profile_kei.jpg
ごとうけい 紙工作作家

1971年:宮城県生まれ (埼玉育ち)
1994年:多摩美術大学デザイン科立体デザイン専攻プロダクトデザイン専修卒業
1997年:KeiCraftの屋号で作家活動を始める。
2008年:第59回全国カレンダー展_「文部科学大臣賞」受賞       
           ドイツ国際カレンダー展 (Kalenderschau 2008) _「銅賞」受賞
2015年:グッドデザイン賞 受賞 紙工作キット「紙宝(しほう)シリーズ 埴輪」 


profile_mihoGOTO.jpg
後藤 美帆 Design Manager

1974年:神奈川県生まれ(大阪育ち)
1997年:多摩美術大学デザイン科立体デザイン専攻プロダクトデザイン専修卒業     
         (旧姓:牛尾)
1997-2000年:松下電工株式会社(現:パナソニック株式会社)にてインハウスデザイナーとして勤務。
1999年~ KeiCraftに参画。
2002年~2015年現在 東京都東久留米市在住 2015年現在:中2・小6・小4(3男児)の子どものいる5人家族です。
2015年:グッドデザイン賞 受賞 紙工作キット「紙宝(しほう)シリーズ 埴輪」


KeiCraft_photo_Whaleshark.jpg
KeiCraft~ PAPER CRAFT STUDIO ~ 

事業内容
紙工作型紙の設計請負・販売、紙工作立体・図版による展示会の開催 

主要品目
雑誌付録・ミュージアムグッズ・販売促進グッズとしての紙工作型紙デザイン
工作キットとしての紙工作型紙の販売、卸業
イベント展示

沿革
1999年4月~「KeiCraft」として事業化 
KeiCraft.jpg                                       KeiCraft_photo_frog.jpg

2004年:KeiCraft【商標】登録 _登録番号:第4750337号 2015年:ミュージアムグッズ、販売促進グッズ、雑誌・ホームページの付録用ペーパークラフトのデザイン制作するかたわら、巨大作品をショールーム、イベント、ギャラリー等で発表。リアルなカタチをシンプルに表現し、同時に親しみやすさをあわせ持つ独自の作風は、多くの方に支えていただき~現在に至る。

インタビュー
聞き手:安次富 隆 

二人はプロダクトの先輩後輩のカップル。ごとうくんの静的なパワーと、美帆さんの動的なパワーの二人三脚がKei Craftの強みだと思っています。(ポートレートの写真は象徴的ですね。笑) !ごとうくんの学生時代の作品で忘れられないのは、卒業制作の「精米自動販売機」のプレゼンテーション。ご飯を炊く香りの演出までしていたことに感激しました。美帆さんの卒業制作も強く印象に残っています。上肢麻痺の人のリハビリテーション機器という大物を施設に通いながらリアルに作り上げてしまったことに驚かされました。正義感が強くパワフルで、圧倒された記憶があります。ごとうくんの細やかさと美帆さんの大胆さは今でも変わらないなぁと思っています。 しかも3人の男の子を育てながら、紙工作一本で人を魅了し続けている二人には「これは奇跡だ!」と思うくらい感動し尊敬しています。

Q1:そういう二人が紙工作のデザインや制作で大切にしていることは何ですか?
tamabi_smatran.jpg
K:あくまでも“工作”として楽しめるように、なるべく少ない手かずで「らしく」見える作品が作れるようにデザインをする、ということを心がけています。
KeiGOTO_2015.jpg
M:「視点」と「目線」です。
例えば、動物の紙立体のデザインをする時には、飼育員さんの「視点」でご覧いただいてもウソがないかな?この紙工作を楽しんでくださるお客様の「目線」では作りやすいかな? 展示作りの時は、見にきてくれる子ども達の「目線」はどこにくるかな?車いすに座ってご覧になる方からはどう見えるかな?展示のスポンサーや会場を提供してくださるクライアントさんの「視点」では、この展覧会自体がどう目に映るかな?どういう印象をお持ちになるかしら?子どもの思う楽しさが表現できているかな?親の視点では子どもを連れて見に来てみたい!と思っていただけそうかな?ご年配の方にも楽しんでいただけるかしら?カップルには楽しい話題が提供できそう?? _こんな感じで、全てのことを考えたり決めるのに、私はこのふたつを大切にしています。

.jpg
KeiCraft_photo_giant_tortois.jpg

Q2:今回の展示作品の特徴や展示の狙いを教えてください。

K:プロダクト製品の展示は、その性質上カタい雰囲気になりがちだと思うので、少しやわらかくにぎやかな空間を演出できればいいかな、と思いました。これまで作ってきた作品の中から代表的なものを展示します。紙の持つしなやかさを活かした形づくり、表現を見てもらえたら嬉しいです。

M:これから社会に出てデザイナーとして仕事をしていくであろう学生さんに、「こんな仕事もあるんだ!」と知っていただけたらと思い、参加をさせていただくことにしました。身近な素材である「紙」を使った仕事をしています。一見、誰にでも手軽に扱えることから身近すぎて見落とされがちですが、「紙」というものの持つ再現性に注目していただけたら嬉しいです。

tamabi_shoebill.jpgtamabi_giraffe.jpg

DSC_0481.JPG

Q3:多摩美のプロダクトで学んだことが今の仕事に活かされていることはありますか?

K:作家を肩書きに仕事をしていますが、一点モノを作っているというわけではなく、最終的にできた展開図面はたくさんの人に「つくってもらうこと」が目的です。マスプロダクトを作るにあたって、「ユーザーが喜んでくれるものづくりをする」という考え方、そこにプロダクトを学んだことが役に立っているんじゃないかな、と思っています。 

M:そうですね… 一番記憶に残っているのは、いつも講評会で「…これって面白い?」とか「…つまんないねぇ」とか「...つまんなくない?」とか言われた_そのシーンでしょうか。 今でも講評会のシーンはリアルに思い出せます。ホント、この2つの言葉は、大学に入るそれまでの人生で「『先生』という名のつく方々から投げかけられた事のない種類の言葉」だったと思います。当時、この「面白い」とか「つまんない」の意味するところがよくわからなく、難しかったなぁ...(笑) 今の学生さんも言われているのかな?  今はその言葉の意味するところがしっかり(?)わかるようになれてきたように感じます。 ▲上記の意味する「面白い」と「つまんない」が共通感覚でわかるのは…デザイン職能(美術畑)の人だけなのかな?!とか_その後の人生で初めて気づく機会も多々ありますが。 大学で学んだこの感覚は、デザインを決める上で今でもとても役立っている気がします。
                                                                                                                           KeiCraft_photo_Humboldt_penguin.jpg
Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

K:プロダクトデザイン出身のボクですが、ちょっと毛色の違った仕事をしています。今の仕事が「職業」になるまでにはだいぶ遠回りをしました。でも、これまでやってきた勉強であったり、仕事で得られた経験は、直接ではないかもしれませんが全てが今に役立っていると感じます。無意味に思える勉強も、すぐには役立たない知識や経験も、いつか自分を助けてくれる時がやってきます。どんな時でも今を楽しんじゃいましょう。 

M:多摩美での3年生の終わった春休み。女子大学生にとっては超就職氷河期だったあの年、某企業の実習枠をいただき、この機会もきっとご縁!と感じた会社に実習にうかがいました。幸い、その会社に後にご指名をいただき、卒業後はデザイナーとして迎えていただきました。今思うと、デザインのことだけではなく「『会社』という組織」仕事のしかたをたくさん学ばせていただいた時間だったように思います。  「一生のご縁…」と思って入ったのに、実際は親(会社)不孝にも、4年弱で今の仕事に完全転職をしてしまうことに。当時、私の周りの人は誰も「紙工作で食っていける」とは想像してくれなかったわけで…私と主人だけが「紙工作の仕事としての可能性」を信じて突き進み始めた状態でした。  事業化から16年たった今、ようやく「仕事としての『紙工作』」を認知いただけるまでになってきたような気がします。様々な企業や官公庁などとお仕事でご一緒させていただく現在、私にとってとても役に立っていると感じるのは、企業にいた頃に学ばせていただいた「会社的物事の考え方・進め方」の経験・知識です。  多摩美を卒業してどんな道に進もうか…みなさん悩むかもしれません。でも、どうぞあまり深く考えすぎずに「これもご縁!」と思って、きっかけのいただけたお仕事にとりあえず一度飛び込んでみて…それから考えてみる…のでいいんじゃないかな?_と思います。どんなお仕事の経験も今振り返ると無駄になったことなんてなにひとつない気がする、と感じる今日この頃です。

