1990 Clay Rush

update:2020/11/21

<1990 Clay Rush>

<1990 Clay Rush>

本展覧会は、工芸学科・陶プログラム教授の井上雅之先生が参加されます。

<1990 Clay Rush>

【展示情報】
開催期日:11月27日(金) 〜 12月26日(土)
営業時間:11:00 - 19:00
休廊日 :日曜日・祝日
開催場所:〒104-0061 東京都中央区銀座1-15-14 水野ビル4F
     中町小西

【参加作家】
鯉江良二、小川待子、深見陶治、十五代樂吉左衞門、隠﨑隆一、秋山陽、井上雅之


「現代陶芸 1990 年 七人の作家」

 今回の出品作家で最年⻑となる鯉江良二は終戦を 7 歳で迎えており、小川、深見、樂、隠 﨑は 1947 年から 49 年の戦後ベビーブームとその前後に生まれ、秋山と井上はそこから少 しずつ年が離れている。日本の目覚ましい経済中心の復興と冷戦下における世界情勢の緊張 と変動、それに伴う価値観の変化の下に育つが僅かな年齢差でも時代の受け取り方は異なる であろう。世代も、制作におけるバックボーンも違う七人であるが、いずれも 1990 年前後 には既に自身の作風を確立する、もしくはその後の展開を指し示す作品を発表し、現代の日 本の陶芸界を牽引してきた作家たちである。中⻑小⻄オーナーの小⻄哲哉にとっては、自身 が水戶忠交易で修業を始める 90 年代には活躍していた作家たちであり、現在までその動向を追ってきた七人ということであろう。
(…中略…)
 当然のことであるが、七人の仕事は異なる。展覧会タイトルにある「Clay」という言葉からは、1980 年代から 90 年代初めに多くの展示によって提起された「クレイワーク」を連想 させる感もあるが、本展出品作家の制作には初めからそこに含まれないものもあり、また現 在の陶芸作品を「クレイワーク」という枠組みで語られることがなくなっている背景や定義 そのものを再検討する必要を考えると、「クレイワーク」の挑戦や活況を通してこの時代を 捉えようということではなく、「Clay」という言葉を通して当時の陶芸界の熱気を思い起こさ せようというのが企画者の意図なのだろうと思われる。ただ、七人の制作を当時の作品から 概観すると、戦後以降、陶芸の解釈や可能性を拡大させる流れが存在する中で、それぞれの 制作者がいつ、どの場所からどのように土を素材に制作を始め、その流れにどのように関わ っていくのか、また距離を取るのか、そのスタンスは興味深い。そして、約 30 年前の作品 を通し、それぞれが現在に至るまでに歩んできた道程を想う。

- 島崎慶子(菊池寛実記念 智美術館 主任学芸員) -

http://www.nakachokonishi.com/jp/exhibitions/clayrush2020/clayrush2020.html