プロダクトデザイナーとしての仕事の可能性をもっと拡げていきたいと思っています。ですので、活動の範囲を決めすぎず自分の好きな事、興味や気になる事、学科やデザインに関係がないと思う事全て深く掘り下げていってみて下さい。その先に新しい発見が待っていると思います。 

早川くんが言う「時には起源まで遡りフラットな視点で思考し、次の時代へと続いて行くデザインをしていきたい」という考えに共感します。 モノはあくまでも、ある目的を達成するための手段でしかありません。私たちプロダクトデザイナーがデザインしなければならないことは、モノを媒体として提供される価値です。そのため、モノの起源まで遡ることは、モノに内包された価値の変遷を知ることに他ならず、次の時代に引き継ぐべき価値を発見する唯一の手段とも言えると思います。早川くんは、そういう高い目標にチャレンジしているんダ!と思い嬉しくなりました。ありがとうございました。 

facebook share twitter share ページトップへ

miyake design
プロフィール
1973年兵庫県生まれ。

1997年多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業後に渡英。現地のデザイン事務所に勤務し1999年に帰国。その後IDEO Japan、Naoto Fukasawa Designを経て、2005年にmiyake designを設立。家電製品や家具をはじめ、生活雑貨や伝統産業品など多岐にわたる製品のデザインを行う。 2010年より多摩美術大学非常勤講師。 2015年よりGood Design賞 審査委員。 IFデザイン賞、レッドドットデザイン賞、グッドデザイン賞など、多数の 受賞歴があり、2012年、2014年にはグッドデザイン賞ベスト100選出、2013年にはIFデザイン賞の金賞を受賞。

スタッフ
miyake design
石上 大輔 デザイナー
1981年新潟県生まれ。
2005年多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業。
ツインバード工業株式会社を経て、2013年 miyake design に参加。

miyake design
加藤 広太 デザイナー
1980年神奈川県生まれ。
2005年多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業。
株式会社ハギワラシスコムを経て、2007年 miyake design に参加。

インタビュー
聞き手:安次富 隆 

みやけくんの思い出は、何と言っても卒業制作の「成長自転車」です。身体の成長に合わせてカタチが変化する自転車のアイデアも画期的ですが、そこには長い年月使用するに耐えられるパーツ類の開発を促していることに大きな意味があったと思います。朝から晩まで教室の奥で黙々と作業をしていたみやけくんの姿がとっても印象的でした。穏やかだけどデザインへの情熱は人一倍熱く、それは今でも変わらないように思います。 今はさらに二人の教え子たち、石上くんと加藤くんがmiyake designに加わり、二人の力も借りることによって、みやけくんのデザイン力はさらにパワーアップしているに違いありません。


Q1:みやけくんがデザインで大切にしていることは何ですか?

デザインは多種多様なので「これ」という事は特にないですが、比較的多く考えることとしてはものごとをできるだけ既成概念で見ないという事でしょうか。そのものの「そもそも」を考えているという事かもしれません。

Q2:今回の展示の見所を教えてください。

私たちは普段デザインをする際に自分たちのスタイルを決めないようにしています。 私たちはデザイナーであってアーティストではないので、「作品」ではなく「製品」づくりの一部を生業にしています。 ものを製品としてよりよくするためには、自分たちのスタイルはむしろ邪魔になる気がしています。 私どものスタイルを作らないスタイルを見ていただければと思います。

miyake design
±0-扇風機

miyake design
Daydo

miyake design
Final-HP
miyake design
EIKI

miyake design
FUTAQ

miyake design
MUJI-battery

miyake design
MUJI-CS

miyake design
MUJI-ドライヤー

miyake design
MUJI-空気清浄機

miyake design
YAMAHA-EP1

miyake design
YAMAHA-EP2

miyake design
YAMAHA-HP


Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

当時はひとつのデザインに対して時間をかけて進めることができたので、試行錯誤と数多くの失敗ができました。 粘り強く考えるということを習慣付けられたことは良かったと思います。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

状の周りだけを見て自分の限界を決めないでほしいです。 世界は広いです。 是非、様々な面で広い視野を持ってほしいです。

「スタイルを作らないスタイル」「自分の限界を決めない」というお話から、三宅くんの柔軟で許容量の大きいデザイン姿勢や生き方を感じました。 みやけくんのデザインに、人の気持ちを受け入れる温かな印象を受ける理由もわかったように思います。ありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ

資生堂
プロフィール
2001年卒、資生堂入社。 ウーノ、アネッサなどのプロダクトデザインを手がける。
現在は、グローバルブランド SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテのプロダクトデザインを担当 

インタビュー
聞き手:安次富 隆 

この度は4名の展示を企画してくださってありがとうございました! あらてめて4名を見ていると、4人とも全く個性が異なるものの、「自分はこうだ!」という強い信念がある点で共通しているように思います。 駒井くんの大学時代は、テニスを頑張っていたというイメージのほうが強いのですが(失礼。笑)、それでも卒業制作でデザインした自転車”clip”は、強く印象に残っています。当時、構造的にはオーバーだなぁと否定的に思っていたのですが、サスペンションのクロムメッキ仕上げのリングが、機能を明確に視覚化しているだけでなく、シンボリックな強さを放っていました。そのため今でも忘れられないデザインなのだと思います。


Q1:駒井くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

私がデザインで大切にしていることは、プロトタイピングです。 デザイン開発のなるべく早い段階で、できるだけ多くのデザイン案のリアルなモックアップをつくって、手なじみや、使い勝手、もちろん見た目の印象などを検証するというプロセスを大切にしています。 初期の段階でこのプロセスを踏むと言うことが重要だと考えています。

Q2:今回の展示作品デザインについて解説してください。

資生堂
Ever Bloom

EverBloomはこの10月にヨーロッパ地域を中心に発売されるファインフレグランスです。一輪の花が至福の香りに昇華する、といったイメージから「Sublimation(昇華、純化、精製)」というクリエイティブコンセプトを立てました。このコンセプトから、角度によってボトルの形や色の雰囲気が大胆に変わるデザインを考えました。ボトルを正面から見たときは、普遍的な香水瓶のシルエットをしていますが、すべて曲線と曲面で構成されていて、角度を変えてみると一気に有機的な印象になるデザインです。かなり難しい形状でしたが、フランスのガラスメーカーと協力して実現することができました

資生堂
SYNACTIF
SYNACTIFはアジア、アメリカ、日本で展開しているクレ・ド・ポーボーテブランドの最高級スキンケアラインです。このラインは「BEAUTE NOIRE【NOIRE(仏:ブラック)】という世界観で商品から店頭、広告まで統一して表現しています。商品デザインではその黒の質感にこだわり、さらに香りの元となったバラ「ローズシナクティフ」を象徴するモーヴ色をボトル下部に配しています。キャップ天面には花びらの表情に通じる有機的な曲面を配し、ハイプレステージ化粧品にふさわしい満足感や高揚感を感じられるようなデザインを目指しました。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

自分にとって「よいデザインとは何か?」を4年間真剣に考えることができたことです。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

自分が考える「理想のデザイン」を徹底的に追求してください。どんな環境に行ってもこの集中した4年間が血肉となり土台となります。そして自身が成長していく指針になることと思います。


その他の出展者紹介

資生堂
長谷 麻子
2002年卒、資生堂入社。
マキアージュ、リバイタルグラナス、IHADA などのプロダクトデザインを担当。
SHISEIDO THE GINZAやIHADAのグラフィックも担当。

資生堂
IHADA

資生堂
PHYTO AND ROSE

資生堂
平岡 好泰
2007年卒、資生堂入社。
マキアージュ、TSUBAKI、UNOのデザインを担当。

資生堂
TSUBAKI

資生堂
MAQUILLAGE

資生堂
村岡 明 
2010年卒、資生堂入社。

資生堂
資生堂
BIO-PERFORMANCE

facebook share twitter share ページトップへ

オーデリック
プロフィール
オーデリック株式会社 開発部 ゼネラルマネージャー

1985年 立体デザイン専攻 インテリアデザイン専修卒
同年4月 オーデリック株式会社(旧オーヤマ照明)入社
以後、現在まで開発部で勤務在席

インタビュー
聞き手:安次富 隆


この度は5人のプロダクト卒業生の展示を企画してくださってありがとうございます! 武藤さんは私と同期。なんと30年の長いお付き合いになりますね。 私たちが学んだ当時は、立体デザイン専攻と言って、プロダクト、インテリア、クラフトの3つコースに分かれており、武藤さんはインテリアデザインを学んでオーデリックに入社しました。早くからオーデリックのデザインを引っ張っている開発部のゼネラルマネージャーとして活躍しており凄いなぁ!と思っています。

Q1:武藤さんがデザインで大切にしていることは何ですか?