いつでも人を喜ばせたいという想いと、「これもご縁!」と、様々な人の気持ちを許容してしまう度量の深さが二人の魅力だと思います。 紙は最も身近な素材。誰でも加工できて使い道も色々。紙は人を喜ばせ、あらゆる気持ちを受け止める。そういう素材を二人が選んでいる理由がわかったような気がします。 ありがとうございました。

KeiCraft_photo_Tyrannosaurus.jpg


facebook share twitter share ページトップへ

niitsu_2014.jpg
プロフィール
1980年 多摩美プロダクトデザイン卒
1980年 ソニー(株)入社
1991年 アートディレクター就任
2000年 チーフ アートディレクター就任
2009年 エグティブ アートディレクター就任
2012年 デジタルイメージングデザインGp統括部長就任
2013年 シニアプロデューサー就任
2015年 定年退職後、212デザインコンサルタント立ち上げ

受賞歴
グッドデザイン   30件(金賞3)
IF Design Award  24件(金賞9,銀賞1)
Red Dot Design Award 9件
全国発明表彰 2件
他多数受賞あり

インタビュー
聞き手:安次富 隆

この度はソニーで活躍している10名ものプロダクト卒業生の出展を企画して下さりありがとうございました! 新津さんご自身は今年定年退職なさったわけですが、スーパーデザイナーとして数々のヒット商品をデザインしながら、私を含む多くの後輩たちを育ててこられました。インハウスデザイナーでありながら、他社のインハウスデザイナーやフリーランスデザイナーからも名前を知られている本当に凄い存在でした。今年”212デザインコンサルタント”を立ち上げ、オープンソースとなった新津さんが、これから何をなさっていくのかワクワクしています。

Q1:新津さんがデザインで大切になさっていることは何ですか?

ワクワクする魅力ある”佇まい”と良質な”使い心地”


Q2:この度は卒業生10名の商品の展示を企画してくださったのですが、彼らのデザインの魅力を教えてください。

ソニーデザインの要である、オリジナリティーというDNAを持ち、細部にこだわりのデザインがきちんとされている。5メートル離れて見て全体の強い形を見て、近づいてそのこだわったディテールを確認してください。


Q3:インハウスデザイナーの醍醐味は何でしょうか?

まず、デザインだけに集中できる時間と環境があること。次に、企画から、デザイン、設計、量産、カタログ、販売までトータルで関わることも可能なこと。


Q4:在校生へのメッセージをお願い致します。

デザインには終わりはありません。始めた瞬間から走り続ける覚悟で事にあたってください。その道は決して平坦ではなく、想像以上に凸凹しています。でも諦めないで走り続けましょう。 その先できっと待っていますよ、あなたの喜びとなるユーザーの”笑顔” が、、。



新津さんがどのような信念を持ってデザインを続けてこられたのかが良くわかりました。その信念を貫く姿を見せることによって、後輩たちを勇気づけてくださっているように思います。今日は本当にありがとうございました。


出展者紹介

okumura_portrait.jpg
奥村 光男 (2001年卒)
Art Director, Sony Corporation

※ 2009~12年 多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクト 非常勤講師
okumura_NEX-5_GUI.jpg
出展作品:UI for Digital Still Camera NEX-5/3

受賞歴
Digital camcorder "Handycam" HDR-CX7 (Good Design Award 2007)
User Interface for Digital Still Camera "α" NEX-5/3 (Good Design Award 2010, iF Design Gold Award 2011)
Digital still camera "Cyber-shot" DSC-TX55 with user interface (Good Design Award 2011)
基板実装機/検査機/印刷機 [SAXES] (Good Design Award 2013 Best 100)
Anycast Touch AWS-750 GUI (iF Design Award 2015)

hibi_portrait.jpg
日比 啓太 (2001年卒)
Senior Creative Designer, Sony Mobile Communications

hibi_Xperia_Z4.jpg
出展作品:Xperia™ Z4

主な担当モデル:
Walkman®、Headphones、Cyber-shot、Handycam、α NEX、Xperia™ S(NXT Series)、Xperia™ Z、Xperia™ Tablet Z、Xperia™ Z1、Xperia™ Z3、Xperia™ Z4 など

受賞歴
Digital still camera "Cyber-shot" DSC-T700 (iF Design Gold Award 2009)
Digital Still Camera "α" NEX-5/3 (Good Design Gold Award 2010)
Xperia™ Z3 (iF Design Award 2015, Red Dot Design Award 2015)  など

hirano_portrait.JPG
平野 晋作 (2001年卒)
Designer, Sony Corporation

hirano_VAIO_Tap11.jpg
出展作品:VAIO Tap11

主な担当領域
TV、携帯電話、PC、業務用映像機器など 

受賞歴
Xperia™ active (iF Design Gold Award 2012) 
VAIO Tap11 (iF Design Gold Award 2014) 
Xperia™ P (iF Design Award 2014)   など

kurihara_portrait.jpg
栗原 大輔 (2002年卒)
Designer, Sony Corporation

kurihara_XS-XB690.jpg
出展作品:Car Speakers XS-XB130, XS-XB690 

主な担当領域
カーステレオ、ホームオーディオ、パーソナルオーディオなど

sugiyama_portrait.jpg
杉山 直樹 (2002年卒)
Designer, Sony Corporation

sugiyama_XPERIA_Tablet_Z.jpg
出展作品:Xperia™ Tablet Z 

受賞歴
"Net Juke" NAS-M95HD/M75HD/D55HD (Good Design Award 2007)
Walkman® S Series NW(Z)-S736F/S738F/S739F/S636F/S638F/S639F (Good Design Award 2007)
Headphones MDR-EX500SL (Good Design Award 2009, iF Design Award2009)
DVD micro audio system CMT-DH70SWR/DH50R (iF Design Award 2010)
Mobile Phone S007 (Good Design Award 2011)
Smartphone Xperia™ ion (Red Dot Design Award 2012)
Tablet Device Xperia™ Tablet Z (Red Dot Design Award 2013, Good Design Award 2013)

shimizu_portrait.jpg
志水 曜介 (2002年卒)
Designer, Sony Corporation

shimizu_NW-S200.jpg
出展作品:Walkman® NW-S200 

受賞歴
VAIO Type L (Good Design Award 2007, I.D. Magazine Annual Design review 2007)
Walkman® S Series NW(Z)-S736F/S738F/S739F/S636F/S638F/S639F (Good Design Award 2007)
Walkman® NW-S200 Series (iF Design Award 2008)
Walkman® S Series NW-S730/S630 (iF Design Award 2009, Red Dot Design Award 2009)
Walkman® S Series NW-S740/S640 (iF Design Award 2011)
Sony Tablet P Series (iF Design Award 2012)
Micro Hi-Fi Compo CMT-V75BTiP/V50iP (iF Design Award 2013)
Wireless Speaker SRS-BTS50 (iF Design Award 2014)

nakajima_portrait.jpg
中島 賢造 (2003年卒)
Designer, Sony Corporation

nakajima_DSC-TX55.jpg
出展作品:Digital still camera "Cyber-shot" DSC-TX55 

受賞歴
Digital still camera "Cyber-shot" DSC-TX55 (Good Design Award 2011, iF Design Gold Award 2012)

morimoto_portrait.jpg
森本 壮 (2003年卒)
Senior Designer, Sony Design Centre Europe

morimoto_HMZ-T3.jpg
morimoto_PHA-3.jpg
出展作品:3D head mounted display HMZ-T3, Headphone amplifier PHA-3

