No 11 志村諭佳さん(SHIMURAbros)

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プロフィール・受賞歴 
志村諭佳

卒業年:1999年 

SHIMURAbrosはユカ(1976年生まれ。多摩美術大学卒後、英国セントラル・セント・マーチンズ大学院にて修士号を取得)とケンタロウ(1979年生まれ。東京工芸大学 映像学科卒)による姉弟ユニットです。平成21年度 [第13回] 文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞受賞。カンヌ及びベルリン国際映画祭での上映をはじめ、国立新美術館、シンガポール国立大学美術館、台北現代美術館、パース現代美術館(オーストラリア)、ミュージアムクォーター ウイーンなどで作品を展示しています。平成26年度ポーラ美術振興財団・在外研究助成を得て拠点をベルリンに移し、現在はオラファー・エリアソンのスタジオに研究員として在籍し活動しています。

インタビュー
聞き手:安次富 隆


やはり志村さんの一番の思い出は、卒業制作の「視覚音楽体験ツール」です。グラッフィックの学生との共同制作でしたね。 !聴覚に不自由な子供も一緒になって、視覚と触覚を使って音楽を楽しみながら学習できるように、直径1メートル以上だったと思いますが、円形のディスプレイと、その周りに手のひらで触れるタッチパネルが複数レイアウトされている、未来的なデザインでした。 !円形のディスプレイは将来実現するのか?実際にモックアップに映像を映し出すにはどうすれば良いか?相談を受けた記憶があります。 円形のディスプレイは技術的に可能だし、モックアップに映像を映すには、モックアップを載せるステージを作ってプロジェクタを仕込み、鏡を使って反射させれば映せるかもとアドバイスしたように思います。 映像作家になって帰国し、横浜で初めてSHIMURAbrosの作品を見たとき、挑戦的な映像に驚きましたが、今回展示してくれる”X-RAY TRAIN”のような作品を見ていると、4次元的に映像を考えているという点で、卒業制作とリンクするような気がします。

Q1:私は勝手に4次元的映像と言いましたけど、志村さんは映像作品を制作する際、どのようなことを意識して制作しているのでしょうか?

平面に時間が加わると映像になり、X-RAY TRAINはそれに空間(奥行き)が加わりました。 ですから、先生のおっしゃるとおり、4次元的映像と言えます。 !映像は私たちの意識していないものを映し出してくれます、例えばゆっくり再生したときにそこには時間というものの非日常的な側面が現れてきます。私たちは作品を作るときには、ヒトの目で見ることができないもの、ヒトの心が気づかないものを可視化することを意識しています。 プロダクトもそうだと思いますが、芸術作品は他者のものですし、いい作品は自立します。

Q2:今回の展示作品、”X-RAY TRAIN” を制作するきっかけは何でしたか?

作品の制作中に、次の作品のアイデアが現れることが多いです。 「X-RAY TRAIN」の時も同様で、その前作「SEKILALA」という映画作品を作っているときにきっかけがありました。 きっかけは、作品を撮影していたとき、監督として感じた現場での実存が、編集し上映する過程でこぼれ落ちていってしまうことへの疑問です。そしてこの疑問は、映画が上映されるときに空間を伴わないというメディアの性質そのものに関わることだということに気づきました。 !そこから、映画の成り立ちの歴史をリサーチし始め、リュミエールの機関車や、空間的に展開されるスクリーンへと発展していきました。
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X-RAY TRAIN

「SEKILALA」
は、第13回文化庁メディア芸術祭で優秀賞を受賞した作品ですね。
(http://archive.j-mediaarts.jp/festival/2009/art/works/13a_sekilala/)
その制作段階に「X-RAY TRAIN」制作のきっかけがあったとは思いもよりませんでした。そのお話しを聞いて「X-RAY TRAIN」を見ると別の発見ができそうです。

Q3:多摩美のプロダクトで学んだことが今の仕事に活かされていることはありますか?

現代美術には、様々な分野からきたアーティスト達が活躍しています。 例えば、尊敬するトーマス・デマンド氏は、最初の美術アカデミーではインテリアデザインを学び、彫刻家としてキャリアを開始され、今は写真家と呼ばれ、映像作品も手がけておられます。異なる経験により、新しい視点を持ち込めるのだと思います。 !在学中の課題で「産学協同プロジェクト」がありました。 これは、学生にとってプロフェッショナルとコラボレーションする素晴らしい機会です。 そして私がラッキーだったのは、当時ニューヨークのデザインカンファレンスでプレゼンテーションする機会を頂いた事です。この体験は自分に足りない多くの事を気づかせてくれました。 !映画制作は、共同作業です。 現在はスタジオオラファーエリアソンにて研究員をしておりますが、私たちが取り組んでいる現代美術も、実は多くの専門家のコラボレーションにより作品が完成します。

私の質問は少々愚問でしたね(笑)。映画と同様にプロダクトデザインに活かされない分野も経験もありませんから。 現実に立脚しているプロダクトデザインと異なって、映画は時空も自在に超越できますから、まさにマルチディシプリナリな表現手段と言えるのかもしれませんね。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

リサーチは、最も大切な行為のうちのひとつです。 素材のリサーチ、歴史のリサーチ、自分が制作するものについての調査を深めるべきです。その為には実際に場所に出向き、人々に会う必要も出てくるでしょう。躊躇せずどんどん飛び込んで行ってください。 !それから、アイデアの実現に必要であれば協力者を探しましょう。 多くの人に自分のアイデアを伝えれば、それだけ賛同者も多く現れてくれるはずです。

志村さんの数々の経験やリサーチからパーコレーションされたイデアが作品に凝縮されているのだと思います。お話を伺って、じっくりと作品の濃厚な味とコクを味わいたくなりました。 本日はありがとうございました。


展覧会のお知らせ

SHIMURAbros のオラファースタジオでの作品「広州三部作」がカリフォルニア洲 UC Berkeley のWurster Galleryで上映されます。 ART+VILLAGE+CITY EXHIBITION  
会期:10月9日(金) - 11月14日(土)
会場:Wurster Gallery, UC Berkeley, UNIVERSITY OF CALIFORNIA, BERKELEY, CALIFORNIA, The USA
詳しくは下記のホームページをご覧くださいませ。  
http://globalurbanhumanities.berkeley.edu/events/artvillagecity-wurster-exhibition

SHIMURAbros個展 『Tokyo Story』
会期:2015年10月24日(土)- 12月5日(土)
会場:東京画廊+BTAP
東京 〒104-0061東京都中央区銀座8-10-5 第4秀和ビル7階 TEL: 03-3571-1808 / FAX: 03-3571-7689
http://www.tokyo-gallery.com/exhibitions/intokyo/-shimurabrostokyo-story.html


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