Master of Art Studies大学院 芸術学専攻

多摩美術大学芸術学科大学院修士課程(博士前期課程)のウェブページへようこそ。

本課程は、芸術分野における理論研究を深めて専門の道に進むための土台となる素養の育成を目的としています。皆さんが学部までの間に蓄積してきた知識や培ってきた思考力を、大学院では研究対象を絞り込むことによって可能な限り深め、入学2年後に修士論文を書くことを最終目標にしています。

ファイン・アートやデザインの理論、時代や国・地域を問わない美術史、現代美術の批評的な視点からの考察、映像や文学、民俗学など幅広いジャンルの理論探究などを対象とした広い視点での研究を可能にしているのが、本学科の大学院の特徴です。

入学後は大学院生それぞれに専任教員が指導のためにつき、一緒に考えながら研究を進めます。専任教員はそれぞれ異なるジャンルのスペシャリストです。教員一人ひとりのメッセージをぜひお読みになって本課程の扉を開き、充実した学究生活へ旅立たれてください。

芸術学科教員一同

※ 入試に関しては下記のURLを参照してください。
http://www.tamabi.ac.jp/admission/exam/gp_master.htm

教員

※ 担当授業は2021年度のものを掲載しています。

安藤 礼二
Ando Reiji

受験生へ
私は文芸批評を行っています。「批評」とは広い意味での解釈学だと思っています。書くためには読まなければならない。創造的に読むことが創造的に書くことにつながる。それが私のモットーです。対象は「文学」ですが、書物だけに限らず、表現が発生してくる現場を人類学や民俗学などのフィールドに探っています。祝祭のなかで人間は自分を超えた世界を垣間見ることができます。さまざまな領域で表現に関心をもつ皆さんを歓迎いたします。

専門分野
文芸評論

担当授業
芸術学Ⅴ
鈴木大拙、西田幾多郎、南方熊楠、柳田國男、折口信夫という五人の思想家の営為をもとに日本近代思想史の可能性を再検討する。宗教、哲学、民俗学という細分化された学問分野に総合を取り戻して、それをさらに現代の現に直結する問題にまで開いてゆくことを意図している。今期は特に折口信夫の代表作を『古代研究』を読み解きながら、考察を進めていきたい。

家村 珠代
Iemura Tamayo

受験生へ
私は、美術展キュレイトリアルの実践を行なっています。
毎年、さまざまな切り口から展覧会を企画していますが、一貫していることは、アーティストと協働して展覧会をつくるということです。明確な役割分担をあらかじめ決めず、「現場」から、その内容の想定を超えたところまで膨らませていく、こうした実践を通して、展覧会やキュレーションの可能性を開いていければと考えています。
こうした現場の体験をもちながら、アーティスト論やアートの動向等を論文のテーマとしていきたいという意欲のある学生と一緒に実践研究ができたらと思っています。

専門分野
キュレーション

担当授業
芸術学Ⅰ
制作/作品/展示を、間口をひろげて探索することで、制作/作品/展示に対する既成概念を外すこと、あるいはずらすことから見えてくる、制作/作品/展示への新たな視点を提示します。

海老塚 耕一
Ebizuka Koichi

受験生へ
「作品を見て考えることが好きな人」が条件です。作品には「内」と「外」があります。外だけを見て楽しむのではなく、作品の扉を開き、内側に入り込み、あたかもそこで生活するかのように作品と接することができる人とともに考えていきたいということですね。そして、自分自身が傷つくことと分からないということを大切にする人であってもほしい。そう、上手くいくことより障害を好む人たちと研究を進めていきたいと思います。

専門分野
現代美術・芸術表現・鑑賞教育

担当授業
芸術学Ⅱ
多様化し複雑化する現代のさまざまな造形作品の諸形態や造形運動の表現基盤、動向を概観し、また社会の中でのそれらの作品や運動の位置づけを行い、作品の発表形式を分析する。

現代美術特論
「現代美術」は多様な戦略のなかで生きてきましたが、現在、その本質をひとつの論理で語ることには無理があるでしょう。
そのような状況のなかでも美術の歴史は脈々と構築され続けています。では、そこに存在する思想・表現原理とはどのようなものなのか?という疑問詞を呈示し、詮索を続けていくしかない現在、このかけがえのない混乱の時をそれぞれが自覚し、美術を目指すことが必要です。
新たな、そして実践的な創造のために幾人かの講師とともにゼミ形式で考えていきます。