受賞歴
Headphones MDR-EX510SL (iF Design Award 2011)
3D head mounted display HMZ-T3 (iF Design Award 2014, Red Dot Design Award 2014, Good Design Award 2013) Walkman® NW-W274S (Red Dot Design Award 2014)
Headphone amplifier PHA-3 (iF Design Award 2015)

yaegashi_portrait.JPG
八重樫 拓 (2009年卒)
Designer, Sony Corporation

yaegashi_MDR-XB70.jpg
出展作品:Stereo Headphones MDR-XB70 

主な担当領域
Cyber-shot、Handycam、Headphones、Walkman® 

受賞歴
Digital Photo Frame "S Frame" DPF-XR100/XR80 (Good Design Award 2010, iF Design Award 2011)
Stereo Headphones MDR-XB70 (iF Design Award 2014)

nokuo_portrait.jpg
野久尾 太一 (2009年卒)
Designer, Sony Computer Entertainment

nokuo_PlayStation_Vita.jpg
出展作品:PlayStation®Vita 

主な担当領域
PlayStation® 

受賞歴
Wireless Stereo Headset CECHYA-0086 (Red Dot Design Award 2012)
Wireless Keyboard CECH-ZKB1JP (Good Design Award 2012, Red Dot Design Award 2012, iF Design Award 2013)
BA Sports type Headphones XBA-S65 (iF Design Award 2013) -PlayStation®Vita TV (Good Design Award 2014)
PlayStation®Vita (iF Design Award 2015)

facebook share twitter share ページトップへ

スノーピーク2
上⼭桂  ウエヤマ  ケイ
2005年 多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業
2007年度グッドデザイン賞受賞  ダッチオーブン [コロダッチシリーズ]   
2009年度グッドデザイン賞受賞  携帯箸 [和武器]
展示製品 コロダッチシリーズ(コロダッチポット・コロダッチカプセル・コロダッチオーバル)
スノーピーク2
長妻 正人(ナガツマ マサト)
2010年 多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業 
2013年度グッドデザイン賞受賞  シェルフコンテナ 25 [シェルフコンテナ 25]   
2014年度グッドデザイン賞受賞  テーブル [ジカロテーブル] 
展示製品 ジカロテーブル ・ヤエンストーブ レギ ・ヤエンストーブ ナギ ・シェルフコンテナ

インタビュー
聞き手:安次富 隆

学生時代の上山くんはシンプルなモノが好き、長妻くんはメカニカルなモノが好きというイメージがあります。二人の卒業制作の作品がそれを象徴しているように思います。上山くんは、竹の集成材の弾性を活かし、見た目も構造的にもシンプルな椅子をデザインしていました。長妻くんは、見た目も複雑でメカニカルな介護用のアシストスーツをデザインしていました。全く嗜好の異なる二人が、世界的なアウトドア用品メーカー、スノーピークのデザイナーとして活躍していることが面白いと思っています。

Q1:二人がデザインで大切にしていることは何ですか?

上山:
デザインをしようとする対象の製品カテゴリーの定義や本質的な機能のあり方を、再度捉えなおしてコンセプトを考えることを大切にしています。
長妻: ユーザーに与える体験価値を大切にし、それを実現する為の最適な解としてのデザインを追求するように心がけています。


Q2:上山くんがデザインした「コロダッチシリーズ」のデザインポイントを教えてください。
スノーピーク2
コロダッチシリーズ(コロダッチポット・コロダッチカプセル・コロダッチオーバル)

上山:
元来、ダッチオーブンは大きく重たい鋳鉄製の鍋の為、男性の調理器具のイメージが強いものでしたが、より多くの方にダッチオーブンの魅力を感じてもらう為、「コロダッチシリーズ」では「小ささ」と「軽さ」を追求し、キャラクター性のある外観により、性別を問わずに受け入れられる製品を目指しました。

Q3:長妻くんがデザインした出展作品のデザインポイントを教えてください。
スノーピーク2
ジガロテーブル

特に、都市型の生活を送る人々にとって、自然に囲まれるという行為は非日常であり、心を癒してくれる効果があります。そのような環境で食や暖をとりながら、語り合える満たされた環境は、心に残る体験価値を生み出します。この商品では、自然の中で火を中心に皆が集まり、食事を愉しみ、語らうというコミュニケーションの形を提案しました。ガスコンロの炎と焚火の炎では、テーブルの快適なポジションが異なります。異なる大きさ・仕様用途の炎に対し、最適なポジションを与える為に、4分割したユニットを組み替え、開口部の大きさを変えるという工夫をしました。


スノーピーク2
ヤエンストーブ レギ

仲間と協力しながら山に登り、調理器具をシェアして食事をする…といった、一連の協力の中で絆を深める為のツールとなる事を目指しました。その為に必要な「数人の料理がまかなえる」「不整地での安定性」「軽量・コンパクト」という要素を高次元で実現するための様々な工夫がなされています。ガスカートリッジを脚の一つとする事で、広い設置面積を有する3脚構造とし、不整地で数人用の鍋を載せても、抜群の安定性を発揮します。また、本来必要であった脚を一つ省略することにより、軽量化にも貢献しています。さらに、ねじれ方向に回転軸を追加する事で、凹凸に合わせてガスカートリッジの底面が追従し、通常では設置不可能だった3次元的な地面でも、安定した設置が可能となりました。


スノーピーク2
ヤエンストーブ ナギ

登山用ガスコンロの市場では、軽量コンパクトや燃焼効率を盲目的に追及するあまり、「調理性能」がないがしろにされがちでした。「調理性能」の価値を今一度見直し、野外という風が吹く環境でも、ストレスなく「煮る、焼く、炒める」等の様々な調理を可能とし、山で仲間とおいしい食事を囲むという体験価値を多くの人に提供する事を目指しました。 風防のパネルは一方向に互いが突っ張る構造をしており、本体を持ち上げても、円弧が崩れることなく一つの個体として扱える剛性感を備えています。収納時は風防パネルとバーナー部のそれぞれを畳む事ができ、コンパクトな収納形態を実現しました。


スノーピーク2
シェルフコンテナ

「収納棚を持ち運ぶ」という発想により、今まで道具の置き場所により捉えられていた趣味の活動領域を広げる事をコンセプトとしています。物を持ち運ぶときは「コンテナ」として、持ち運んだ先では変形して積み重ねる事で「シェルフ」として機能します。


Q4:お二人が多摩美のプロダクトで学んで良かったことは何ですか?

上山:
在学中は課題ごとにモデルの製作をしていましたが、金属加工、木工加工、樹脂加工など様々な素材の加工を自分の手で行ったことにより、社会に出てからのモノづくりの基礎経験値として役に立っています。
長妻: アイディア展開の仕方と、スピードの基礎は在学中に得たと自覚しています。また、バリエーションに富んだ様々な課題をこなしていくうちに、自分が得意な分野(自分はメカを考えるのが好きでした)を見極め、自分が最も実力を発揮できるスタイルを見つける事が出来ました。

Q5:最後にお二人から在校生へのメッセージをお願いします。

上山:
自分自身、大学を卒業し社会に出た直後は、多様な業務をこなさないといけない中で、大学で勉強したことの半分も役には立たないと思っていました。しかし、社会人としての年数が経つにつれて、大学時代に培ってきて役に立っていること、逆に培っておくべきだったことがじわじわと分かってきました。大学生はこれを勉強しなさいという枠組みは特にないので、自分を型にはめず、貪欲にいろいろなものを吸収していってくれたらと思います。
長妻: 多摩美のプロダクトデザイン学科が如何に恵まれた環境であったのかと思い返す事があります。第一線で活躍されている先生に話を伺えるのは勿論の事、モチベーションの高い仲間たちと一緒過ごせる事も貴重な体験です。今にしてみれば、もっとあの先生に話を聞いておけばよかった…などと後悔することもあります。一杯失敗して、いろんな人に話を聞いて、悔いの残らない大学生活を送ってください。

上山くん、長妻くん、お二人のの真摯なデザイン姿勢が伝わるお話が伺えたと思います。 本当にありがとうございました。 

facebook share twitter share ページトップへ

kaminaga_portrait.jpg
プロフィール・受賞歴
2010年  多摩美術大学美術学部生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業
同 年    マイクロネット株式会社入社
2012年  『boya fit』がグッドデザイン賞を受賞

インタビュー
聞き手:安次富 隆


学生時代の神長くんが、1年次の「入学制作」で、制作した「水の上を歩くプロダクト(MINAKAMI RUNNER)」と、「卒業制作」で制作した「音のカーテン」は、発明的な機構の設計からファイナルデザインまで全て自力で作り上げた点で共通性があり、それは今回出展してくれる顕微鏡用の目当て『boya fit』にも繋がっているように思います。