私がデザインで大切にしている事は、開発する製品を「いかに使う人の立場になってデザインする事が出来るか?」です。我々デザイナーは、どんなに優れたデザインの商品を作ったとしても、お客様が受け入れてくれなかったらその商品は失敗作であり自己満足にすぎません。デザイナーは芸術家ではなく、決して自己主張を押し付けてはならないと考えています。今は存在しないが、「こんなデザインで、こういう物が欲しかった」と消費者が思っている物を形にしてあげる仕事請負人である事を忘れないようにデザインしています。

Q2:この度はプロダクトの卒業生5名の製品の展示を企画してくださったのですが、彼(彼女)たちの魅力を教えてください

それぞれ5名が、それぞれの特徴を良く理解し、デザイン作業を進めている所です。 とにかくマイナスとなる様な事は一切考えないし、口も出さない。お互いが、お互いの良い所を引っ張り出してくれているので世話が無く助かっています。

オーデリック
市川 裕基  
2002年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻 卒  
同年   オーデリック株式会社 入社

オーデリック
PLUGGED




オーデリック
下山田 敬
2007年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻 卒
同年   オーデリック株式会社 入社
オーデリック
SoSoシリーズ




オーデリック
三井 てまり  
2007年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻 卒  
同年   オーデリック株式会社 入社 

オーデリック
マテリアルキューブブラケット



オーデリック
山﨑 大幹  
2007年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻 卒  
同年   オーデリック株式会社 入社

オーデリック
OPT-deco 




オーデリック
高橋 咲  
2009年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻 卒  
同年   オーデリック株式会社 入社 

オーデリック
小型カラーペンダント

Q3:インハウスデザイナーの醍醐味は何でしょうか?

本当の意味での「物づくり」を知っている事です。 どこまでデザインを優先させ、主張させるかは難しい所ですが「インハウスデザイナー」いわゆるメーカーのデザイナーである以上、白い紙にペンをとり、デザインレビューを経て製品化が決定し物流倉庫から商品として出荷されるまで、担当者は責任を持つよう教育しています。一つの物を作るのに、どれだけの時間と人、そしてお金が動くのか?このすべてを把握する事が「インハウスデザイナー」の務めであり、強みでもあります。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

将来の事を考えると、不安になる人もいる事でしょうが、社会に出てプロのデザイナーになれば、毎日が勉強でそんなことは何処かに吹っ飛んで行ってしまいます。だから今はとにかく一生懸命学ぶ事です。多摩美術大学で学んだことはもの凄く役に立ちます。学んだ者勝ちですよ!

武藤さんの「デザイナーは、消費者が思っている物を形にしてあげる仕事請負人である」という言葉に謙虚なプロ意識を感じます。責任を持ってそれを実行するために、アイデアの創出から商品の生産、流通、販売、経営に至るまで立ち会うことのできるインハウスデザイナーの強みを活かし、日々勉強しながらデザインし続けている武藤さんに、ブレのないデザイナーの信念を感じます。 本日はありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ

2350dpi.jpg
プロフィール 
2011年卒
2011年:スズキ株式会社入社
2014年:トレールバイク DR200S担当
2015年:オンロードバイク Bandit1250S ABS担当

インタビュー
聞き手:安次富 隆

彰吾くんの良さは負けん気の強さだと思っています。決して器用ではないのですが、人一倍モビリティデザインに対する熱い想いがあって、妥協することが大嫌い。それは卒業制作のKART BOARDのデザインに取り組んでいる時に強く感じました。スケートボードのように動力はないけどバイクのようにスリルあるコーナリングを楽しみたいという想いを、坂を下るモビリティという発想で実現させました。まぁ、危険な乗り物ですよね(笑)?しかし、誰が止めてもやってやる!という意思を、いつものように「人を睨みつけるような目」に感じていました(笑)。そういう負けん気の強さと意思の強さを、今回出展してくれるトレイールバイクDR200Sのデザインにも感じます。迷いがないスタイリングというか。

入学以前から様々な先輩方の作品を見ていてモビリティを作ることに憧れていたので、僕も卒制ではオリジナルのモビリティが作りたいと思っていました。そして卒業制作で僕がKARTBOARDを作ると言い出した時、先生方からかなり反対をされた覚えがありますが心の中ではモビリティを作ることに決めていました。
スズキ
KARTBOARD(2011年、卒業制作)

KARTBOARD
は安次富先生のおっしゃる通り危険な乗り物です、少し過激な発想かもしれませんが危険なものにこそ楽しさがあると考え、スケボーのホイールベースをそのままにトレッドを広げて過度にクイックにしたコーナリング性能を下り坂で使ったらとてもスリルのあるスラローム走行ができるのではと思い実際に作ってしまいました。


スズキ
機構から何度も概念モックを作ったり、試作車に乗ってスタイリングを調整したり機構をいかに溶け込ませるかなどスタイリングには凝ったことを覚えています。作業の速さに対してやりたいことが多すぎたてまったく作品が出来ず、講評時にはまだモデルが完成していなかったことが最大の危機でした。

スズキ

Q1:彰吾くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

バイクという乗り物はいわゆるクルマとは少し毛色が違う様で、趣味性が強く実用車といっても疾走感みたいな意味での見た目をかなり重視している傾向にあると思います。なので買う人が乗った時を想像してワクワクするようなデザインを心がけていますし、僕自身もバイクがすごく好きなので自分自身が滾るようなものでないとだめだと思っています。 バイクは目に見えるところが常に体に触れているので人体や動きに沿った美しい形状をデザインすることと、動体なので常に移り変わるハイライトがきれいに見える面構成などを心がけています。 それとバイクは小さな車体にエンジンをはじめとする様々な物が詰め込まれているのでかなり制約が大きいのですが、僕は条件が何もない“空想のバイク“を考えるよりその条件がある程度厳しい方が工夫のし甲斐なんかがあってやりがいを感じてしまいます。

Q2:今回の展示作品デザインについて解説してください。
スズキ
トレールバイク DR200S

今回の展示車両のDR200Sは「軽快で力強く、オフロードやアウトドアをイメージさせるスタイリング」と「長距離ツーリングやトレッキングを可能とするスタイリング」をテーマにスタイリングデザインを行いました。 少ない給油で長距離を走り続けるという使用シーンと車体構成そのものは旧モデルから引き継いでいるので、外観のイメージチェンジとライディングポジションの向上を狙うことをメインに開発しています。 実際に試作車に乗ってシート形状を見直したり旧モデルより改善されているかの確認もしたりもしました。
オフロードバイクは車体が細いことが絶対条件ですが、タンクの容量を確保しつつシュラウドでタンクを覆うと幅が広くなってしまうのでシート形状を変更しタンクがシート下に若干入り込ませると同時にシュラウドもタンクの周りのみをカバーする形状にすることで容量の確保とライディングのしやすさを効果的に実現しています。また、シュラウドが小さいので視覚的にも軽快感が生まれました。そのため以前よりも圧倒的にスリムなのでいかなる環境でもストレスなくライディングに集中できるようになりました。 モトクロスの競技車両ではなく、シティーユースの車両なので前後のフェンダーは立体感と強い前傾感を持たせスポーティーで軽快なイメージにしています。 旧モデルと同様のフレームに、イメージを一新した外装がそのままつくようにスタイリングを成り立たせることが一番苦労しました。
スズキ

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

デザインについてスタイリングがどうこうだけではなく、物事の考え方やまとめ方など会社ではあまり教えてくれないデザインにまつわる周辺のことを学ぶことが出来ました。 在籍している先生方が多く様々なジャンルに関係しているので様々な学生のやりたいことに対応できることは重要だと思います。それとプロダクトの先生方は気さくな方が多く話しやすい環境もあるのでどんな小さな相談にも乗ってくれるところが良いと思います。実際に僕も課題における小さな悩み、就職関係から趣味の話まで無駄かもしれない事まで話していました(スミマセン) それと、僕の場合はバイクと車という趣味を持っていてプロダクトにはそのような趣味の合う人も多くいたのでその中でもお互いを高めあえたかなと思います。 あと何よりイベントが多く、どれもとても手がかかっていたので準備するのは大変でしたがとても楽しかったです。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

