環境デザインの入学試験(実技)は「ものと空間の関係」を意識した造形ができるかどうかが重要です。
また実物ができる前に、その空間をイメージして人に伝える事が求められます。
鉛筆デッサンの試験では空間を創造するための基礎的な能力や適性を判断します。
そしてそれは環境デザインの仕事へ続く第一歩でもあります。
一般方式 募集人員35名
鉛筆デッサン(5時間) 300点
国語(100点)/英語(100点)
センターT方式 募集人員15名
鉛筆デッサン(5時間) 200点
6教科27科目から2教科2科目を選択 各100点
センターU方式 募集人員15名
数T・数A 100点
数U・数B 100点
物理・化学・生物・地学から1科目を選択 100点
国語(近代以降の文章のみを評価)・英語・ドイツ語・
フランス語・中国語・韓国語から1科目選択 100点
推薦入試 募集人員15名
小論文、空間デザイン(5時間)、プレゼンテーション面接
特別入試 募集人員若干名
小論文、鉛筆デッサン(3時間)、面接
床に紙袋が置かれている。
紙袋6個以上を使い、 立体構成した状態を想定し、 鉛筆デッサンしなさい。
紙袋の外形寸法:幅50cm、奥行30cm、 高さ65cm
環境デザインの対象となるのは、身の周りの小さなスケールから、都市のような大きなスケールまでさまざまです。つまり単体だけではなく、複数の関係を空間的に思考することが必要となります。 環境デザインの領域では、スケッチや図面といった「想定表現」が重要になってきますので、その基本的な表現力をみるため、実物のモチーフを目の前にした「立体構成の想定デッサン」としています。「教室内観は描かない」としているのは、空間の奥行や広がりを感じさせる背景も大切ですが、より作者の立体構成力(空間表現力)を評価するためです。 採点のポイントとしては、問題文にモチーフの大きさが示されており、縦横寸法の関係を考え、立体構成の基準として把握しているかを最初に評価します。紙袋自体にも内側と外側という空間がありますが、それらの関係、つまり空間構成が意図されているかがポイントになります。構図や目線によるパースペクティヴな高さや、奥行表現がされていることが重要です。試験会場の空間をはみ出すほどの大きな構成も見られ、それも意欲的で目に留まりますが、既定の数を満たしていれば優劣はありません。そして立体構成が置かれている床の存在と、光と影の表現、モチーフの素材感が最終的な評価につながりました。
環境デザインでは、空間を把握し創造できる力が求められますが、一方で多様な視点が必要であり、美術系に限らずさまざまな分野のなかに、その適性をもっている人がいると考えています。実技試験の「空間デザイン」は、表現テクニックだけを評価するものではありません。与えられた条件を理解したうえで、空間として構成し、造形する力を総合的に評価します。さらに「プレゼンテーション面接」では、実技試験で制作した作品について、その答えを出した主旨をわかりやすく説明する能力を見ます。「小論文」は、与えられたテーマに対して自分の考えをもつことと、それを簡潔に表現する力を見ます。
ハガキ大のケント紙(2枚)と紙袋(1枚)を用いて自由に立体構成し、台紙(A4ボード)の上に置いた状態を、デッサン用紙(B3ボード)に鉛筆デッサンしなさい。
特別入試の空間デザインの試験は、空間を創造する構成力とデッサン力を見るもので、技術的に特別な練習を重ねないとできない出題ではありません。出題条件に対して何を考え、どのような効果を意図したのか、そしてその意図が表現されているかが重要です。作品の独創性もさることながら、与えられた素材を生かした構成となっていることが大切です。面接試験では「多摩美の環境デザインを選んだ理由」「学びたいと思っていること」「将来の目標」など、いくつかの質問を通して、空間的な資質と、創作意欲を感じられるかを判断します。※外国人留学生は入学後に必要な、日本語での会話力と理解力を有していることが求められます。