僕の学生時代の最初と最後の作品で、とても思い出深いです。 「水の上を歩くプロダクト(MINAKAMI RUNNER)」は、起き上がり小法師の原理で常に直立姿勢を維持することで、まるで水面に立っているような感覚で移動できることを目指したモビリティです。
01.jpg
水の上を歩くプロダクト「MINAKAMI RUNNER」(1年次の最初の課題「入学制作」作品)

「音のカーテン」は、スピーカーとモーターの原理の共通性に着目し、音楽の電気信号をモーターへ直接送ることで、音の抑揚を回転運動で再現できることを発見。回転に様々な素材を組み合わせることで、音楽を可視化する表現を探りました。 どちらも独自の機構が作品の中核にありますが、本質的に共通しているのは”感覚や体験をかたちにしたい”という着想が根幹にある点です。
02.jpg
音のカーテン(卒業制作)

「水の上を歩いてみたい」「音楽が目に見えるってどんな感じだろう」そんな発想を軸に「じゃあこれを実現するにはどんな仕組みが必要だろう」と考えていきました。 今回出展させて頂く顕微鏡用の接眼目当て『boya fit』も、「坊や(boya)の手のひらのような優しいフィット感を再現したい」という着想が出発点にあります。 どんなものであれ、いつも具現化したいのは目に見えない感覚や体験です。 そして、これらをかたちにしたいと考えたら、とにかくやってみるしかないんです。言葉や絵だけでは仮想の域を超えることはないですから、とにかく実現しなきゃ意味がないんです。そうなると、ひたすら実験を繰り返します。「水の上を歩くプロダクト」は実際に人工池に通って実寸大の試作品を浮かべて試行錯誤しました。「音のカーテン」でも最終的に全長5メートル以上ある可動モデルをつくったのですが、そんな大きなものを効率的に、かつ美しく回転させる機構を考えるのに苦労しました。 そしてこの機構部分が固まってくると、最終的な外観は自然と決まってきます。 こんな感じで、自分のなかで機構設計もファイナルデザインも、目に見えない感覚や体験をかたちにするための手段であり、そこに線引きはないですし、むしろ全部やらなきゃ意味がないというのが本音なんです。

Q1:神長くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

やはり、”感覚や体験をかたちにする”という点です。どんなものでも、この出発点がないとむしろ始められないです。例え要求されていなくても、自分で見つけてそれを軸に機構と外観を考えていきます。いわば、外観が肉、機構が骨であれば、それらをかたち作るDNAのようなものでしょうか。これが強いほど、引っ張られるようにすべてが組み上がっていくような感覚があります。 次に大切にしているのは、実践と実験です。どんな些細なことであっても、やってみないとわかりません。想像が10を生むとしたら、実践は千も万も生みます。例えゴールが想像通りであっても、その過程にたくさんの発見をもたらしてくれるんです。その分時間もかかるし遠回りにになってしまうんですが、どれだけ小慣れてきても一生意識してやっていきたいと思っています。 この2つがしっかりしていれば、外観は自然と決まってきますし、2つが強いほど外観は洗練されていく。勝手に成長していくような感覚です。 ひとりで機構から外観、さらには今の仕事でもそうですが広告までやらなければならないとなると、常に自分を客観視することが結構大変です。僕自身もともと集中しすぎると盲目になるタイプですから。そんなときに、先に述べたDNAの部分がしっかりしていると、迷うことが少ないんです。

Q2:今回の展示作品のデザインのポイントや苦労したことなどを教えてください。

kaminaga_boyafit1.jpg
boya fit:顕微鏡用接眼目当て(マイクロネット株式会社)

最終的な機能と外観上のポイントは本体に大きくあいた穴でしょうか。基本的に目当ては「遮光」を目的にしたものですから、穴があいているというのは大きな特徴だと思います。これは「優しいフィット感」を実現するための機能です。これが無いと、顔を当てた時に完全なシェル構造になってしまうので、柔軟なクッション性が生まれないんです。そこで参考にしたのは、やはり人間の手です。
boyafit_sub1.jpg
開発当初、当時4才だった社長の息子さんがいるのですが、彼が顕微鏡を覗くとき無意識に両手を接眼レンズに当て、そこに顔をあてがうんです。そこには視線を安定させたいという機能的な面と、覗いた先にどんなものが見えるんだろうという不安に対する安心を得たいという面もあるんじゃないかと思ったんです。この機能と感覚を再現することがこの製品の根幹にありました。 実際にやってみると、親指と人差し指の側面が頬骨と眉骨を受け止め、それに伴い親指と人差し指の付け根部分が顔を覆うように光を遮ってくれます。まさにこれをこのまま再現しようと思考錯誤した結果、頬骨と眉骨を受け止める面と外側のシェードという3つの要素に分解して考え、それらを再構築するように形をつないだことで、大きく穴のあいた形状に行き着きました。これによって可動域が大きくなり、同時に今までに無い優しいクッション性とフィット感を生むことがでるようになったのですが、その後絶妙な感覚を探るのにはとても苦労しました。ひたすら原型をつくり型をとり、様々な硬度のシリコンで成形を繰り返しました。シリコンという素材の特性上いちいち型からはじめないとミリ単位の調整もできないので、ここは大変でした。
boyafit_sub2.jpg
カタログに掲載された”boya fit”の使用写真。モデルは神長くん本人。

それでもここまでは学生時代の”作品”と変わりない部分で、本当の苦労はここからです。大量生産するには金型をつくらなければいけないし、会社にとっても初めての試みだったので、生産してくれる工場を探すところから始めなくてはいけませんでした。さらにはカタログもホームページの製品ページまで自分で作らなくてはいけません。それでもなんとか国内の工場で金型をつくってもらい、100個ほどの小ロットで生産し、WEBやカタログを通して販売したのですが、これが驚くほどまったく売れなかったんです(笑)そんなこんなで一度は日の目を見た製品でしたが、あっという間に失敗という結果に終わりお蔵入りになってしまったんです。このときはとても悔しかったです。しかし、その後半年以上が経って、これは説明すると長くなるので割愛しますが、様々な外的要因が働いて再び復活してみようということになり、この間に自分で温めていた改善点も盛り込んで再度量産し販売することになったんです。これが今の『boya fit』です。 こういった経験を通して、必ずしも自分の努力と苦労だけが成果物につながるわけじゃない、一見関係ないようなことの日々の積み重ねや、人と人とのつながりが、製品をかたちづくっているんだということを学びました。ほんとにこの製品と今の会社に学ばせてもらっているものは大きく、感謝しています。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

『自分はプロダクトデザイナーだ』と思えないでいられているところかなと思います。どんな表現でも受け入れてくれる懐の深さが多摩美のプロダクトにはあります。職業としての、方法論としてのプロダクトデザインではなく、その根幹、ものづくりの根底や向き合い方を教えてもらった気がします。僕は結局プロダクトデザインが好きなのでこれを表現手段としてお給料を頂いていますが、根っこがあればほんとは表現手段なんてなんでもいいんです。僕自身いろんな表現に興味があるし、僕の周囲の卒業生たちも、卒業から5年が経った今、みんなそれぞれ色んな道を強く歩んでいます。そんな、「ものづくりの根っこ」を育めた実感に、とても感謝しています。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

とにかく先生方と話しをしてほしいなと。教室でも研究室でも、立ち話でもいいです。 ちょっとした雑談が、いつまでも心に反響する財産になったり、ほんとにあるものです。僕の中にもたくさん生きています。 今は僕たちがいた頃と違い、プロダクトやグラフィック問わず様々なジャンルの人たちが切磋琢磨していると聞きます。表現が広がっていくことは良いことだし、いろんな刺激に囲まれた環境は羨ましいです。 でもだからこそ、自分を見失うことも多いんじゃないかと想像します。 かしこまって「相談」するのも逆に緊張すると思うので、そんなときは気軽に(しかし敬意をもって)「雑談」してみることをオススメします。

神長くんの”感覚や体験をかたちにする”という想いは心に響きました。そのために大事なことは、”実践と実験”であると。”boya fit”でもそれを有言実行していますね。企画からデザイン、設計、そして広告に至るまで、一人でやってのけたことに脱帽します。”boya fit”のカタログ写真のモデルまでやっていた時は、本当に凄い!と思いました(笑)。 大学1年の頃から地道に続けているデザイン姿勢は、さらに大きな実を結ぶに違いありません。 今日は本当にありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ

1.jpg
プロフィール・受賞歴

1983年熊本県宇城市三角町生まれ。
2007年プロダクトデザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業、同年(株)ホンダアクセス入社。
2009~2014年 Honda  STEPWGN 純正アクセサリー
2014年 N ONE NATURAL Concept(コンセプトカー)他

インタビュー
聞き手:安次富 隆

友昭くんの学生の頃の作品で最もインパクトがあったのは、トラックのデザインです。あれは何年生の時の作品でしたっけ?ちっとも上手くないのだけど、ものすごくインパクトがあって今でもそのカタチを覚えています。当時学科長だった岩倉信弥先生と「とってもいいデザインだね」と話したことも覚えています。ともかく真直ぐな性格で、何事にも一生懸命取り組む真摯な姿勢がデザイナーとして信頼できます。
.jpg
学生時代にデザインしたトラック’Transporter Concept’

学生時代のエピソード
この時の課題、実は最初の提出時、車をテーマにする者同士で1/5スケールに統一しようと話していましたので、 僕のトラックは2m程の巨大モデルとなり、塗装も半分だけ、PCで三面図書いたものの印刷できずプレゼン時にノートPCの画面提示(しかし図面は画面表示されていませんでした。)  プレゼンボードも作成できていなかったので、ホワイトボードに書きながらプレゼンという、恐ろしいほどの破綻ぶりでした。  しかし、巨大モデルのインパクトと取組姿勢(?)だけは汲み取っていただいたコメントをいただいたと思います。  その後、年明けに1/10スケールに改め、気持ちを入れなおして提示した今回の写真のトラックで OKをいただきました。  ですので、もしかしたら初回提出の時のインパクトと再提出の時のことが相まって印象に残していただいているのかもしれません。  在学中、最も留年の危機だったと思います。

Q1:友昭くんがデザインで最も大事にしていることは何ですか?

ものを使ってくれる“人”が、その人の人生で“自身が主役”と感じられること。デザインを通してそういう実感が持てるための手伝いができればと思っています。 モノではなく人が中心・主役で、人の生活や人生を引き立てることがデザインの大事なことだと考えています。

Q2:今回展示してくださるHonda S660 Modulo ( Honda 純正アクセサリー)のデザインのポイントや、デザインで苦労したことなどを教えてください。

HP.jpg
Honda S660 Modulo
今回、企画段階から車両本体のデザインスタジオにも席を設け、車両チームとより密に連携を取りながら、プロジェクトを進めたことが印象的でした。その結果、“走りの機能アイテム”、“質感・ディテールアップアイテム”、“ユーティリティアイテム”という3つの商品群を、より高いクオリティで実現するところまで持ってくることが出来ました。 !苦労したことは、全体的にその連続だったのですが、前後バンパー、リアアクティブスポイラーは走りの機能とスタイリングの両立、という点で最も苦労した部分です。 あまり気にする機会は無いかもしれませんが、バンパーに当たる空気の流れ方や車両の上下を流れる空気の流れ方で、車体の動きは全然違うものに感じられます。Moduloのパーツとして、その空気の流れを利用して より誰でも楽しめる車に仕上げていくという目標がありました。 そのために、デザインの初期段階で北海道鷹栖のテストコースに行き、空気の流れ方で車両の動きにどういう変化を感じられるのか、を学ぶところから始めました。
.jpg
実際の造形にあたっては、車格が似ている25年前のHonda Beat を用いてテストコースを走り 空力的に必要な造形要素の抽出を行い、スケッチを展開、4分の1モデルのクレイ作業、更に鷹栖のテストコースを走行して検証を行う。そして1分の1クレイにつなげていく。この作業をテストドライバー、設計者、モデラー、デザイナーが一体となって進めていきました。 同時に今回のアクセサリーのコンセプト“HEART STRINGS SPORT スポーツカーの先進性と普遍性でスポーツカー好きの琴線に触れる”というテーマを具現化するため、スタイリングスケッチもかなりの数を展開し、開発チームや室課の合意を得ていくという作業も苦労して進めたことを覚えています。
2.jpg
この空力への取り組みとスタイリングスケッチの行き来を繰り返し、最終的に“CRAUCHING & STABILITY 勢いと安定感”というスタイリングテーマを掲げ、機能とスタイリングの両立を果たすことができました。 例えば、リアのディフューザー形状に良く見られる縦フィンが無く、今回滑らかな形状をしている点や、リアアクティブスポイラーの高さなど、全体を通して空力との整合性がとれたスタイリングが出来、大変好評をいただく結果を得ることが出来ました。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことはありますか?

多摩美のプロダクトで学んで本当に良かったと思いますし、今でも自分の中に大きな存在感を感じています。 多摩美では様々な先生方に恵まれ、本当に多彩なことを学べる時間だったと思いますし、何かを得ようと思えばどれだけでも得るものがあったと思うと、今ではもったいなかったほどに感じることもあります。 そして、一番の財産になったと思うのが、本当に一生懸命ものごとに取り組む仲間と一緒に4年間を過せたことでした。理想ややりたい事に向かってぼろぼろになりながらも諦めずに課題に向き合う雰囲気、イベント等の時に人に楽しんでもらう一心でやり込んでいく風土は常にポジティブなエネルギーで満たされていて、昨日の事の様に感じることが出来るほど印象的でした。 また卒業後も新たに先輩方や、後輩の人達と親交を深めることができたり、つながりを持ち続けられることも良かったと思う点です。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

多摩美で過ごす時間は、将来デザインをしていくうえでの 原点を作り上げる時期だと思います。在学中に感じる、課題のなかでの悩みや、大変さ、チームプロジェクトのなかでのごたごた、イベントの際の一体感。そしてそれぞれにやりきった時に感じる達成感。 就職してしばらくは思う様にいかないことも多いかと思いますが、前向きに取り組み続けることができれば、多摩美プロダクトで得てきたことが必ず活きてくると信じています。 そのためにも、在学中に経験するすべての事を大事にして、多くの事を感じ、周りの人達とのつながりを深めていって、とにかく後から振り返ってみて宝物のような時間だったと思える様に過ごしてほしいです。

友昭くんのどんなことにも前向きで一生懸命に取り組む人柄が伝わるお話が聞けて嬉しく思いました。本当にありがとうございました。


出展者紹介
西尾 恵さん(元 株式会社 本田技術研究所 四輪R&Dセンター
※佐藤友昭くんと共にS660のインテリアデザインに関わる 
西尾
プロフィール  
1985年 和歌山県岩出市生まれ
2008年 プロダクトデザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業、            
同年(株)本田技術研究所 四輪R&Dセンター入社。
2011年 EV-STER 2013年 S660concept、N-WGN 2014年 Vision XS-1
2014年 FCV CONCEPT (上記いずれの機種も、メーターや情報パネル等のIF領域のデザインを担当) 
2014年(株)本田技術研究所 四輪R&Dセンター退社後は、DRIFT Stage D-Likeでデザインのお手伝いをしながら、フリーでメーターのデザインをしています。

西尾
西尾
EV-STER(電気で走る、次世代のHondaスモールスポーツカーのコンセプトモデル) 

インタビュー
聞き手:安次富 隆 
西尾さんは、今でも大学で話題にする伝説のカーデザイナーです(笑)。 「私はランボルギーニのデザイナーになる!」と言って入学。1年生の最初の課題は「携帯電話のデザイン」だったのに、ランボルギーニのカタチをした携帯をデザインしました。「これのどこがランボルギーニなんだい?」と思えるほどヘタクソだったのですが(笑)、そこで落ち込まないところが西尾さんの本領。そこからがむしゃらにカーデザイナーを目指して頑張った。2年次には、ホンダのモデラーにクレイモデルの作り方を学ぶワークショップで、ホンダの方々に見初められていましたね。その時「コイツは凄いナ!」と思いました。結果ホンダからラブコールを受けて入社。西尾さんのドラマチックな成長には本当に驚かされました。 ですから友昭くんから今年結婚退社したと聞いた時は、ちょっとだけショックでしたが、D-Likeというドリフト専門のラジコンメーカーのお手伝いをしていると聞いて「そうこなくっちゃー!」と思っているところです。
西尾
西尾
1年次の第1課題でデザインした「車の造形美を取り入れた携帯(ランボルギーニ携帯)」