僕は学生時代、バイクや車に乗ったり弄ったりばかりで課題が疎かになっていました、今思えばもっとしっかり課題をやるべきだったなと後悔しています、ですがそのバイク車漬けの日々があったから今の職業に繋がったのかなとも思っています。興味のないことと違って好きな事はいくらでもできるから好きな事がある人はただひたすらそのことに打ち込んだ方がいいと思います。(課題はそこそこにと言いたいところですが課題もしっかり・・・) 近い道を志して入学しているのもあって大学時代の友人は一生ものだと思うので友人と多くの経験をしてください、そうすれば後に酒の肴も増えると思います。なにより大学時代の思い出が課題しか無いというのは何だかさみしいような気もしますし(笑) あと、先生方とは沢山コミュニケーションを取った方がいいと思います。先生方と話すのは緊張するかもしれませんが、雑談でも何でもいいのでなるべく多く話した方がいいと思います。そこから何か思いつくこともありますし、課題の相談もしやすくなると思います。

そうですね。彰吾くんとは沢山しゃべったなぁと思います。ボクはバイクのことは詳しくないから、熱く語る彰吾くんの話を「意味分かんない・・」と思うこともしばしばでしたが(ごめんね。笑)、それでも熱い想いだけは伝わって「彰吾はすごいかも」と思い、「やってみれば!」と応援していたと記憶しています。(何度も叱った記憶も。笑) そういう半ばデザイナーの直感のようなものが、的を得ていたことを実感できて嬉しくなるお話でした。ありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ

FUJIFILM
プロフィール
2012年卒 入社後直ぐにXシリーズの中核を担うX30を手掛けヒットさせた。 ディテールから色や質感にまで心血を注ぐデザインを愛して止まない。
代表作は、デジカメ X30

インタビュー
聞き手:安次富 隆

亀井くんは1年次を終了した後、ミュージシャンの道も模索するため1年間休学しました。その相談をしに来た日の事を良く覚えています。結局デザイナーの道を歩むことを決断したわけですが、その後、富士フイルムに入社したことに、亀井くんが不思議な縁に引っ張られているような気がしてなりません(笑)。というのも、富士フイルムに在籍する多摩美プロダクト出身のデザイナーたちは皆、亀井くんと同じようにデザイナー以外の一芸を持っているように思うからです。そういう個性も才能も豊かな先輩たちに囲まれて亀井くんがどういう日々を過ごしているのか興味があります。

Q1:亀井くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

デザインにはバランス感覚が非常に重要だなと考えることが最近とても多いです。 僕はデジタルカメラやチェキで知られるのフィルムカメラなどのコンシュマー製品全般を担当しているのですが、商品性自体はとてもたくさんのさまざまなユーザーに持ってもらえる可能性があるものです。外観デザインに絞って言うと、使い心地/高級感/本格感/新しさ/機能感...など動かせるパラメータはたくさんあり、何を特徴とするのか?何をとがらせるのか?などさじ加減を間違えるとユーザーに”自分の持ち物ではない”と思われる、非常にシビアで難しい世界でもあると感じています。そういった意味で、商品の持つ特性を吟味してもっともバランスがとれる絶妙な位置にボールを置くような感覚で、商品の持つ可能性を最大限に高めることが重要なのではないかと考えています。 ただそういったバランスを超えて、いままではその製品ジャンルにはなかったような”新境地”にたどり着きたいとも思っています。僕はinfobarを店頭で一目見て、こんなに魅力的なモノってあるんだ、と感動しプロダクトデザイナーになりたいと思ったのですが、そういった今まで全然手が届かなかった人の心の感動スイッチを連打してしまうような、そんな体験をもたらすことができるモノをつくることが今後の目標です。

FUJIFILM
FUJIFILM
FUJIFILM X30

Q2:今回の展示では、プロダクト出身デザイナー全員の出展を企画して下さってありがとうございます。ズバリ、今回の展示の見所を教えてください。

0今回の展示の見所はFUJIFILMのデジカメから医療機器まで幅広いジャンルのデザイン、さらに量産品からコンセプトモックまで展示しており、各担当者の"こだわり"が垣間見える展示になっているところが見所です。FUJIFILMのデザインセンターには安次富先生がおっしゃるとおりデザイン以外の分野に芸を持つ方がたくさんいます。会社に入って驚いたのですが、みんな何かしらの趣味/収集癖があり、かつその”こだわり”のレベルが尋常ではないのです。センター長の堀切さんは堀切玩具堂としても活躍されており最近ではサボテンやシダなどを収集しベランダが植物園化、吉田さんは黒こげになるまでサーフィンの傍らサイドゴアブーツを収集、今井さんはギタリストでもありラジオで流れているブルース・ファンクの曲で知らないものはないくらいの愛聴家、酒井さんはホピ族の人形と1億本(自称)に及ぶ歯ブラシのコレクター、そして僕は音楽もやっているのですが最近はみなさんの影響を多大に受けて地元奈良の民芸品(一刀彫)を集めてしまっております。そういった活動(リサーチ)の中で”本当に良いモノとはなんなのか?”という感覚を日々養うことで、ユーザーの所有欲/写欲を高めるカメラのデザインや、極限まで突き詰められた使い勝手が求められる医療機器などのデザインにうまく反映されているのかも知れません。そういった非常に個性豊かな人が集う風土に醸成された個性豊かな”こだわり”のデザインが今回の展示で垣間見えるのではないかと思います。製品だけではなく、より強く個性が発揮されたコンセプトモックも展示していますので楽しんでいただけるかと。


FUJIFILM
堀切和久(デザインセンター長)
1985年卒
グッドデザイン賞受賞暦は20点を越え、 独reddot賞から発明賞まで受賞暦は多岐に渡る。今でも手を動かすセンター長。 代表作は初代チェキ、TIARA、Zシリーズなど

FUJIFILM
スタッズチェキ(コンセプトモデル/協力 S&O 清水久和


FUJIFILM
吉田浩二(デザインマネージャー)
1992年卒
汎用超音波装置 FAZONE CBではグッドデザイン賞金賞 となる。デジカメから医療機器まで幅広くこなすFUJIを代表するデザイナー。 代表作はカメラTX-1、デジカメF401、内視鏡など

FUJIFILM
FUJIFILM
FUJIFILM 内視鏡操作部



FUJIFILM
今井雅純(デザインマネージャー)
1996年卒
FUJIFILMのXシリーズを代表するエポックメイキングな機種を 次々と手掛ける。操作性から機能まで拘り抜く情熱のカメラデザイナー。 代表作は、デジカメ X100、X100S、X-T1など

FUJIFILM
FUJIFILM
FUJIFILM X-T1


FUJIFILM
酒井真之(チーフデザイナー)
2003年卒
デジタルカメラFinrPIXから現行のXシリーズ、までFUJIFILMのコン シューマーデザイン一筋で、数々の話題作やヒット作を手掛ける。
代表作は、デジカメ X10、X-T10、FinePix XP200など

FUJIFILM
モンスターチェキ(コンセプトモデル)


Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

根本の"クリエイティビティー"の部分を鍛えることができたことかなと思います。僕は3スタだったのですが、仲間がいて、同じ課題にみんなで切磋琢磨し取り組み、他人の考えを聞き、アウトプットを見て、自分との違いを感じたり、自分の限界値を引き伸ばせて感動したり、そういった貴重な体験が自分の中にどんどん蓄積されていく感覚がありました。また、そういった工夫がたくさん散りばめられた課題だったんだなぁと今改めて思います。そのクリエイティビティーの部分は仕事だけではなく日常の物事の考え方や創作活動の音楽にも広がりをもたらしてくれている実感があります。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

同年代のたくさんの仲間がいて、課題を共に切磋琢磨し、さまざまな考えに出会い、第一線の教授陣に指導を受ける、成長をする上でこれほど良い環境はないと思います。4年はあっという間に過ぎてしまうと思いますが、その4年間でしか得られないモノが確実にあると思うので、最後の最後までたくさんの学びを得てください。