※海老塚教授は2021年度末をもち退任いたします。

大島 徹也
Oshima Tetsuya

受験生へ
美術史、あるいは美術を中心とした芸術学や博物館学などを研究する人を受け入れています。特に美術館学芸員や研究者の育成に力を入れていますが、それに限りません。美術史を学んだ経験を活かして社会で活躍したいと考えている人を歓迎します。基礎として、美術館や画廊を訪れて作品現物に積極的に接することと、文献を渉猟して丁寧に読み込んでいくことが重要です。また、作家との対話やアトリエ訪問なども、大切かつ楽しいものです。

専門分野
近・現代美術史

担当授業
芸術学Ⅷ―美術と戦争―
戦争(あるいは、戦争へと向かってゆく国家・社会の歩みや、東西冷戦の状況)は、美術に対してどのような影響を及ぼしたのか。また逆に、その時美術は戦争に対して何をなしたのか、あるいは、何をなしえなかったのか。特に20世紀における美術と戦争の関わりについて、さまざまな角度から考察する。

美術史Ⅰ―抽象表現主義―
第二次世界大戦直後のニューヨークに登場し現代美術の出発点となった抽象表現主義に焦点を当て、その流派/動向をさまざまな角度から考察する。

小川 敦生
Ogawa Atsuo

受験生へ
私は前職の美術記者時代に「情報は足で稼げ」と多くの先輩記者に教えられ、全国を駆け回りました。旅は多くの刺激をもたらし、歩くことは脳を活性化します。美術研究の基本は、まず作品の実物を見ること。ここでも「足で稼ぐ」フィールドワークは大きく物を言います。本学でも、頭だけでなく足を使うアクティブな大学院生の研究ぶりを見るのを何よりも楽しみにしています。

専門分野
ジャーナリズム

担当授業
芸術学Ⅶ―芸術の発生と変容―
芸術はいかにして発生するか。またいかにして変容するか。ジャーナリズムの視点を踏まえて多角的に考察する。

金沢 百枝
Kanazawa Momoe

受験生へ
私は中世美術史が専門です。とくにロマネスク美術を専門にしているので、キリスト教図像学や建築などについても調べています。西洋美術史といっても、まだ十分に研究されていない分野も多いように思います。モノとしっかりと向き合い、それをどのように歴史のなかに位置づけるのか。史料を精読するとともに、見るセンスを磨くためにはどうしたら良いのか、開かれた世界は広大です。ともに歩みましょう。

専門分野
西洋中世美術史・キリスト教図像学

担当授業
芸術学Ⅵ―図像学演習(キリスト教図像学と神話図像)―
19世紀以前の絵画を理解するためには、図像学の知識が必須です。この授業では、キリスト教図像学や神話図像の調査法とともに、図像の扱い方を学びます。図像資料の集め方、論文を書く時の作法、図像の扱い方など、論文購読と課題作成などを交えながら、美術史系論文の書き方を学び、ブラッシュアップする授業です。場合によっては、日本語文献、英語文献、フランス語文献の購読を行います。とはいえ、集まってくださった履修者の研究対象にもよりますので、しなやかに対応してゆくつもりです。

金子 遊
Kaneko Yu

受験生へ
わたしは映像作家・放送作家を経て、映像・映画についての文章を書く批評家になりました。自分の手を動かして映像製作をしてきた経験が、映像作品を精緻に分析し、研究することに役立っています。まわりに実作者が多くいるなかで、芸術学の研究を進められる環境は他大学にはない特徴です。作品が制作される現場でもあるキャンパスで、ともに研究の道を歩んでいきましょう。

専門分野
映像理論・映像人類学

担当授業
芸術学Ⅲ―マイケル・タウシグを読む―
文化人類学的なエッセイを読みながら、作品をつくること/作品がつくられることについて、深く思考するトレーニングをする。
担当教員が共訳したマイケル・タウシグ著『ヴァルター・ベンヤミンの墓標』を一章ずつ、みなでディスカッションしながら精読していく。
哲学的なタイトルの書籍だが、その中身はスペイン、南米コロンビア、アマゾン、アフリカなどを旅しながら、呪術やアニミズム、美しさや暴力について考えていく、ビートニクの小説のように読めるワクワクする一冊。
必要であれば、その都度タウシグの過去の著作や、隣接する分野の専門書も参照していく。

木下 京子
Kinoshita Kyoko

受験生へ
本学着任前はアメリカの美術館で日本美術の学芸員をしていました。
歴史も文化も社会制度もあらゆることが異なる地で日本美術の展覧会や日本文化の普及に携わることには様々な葛藤がありましたが、けれども海外にいることでアジアの一国として日本を捉えることができ、自国について新たな見識を持つことができたと思います。
研究を進めるには、異なる視点を持ちながら柔軟に思考することが重要です。
自分自身の感性を大切にして、自身の置かれた環境を楽しみながら、共に研究活動に勤しみましょう。

