No 02 中田 裕明さん(Tunnel works)

中田02

プロフィール・受賞歴
Tunnel works 代表
家具作家
1986年 長野県飯田市生まれ
2009年 多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業
2009~11年 富山大学芸術文化学部にて小松研治教授に師事
2011年 飯田市にて制作活動開始
2013年 高岡クラフトコンペ入選 : stool horse
2013年 個展[BASE]開催 Tunnel Worksとして活動開始
2014年 合同展[HANG-OUT]開催

インタビュー

聞き手:安次富 隆

今回展示してくれる椅子を見て、中田くんが1年次の時に制作した「おとうさんのための椅子」を思い出しました。幅広の肘掛けが特徴で、肘掛けにお酒のグラスなどを置けてくつろげる椅子でしたよね?木を切って釘打ちして作っただけの椅子でしたが、教室の外で座ってみて、「いいじゃんこれ」と言ったことを覚えています。(笑) その頃から中田くんは、「将来、自分の工房を持って、家具のデザインから制作まで一人でやることが夢」と言って、ほとんどの課題で木工のプロダクトをデザインしていましたね。卒業制作も「おとうさんの場所」という、殿様が座るような座椅子で、少し笑ってしまうようなデザインでしたが、初心がブレることなく夢を実現させていることに尊敬さえしています。 
中田02
プロダクト2年次の時にデザインした[おとうさんのための椅子]
※会津桐タンス株式会社との産学共同作品:写真の椅子はプロの職人さんが制作したもの。

中田02
卒業制作[おとうさんの場所]※おとうさんのモデルは中田裕明さん本人


Q1:中田君が心底愛している木工家具の魅力や、家具のデザインや制作で大切にしていることは何ですか?

木工家具というか、木に関しては、木は好きでしたけど、愛しているというよりは、まず自分で加工できて強度もある素材という点で木を選んでいま した。僕のもの作りはDIYから始まったので。 使っているうちにこの木はどんな使い方がいいとか、どんな雰囲気がだせるとかがわかってきて、だんだん愛してきてしまった感じです。 !デザインに関しては、趣味と仕事と暮らしが近い生活というか、空いた時間に畑をやったり、週末は釣りに行ったりDIYをしたり...というような生活を想像していて、そのためにはこんなものがあるといいなっていう感じでやっているので、家具も道具の一つとして考えて、気兼ねなく使えるようにデザインしています。丈夫な大工道具から発展させて考えたり、構造を参考にしたり。!くつろぐタイプの椅子を作ると肘掛を広くしてしまうのは最初からでしたね。笑 椅子を作る時は座り心地も大事ですけど、居場所としての居心地も大事にしています。 僕は一度座ってしまうとなかなか動かないタイプなので、お酒のグラスと灰皿と本を数冊とか、手近に置いておけるのが自分にとっては居場所の条件な んだろうと思います。

なるほど、「木の良さは自分で加工できて強度もある」「趣味と仕事と暮らしが近い生活」「気兼ねなく使えるデザイン」「動かずにすむ居心地の良さを大事にしている」というお話から、中田くんが何ごとにも境界線を設けずに、自然に生きることを大切にしているように思います。

Q2:今回の展示作品で「一度座ると立てなくなる心地よさ」を実現するために、どういう工夫をしているのか教えてください。

遠出をして釣りに行き、帰ってきて、全部きれいに片付けをして、という流れを設定してありまして、疲れた体で最後の片付けは億劫になりがちなのですが、それをきっちりやり遂げた自分へのご褒美として、座って一杯やるために作った椅子です。 座面高が極端に低く、背と座の深い傾斜によって、足を投げ出して座る感覚なのが心地よさのポイントです。 ソファーを背もたれにして床に座る時に目指している姿勢を椅子にしました。 それでもなおずりずりと前に行きたくなるのは人の性として、枕は引っ張れば下がるようにしてあります。 クッションはモコモコしたダウンジャケットをイメージしていて、座りたいというかボフッと包まれたい感じを出しました。 これは置いてあるだけなので、いつでも干せて、いつでもふかふかです。 そしてもちろん、肘掛は広いです。笑
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FulFill chair
アウトドアを趣味とする人が家で使う椅子という想定で、全体的なスタイルはア ウトドアの雰囲気を出し、造りやディティールは家具としてのしっかり とした クオリティをもたせた椅子です。低い座面と深い傾斜から生まれる、一度座ると立てなくなる心地良さから、やることが全部終わったら座るという意味を込めて[FulFill chair]という名前をつ けました。

Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったことは何ですか?

向上心と、キャラ立ち(笑)です。 目標の高い仲間と出会えて切磋琢磨していく中で、あーでもないこーでもないと、諦めずに試行錯誤する体質を身につけられたと思います。一人でやっている今でも、ここで諦めたら共に学んだ仲間に笑われると思って、頑張れます。 プロダクトは人によって作るものも色々で、そんな中でキャラ立ちしようと、木工をやり続けました。 初心とか好きなものって自分の気持ちだけでは貫けない時もあって、そんな時に自分が何を求められてるかっていう周りの目も結構大事だったなと思い ます。そしてキャラが立っていたおかげで今回もお声がけをいただけたんだろうと思います。笑

キャラ立ちかぁ(笑)。キャラ立ちするには勇気がいると思いますね。中田くんは勇気があるのだと思います。 あっ、声を掛けた理由は、中田くんには貸しがあるから断らないだろうと思ったからです(笑)。そもそも工房建てたことも知らせてもらっていないから、夢を実現させていたことに驚いたくらいです。電話して、もし初志貫徹していなかったらどうしようなんて、私も一応気を使っているんですよ(笑)。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

自分の得意なところをどんどん伸ばしてください。 僕はプレゼンが苦手だったのでひたすらモノを作ってなんとか乗り越えてきたタイプです。 それはそれで良かったのかなと。 苦手なところは補い合って。 仲間を大切に、今でも大学の同期や先輩たちに本当に何度も助けてもらっています。 あとはとにかく楽しんで。 よい大学生活を!

温かく楽しい話をありがとうございました。 これからも素敵な家具を作り続けてください。私もぜひ中田くんに家具を作ってもらいたいです。その時はよろしくお願いします。
 

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