公開研究会『大菩薩峠の未成性』

講師 野口良平(芸術人類学研究所特別研究員)

2013年12月6日(金)14:40〜

多摩美術大学芸術人類学研究所(メディアセンター4階)

『大菩薩峠』表紙

 

報告趣旨:

今からちょうど100年前の1913(大正2)年、中里介山による未完の長編小説『大菩薩峠』が、『都新聞』紙上に連載され始めました。この小説の可能性を、「未成性」というキーワードのもとに考えてみたいというのが、この報告の趣旨です。理由なき殺人者から温泉に籠って動かなくなる主人公、机龍之介の変貌を中心に、現行版と『都新聞』版の比較、絵入りの創作ノート『人情風俗』、重要なエッセー「親様」、日本近代文学館成田分館に所蔵されている蔵書「中里介山文庫」への書き込みなどを踏まえながら、この小説が9.11アメリカ同時多発テロ事件、3.11東日本大震災、福島第一原発事故以後の21世紀に生きる私たちに放つ魅力に、光をあててみたいと思います。

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