亀井くんが「デザインにはバランス感覚が重要」と気づくと同時に「バランス感覚を超えてその製品のジャンルにはなかった”新境地”にたどり着きたい」と思っていることを嬉しく思いました。「デザインのバランス感覚」とは、音楽のリズム、メロディー、ハーモニーをどう扱うかを考えることと似ているかもしれませんね。そういう意味で、新しい音楽のジャンルでも作る勢いでデザインを考えていきたいのだろうと思いました。 富士フイルムの皆さんの展示を楽しみにしています。ありがとうございました。

 

facebook share twitter share ページトップへ

1_DSC6643-02.jpg
プロフィール
PRODUCT DESIGN CENTER、THE/ディレクター&プロダクトデザイナー
1982年愛知県生まれ。 幼少の頃より骨董蒐集家の祖父の影響を受け、ものづくりを始める。

2006年多摩美術大学を卒業後、(株)NECデザイン、イワサキデザインスタジオを経て、
2012年に、デザインオフィス PRODUCT DESIGN CENTER、プロダクトブランド THEを設立。

プロダクトデザインを中心に、 プランニングからエンジニアリングまでを統合的に行い、家電製品、モヴィリティ、家具、日用品、 アートに至るまで、国内外で様々なプロジェクトを手掛けている。 2015年にはフランスで開催された『 第9回サンテティエンヌ国際デザインビエンナーレ2015(Biennale Internationale Design Saint-Étienne)』に参加している。

インタビュー
聞き手:安次富 隆


学生時代の啓太くんとの思い出は多々ありますが、一番の思い出は何と言っても卒業制作ですね。簡単に言えば、「葉」の葉脈にヒントを得て、一枚の新素材のシートを折ることによって作られた傘の提案だったわけですが、あまりにも単純すぎてこれでは卒業させられない!という話まで浮上したために(笑)、急ぎ国立のファミレスで作戦を練って、この折り紙構造体のプロダクツへの応用可能性を示すことによって、一転、素晴らしい提案になりました。まぁ今思うと、「傘をデザインしておけば、可能性の広さはわかるはずでしょ?」という学生ならではの思い込みがあったのかナ?と思いますけど、その後のデザインに変革をもたらす可能性を秘めたアイデアを示す場合は、どれくらい深く考えているか?を具体的に示す示さないでは大きな違いがあると思っています。現在はそれを実践しようとしているのでは? 啓太くんのデザインを見ていると、物事の根本からデザインを見直し、示したいという強い意思を感じるのですが。
THE
傘の研究を通じて生まれたシェルター(卒業制作・2006年)

Q1:啓太くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

デザインで大切にしていることって、考えてみたのですが、実はあまり無いなあと思いました。 でも、いつも、良いものを創りたいと思って仕事をしています。 だから、できるだけたくさんチームのみんなに会って、話をして、一緒に物を見て、ここはこうしたいよね、とか、これってもっとこうあるべきだよね!とか、そういう会話をたくさんするようにしています。企画チームの一員になりたいし、エンジニアチームの一員にもなりたい。そういつも思っています。

Q2:今回の展示で見せたいと思っていることを教えてください。

プロダクトの卒業生でも、こんなにも良く分からない人がいるってことを在校生の方に・・・冗談です。でも半分本当かもしれません。多摩美に通ってる人は、みんな真面目で真摯だから、こうなりたいとか、こうしなくちゃみたいな葛藤に、いつも悩まされているはずです。自分もそうでした。でも僕なんて、卒業して10年も経つのに、未だに自分が何ができるのか、よくわからない。今回だって自分の展示をまとめてみて、学生のポートフォリオみたいだなと思ってました。一貫性がない 笑。何でもやって、何でも楽しんでみたらいいんだよ。そんなことを学生の方に感じていただけたらとても嬉しいです。先輩風吹かせてすみません。 少し真面目にも書くと、展示は、全て、進行中のプロジェクトにしました。出来上がったものからは感じ取れない、生っぽくて泥くさい、この仕事の楽しさや醍醐味を感じ取ってもらえることを期待して。


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



出展作品について


バスタブのプロセス
中田英寿さんが主催するREVALUE NIPPON PROJECT CHARITY GALA 2015 with GUCCIに出展予定の作品。
2015年度の招待作家として、今年のテーマである「漆」を使用した、3メートル近いバスタブを製作しています。
とにかく大きい。
https://www.takeactionfoundation.net
THE
01.
漆を塗る前の、原寸大のバスタブ原型。長野県の山奥にある工房に通い、形を修正しています。
02.
アウトラインや、面の成り立ちを、段ボールとラインテープで検証しているところ。検討はいつも原寸大。とにかく大きい。
03.
表面のクローズアップ。下地にあたる布着せの凹凸を活かし、足が滑られないような配慮もしています。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


通勤車両のプロセス

通勤車両の設計デザインを、もう2年近くやっています。 既存の躯体を活かしながら、古くなった車両を再生させるリニューアルプロジェクト。 吊革や、シートの細かい形状や素材の開発まで、徹底してやっています。大変。大きい。 同時に、新しい車両の設計にも取りかかっています。 なによりも安全が優先される公共物。ひたすらに安全と快適を志向していく機能デザインが、僕は大好きです。
02.jpg
01.
あたらしい設計の吊革に挑戦中。どの角度からも持つことができ、手が滑らない、楕円曲線の吊手。たくさんモデルつくりました。
02.
今までの造作を全て取り除いたスケルトン状態の車両。普段あまり見られない電車の姿です。
03.
車両工場にて。車両を上から見ている写真です。電車って、とっても大きい。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


THE
THEは、水野学さん(good design comapany)、中川淳さん(中川政七商店)と一緒に立ち上げたプロダクトブランド。
『THE JEANS』とも呼べる「Levi’s 501」のような製品を生み出すことに憧れ、 これこそは「THE」と呼べるものを、自らの手で作り、流通をさせていくプロジェクトです。
THE
KITTE(丸の内)にあるTHEブランドの直営店『THE SHOP』です。
自分たちで作り上げた製品と、世界中から集められた[THE]が揃い、THEのコンセプトを体現するショールームの機能も果たしています。
THE
今年の春、東京ミッドタウンにオープンした『THE CORNER@isetan』は2店舗目の「THE SHOP」です。
内装は杉本博さん。


------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------



ブータンのプロジェクト
ブータン王妃の財団「タラヤナ財団」とのプロジェクトは、もう3年近く続いています。 このプロジェクトは、ブータンの伝統工芸の発展と継続のためのプロジェクトです。 ブータンには、7つの伝統工芸があると言われていますが、実は誰も、その詳細を把握していないという問題がありました。 ものごとを整理整頓し、その上で、新しいものを生み出していくのは、僕がいつもやっていることです。何かお手伝いできるかもと思いました。 まず、僕は、2000kmに渡りブータン国内を移動する、リサーチプロジェクトを始めました。 ブータンは、ヒマラヤの麓にあり、標高が高く(3500~4500m)かなり辛いのです。でも、とても美しい場所です。 リサーチプログラムの中で出会えた何人もの若き工芸家たちと、今、ゆっくりとモノづくりを始めています。 プロジェクトの紹介のため、2013年には日本橋三越と共同で展示を企画し、工芸品の展示や、ブータンにまつわる様々な方のトークショーを行いました。 つくることから、拡げることまでをデザインすることの大切さを知った、とても大変だけど、とても楽しいプロジェクトです。 ちなみに、ブータンには、定規がありません。だからいつもビニールテープを切って、それを渡して寸法指示しています。
THE
01.
ブータンの竹工芸の職人とつくった抹茶椀。竹の節を活かしながら、漆で仕上げた椀です。 これまでにブータンにはなかった強度を、竹工芸に持たせています。
02.
2013年に制作されたBHUTAN in BHUTANのロゴです。チベッチ仏教の「円」の考え方に基づいており、地水火風を基本とした4つの円で構成しています。(デザイン:高岡一弥)
03.
ブータンで最も心打たれた瞬間です。素朴で、ありのままの道具の美しさを見ました。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------


Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

右も左も分からないまま、いろいろな課題をやって、当時はその価値が分からないこともあったけど、今は、それらが全て血となり肉となっていることを実感しています。よくプロをなめるなと怒られた気もします。学生扱いせず、真剣に向き合っていただいた先生がいたことは、とても嬉しいことでした。それと、いろいろな人に出会えて、いろいろなデザインの思想や流派に触れることができ、その度に「自分にとってデザインとは何か」を突きつけられ続けたことがとても良かった。一生の恩師でもある先生に出会えたことも、とても良かったです。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします

僕は絶対にこういう場に呼ばれないタイプの卒業生です。笑 なので、へーこんなんもいるんだね程度の珍種として見て頂ければと思います。何かあれば、メールをください。

笑。なぜ「僕は絶対にこういう場に呼ばれないタイプの卒業生」と思っているのか?には興味がありますが、それはまた今度聞かせてください。 啓太くんがプロダクトデザインに軸足を置きながらも、プロダクトデザインの概念を固定化していないことに共感しました。これからの活躍も楽しみにしています。ありがとうございました!

facebook share twitter share ページトップへ

Takuya_Takishita_portrait.jpg
プロフィール
1979年静岡県生まれ。
2003年多摩美術大学プロダクトデザイン専攻を卒業。 同年より同専攻研究室に副手として4年間勤務。
2007年有限会社オッティモに入社。現在に至る。

受賞歴
2008年グッドデザイン賞
2014年グッドデザイン賞金賞、グッドデザイン賞

インタビュー
聞き手:安次富 隆 


私が勝手に師匠と思っている山本秀夫さんのデザイン事務所、オッティモのデザイナーとなったたっきーは、弟弟子のように思っています。笑。 そのたっきーが、昨年グッドデザイン賞を受賞した「壁掛式吸引器(株式会社セントラルユニ)」をデザインしたと聞いた時、感慨深いものがありました。というのも、あれは3年次の時だったと思いますが、たっきーがデザインした救急箱を思い出したからです。お父さまは消防士だったこともあり、人を救うプロダクトをデザインしたいと言っていたと思います。それが製品として実現したことが何よりも嬉しかったのです。
ottimo
救急箱(3年次の課題作品)
救急箱の課題の時は2ヶ月前に911事件があったのも大きな影響を受けました。学生時代から「人の役に立ちたい」という漠然とした思いはありましたが、現在こうして医療機器デザインの仕事をしているとは夢にも思いませんでした。

Q1:たっきーがデザインする上で大切にしていることは何ですか?

使う人の立場になって考える
ということを大切にしています。自分で実際に触って使ってみることはもちろんですが、可能な限り使われている現場を見学させて頂いてお話を聞いています。とにかく徹底的に調べて、分析する。そうすると対象が抱えている課題が明確になってきて客観的な視点に立つことができます。独りよがりにならないための大切な作業だと思います。形状検討の段階では必ず原寸モデルで検討しています。モデルを作りながら使う人を思い浮かべると、「ここは広くしておかないと作業しにくそうだな」とか「こんなに大きいと女性の小さな手では扱えなさそうだな」と言った問題点に気付く事ができます。そしてモデルからのフィードバックを図面に落とし込む作業を繰り返して精度を上げて行きます。 !図面も最初は手描きである程度まで描いています。CADはいくらでも拡大できてしまって原寸感覚が狂うので、デジタルツールに操られてしまわないように気をつけています。 自分の身体感覚を使って検討する事はとても大事だと思います。結果的に膨大な作業量になりますが、それが自信の裏付けになってくれると信じています。

Q2:今回の展示作品のことを解説してください。

今回の展示には操作に専門的な技術が必要な壁掛式吸引器と、誰でも一度は遊んだ事があるであろうオセロを選びました。日々人命に関わる過酷な環境で使用される医療機器と日用品であり娯楽を老若男女に提供する玩具。この2点は一見対極にあるように見えますが、使いやすさや収納、片付けなどデザインする上で心がけたことは全く同じことであることを、在校生に感じてもらえたらうれしいです。
uniline_for_tamabi.jpg
壁掛式吸引器(株式会社セントラルユニ)

壁掛式吸引器は医療現場において自発的に痰を吐くことができない患者の口や気道から、痰等の分泌液を吸い取って除去するための医療機器です。 術者にとって扱いやすく環境を清潔に保ちやすいようサポートできる製品であり、また患者にとって安心して身を託すことができるよう、使用するカラーリングとグラフィックを整理し医療機器として信頼できる佇まいを作り出す事を目指しました。

ottimo
壁掛式吸引器(株式会社セントラルユニ)


ベストオセロは日本発のボードゲーム、オセロの誕生35周年を記念したモデルです。 入門編としてちょうど良いサイズを目指して開発しました。 打ち心地の良い石(コマの呼び名)と盤面のサイズバランス、石の収納部を盤面と一体化したコンパクトな本体が特徴です。石の収納部は蓋を開けた時は石を取り出しやすく、また閉じた時は本体のフォルムにすっきり馴染むようにデザインしています。
othello_for_tamabi.jpg
ベストオセロ TM&©Othello,Co. and Megahouse(株式会社メガハウス)

ベストオセロは入社して初めて担当した製品なので個人的な思い入れも強い製品です。以前、友達のお子さんが3歳くらいのときにプレゼントした事がありました。対象年齢が5歳以上なので、プレゼントした時は石を積み上げたり弾き飛ばしたりとゲームにはならなかったのですが、先日7歳になったその子に久しぶりに会ったら「オセロやろう!」と誘ってくれました。その成長に触れた喜びと、その成長の過程に手がけた製品があった事がうれしかったですね。

Q3:多摩美のプロダクトで学び、副手として4年間働いて良かったと思うことは何ですか?
学生時代は課題で本当に忙しくて、あの忙しさを経験したら割となんでも平気になりました。あの過酷な状況で身に付いたタフさは今も役に立っています。 また、私の学年は割と自由奔放にやらせて頂いていたので、科内はもちろんですが科外の方々、工作センターの皆さん、守衛さん、用務員さんには本当にお世話になりました。特に工作センターの皆さんには道具の大切さを教えて頂いたり、制作方法の相談に乗って頂きました。あの頃教えて頂いたモデル作りの基礎が今に繋がっており感謝しています。副手時代は科の運営のためのマネージメントが主な業務でした。私が在籍していた頃は60人体制への移行期だったこともあり、通常業務に加えて新しいプロダクトデザイン学科を立ち上げるための数多くの交渉を行なわせて頂きましたが、その大きな変革期に微力ながらも携われた事はいい経験になりました。 一方で日々ものづくりができないという葛藤があったので自主的に作品を制作して発表する事に決め、定期的に作品を作りました。その過程で「やっぱりデザインがやりたいんだな」と確認できたので4年は決して無駄ではなかったと思っています。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。
デザインが活躍できる領域は皆さんが思っているよりも広いです。安次富先生が授業で「A4の紙だってプロダクトデザインだ」とおっしゃっていたのを今でも覚えていますが、学生時代の私は目から鱗が落ちる思いでした。目に見えるもの全てにデザインが役に立てる何かがまだまだあると思います。どこにデザインのニーズがあるか、目を凝らして観察しながら日常を過ごしてみて下さい。とんでもない発見に出会えるかもしれません。 そして、皆さんはこれから人生の岐路に立つ訳ですが、一旦決意したら必死になって突き詰めてみて欲しいと思います。私は事務所に入所して9年になりますが、とにかくこの9年必死にやってきました。初めて挑戦する分野も多く日々もがいていますが、いろいろな領域のお仕事をさせて頂けるのも事務所で仕事をする魅力の一つで、毎日新しい発見があっておもしろいです。 継続は力なりではないですが、しばらくやってみないと本質は見えて来ないと思います。

たっきーが一番大事にしているのは人なのだということが良くわかりました。中でも子供やお年寄り、病人など、社会的な弱者への優しい眼差しを感じます。その優しさは、たっきーの学生時代、副手時代にも感じていました。見た目も頼りがいのあるたっきーが(笑)、同級生や後輩たちに慕われ、その輪が社会に広がっていっているのですね。 今日はありがとうございました。 

facebook share twitter share ページトップへ

shimurabros_photo.jpg
プロフィール・受賞歴 
志村諭佳

卒業年:1999年 

SHIMURAbrosはユカ(1976年生まれ。多摩美術大学卒後、英国セントラル・セント・マーチンズ大学院にて修士号を取得)とケンタロウ(1979年生まれ。東京工芸大学 映像学科卒)による姉弟ユニットです。平成21年度 [第13回] 文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。カンヌ及びベルリン国際映画祭での上映をはじめ、国立新美術館、シンガポール国立大学美術館、台北現代美術館、パース現代美術館(オーストラリア)、ミュージアムクォーター ウイーンなどで作品を展示しています。平成26年度ポーラ美術振興財団・在外研究助成を得て拠点をベルリンに移し、現在はオラファー・エリアソンのスタジオに研究員として在籍し活動しています。

