縺れのデザイン

港千尋

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わたしたちの時代は、根底から変わる局面を迎えているように見える。本部門は、東日本大震災と放射能汚染を含む複合災害により、社会活動の異なる分野が複雑に絡み合う状態が露呈したことを受けて開始した。大災害から10年目になろうとする矢先、2020年は新型コロナウイルスの世界的流行によって、惑星的複合災害の時代に入った。これからは長期にわたり、ウイルスの感染可能性を織り込んだうえでの、社会と文化のあり方を考えていかなければならない。与えられた条件との相互的な影響を考えながら、最適な解を見つけ出すのがデザインならば、ウイルスと人間は、そのあいだにある無数の階層を通して、相互的にデザインし続けるとも言えるだろうか。ひきつづき本部門ではますます精密化し、複雑化し、そして予測が難しくなってゆく文明のなかで、さまざまな関係性の考察をとおして、デザインとアートの可能性を探りたいと考えている。

Art Anthropology 16号《縺れのデザイン》

イコン・パノプティコン・ディスタンス/港 千尋

 


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