No 14 亀井 敬太さん(富士フイルム株式会社)

FUJIFILM
プロフィール
2012年卒 入社後直ぐにXシリーズの中核を担うX30を手掛けヒットさせた。 ディテールから色や質感にまで心血を注ぐデザインを愛して止まない。
代表作は、デジカメ X30

インタビュー
聞き手:安次富 隆

亀井くんは1年次を終了した後、ミュージシャンの道も模索するため1年間休学しました。その相談をしに来た日の事を良く覚えています。結局デザイナーの道を歩むことを決断したわけですが、その後、富士フイルムに入社したことに、亀井くんが不思議な縁に引っ張られているような気がしてなりません(笑)。というのも、富士フイルムに在籍する多摩美プロダクト出身のデザイナーたちは皆、亀井くんと同じようにデザイナー以外の一芸を持っているように思うからです。そういう個性も才能も豊かな先輩たちに囲まれて亀井くんがどういう日々を過ごしているのか興味があります。

Q1:亀井くんがデザインで大切にしていることは何ですか?

デザインにはバランス感覚が非常に重要だなと考えることが最近とても多いです。 僕はデジタルカメラやチェキで知られるのフィルムカメラなどのコンシュマー製品全般を担当しているのですが、商品性自体はとてもたくさんのさまざまなユーザーに持ってもらえる可能性があるものです。外観デザインに絞って言うと、使い心地/高級感/本格感/新しさ/機能感...など動かせるパラメータはたくさんあり、何を特徴とするのか?何をとがらせるのか?などさじ加減を間違えるとユーザーに”自分の持ち物ではない”と思われる、非常にシビアで難しい世界でもあると感じています。そういった意味で、商品の持つ特性を吟味してもっともバランスがとれる絶妙な位置にボールを置くような感覚で、商品の持つ可能性を最大限に高めることが重要なのではないかと考えています。 ただそういったバランスを超えて、いままではその製品ジャンルにはなかったような”新境地”にたどり着きたいとも思っています。僕はinfobarを店頭で一目見て、こんなに魅力的なモノってあるんだ、と感動しプロダクトデザイナーになりたいと思ったのですが、そういった今まで全然手が届かなかった人の心の感動スイッチを連打してしまうような、そんな体験をもたらすことができるモノをつくることが今後の目標です。

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FUJIFILM X30

Q2:今回の展示では、プロダクト出身デザイナー全員の出展を企画して下さってありがとうございます。ズバリ、今回の展示の見所を教えてください。

0今回の展示の見所はFUJIFILMのデジカメから医療機器まで幅広いジャンルのデザイン、さらに量産品からコンセプトモックまで展示しており、各担当者の"こだわり"が垣間見える展示になっているところが見所です。FUJIFILMのデザインセンターには安次富先生がおっしゃるとおりデザイン以外の分野に芸を持つ方がたくさんいます。会社に入って驚いたのですが、みんな何かしらの趣味/収集癖があり、かつその”こだわり”のレベルが尋常ではないのです。センター長の堀切さんは堀切玩具堂としても活躍されており最近ではサボテンやシダなどを収集しベランダが植物園化、吉田さんは黒こげになるまでサーフィンの傍らサイドゴアブーツを収集、今井さんはギタリストでもありラジオで流れているブルース・ファンクの曲で知らないものはないくらいの愛聴家、酒井さんはホピ族の人形と1億本(自称)に及ぶ歯ブラシのコレクター、そして僕は音楽もやっているのですが最近はみなさんの影響を多大に受けて地元奈良の民芸品(一刀彫)を集めてしまっております。そういった活動(リサーチ)の中で”本当に良いモノとはなんなのか?”という感覚を日々養うことで、ユーザーの所有欲/写欲を高めるカメラのデザインや、極限まで突き詰められた使い勝手が求められる医療機器などのデザインにうまく反映されているのかも知れません。そういった非常に個性豊かな人が集う風土に醸成された個性豊かな”こだわり”のデザインが今回の展示で垣間見えるのではないかと思います。製品だけではなく、より強く個性が発揮されたコンセプトモックも展示していますので楽しんでいただけるかと。


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堀切和久(デザインセンター長)
1985年卒
グッドデザイン賞受賞暦は20点を越え、 独reddot賞から発明賞まで受賞暦は多岐に渡る。今でも手を動かすセンター長。 代表作は初代チェキ、TIARA、Zシリーズなど

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スタッズチェキ(コンセプトモデル/協力 S&O 清水久和


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吉田浩二(デザインマネージャー)
1992年卒
汎用超音波装置 FAZONE CBではグッドデザイン賞金賞 となる。デジカメから医療機器まで幅広くこなすFUJIを代表するデザイナー。 代表作はカメラTX-1、デジカメF401、内視鏡など

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FUJIFILM 内視鏡操作部



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今井雅純(デザインマネージャー)
1996年卒
FUJIFILMのXシリーズを代表するエポックメイキングな機種を 次々と手掛ける。操作性から機能まで拘り抜く情熱のカメラデザイナー。 代表作は、デジカメ X100、X100S、X-T1など

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FUJIFILM X-T1


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酒井真之(チーフデザイナー)
2003年卒
デジタルカメラFinrPIXから現行のXシリーズ、までFUJIFILMのコン シューマーデザイン一筋で、数々の話題作やヒット作を手掛ける。
代表作は、デジカメ X10、X-T10、FinePix XP200など

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モンスターチェキ(コンセプトモデル)


Q3:多摩美のプロダクトで学んで良かったと思うことは何ですか?

根本の"クリエイティビティー"の部分を鍛えることができたことかなと思います。僕は3スタだったのですが、仲間がいて、同じ課題にみんなで切磋琢磨し取り組み、他人の考えを聞き、アウトプットを見て、自分との違いを感じたり、自分の限界値を引き伸ばせて感動したり、そういった貴重な体験が自分の中にどんどん蓄積されていく感覚がありました。また、そういった工夫がたくさん散りばめられた課題だったんだなぁと今改めて思います。そのクリエイティビティーの部分は仕事だけではなく日常の物事の考え方や創作活動の音楽にも広がりをもたらしてくれている実感があります。

Q4:最後に在校生へのメッセージをお願いします。

同年代のたくさんの仲間がいて、課題を共に切磋琢磨し、さまざまな考えに出会い、第一線の教授陣に指導を受ける、成長をする上でこれほど良い環境はないと思います。4年はあっという間に過ぎてしまうと思いますが、その4年間でしか得られないモノが確実にあると思うので、最後の最後までたくさんの学びを得てください。

亀井くんが「デザインにはバランス感覚が重要」と気づくと同時に「バランス感覚を超えてその製品のジャンルにはなかった”新境地”にたどり着きたい」と思っていることを嬉しく思いました。「デザインのバランス感覚」とは、音楽のリズム、メロディー、ハーモニーをどう扱うかを考えることと似ているかもしれませんね。そういう意味で、新しい音楽のジャンルでも作る勢いでデザインを考えていきたいのだろうと思いました。 富士フイルムの皆さんの展示を楽しみにしています。ありがとうございました。

 

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