インタビュー
聞き手:安次富 隆


やはり志村さんの一番の思い出は、卒業制作の「視覚音楽体験ツール」です。グラッフィックの学生との共同制作でしたね。 !聴覚に不自由な子供も一緒になって、視覚と触覚を使って音楽を楽しみながら学習できるように、直径1メートル以上だったと思いますが、円形のディスプレイと、その周りに手のひらで触れるタッチパネルが複数レイアウトされている、未来的なデザインでした。 !円形のディスプレイは将来実現するのか?実際にモックアップに映像を映し出すにはどうすれば良いか?相談を受けた記憶があります。 円形のディスプレイは技術的に可能だし、モックアップに映像を映すには、モックアップを載せるステージを作ってプロジェクタを仕込み、鏡を使って反射させれば映せるかもとアドバイスしたように思います。 映像作家になって帰国し、横浜で初めてSHIMURAbrosの作品を見たとき、挑戦的な映像に驚きましたが、今回展示してくれる”X-RAY TRAIN”のような作品を見ていると、4次元的に映像を考えているという点で、卒業制作とリンクするような気がします。

Q1:私は勝手に4次元的映像と言いましたけど、志村さんは映像作品を制作する際、どのようなことを意識して制作しているのでしょうか?

平面に時間が加わると映像になり、X-RAY TRAINはそれに空間(奥行き)が加わりました。 ですから、先生のおっしゃるとおり、4次元的映像と言えます。 !映像は私たちの意識していないものを映し出してくれます、例えばゆっくり再生したときにそこには時間というものの非日常的な側面が現れてきます。私たちは作品を作るときには、ヒトの目で見ることができないもの、ヒトの心が気づかないものを可視化することを意識しています。 プロダクトもそうだと思いますが、芸術作品は他者のものですし、いい作品は自立します。

Q2:今回の展示作品、”X-RAY TRAIN” を制作するきっかけは何でしたか?

作品の制作中に、次の作品のアイデアが現れることが多いです。 「X-RAY TRAIN」の時も同様で、その前作「SEKILALA」という映画作品を作っているときにきっかけがありました。 きっかけは、作品を撮影していたとき、監督として感じた現場での実存が、編集し上映する過程でこぼれ落ちていってしまうことへの疑問です。そしてこの疑問は、映画が上映されるときに空間を伴わないというメディアの性質そのものに関わることだということに気づきました。 !そこから、映画の成り立ちの歴史をリサーチし始め、リュミエールの機関車や、空間的に展開されるスクリーンへと発展していきました。
x-ray_shimurabros_CMYK_350dpi.jpg
X-RAY TRAIN

「SEKILALA」
は、第13回文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞した作品ですね。
(http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2009/art/works/13a_sekilala/)
その制作段階に「X-RAY TRAIN」制作のきっかけがあったとは思いもよりませんでした。そのお話しを聞いて「X-RAY TRAIN」を見ると別の発見ができそうです。

Q3:多摩美のプロダクトで学んだことが今の仕事に活かされていることはありますか?

現代美術には、様々な分野からきたアーティスト達が活躍しています。 例えば、尊敬するトーマス・デマンド氏は、最初の美術アカデミーではインテリアデザインを学び、彫刻家としてキャリアを開始され、今は写真家と呼ばれ、映像作品も手がけておられます。異なる経験により、新しい視点を持ち込めるのだと思います。 !在学中の課題で「産学協同プロジェクト」がありました。 これは、学生にとってプロフェッショナルとコラボレーションする素晴らしい機会です。 そして私がラッキーだったのは、当時ニューヨークのデザインカンファレンスでプレゼンテーションする機会を頂いた事です。この体験は自分に足りない多くの事を気づかせてくれました。 !映画制作は、共同作業です。 現在はスタジオオラファーエリアソンにて研究員をしておりますが、私たちが取り組んでいる現代美術も、実は多くの専門家のコラボレーションにより作品が完成します。

私の質問は少々愚問でしたね(笑)。映画と同様にプロダクトデザインに活かされない分野も経験もありませんから。 現実に立脚しているプロダクトデザインと異なって、映画は時空も自在に超越できますから、まさにマルチディシプリナリな表現手段と言えるのかもしれませんね。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

リサーチは、最も大切な行為のうちのひとつです。 素材のリサーチ、歴史のリサーチ、自分が制作するものについての調査を深めるべきです。その為には実際に場所に出向き、人々に会う必要も出てくるでしょう。躊躇せずどんどん飛び込んで行ってください。 !それから、アイデアの実現に必要であれば協力者を探しましょう。 多くの人に自分のアイデアを伝えれば、それだけ賛同者も多く現れてくれるはずです。

志村さんの数々の経験やリサーチからパーコレーションされたイデアが作品に凝縮されているのだと思います。お話を伺って、じっくりと作品の濃厚な味とコクを味わいたくなりました。 本日はありがとうございました。


展覧会のお知らせ

SHIMURAbros のオラファースタジオでの作品「広州三部作」がカリフォルニア洲 UC Berkeley のWurster Galleryで上映されます。 ART+VILLAGE+CITY EXHIBITION  
会期:10月9日(金) - 11月14日(土)
会場:Wurster Gallery, UC Berkeley, UNIVERSITY OF CALIFORNIA, BERKELEY, CALIFORNIA, The USA
詳しくは下記のホームページをご覧くださいませ。  
http://globalurbanhumanities.berkeley.edu/events/artvillagecity-wurster-exhibition

SHIMURAbros個展 『Tokyo Story』
会期:2015年10月24日(土)- 12月5日(土)
会場:東京画廊+BTAP
東京 〒104-0061東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7階 TEL: 03-3571-1808 / FAX: 03-3571-7689
http://www.tokyo-gallery.com/exhibitions/intokyo/-shimurabrostokyo-story.html


facebook share twitter share ページトップへ

.jpg
プロフィール・受賞歴
1975年東京生まれ。
2000年多摩美術大学プロダクトデザイン科卒業。
IDEO JAPAN を経て、PROPELLERDESIGNへ参画。通信機器から日用品、パッケージ、バックなどの量産品のデザインを手がける。
2014年から販売の実験的ショップALLを始動。同時に生産者とPROPELLERDESIGNがつくるオリジナルブランドHITOHIを店頭販売開始。
グッドデザイン賞多数。

インタビュー
聞き手:安次富 隆 

学生の頃からの悦代さんのイメージは「スマイル&パワー」です。いつもニコニコしていてゆったりしているイメージなのですが、恐ろしくパワフルにデザインする姿が印象に残っています。特に卒業制作の『子供用電動車椅子』は、とても難しいテーマでしたが、リアリティーのある完成度の高いデザインでした。ある意味この研究は、悦代さんと同じように子供たちに「笑顔と力を与える提案」だったのかもしれませんね。それは今でも続いているように感じています。

Q1:今回は色々な作品を展示して頂けるようですが、悦代さんがデザインで大切にしていることを教えてください。

多摩美術大学の80周年ということで、80にこだわった展示を考えてみました。バックやストールといった布もの、生活雑貨、通信機器などなど、ごちゃっと並べますので、幅を見ていただけたらなぁとおもってます。 デザインで大切にしていることですが・・・次につなげるということを目指してやっています。「次」というのは、プロジェクトによっていろいろなことを指すのですが。企業が継続して開発できる「次」だったり、ユーザーが長年にわたり使い続ける「次」だったり、さまざまな「次」を大切にしています。