Q1:西尾さんがデザインで最も大事にしていることは何ですか? 
ふとした時に「何か良いな、素敵だな」と思ってもらえること。 使ってくれる人とモノが良い関係になれる手伝いがしたいと思ってデザインしています。

Q2:Honda S660 Modulo ( Honda 純正アクセサリー)のデザインでは友昭くんとどのように共同作業したのでしょうか?
実は直接的にはほとんど関われませんでした。というのも、私がS660の開発には、初期から中期までの間を担当していたためです。 しかしこのS660開発当初では、佐藤さんと意見交換をしたことをしっかりと覚えています。 車の目指したいキャラクターや方向性、また、アクセサリーであれば嬉しい、グッとくると思うもの等…ワクワクしながら話したのを覚えています。 学生時代にも、佐藤さんとは車のことで盛り上がったりしていたので、なんだか学生の頃を思い出すようで、懐かしい気持ちと、佐藤さんとならきっと良い車が創れるとキラキラした気持ちで開発に取り組んでいたことを思い出します。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことはありますか? 
同じ目標に向かって進む仲間がいることは良い刺激になります。良い意味で、負けられない!!と思って当時頑張っていたように思います。 後、自分の未熟さを痛感出来たこと(笑)。 当時とにかく自分はへたっぴで、考えも浅かった。 今思えば、デザインをとことん追求出来、色んな価値観や経験を持った先生やクラスメイト、先輩達と意見を交換出来る、あんなに恵まれた環境は無いと思います。 今もう一度、学び直したいくらいです。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。 
とにかく、大学生活を思う存分楽しんでください!! 好きなことを見つけて、情熱をもって取り組めば、少しずつですが進歩して行くと思います。 そしてその情熱や自分の考えを発信していくこと。 発信した時には、誰からも受け止められなくても、ふとしたきっかけで「そういえばあいつこんなこと言ってたよなぁ~」とチャンスが巡ってきたりする時もあります。 発信することで、同じ目標に向かう人達と出会えたり、意見を交換することも出来ます。 タマプロでひたむきに努力すれば、デザインする上で必要な考え方やスキルは必ずつくと思います。 なので、どんどん色んなものを見て、感じて、時には失敗して、考えて、デザインして、思う存分楽しんで欲しいと思います!! 

そうそう。西尾さんは「あーしたい、こーしたい」と、うるさいくらい情報発信していた記憶があります(笑)。で、アドバイスされたことは全てやってみる「ひたむきさ」に、私を含め先生方はヤラれていたように思います(笑)。西尾のためなら何でも協力したくなるんです。Hondaの方々から「ぜひウチに来てね」とラブコールされたのも、そういう西尾さんの魅力に惹かれたのではないでしょうか。デザイナーとして、人として大切なことを教えて頂きありがとうございました。 

 

facebook share twitter share ページトップへ

.jpg

プロフィール・受賞歴
1979年東京都生まれ、福島県育ち。2003年に多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻を卒業し、株式会社INAX(現・株式会社LIXIL)に入社。主にトイレ、洗面、浴室の周辺機器のデザインを担当し、在職5年の間にグッドデザイン賞を4度受賞。2008年に退職し、趣味で描いていた色鉛筆のイラストでフリーランスに転向。色鉛筆の温かいタッチと色使いを活かして、女性や子ども向けの書籍・雑誌で表紙や誌面のイラストを手がける。徐々に表現の幅を広げ、現在はPCによるイラストや図版、インフォメーショングラフィックスの制作、書籍・雑誌などのデザイン・DTPも手がけている。

インタビュー
聞き手:安次富 隆

くぬぎくんの同級生は個性的な学生が集まっていたのですが、その中ではとても真面目でおとなしい存在と思っていました。ですから、趣味で描いていた色鉛筆のイラストを持って「会社を辞めてフリーランスのイラストレーターになろうと思っている」と現れた時は、正直驚きました。素敵なイラストを描いていることも知りませんでしたし、おとなしいと思っていたくぬぎくんに、ほとばしる情熱と決意を感じたからです。いくら絵が素敵だからといって、イラストレーターで食べて行けるのだろうか?と思ったけれど、直感的にくぬぎくんは大丈夫ダ!と思ったことを今でも覚えています。そしてそれは現実となって嬉しく思っています。

Q1:4度もグッドデザイン賞を受賞し、プロダクトデザイナーとして順風満帆だったINAXを辞めて、イラストレーターとして独立しようと思ったきっかけは何ですか?

グッドデザイン賞は皆で受賞するものなので、早いうちから担当商品を任せてくれた上司をはじめ、人と環境に恵まれた結果です。 特に順風満帆という意識はありませんでしたが、入社5年目の「これから」という時期に辞めてしまい、申し訳ないことをしたと今も思っています。
INAX.jpg
株式会社INAX時代に担当した商品【※無断転載厳禁】

イラストレーターになろうと思ったきっかけは、在職中にギャラリーで開いた展示が好評で、出展した絵が完売したことでした。 その出来事も今考えれば値付けが安かったからなのですが、当時は皆が褒めてくれるので、やり直しが効く年齢のうちに挑戦してみようと、調子に乗ってしまいました。

とても謙虚に答えてくれていますけど、「作品が安いから買う」という人はあまりいないと思います。作品を本当に気に入ったからこそ買ってくれたのではないでしょうか? 人に褒められて「調子に乗る」のは大切なことですね。なぜなら、それは人が言ってくれたことを信じている証だから。くぬぎくんには、そういう謙虚さと行動力があると思います。

Q2:今回の展示作品のことを解説してください。

inoti.jpg
いのちのケア(書籍装画、協同医書出版)

協同医書出版から出版された、同名の本の装画として描かせていただきました。 流産、死産、先天的な障害を抱えての出生など、悲しい現実に直面したお母さん、お父さんの心のケアをする活動をされている方の本です。 表面の二人はお母さんとお父さん、裏にいるのは赤ちゃんで、離れた場所にいても気持ちは一つということを表しています。 デリケートなテーマですが、前向きな気持ちになるための本なので、暗い印象にならないように気をつけました。

dobutu.jpg

動物たちの3.11(書籍装画、エンターブレイン)

KADOKAWAエンターブレインから出版された、同名の本の装画として描かせていただいた絵です。 2011年3月11日に起きた東日本大震災では、動物たちも多くの被害を受けました。 そんな身寄りをなくしたペット達を、保護する活動をされている方の手記です。 出来事は悲しいことですけれど、活動されている方は前向きで一生懸命で、活動によって救われた動物も多いので、陰と陽を含んだ微妙な猫の表情にこだわりました。

tosho.jpg
図書館(機関誌扉絵、四谷大塚)

進学塾の四谷大塚が出版している機関誌「Dream Navi」の、特集コーナーの扉絵として描かせていただきました。 講師の方々が生徒に推める本を紹介していく内容で、図書館のような喫茶店のような空間を表現しています。 中学生という子供でも大人でもない世代に向けた本なので、明るい色調でも重厚感のある雰囲気を心がけました。 壁のくぼみには後から本の画像が入り、絵の上にテキストも載ってくるので、担当のデザイナーと擦り合わせながら制作を進めました。

mori_2009.jpg
森の精2009(自主制作)

特にテーマはないのですが、以前から描いてるキャラクターです。 少し広めのギャラリーでの展示があり、見映えのする大きさで描いてみようと思いました。 色鉛筆で描くのは楽ではありませんでした。

Q3:多摩美のプロダクトで学んだことが今の仕事に活かされていることってありますか?

