私はこのミニプリント展に実作者として審査に立ち合いました。私はリトグラフを制作しております。この版種は平版といわれ、他の版種にくらべて加えたり引いたりが自由であるために、私の性格にぴったりであり、長い間、飽きもせず制作してこられました。

この審査にあたっても厳密で完成度の高い作品が多いなかで、人の手の温もりを感じさせるようなものに眼が行ってしまいました。

Yu-Chuan CHANGさんの作品は木をエングレーヴィングしているとあります。メタルではなく木であるためか、星空のもと白いカタチが浮かび上がっているようです。それにくわえて中心部にメタルの箔が丸いカタチにおさまっているが、その箔には空押しがほどこされているためか異物感をあたえずフシギな光をはなっています。星空のもととびはね踊りだしているさまはたのしい。

この頃になって、ますます、一つ眼であるカメラの偉力に圧倒され、人間の眼がおろそかにされる流れが大きくなった感があり危機感をおぼえます。

アートとはその人間がまるごと作り出した物であるという原点に立ち返る必要があると思っています。