2009.12.15
卒業生だより -横井康秀さん-

「卒業生だより」・・・・

こちらでは多摩美プロダクトデザインの卒業生がつくったもの、卒業生の活躍をご紹介していきます。


その記念すべき第1回目として2007年に卒業し、現在は株式会社ニコンでデザイナーとして活躍されている
横井康秀さんに開発に携わった製品をご紹介していただきました。

yokoi

(1)Nikon COOLPIX P90ってどんなカメラですか?

コンパクトでも多機能・高性能を手軽に楽しみたいユーザーに向けたカメラです。
広角から超望遠までカバーする光学24倍ズームNIKKORレンズ/チルト式液晶/多様なモード設定など、
これまでにはなかった撮影体験を存分に楽しむことができます。

p90_front34l_on_l

p90_lcd_2_l

p90_top_on_l


(2)デザインで苦心した点を教えてください。

一眼レフカメラを買うほど意識は高くないけれど、ちょっと手軽に本格的なカメラを使ってみたい。
そんなユーザーに向けたデザインテーマとして『わかりやすい本格感』と、カメラらしさの範疇を
守りながらも際立つ表面処理等で『贅沢さ』を表現する事を狙いました。


主なアイデアとして以下を提案し製品にて実現しました。

・本体の「レザートン塗装」と、前面ロゴ部分及びグリップ上面の「ピアノブラック光沢」によるコントラスト
表面処理のコントラストが映えるよう考案したカタチと独特なパーツ分割構成、つやつやの黒塗装実現などに苦心しました。設計難易度/製造工程/コスト/安全性など、大量生産品ならでのハードルを多数乗り越え、実現に至りました。

・本格的な道具を思わせるモードダイアルの菱目ローレット
突起形状のディテールを詰め、またカチカチというクリック音と触感も重要な演出要素として、設計者と協力しながら最後まで微調整しました。

・グリップ形状
コンパクトサイズは守りつつ、本格的な一眼レフカメラと同じく握りやすいグリップを追求しました。ラピッドプロトタイプを数多く制作するなどして、粘り強く検証に検証を重ねた箇所です。

その他に、可動モニター/ボタン/レバー/ダイアルなどの操作性と見た目のバランスも、最後の最後まで詰め作業を行いました。
設計担当者がデザイナーの意見にも積極的で、難問に対して親身に取り組んでもらえたことも非常に大きかったと思います。


sketches1
初期のイメージスケッチ



mockup1
開発中に数段階にわけて確認モックアップを作成。これら以外にも3Dプリンターによる簡易モデルを随時作り、形状を確認した。



colorvari
塗装やメッキなど表面処理のバリエーションを多数試作した。



(3)後輩へメッセージを頂けますか?

社会に出てからのデザインも学生の頃と大きくは変わらず、アイデアを検証しカタチにする、の繰り返しです。もちろん関わる人が増える分、使い勝手/製造/販売面など、次から次へと降り掛かる難問に対してアイデアを提案しなければなりません。うまく行かない時は何度もアイデアを練り直します。
カメラという職種柄かもしれませんが、この練り作業は学生の頃よりはるかに粘り強く、長く、大量に繰り返されます。学生のうちからもっとねちっこく制作していたら…と思うこともしばしばです。
ですが多摩美で培った柔軟な発想を実現するためだからこその、生みの苦しみの作業だと思います。またその分、製品として発売され実際に使っている人を見たときは、それまでにない気持ちがこみ上げてきました。
多摩美ならではの自由さと貪欲な探究心で、濃い学生生活を送って下さい。


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