概要
2022年に開催した展覧会「UNZEN —— 『平成の島原大変』: 砂守勝巳と満行豊人をめぐって」(会期:6月3日〜18日)にご来場いただいた皆さんへ配布した図録です。
日本列島は、その群島的な特性や複雑な地形などによって古来より多くの自然災害に見舞われてきました。本展では、自然災害とかつてないかたちで直面することとなった平成年間(1989–2019)から、1991年に起きた長崎県島原半島に位置する雲仙・普賢岳の噴火による被災地を記録した写真家・砂守勝巳(1951–2009)の作品と、島原に暮らすなかで噴火による山の変化を記録し、それらの写真をもとに水彩画を描いた元高校教員・満行豊人(1937–)の作品を中心に据えて紹介しました。また、現地に残る「噴火災害の記憶」を伝えるさまざまな資料を加えることで、人類にとって自然災害とはなにか、自然災害によってなにが失われ、なにが残されるのか、その記憶は、芸術・表現を通じてどのように後世に伝えうるかといった、新たな記憶の継承のありかたを模索した内容に多くの反響をいただきました。
砂守勝巳〈雲仙、長崎〉より20点、満行豊人〈雲仙・普賢岳噴火災害の爪痕〉170点を含む、およそ230点以上の展示作品・資料のカラー図版に加え、砂守かずら、松下英爾、飴屋法水による特別寄稿を掲載しています。
目次
火の列島、大地の生理と文明 ——「UNZEN」展に寄せて (椹木野衣)
はじめに
Section 1
砂守勝巳
だれかの思いを受け継ぐということ(砂守かずら)
満行豊人
インタビュー 満行豊人と雲仙・普賢岳噴火災害
Section 2
災害資料
Section 3
寛政の島原大変
Section 4
「定点」
災害の記憶を〈記録〉し、伝える!ということ(松下英爾)
UNZENへ(飴屋法水)
[資料編]
島原半島の火山/噴火/災害 関連地図
平成の島原大変 関連年表
噴火災害記憶の継承 関係資料
主要参考文献
作品リスト
Introduction / Text for Sections
発行:多摩美術大学 芸術人類学研究所(IAA)
監修:椹木野衣
執筆:椹木野衣、砂守かずら、松下英爾、飴屋法水、大友真希
編集:大友真希、有馬智子
翻訳:エリック・セランド
撮影:砂守かずら(pp.82–95)
デザイン:尾崎房
発行日:2022年6月3日
製本・ページ数:ソフトカバー、146頁
サイズ:155×217×12(mm)
*本図録に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
図録をお持ちの方は、以下の最新の正誤表をダウンロードしてご利用ください。
正誤表(2022年6月14日版)
*本図録の配布は終了しました。芸術人類学研究所または以下の図書館で閲覧可能です。
多摩美術大学図書館
国立国会図書館
配布終了
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