専門分野
日本美術史・文化史

担当授業
美術史Ⅳ
自分の思ったことや感じたことを、自身の考えとして深化させること。形にすること。
自分の思いや考えを他者(本ゼミの履修者)に伝えること、表現にすること、文章にすること。
究極的には自己と対峙すること。

光田由里
Mitsuda Yuri

受験生へ
これまで学芸員として、作家や関係者にアクセスするほか、未知の資料を自分で発掘し読み取りながら、作品を多面的に記録していく体験に魅力を感じてきました。美術大学だからこその、ネット上にない学びを体験しませんか。

専門分野
20世紀日本の前衛美術史・批評史と芸術写真。

担当授業
アーカイヴ特殊研究
本校のアートアーカイヴセンター所蔵の多様な一次資料を使って、資料の調査、リスト化などを経験しながら、物から何をどのように読み取るかを実践的に学びましょう。

諸川 春樹
Morokawa Haruki

受験生へ
大学時代、文学部の専攻を選択することになった時、どうせなら美しいものを見て卒業したいと思った。そう、美術史。目の前にある作品から、制作当時の社会や文化を調べるという文化学だ。これがなにしろ面白い。歴史はもとより政治・経済・地理、宗教学、哲学、さらには数学や天文学などいろいろな学とつきあうことにもなった。というわけで、あれから40年以上、いまだ飽きずに美術史研究者を続けている。

専門分野
西洋美術史

担当授業
美術史Ⅲ―弱点克服!英語も西洋美術も「大丈夫」(聖書編)―
比較的平易な英語で書かれた西洋美術の主題に関する本を輪読しながら、西洋美術の宗教的主題や神話的主題について理解を深めます。

美術史Ⅴ―弱点克服!英語も西洋美術も「大丈夫」(ギリシャ・ローマ神話編)―
比較的平易な英語で書かれた西洋美術の主題に関する本を輪読しながら、西洋美術に登場するギリシャ・ローマ神話の主題について理解を深めます。



論文

大学院芸術学専攻では、修了論文指導教員から個別に指導を受け、また調査・研究をすすめながら40,000字以上の修士論文を執筆します。
また、年に数回、プレゼンテーションと質疑応答を行ったり、論考の提出があります。

※ 過去5年間の修士論文タイトルを掲載しています。

2020年度

  • 魯迅思想における『域外小説集』装幀の研究
  • 球体関節が人形の身体にもたらすもの―四谷シモンの人形と澁澤龍彦の『人形愛序説』の分析を軸とした考察―
  • 「非場所的な美術館」―ザ・ヴァーチャル美術館の形成、展開と意義―
  • 1986年前後の砂澤ビッキ作品の制作とその背景について――「⾵雪という名の鑿」の解釈を巡って――
  • 多重混交モデルにおける死⾓と遍在――非−認識的コレスポンダンスの考察――

2019年度

  • バンクシーのストリート・アート作品の分析、及び美術史的コンテキストでの位置付けについての考察
  • 重源の構想した礼拝空間における超越的力の顕現
  • 「瀟湘八景図屏風」と狩野尚信――東京国立博物館蔵狩野尚信筆「瀟湘八景図屏風」を中心に――

2018年度

  • 太宰治『人間失格』論
  • 《空相》と「空相」の背後の意味とその間の関連
  • 文学作品における「幼さ」の性質――『ずっとお城で暮らしてる』を軸として――
  • 古代女神像における「ドラム」の造形表象――循環する「死」と「生」――

2017年度

  • 古井由吉の「無音」の主題について――『聖耳』『白暗淵』を中心に――
  • 現代「日本画」の可能性――松井冬子の場合――
  • 全和凰の芸術――「太陽」に関する一考察――
  • 台湾原住民セデック族に関する研究――繋がれた歴史と現在――

2016年度

  • デイヴィット・ホックニーの視覚世界――映画そして映像表現をめぐって――
  • インドネシアと日本のワヤン・クリに蔭る共通の世界観考――揺らめく祖霊たちの教理――
  • 空の領土化――菅木志雄作品の存在論――
  • 境界線上を歩く――フランシス・アリスの作品における線の表現について――
  • 河原温――その日本時代の批評的言説の分析――



出版

大学院芸術学専攻では、1年生を中心に、研究誌『Subject』を毎年発行しています。
『Subject』は主催するイベントの報告や、自由にテーマを設けた論考・国内外の展覧会レビュー・インタビュー、1・2年生の研究報告からなり、編集なども学生が行います。

※ 過去5年間の目次を掲載しています。

Subject’20

論考
◎ 鉄道の車窓景観における地域認識に関する考察——多摩ニュータウン路線におけるフィールドワークから——
◎ モアイに至るまで——ラパ・ヌイ人の起源

研究報告
◎ 2020年度 修了論文要旨(博士前期課程2年)
◎ 2020年度 修了論文中間報告(博士前期課程1年)

