No 08 ごとう けいさん、後藤 美帆さん(KeiCraft)

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ごとうけい 紙工作作家

1971年:宮城県生まれ (埼玉育ち)
1994年:多摩美術大学デザイン科立体デザイン専攻プロダクトデザイン専修卒業
1997年:KeiCraftの屋号で作家活動を始める。
2008年:第59回全国カレンダー展_「文部科学大臣賞」受賞       
           ドイツ国際カレンダー展 (Kalenderschau 2008) _「銅賞」受賞
2015年:グッドデザイン賞 受賞 紙工作キット「紙宝(しほう)シリーズ 埴輪」 


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後藤 美帆 Design Manager

1974年:神奈川県生まれ(大阪育ち)
1997年:多摩美術大学デザイン科立体デザイン専攻プロダクトデザイン専修卒業     
         (旧姓:牛尾)
1997-2000年:松下電工株式会社(現:パナソニック株式会社)にてインハウスデザイナーとして勤務。
1999年~ KeiCraftに参画。
2002年~2015年現在 東京都東久留米市在住 2015年現在:中2・小6・小4(3男児)の子どものいる5人家族です。
2015年:グッドデザイン賞 受賞 紙工作キット「紙宝(しほう)シリーズ 埴輪」


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KeiCraft~ PAPER CRAFT STUDIO ~ 

事業内容
紙工作型紙の設計請負・販売、紙工作立体・図版による展示会の開催 

主要品目
雑誌付録・ミュージアムグッズ・販売促進グッズとしての紙工作型紙デザイン
工作キットとしての紙工作型紙の販売、卸業
イベント展示

沿革
1999年4月~「KeiCraft」として事業化 
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2004年:KeiCraft【商標】登録 _登録番号:第4750337号 2015年:ミュージアムグッズ、販売促進グッズ、雑誌・ホームページの付録用ペーパークラフトのデザイン制作するかたわら、巨大作品をショールーム、イベント、ギャラリー等で発表。リアルなカタチをシンプルに表現し、同時に親しみやすさをあわせ持つ独自の作風は、多くの方に支えていただき~現在に至る。

インタビュー
聞き手:安次富 隆 

二人はプロダクトの先輩後輩のカップル。ごとうくんの静的なパワーと、美帆さんの動的なパワーの二人三脚がKei Craftの強みだと思っています。(ポートレートの写真は象徴的ですね。笑) !ごとうくんの学生時代の作品で忘れられないのは、卒業制作の「精米自動販売機」のプレゼンテーション。ご飯を炊く香りの演出までしていたことに感激しました。美帆さんの卒業制作も強く印象に残っています。上肢麻痺の人のリハビリテーション機器という大物を施設に通いながらリアルに作り上げてしまったことに驚かされました。正義感が強くパワフルで、圧倒された記憶があります。ごとうくんの細やかさと美帆さんの大胆さは今でも変わらないなぁと思っています。 しかも3人の男の子を育てながら、紙工作一本で人を魅了し続けている二人には「これは奇跡だ!」と思うくらい感動し尊敬しています。

Q1:そういう二人が紙工作のデザインや制作で大切にしていることは何ですか?
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K:あくまでも“工作”として楽しめるように、なるべく少ない手かずで「らしく」見える作品が作れるようにデザインをする、ということを心がけています。
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M:「視点」と「目線」です。
例えば、動物の紙立体のデザインをする時には、飼育員さんの「視点」でご覧いただいてもウソがないかな?この紙工作を楽しんでくださるお客様の「目線」では作りやすいかな? 展示作りの時は、見にきてくれる子ども達の「目線」はどこにくるかな?車いすに座ってご覧になる方からはどう見えるかな?展示のスポンサーや会場を提供してくださるクライアントさんの「視点」では、この展覧会自体がどう目に映るかな?どういう印象をお持ちになるかしら?子どもの思う楽しさが表現できているかな?親の視点では子どもを連れて見に来てみたい!と思っていただけそうかな?ご年配の方にも楽しんでいただけるかしら?カップルには楽しい話題が提供できそう?? _こんな感じで、全てのことを考えたり決めるのに、私はこのふたつを大切にしています。

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Q2:今回の展示作品の特徴や展示の狙いを教えてください。