現在は平面の仕事をしているので、プロダクトとは無縁のような印象を持たれることが多いですが、社会やクライアントのニーズを理解して、自己表現と折り合いをつけていくというベースは同じだと思っています。 単なる自己表現に終始するのではなく、相手のニーズに合わせて提案したいと思う気持ちは、大学でプロダクトデザインを学んで身についたものかもしれません。 それから在学中は、「これでもか!」と課題漬けにしていただいたので、忙しさへの耐性がつきました。 同時に複数の仕事をこなす要領も身についたと思います。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

日々の課題制作お疲れ様です。 私も学生時代は課題に追われて、半年くらい胃腸の具合が悪くて物が食べられなかったりしていましたが、当時以上に忙しい経験はいまだにしていません。 しかしプロダクトのカリキュラムは、過密だった分とても実践的で、会社での実務にもスムーズに入ることができました。 また、多摩美は伝統があって規模も大きいので、クリエイティブな職場には必ず一人は卒業生がいて、後輩には何かと目をかけてくれると思います。 ですので、安心して社会に出てきてください。 ムッとしたり、戸惑ったりすることもあると思いますが、皆さんが身近に接している先生は凄い方ばかりなので、言われたことは素直に受け止めた方が身のためです。 勉強でもサークルでも遊びでも、今目の前にあることにしっかりと取り組んで、無事に卒業されることを願っています。 偉そうに言ってごめんなさい。

人に優しく自分に厳しい、くぬぎくんの個性が伝わりました。どうもありがとうございました。

facebook share twitter share ページトップへ

中田02

プロフィール・受賞歴
Tunnel works 代表
家具作家
1986年 長野県飯田市生まれ
2009年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業
2009~11年 富山大学芸術文化学部にて小松研治教授に師事
2011年 飯田市にて制作活動開始
2013年 高岡クラフトコンペ入選 : stool horse
2013年 個展[BASE]開催 Tunnel Worksとして活動開始
2014年 合同展[HANG-OUT]開催

インタビュー

聞き手:安次富 隆

今回展示してくれる椅子を見て、中田くんが1年次の時に制作した「おとうさんのための椅子」を思い出しました。幅広の肘掛けが特徴で、肘掛けにお酒のグラスなどを置けてくつろげる椅子でしたよね?木を切って釘打ちして作っただけの椅子でしたが、教室の外で座ってみて、「いいじゃんこれ」と言ったことを覚えています。(笑) その頃から中田くんは、「将来、自分の工房を持って、家具のデザインから制作まで一人でやることが夢」と言って、ほとんどの課題で木工のプロダクトをデザインしていましたね。卒業制作も「おとうさんの場所」という、殿様が座るような座椅子で、少し笑ってしまうようなデザインでしたが、初心がブレることなく夢を実現させていることに尊敬さえしています。 
中田02
プロダクト2年次の時にデザインした[おとうさんのための椅子]
※会津桐タンス株式会社との産学共同作品:写真の椅子はプロの職人さんが制作したもの。

中田02
卒業制作[おとうさんの場所]※おとうさんのモデルは中田裕明さん本人


Q1:中田君が心底愛している木工家具の魅力や、家具のデザインや制作で大切にしていることは何ですか?

木工家具というか、木に関しては、木は好きでしたけど、愛しているというよりは、まず自分で加工できて強度もある素材という点で木を選んでいま した。僕のもの作りはDIYから始まったので。 使っているうちにこの木はどんな使い方がいいとか、どんな雰囲気がだせるとかがわかってきて、だんだん愛してきてしまった感じです。 !デザインに関しては、趣味と仕事と暮らしが近い生活というか、空いた時間に畑をやったり、週末は釣りに行ったりDIYをしたり...というような生活を想像していて、そのためにはこんなものがあるといいなっていう感じでやっているので、家具も道具の一つとして考えて、気兼ねなく使えるようにデザインしています。丈夫な大工道具から発展させて考えたり、構造を参考にしたり。!くつろぐタイプの椅子を作ると肘掛を広くしてしまうのは最初からでしたね。笑 椅子を作る時は座り心地も大事ですけど、居場所としての居心地も大事にしています。 僕は一度座ってしまうとなかなか動かないタイプなので、お酒のグラスと灰皿と本を数冊とか、手近に置いておけるのが自分にとっては居場所の条件な んだろうと思います。

なるほど、「木の良さは自分で加工できて強度もある」「趣味と仕事と暮らしが近い生活」「気兼ねなく使えるデザイン」「動かずにすむ居心地の良さを大事にしている」というお話から、中田くんが何ごとにも境界線を設けずに、自然に生きることを大切にしているように思います。

Q2:今回の展示作品で「一度座ると立てなくなる心地よさ」を実現するために、どういう工夫をしているのか教えてください。

遠出をして釣りに行き、帰ってきて、全部きれいに片付けをして、という流れを設定してありまして、疲れた体で最後の片付けは億劫になりがちなのですが、それをきっちりやり遂げた自分へのご褒美として、座って一杯やるために作った椅子です。 座面高が極端に低く、背と座の深い傾斜によって、足を投げ出して座る感覚なのが心地よさのポイントです。 ソファーを背もたれにして床に座る時に目指している姿勢を椅子にしました。 それでもなおずりずりと前に行きたくなるのは人の性として、枕は引っ張れば下がるようにしてあります。 クッションはモコモコしたダウンジャケットをイメージしていて、座りたいというかボフッと包まれたい感じを出しました。 これは置いてあるだけなので、いつでも干せて、いつでもふかふかです。 そしてもちろん、肘掛は広いです。笑
blog_0523_05.jpg
blog_0523_04.jpg
FulFill chair
アウトドアを趣味とする人が家で使う椅子という想定で、全体的なスタイルはア ウトドアの雰囲気を出し、造りやディティールは家具としてのしっかり とした クオリティをもたせた椅子です。低い座面と深い傾斜から生まれる、一度座ると立てなくなる心地良さから、やることが全部終わったら座るという意味を込めて[FulFill chair]という名前をつ けました。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったことは何ですか?

向上心と、キャラ立ち(笑)です。 目標の高い仲間と出会えて切磋琢磨していく中で、あーでもないこーでもないと、諦めずに試行錯誤する体質を身につけられたと思います。一人でやっている今でも、ここで諦めたら共に学んだ仲間に笑われると思って、頑張れます。 プロダクトは人によって作るものも色々で、そんな中でキャラ立ちしようと、木工をやり続けました。 初心とか好きなものって自分の気持ちだけでは貫けない時もあって、そんな時に自分が何を求められてるかっていう周りの目も結構大事だったなと思い ます。そしてキャラが立っていたおかげで今回もお声がけをいただけたんだろうと思います。笑

キャラ立ちかぁ(笑)。キャラ立ちするには勇気がいると思いますね。中田くんは勇気があるのだと思います。 あっ、声を掛けた理由は、中田くんには貸しがあるから断らないだろうと思ったからです(笑)。そもそも工房建てたことも知らせてもらっていないから、夢を実現させていたことに驚いたくらいです。電話して、もし初志貫徹していなかったらどうしようなんて、私も一応気を使っているんですよ(笑)。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

自分の得意なところをどんどん伸ばしてください。 僕はプレゼンが苦手だったのでひたすらモノを作ってなんとか乗り越えてきたタイプです。 それはそれで良かったのかなと。 苦手なところは補い合って。 仲間を大切に、今でも大学の同期や先輩たちに本当に何度も助けてもらっています。 あとはとにかく楽しんで。 よい大学生活を!

温かく楽しい話をありがとうございました。 これからも素敵な家具を作り続けてください。私もぜひ中田くんに家具を作ってもらいたいです。その時はよろしくお願いします。
 

facebook share twitter share ページトップへ

blog_0523_02.jpg


プロフィール
1979年福井県生まれ。2003年多摩美術大学卒業後、パナソニックデザイン社、ドイツのyellow design gmbh に勤務し、家電製品をはじめとする様々な工業製品のデザインプロジェクトに携わり、これまでにレットドットデザイン賞やドイツ・デザイン賞を始めとする国内外の国際的なデザイン賞を受賞。2015年にTIDS|THE INDUSTRIAL DESIGN STUDIOを設立。

受賞歴 
 レッドドットデザイン賞(ドイツ)
iFデザイン賞(ドイツ)
ドイツデザイン賞 特別賞(ドイツ)
ドイツ連邦共和国 デザイン賞 ノミネート(ドイツ)
フォーカスオープン賞 (ドイツ)
ユニバーサルデザイン賞(ドイツ)
グッドデザイン賞(日本)
東京ビジネスデザインアワード テーマ賞(日本)
シカゴ・グッドデザイン賞(アメリカ)
World Design Impact Prize ノミネート 


インタビュー                                                       
聞き手:安次富 隆

学生時代の弘祥くんのことで一番印象に残っていることは、「世界の上島弘祥になる!」と宣言していたことです。数々の受賞歴を見ても、有言実行しており、すごいなぁ!偉いなぁ!と思っています。 