Subject’19

特集
◎ トークイベント「Making――人ならざるものと かたちづくること――」

論考
◎ 武満徹と図形楽譜――『リング』から考察する図形楽譜の性質――
◎ 地域美術館の「ブランド」活性化について――島根県立美術館や青森県立美術館の考察を含めて――
◎ 砂澤ビッキ作品とトーテムポール――「トーテムポール的」砂澤ビッキ作品を巡って――
◎ 人ならざるものとの共同制作はマウンドである――コレスポンダンスにおける非認識的領域の考察――

研究報告
◎ 2019年度 修了論文要旨(博士前期課程2年)
◎ 2019年度 修了論文中間報告(博士前期課程1年)

Subject’18

特集
◎ オープンキャンパスイベント「生の芸術の捉え方――みずのきと考えるアール・ブリュット――」ゲスト:奥山理子

論考
◎ 東大寺南大門金剛力士像に見る礼拝空間の形成
◎ ストリートアートの定義
◎ 「瀟湘八景図」に見られる「気」――雪村筆『瀟湘八景図屏風』を中心に――

研究報告
◎ 平成30年度 修了論文要旨(修士課程2年)

Subject’17

特集
オープンキャンパスイベント「音響×彫刻――奏でるアート作品『波紋音(はもん)』――」ゲスト:永田砂知子

論考
◎ 太宰治を読む女性たち――現代女性作家の選ぶ太宰作品に関する考察――
◎ 「老子」に於ける「死」に関する意義の関連
◎ 言語それぞれの特質を用いた文章執筆について
◎ 「呪力」としてのドラム――古代女神崇拝とシャーマニズム――

研究報告
◎ 平成29年度 修了論文要旨(修士課程2年)
◎ 平成29年度 修了論文中間報告(修士課程1年)

Subject’16

特集
◎ オープンキャンパスイベント「震災とアート」ゲスト:窪田研二×山内宏泰

論考
◎ 島崎藤村『新生』における「リアリズムの手法」について
◎ TOOKYO MILKY WAY特別企画「Nokto」展について
◎ 現代「日本画」の様相
◎ 台灣独立音楽と政治の間――台湾のメタルバンド「ソニック」を例にして――

研究報告
◎ 平成28年度 修了論文要旨(修士課程2年)
◎ 平成28年度 修了論文中間報告(修士課程1年)



企画

大学院芸術学専攻では、1年生を中心にゲスト講師などの方を招いてイベントの企画を行います。

※ 過去5年間のイベント概要を掲載しています。

2019年度

Making――人ならざるものと かたちづくること――

ゲスト:平倉圭(横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院Y-GSC准教授)× 金子遊(本学芸術学科准教授)
日時 :2019年9月27日(金)13:10〜16:00(13:00開場)
会場 :多摩美術大学八王子キャンパス 情報デザイン棟・芸術学棟3階 25-311教室
企画 :多摩美術大学大学院 芸術学専攻芸術学研究領域

2018年度

生の芸術の捉え方――みずのきと考えるアール・ブリュット――

ゲスト:奥山理子(みずのき美術館キュレーター)
日時 :2018年7月15日(日)13:00〜15:00(12:40開場)
会場 :多摩美術大学八王子キャンパス 情報デザイン棟・芸術学棟3階 25-312教室
企画 :多摩美術大学大学院 芸術学専攻芸術学研究領域

2017年度

音響 × 彫刻――奏でるアート作品「波紋音(はもん)」――

ゲスト:永田砂知子(打楽器奏者)
日時 :2017年7月16日(日)13:30〜15:30(13:00開場)
会場 :多摩美術大学八王子キャンパス 情報デザイン棟・芸術学棟3階 25-312教室
企画 :多摩美術大学大学院 芸術学専攻芸術学研究領域

2016年度

震災とアート

ゲスト:窪田研二(インディペンデントキュレーター)× 山内宏泰(リアス・アーク美術館学芸員・学芸係長)
日時 :2016年7月17日(日)14:00開演(13:30開場)
会場 :多摩美術大学八王子キャンパス 情報デザイン棟・芸術学棟3階 25-312教室
企画 :多摩美術大学大学院 芸術学専攻芸術学研究領域

2015年度

Collection□History――美術館コレクションから見る美術史のかたち――

ゲスト:鎮西芳美(東京都現代美術館学芸員)× 桝田倫広(東京国立近代美術館研究員)
日時 :2015年7月19日(日)14:00〜15:30(13:30開場)
会場 :多摩美術大学八王子キャンパス 情報デザイン棟・芸術学棟3階 25-312教室
企画 :多摩美術大学大学院 芸術学専攻芸術学研究領域