縺れのデザイン

港千尋

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 ものごとを整理し、与えられた条件との相互的な影響を考えながら、最適なかたちを求めるのがデザインとするならば、「縺れ」は整理され、解決されるべき問題である。錯綜した状態のなかから要素を抽出し、分離―分析―分類することはデザインのみならず、論理的思考法の基本だろう。それがサブジェクトとオブジェクトの分離を可能にし、世界の客体化が自然科学と技術文明の爆発的な進展を促して、近代以降今日にいたる支配的「思想」になったことはいうをまたない。
だが一見自明のように見えるこの思考法もまた、それ自体がひとつの選択であり、別の考え方もありうることが、分かってきた。「縺れ」は量子力学から考古学や人類学まで使われている言葉だが、その意味はそれぞれの分野で異なるものの、関係性に注目している点で、別の視覚や考え方を示そうとしている。この部門では人間を含む物事と思考の世界を「縺れ」という観点からとらえなおし、さまざまな関係性の考察をとおして、デザインとアートの可能性を探りたい。


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