Q2:今回の展示作品のデザインのポイントや苦労したことなどを教えてください。

0-tissue-green.jpg
±0 ティッシュケース X010
ホテルでも一般家庭でも使えるティッシュケースというのがオーダー内容でした。その回答として、部屋でも使え、設置面積の少ない洗面所でも設置しやすいよう、立てることが可能なフォルムを提案しました。ホテルでは、ビニールパックの業務用ティッシュを詰め替えるんですが、一般の人たちは、ボックスティッシュが主流なので、どちらでも入るサイズ感にしています。もう一つ大きなミッションがありました。それは、金型費を極力抑えたいということなんですけど、立てることをクリアするには、金型が複雑になり金額がUPしてしまう、2部品で構成されているので、それぞれに複雑な金型を使用するのはNGでした。そこで、エンジニアから1部品を左右反転させて構成させたらどうかと提案をもらい、製品化が可能になったんです。一人の脳みそで考えれば×1ですが、いろいろな人の脳みそを借りると×2以上になるんだと改めて考えさせられたプロダクトの一つです。

PLYS-Kitchendispenser.jpg
PLYS キッチンディスペンサー Photograph Kazushi Yoshinaga

世の中で売られている食器用洗剤のディスペンサーは、PUSH型がほとんどです。洗い物をしていると、洗剤をスポンジへかけたいタイミングというのは1回ではなく、何回か出てきます。油ものなどには、直接洗剤をふりかけてつけておくということもありますよね。そのような洗い物の所作を考えた時に、片手持ちできるディスペンサーというコンセプトが生まれました。

SAKABEBRUSH.jpg
ブラシ職人シリーズ まるまるブラシ+ペンシルブラシ

和歌山県の小さなブラシ屋さんが一つ一つ手作りで植毛するブラシシリーズです。毎年1~2アイテムづつ追加され、現在では7アイテムになりました。継続的に商品開発をおこなっていますので、今後もアイテムが追加されていく予定です。 掃除って、やるぞと決めてすると大変なのですが、日々、ちょこっとづつ気になった時に出来ると、案外大変じゃないですよね。そんなちょこっと掃除をコンセプトとして、外に出しておけるブラシを開発しています。家の中のどこかに自然に出しておけるように、掛けたり・置けたりできることを形に表現し、一つの機能としました。掃いたり、こすったりとブラシの使い方ってとてもシンプルなので、毛の色や樹脂の色を特性によって変え、視覚的に機能を伝える試みもしています。

IDEA-STLAKT.jpg
IDEA MILESTO×ANA STLAKT Photograph Tatsuro Masaki

今までのANAオリジナルのトラベルバックを購入している人たちは、50オーバーの方々がほとんどで、これから、30代40代のビジネスマン・ビジネスウーマンも獲得し、ターゲットを広げていこうという狙いから、IDEAとANAのコラボレーションが始まりました。このプロジェクトは現在進行中で、アイテムの拡張をおこなっています。旅先でとても役立つ機能を搭載したアイテムが続々と登場しますので、楽しみにしててください!
KDDI-HGW.jpg
KDDI ホームゲートウェイ Aterm BL190HW Photograph Takako Yamada

このホームゲートウェイは、KDDIでネット契約をすると自動的に送られてくるレンタル機器として開発されました。今でははほとんどが光回線になってしまったので、使っている方は少ないとおもいますが、ADSLの時代のものです。回線の開通時から家のどこかに置かれ、ONされ続けるものということで、樹脂の色とLEDの光り方にチャレンジをしています。その当時、白色のレンタル機器というのは珍しかったのですが、インテリアに溶け込む色ということで、採用していただきました。LEDは、24時間365日光り続けても、あまりノイズにならないよう、透明樹脂を使用し照度をおさえています。 この製品は、6枚の写真の中では一番古く、フリーランスになって2~3年ぐらいのプロジェクトなので、放熱孔の穴一つ決めるのにとてつもない時間をかけてたとおもいます。その時の自分に根気よくつきあってくれた技術者やクライアントの方々には、本当に感謝しています。
NEC-wimax-wm3500rb.jpg
NEC WiMAX wm3500rb

クライアントからオーダーいただいた当時、Wimaxモバイルルーターのシェアは2位以下で、とにかくシェアNo.1を目指したいというのがオーダー内容でした。 写真は黒一色なのですが、カラーバリエーションとして3色持つことを提案し、その中に女性をターゲットとした赤色を入れました。筐体の仕様も塗装やメタリック印刷を使い、コスメティックな仕上がりにしたんです。結果として、競合の中では目立つことができたので、この機種ではシェアNo.1は実現できましたが、かなりコストオーバーになってしまい、次機種からコストダウンが課せられてしまいました。技術の進歩や変化で、寿命の短い商品とはじめから分かっているアイテムならではの難しさを知ったプロダクトです。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

外側だけではなく内側(フローや取り組み方など)を重要視する教育だったとおもいます。最近の流行り言葉ではありますが、モノではなく「コト」が重要というベースを体に叩き込んでくれたのは、プロダクトでの4年間だったとおもいます。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

「こんな事したい!」「あんな風になりたい!」なんでもいいのですが、強い思いみたいなものがある人は、その思いを大事にして社会に出てきてほしいなぁとおもいます。その思いが自分を高めていく際の支えになってくれると思うので。 

悦代さんのデザインの話がたくさん伺えて本当に良かったです。望まれたデザインのミッションに対して、丁寧に最適解を求めていっている姿勢が特に印象的でした。「こういう風にしたい!」という悦代さんの想いの強さが優れたデザインの創出に繋がっているのだと思います。本当にありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ

パイロット
プロフィール・受賞歴 

池田 明教(いけだ あきのり)
1972年、福岡県生まれ。

1997年、多摩美術大学美術学部生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。
同年、株式会社パイロットコーポレーション入社。2008年よりチーフデザイナーを務める。

受賞歴
グッドデザイン賞受賞13点、日本パッケージデザイン大賞金賞受賞など。

松下 萌黄(まつした もえぎ)
2012年、多摩美術大学美術学部生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。

同年、株式会社パイロットコーポレーション入社。

受賞歴
グッドデザイン賞2015 BEST100(フリクションスタンプ)


インタビュー
聞き手:安次富 隆 

池田くんは卒業制作で失敗して、就職も決まっていたのに留年してしまいました。あの日のことは今も良く覚えています。そして次の年「高齢者施設で使用するテーブルと椅子」をデザインしました。それも良く覚えていて、テーブルに収納できる椅子が一体化しているのですが、池田くんの理想通りにはなかなか可動しなくて苦労していました。決して器用ではないけど、相当なエネルギー注ぎ込んで作り上げた力作でした。その時からアクセル踏みっぱなしでパワフルに動き続けているのが池田くんのイメージです。 池田くんは事あるごとに連絡をくれるので、池田くんがいるお陰で私もトーンダウンせずに頑張れていると感謝しています。ブレーキ踏むと後ろからど突かれそうですし。笑


Q1:池田くんがチーフデザイナーとしてデザインで大切にしていることは何ですか?

池田:
チーフの責務として、「デザインチームが良いデザインを創出し続けること」は当然のことですが、その為に各デザイナーの長所を更に伸ばしてあげること、つまり「人を育てること」も大切な責務、チーフとして大切なデザインのひとつです。

ONE FOR ALL
 


これは、私がチームに対して掲げているスローガンであり、大切にしていることです。 !「ひとりひとりがプロとして、世の中の為になるデザインを常に真剣に考える」 「世の中の為を考える前に、まずは共に働く仲間(スタッフ)に感謝し、自身の能力を最大限発揮する」 そんな思いを込めています。 これらは当然のことなのですが、仕事に対する慣れや、時間に追われてしまうことで失くしがちなことでもあり、会社という組織の中で、デザイナーがこのことを常に意識し実行し続けることは意外に難しいことです。 だからこそ、チームが良いデザインを創出し、ひとりひとりが成長し続ける為に、決して忘れてはならないことだと考えます。 !そして、このスローガンを掲げた理由は、以下の私の経験に基づいています。 「自身のデザインが商品となって世の中に出て、それがヒットして、賞もいただくことが出来れば嬉しさも増すに違いない。」入社当時はこの思いが、私の大きなモチベーションになっていました。 しかし、夢中でデザインしてそれらを達成しても、数を重ねる毎に、なぜかその嬉しさはすぐに小さくなっていきました。 現在、自身のデザインに対する満足度を100%とすると、商品がヒットしたり、賞をいただいたりすることで得られる満足度は10%程度です。 !およそ、ひとつのプロダクトデザイン(商品)は、企画、設計、生産、販売など多くの人が関わることで生まれます。 !私がデザインを手掛けた、「ドクターグリップ」、「タイムライン」、「色彩雫」なども企画、設計、生産を始めとした多くの仲間と思考錯誤しながら作り上げた結晶です。 「難しいけれど実現させたい!」と強く願う企画者がいて、「これなら行ける!」と一瞬で仲間を束ねることが出来たレンダリングとモックアップがあり、「池田がデザインしたものなら売れる!必ず実現させてやるから任せろ!」と言ってくれた設計者と生産担当者がそこにはいました。