K:プロダクト製品の展示は、その性質上カタい雰囲気になりがちだと思うので、少しやわらかくにぎやかな空間を演出できればいいかな、と思いました。これまで作ってきた作品の中から代表的なものを展示します。紙の持つしなやかさを活かした形づくり、表現を見てもらえたら嬉しいです。

M:これから社会に出てデザイナーとして仕事をしていくであろう学生さんに、「こんな仕事もあるんだ!」と知っていただけたらと思い、参加をさせていただくことにしました。身近な素材である「紙」を使った仕事をしています。一見、誰にでも手軽に扱えることから身近すぎて見落とされがちですが、「紙」というものの持つ再現性に注目していただけたら嬉しいです。

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Q3:多摩美のプロダクトで学んだことが今の仕事に活かされていることはありますか?

K:作家を肩書きに仕事をしていますが、一点モノを作っているというわけではなく、最終的にできた展開図面はたくさんの人に「つくってもらうこと」が目的です。マスプロダクトを作るにあたって、「ユーザーが喜んでくれるものづくりをする」という考え方、そこにプロダクトを学んだことが役に立っているんじゃないかな、と思っています。 

M:そうですね… 一番記憶に残っているのは、いつも講評会で「…これって面白い?」とか「…つまんないねぇ」とか「...つまんなくない?」とか言われた_そのシーンでしょうか。 今でも講評会のシーンはリアルに思い出せます。ホント、この2つの言葉は、大学に入るそれまでの人生で「『先生』という名のつく方々から投げかけられた事のない種類の言葉」だったと思います。当時、この「面白い」とか「つまんない」の意味するところがよくわからなく、難しかったなぁ...(笑) 今の学生さんも言われているのかな?  今はその言葉の意味するところがしっかり(?)わかるようになれてきたように感じます。 ▲上記の意味する「面白い」と「つまんない」が共通感覚でわかるのは…デザイン職能(美術畑)の人だけなのかな?!とか_その後の人生で初めて気づく機会も多々ありますが。 大学で学んだこの感覚は、デザインを決める上で今でもとても役立っている気がします。
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Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

K:プロダクトデザイン出身のボクですが、ちょっと毛色の違った仕事をしています。今の仕事が「職業」になるまでにはだいぶ遠回りをしました。でも、これまでやってきた勉強であったり、仕事で得られた経験は、直接ではないかもしれませんが全てが今に役立っていると感じます。無意味に思える勉強も、すぐには役立たない知識や経験も、いつか自分を助けてくれる時がやってきます。どんな時でも今を楽しんじゃいましょう。 

M:多摩美での3年生の終わった春休み。女子大学生にとっては超就職氷河期だったあの年、某企業の実習枠をいただき、この機会もきっとご縁!と感じた会社に実習にうかがいました。幸い、その会社に後にご指名をいただき、卒業後はデザイナーとして迎えていただきました。今思うと、デザインのことだけではなく「『会社』という組織」仕事のしかたをたくさん学ばせていただいた時間だったように思います。  「一生のご縁…」と思って入ったのに、実際は親(会社)不孝にも、4年弱で今の仕事に完全転職をしてしまうことに。当時、私の周りの人は誰も「紙工作で食っていける」とは想像してくれなかったわけで…私と主人だけが「紙工作の仕事としての可能性」を信じて突き進み始めた状態でした。  事業化から16年たった今、ようやく「仕事としての『紙工作』」を認知いただけるまでになってきたような気がします。様々な企業や官公庁などとお仕事でご一緒させていただく現在、私にとってとても役に立っていると感じるのは、企業にいた頃に学ばせていただいた「会社的物事の考え方・進め方」の経験・知識です。  多摩美を卒業してどんな道に進もうか…みなさん悩むかもしれません。でも、どうぞあまり深く考えすぎずに「これもご縁!」と思って、きっかけのいただけたお仕事にとりあえず一度飛び込んでみて…それから考えてみる…のでいいんじゃないかな?_と思います。どんなお仕事の経験も今振り返ると無駄になったことなんてなにひとつない気がする、と感じる今日この頃です。

いつでも人を喜ばせたいという想いと、「これもご縁!」と、様々な人の気持ちを許容してしまう度量の深さが二人の魅力だと思います。 紙は最も身近な素材。誰でも加工できて使い道も色々。紙は人を喜ばせ、あらゆる気持ちを受け止める。そういう素材を二人が選んでいる理由がわかったような気がします。 ありがとうございました。

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