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ひとにとって「つくる」「つかう」「みる」という所作はどのような意味をもつのだろうか。また、美とはなにか。本部門では、西洋的な「美の基準」の外から美の境界領域を探索する。
たとえば、ヨーロッパの「美の基準」が生まれる前にひろがった「ロマネスク美術」(11世紀から12世紀の美術)。地域的にも時代的にもヨーロッパの「美の基準」外にあるスキタイやアステカ。ヨーロッパの古層のケルトやサルデーニャ先史文化ヌラーゲ。キリスト教以前の北方文化ヴァイキングやペルミの美。西洋的美の基準の外にあるこうした美は、どのように西洋と接し、受容されていったのか。
一方、工芸は、西欧においては芸術(Fine Art)と区別されてきた歴史をもつ。しかし、ひとがはじめて作ったのは道具であり、美術だった。先史時代から現代までの器や道具、そして美は、明らかに「ひと」にとって何らかの「効果」をもたらす行為者(Agency)といえるだろう。教会建築に施された彫刻が見る者に強く訴えかけるように、ひとは自らをとりまくモノたちの「声」に耳を傾けなければならない。その言葉に耳を澄ますことを、「行為の詩学」としたい。