Q1:弘祥くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

世界の上島に、、、そんなこと言ってたかも知れませんね(笑)。そんな大口を叩いていた頃とは真逆のように聞こえるかも知れませんが、大切にしているのは〝常にフラットな存在であろうとすること〟です。 デザイナーって個性が大事とかよく言われるんですが、僕自身は個性を出す事よりもクライアントやユーザーとそのプロダクトが使われる環境との関係性の中に最適解を出す事が一番だと考えています。 考えてみると、僕自身、物を選ぶ際はデザイナーの個性を買っているのではなくて、プロダクトそのものの素晴らしさやそのストーリーに惹かれて商品を買ったり使ったりしていますからね。 だから、僕が何かをデザインする際はクライアントの技術や歴史を大事にしながらプロジェクトに介在する課題や価値を的確に見つけ出し、それらを破綻無く一つの魅力に落とし込める存在であろうといつも心がけています。 !それはつまり、個性を持たないことが僕の個性と言えるかも知れません。だから事務所の名前も無記名性を持たせ、僕の名前は入れないことにしました。 それはおそらくパナソニックという大きなメーカーとドイツという国でデザインをしてきたことが影響しているのかも知れません。 日本メーカーの高い技術力を魅力的にプロダクトに落とし込むことや、積み重ねてきた歴史をじっくり進化させるドイツデザインのプロセス、そんなことをずっと考えてきたので自分の個性を出さない事が自然と身に付いて来たのだと思います。

”常にフラットな存在であろうとすること”は、かなり高い目標だと思います。それを達成するために「個性を出さない」ようにしているということですが、上島くんが言っているようにそれが上島くんの個性だと思います。おそらく上島くんは、自分が関わることによって、作り手も使い手もニュートラルにモノそのものの価値を享受できるようにしたいのだろうと理解しました。

Q2:今回の展示作品のデザインのポイントを教えてください。

目に見えない機能や技術を〝美しいカタチ〟で世の中に伝えようとしたことです。今回、出展させて頂くMISOKA・ISM は水で磨くことが出来る画期的な歯ブラシです。 毛先にコーティングされたナノサイズのミネラルイオンの働きによって、毛先を水につけるだけで歯を磨くことが出来ます。 それにコップ一杯の水で済むので、水の使用量を削減でき、また化学物質を含んだ水を排出することもない、とても環境に優しいプロダクトでもあるんです。 そんな水とミネラルの力で磨くという機能と、自然に寄り添ったプロダクトであることを誰にでもシンプルかつ魅力的に伝えること、そして使う人の生活空間をみずみずしく心地の良いものに するという、目に見えない価値を美しさに変えて世の中に届けるプロセスを生み出す答えとして〝流れる清らかな水〟のような姿を考えました。
blog_0523_01.jpg
また、この複雑な形状から成り立つデザインは見た目の美しさだけではなく、持った時に指をそっと添える様な仕草を促して歯と歯茎に優しいブラッシングが自然に出来るようになっていたり、起き上がり小法師のように必ず毛先が上向きに浮いた状態になって清潔な状態を保つようになっていたりと、機能的な側面も持ち合わせているんです。
blog_0523_05.jpg
このMISOKA・ISMを今年のミラノフォーリサローネで発表したところ、〝デザインと機能の美しい融合だ〟と多くの方が感動して下さり、また世界中のメディアからも沢山取材して頂いたりと、当初の想いの通り、デザインの力で日本の技術が世界に魅力的なものとしてどんどん拡がって行っていることを実感出来ているのがとても嬉しいです。
blog_0523_04.JPG
MISOKA・ISMは、審美性と機能性がバランス良く融合されたデザインだと思います。機能の良さをさりげなく流水形状の中に落とし込んでいる点が秀逸ですね。サローネの展示は、まさに天から水が滴る印象があり、一発でMISOKA・ISMのデザイン・コンセプトが伝わってきます。 今回はサローネと同様のイメージを特別にアレンジして頂けるそうなので、とても楽しみにしています。

Q3:プロダクトデザイナーになって良かったと思うことは何ですか?

やはりこの仕事は、自分のアイデアを通して沢山の人の喜びが生まれる瞬間に立ち会えることですね。一つの物が世に生み出される課程には色んな人の色んな種類の喜びが生まれます。 例えば、メーカーさんやクライアントさんが持っている技術や想いが美しく魅力的な製品に仕上がったとき、それを作り上げた彼らの中に「これは自分たちにしか作れないものだ」という誇りが生まれます。 手に取ってもらったユーザーの人達はもちろんですが、クライアントや設計者の方、モノを売る人などモノを生み出す側の人達を幸せにすることもプロダクトデザイナーの大事な役割だと常に思っています。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

人生は自分を信じ思い切って行動すればとても楽しいものになります。 僕自身は知らない世界を怖がらずに自分を信じて飛び込んでみる、ということを大事にしてきたお陰で、自分の世界観やスキルを拡げられてきたと思っています。 それは決して向こう見ずということではなく、動きたいときに動けるだけのスキルを身につけ、人生の波を逃さずに掴むという感覚ですね。 実はドイツで働こうと決めたのも旅行で訪れたベルリンの街を歩き「この国なら住めそう、住んでみたい」とその場での即決でした。 すぐにドイツ語教室に通い始めたり、ドイツでの仕事を探したりと必死に行動しましたね。そうやって〝必ずドイツに住む〟と自分を信じられる状態に追い込んで行ったんです。 渡独後は、言葉の壁、文化の壁がある中でとても高いデザインクオリティを求められましたが、言葉が通じにくい分、スケッチやアイデアの数で勝負しなければ行けない状況で必死になれたことで自分の力がすごく伸びていったのを実感しました。 僕自身、あの時自分の決断に必死に食らいついたからこそ今があると思っています。
blog_0523_03.jpg
本日は弘祥くんのデザインに真摯に向かい合う姿勢を深く知ることができました。展示会でお会いできることを楽しみにしています。ありがとうございました。  
   

facebook share twitter share ページトップへ

DM_HP-01.jpg

DM_HP-02.jpg

今年、多摩美術大学は創立80周年を迎えます。10月10日(土)に予定されている記念式典では様々なイベントが企画されていますが、プロダクトデザイン専攻では、主として2000年度以降の卒業生の作品を集めた展覧会『PRODUCT EXHIBITION 2015』を企画します。 『PRODUCT EXHIBITION 2015』では、プロダクトデザインの幅広い領域を学内外に披露するため、自動車や家電、文具、家具、医療機器といった分野に加え、プロダクトグラフィック、ファブリック、ペーパークラフト、メディア芸術など、幅広い分野で活躍する若手の卒業生の作品を展示致します。現在、プロダクトデザイン専攻では、より多様化、高度化する未来を見据えた人材を育成するために、プロダクトデザイン領域を、プロダクトデザイナーに求められる立ち位置の違いによって3種類のコースにわけたデザイン教育を行なっていますが、私たちが社会の変化に対応する以前に先見の明を持って創作活動を始め、結果を出している卒業生たちの作品を披露することで、在校生に勇気と希望を与えたいことが『PRODUCT EXHIBITION 2015』の大きな目的です。


展示期間:2015年10月9日(金)、10日(土)9:00 -16:00          
展示場所:多摩美術大学 八王子キャンパス デザイン棟1Fギャラリー 

出展者一覧(五十音順)
オーデリック株式会社・オッティモデザイン・Kei Craft・株式会社 資生堂・SHIMURAbros・スズキ株式会社 二輪事業本部 二輪商品企画部 デザイン課・株式会社 スノーピーク・ソニー株式会社・株式会社ソニーコンピューターエンタテインメント・TARO WORKS TIDS CO.,LTD・Tunnel works 株式会社 パイロットコーポレーション・早川和彦デザイン事務所・B6studio・株式会社PRODUCT DESIGN CENTER・プロペラデザイン・富士フィルム株式会社・株式会社 ホンダアクセス・マイクロネット株式会社・miyake design


出展者のご紹介、出展作品のご紹介やインタビューも随時ブログにUPしていき、展示会当日に向けて盛り上げていきますので、2日間と短い期間ではありますが是非、足をお運び頂ければ幸いです。

 

facebook share twitter share ページトップへ