贈与と祝祭の哲学

安藤礼二

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 本部門では、南方熊楠、柳田國男、折口信夫によってかたちが整えられた「民俗学」と鈴木大拙と西田幾多郎によって創出された「宗教哲学」の交点を探る。「民俗学」(フォークロア)は同時期のヨーロッパに成立した「民族学」(エスノロジー)と密接な関係をもち、「宗教哲学」は同時期のアメリカに成立した心理学と哲学の融合であるプラグマティズムと密接な関係をもっていた。いずれも世界が一元化されてゆくなかで、ユーラシアの東端、南北に広く伸びる無数の「山島」からなる列島に固有の思考方法とはいかなるものであったのかを探る未知なる学として構想されたものだった。そして、世界から列島を考え、列島から世界を考えることが貫徹されていた。「民俗学」は、「民族学」を一つの起源にもつ芸術運動シュルレアリスムと共振し、「宗教哲学」は井筒俊彦の「神秘哲学」と柳宗悦の「民藝」を生み落とした。固有であることが普遍につながる「学」の系譜を現代に甦らせたい。


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