ひとりひとりが、持てる100%の力を出し合いながら、ひとつの商品を作り上げていく。 「世の中を良くしたいと願う、この仲間の思いの為にも頑張りたい。」という気持ちが、更に自身の努力を促す。寝食を忘れる程、デザインしていて本当に楽しかった。 そして、その時の充実感を何度も感じたいという思いが、今でも新たなデザインへの活力となっています。 私にとって、仲間と作り上げるプロセスそのものがプロダクトデザインの魅力と価値であり、それはまるで「毎日が文化祭」の様な楽しさです。 !その後、それらはヒット商品、ロングセラー商品となり、グッドデザイン賞やパッケージデザイン賞もいただく事も出来ました。真摯に、誠実にデザインに取組むことで、自然に結果もついてきました。 何を作ったかは大切ですが、どんな仲間と、どんな思いで作ったかはもっと大切だと考えます。なぜならその思いは、その先にある商品を使ってくれるユーザーを想う事にも自然と繋がっているからです。 共に作り上げる仲間への感謝と、自身の努力があってこそ、その先のユーザーがあり、結果として商品のヒットや賞があると考えています。 !この経験に基づくスローガンが正しいかどうかは分かりませんが、「思いを込めたチーム」を作ることは、デザインにおいても、例えばスポーツにおけるチームと同様に、個とチームの成長の為に必要だと考えます。 !「ヒット商品を作ることや賞をいただくことよりも、自身にとっての価値を、自身の力で見いだすことが出来る。そして、答えを求めるのではなく、答えを作り出すことが出来る。」その様なデザイナーを育てることが私のチーフとしての目標であり、これまで私を育ててくれた方々への恩返しでもあります。
drgrip_gspec.jpg
Dr.Grip G-spec: 誰でも一度は手にした事があるプロダクトではないでしょうか。初代ドクターグリップを正常進化させる事が目標で、ヒット商品に手を加えることの難しさと責任を感じました。商品化まで3年を要しました。
パイロット
TIMELINE: 口金と筆記先端が二段階で出没する画期的なボールペンです。商品、パッケージ、広告まで一貫して担当した思い出深いデザインです。 こんな筆記具を待っていたとセールスに言ってもらえたことは、今でも忘れられません。
iroshizuku242.jpg
iroshizuku-色彩雫: 「パイロットの万年筆用インキは魅力がないとお客様に言われて悔しい。」という企画担当者の思いも背負い、懸命にデザインした美しい24色のインキです。ブランドコンセプト、ビン形状、商品名のみならず、日本の四季を想起させる様な美しい各色名も考えました。インキ色と色名の語感が相まって、より豊かな時間を演出します。

Q2:今回の展示は後輩の松下萌黄さんが企画してくださっているようですが、デザインのポイントを教えてください。

松下:
手を使って書く(描く)行為には、およそデジタルにはない、個性、感情、空気感といった、「その人らしさ」が強くあります。手書きの便りをもらった時の喜びは、誰でもあると思います。 人にとって、書く事は日常的な行為です。感情までをも表現し、伝えることが出来る道具としての筆記具の側面を見ていただける機会になればと思っています。 !また私は、「自分がデザインしたものを使ってくれる人の喜ぶ顔を見たい」という想いで多摩美のプロダクトに入学しました。 今は、多くの人に使ってもらえる身近なものをデザイン出来る喜びと、その責任を感じています。デザインが生活と心を豊かにする。その具体例を、展示を通じて感じていただけたら幸いです。 尚、展示にあたり、2014年度卒業の岩尾玄樹君も手伝ってくれています。
frixionball_knock2.jpg
FRIXION BALL KNOCK(フリクションボールノック/消せるボールペン)
frixionball_slim038.jpg
FRIXION BALL Slim (フリクションボールスリム/消せるボールペン極細)
frixion_stamp.jpg
FRIXION stamp(フリクションスタンプ/消せるスタンプ) ※フリクションシリーズはグッドデザイン賞2015 BEST100を受賞致しました。

Q3:お二人に伺いたいのですが、多摩美のプロダクトで学んで良かったことは何ですか?

松下:
「こうしたいという意志を持つこと」、「自身に負けず嫌いでいること」、「一生懸命でいること」、これらの気持ちを持ち続ける大切さを教えていただいたことです。 そして、それらは学生時代に多くの課題に試行錯誤しながら、周囲の仲間と切磋琢磨する中で身に付いたものです。 私はデザイナーとしては、まだまだ未熟で、チーフの池田には、よく怒られているのですが(笑)…そういう時、それらの気持ちを忘れていたことに気付かされます。 ちょっと堅苦しい言葉も知れませんが、その情熱はデザイナーに必要なものだと強く感じています。 

池田: 「大学は山に囲まれた郊外にあり、都内までリサーチや展示会に行くにも一日仕事。 当時、Macは一台100万円。当然、誰にでも買える物ではなく、携帯電話も普及以前。 情報収集は基本的に聞き込み、人づて、書籍を購入しての独学など。 プレゼンボードは写真を現像し、ワープロから文字を拡大出力、切って張っての温もりある手作り(笑)。 当然、課題は多く、講評は厳しい。」 !私が過ごした学生時代は、まだこの様な環境でした。 ですから、手足や五感といった全身を使って情報収集、制作体験し、課題に向かっていました。 その様にして得たものは消えることなく、自身の血肉となり、今も生きています。 その様な時代、環境で育てていただいた事に感謝しています。 なぜなら、社会に出て、大学時代よりも厳しいと思ったことはないからです(笑)。 「強く折れない心と、常に前に進む力」を育んでもらえた事に、深く感謝しています。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

素晴らしいデザイナーになれる(かも知れない)方法を三つお教えします。
、パソコンやスマートフォンばかりに頼らず、手足や五感の全てを生かし、情報収集、体験をすること。また、ストアチェックのリサーチの際は店員に直接話を伺い、生きた情報を拾う事を大切にすること。相手の目を見て話す事はコミュニケーション能力向上への一歩となります。

、プレゼン能力向上の為に、自身が伝えたいことよりもまず、「プレゼン対象がどの様な相手なのか」を知ること。その次に「どうすれば、より伝わり易くなるか」を考える。 伝わりやすさの為に、自身のデザインについて、「結論から話す」、「機能と情緒を分けて話す」という事もポイントです。


、真剣に教えて下さる先生、高い志を共有出来る仲間が身近にいること、バイト先の先輩や後輩など、自身の周囲にいる人々に感謝すること。 そして何より、高い学費を払ってくれている親への感謝を「毎日」忘れないこと。 !未来を担う素晴らしい後輩達へ 「好きなことを仕事にする」ということはとても幸せなことです。 勿論、楽しいことばかりではありませんが、好きなことを仕事にするという覚悟は、自身の成長を促し、「どんなことがあってもブレない心」へと繋がります。 それは、我を通すということではなく、好きなことに対する覚悟と自信を軸に、様々なことに興味が広がり、仲間の意見にもしっかりと耳を傾け、共に頑張ろうという思いにも繋がるということです。どうか好きなこと、没頭出来ることを沢山見つけて下さい。 社会や世界には、皆さんが未だ知らない、素晴らしいものがたくさんあります。 皆さんの未来が、光輝くことを心より願っています。

池田くん、松下さん、ありがとうございました。 文具は老若男女、誰にとっても身近なプロダクトです。敷居が低く、親しみやすく、誰からも愛されるパイロットコーポレーションの商品デザインの背景には、人とのつながりを大切にし、人の立場に立って考え、感謝の気持ちを忘れない姿勢があることが強く伝わりました。この姿勢の大切さは、どのようなプロダクツにも通底すると思います。教え子から教えられたと感謝しています。ありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