安藤礼二所員が2008年に上梓した『光の曼荼羅 日本文学論』を底本とし、
著者自身の校正を加え文庫化され、2016年4月8日に講談社文芸文庫より発行されました。
埴谷雄高、稲垣足穂、南方熊楠、江戸川乱歩、中井英夫ら「死者たちのための文学」を紡ぐ表現者の連なりを描き出す第一部「宇宙的なるものの系譜」。
折口信夫の謎めく作品『死者の書』と関連資料を綿密に読み込み、物語の核心と新たな折口像を刺戟的に提示する第二部「光の曼陀羅」。
『死者の書』を起点に、特異な文学者の稜線を照射する気宇壮大な評論集。
大江健三郎賞、伊藤整文学賞受賞。
「古典となっている作品を論じているものではあるが、この世界的なアクチュアリティはどうだろう!
そして私は『光の曼陀羅 日本文学論』を再読し、新しい小説作品(おおいに演劇とも結んでいるものに注目しているのでもある)と批評を選ぶこの賞に、これだけ散文を読む喜びと刺戟に満ちている文章の書き手に加わってもらえないか、と考えた次第です。」
――「大江健三郎賞選評」より――