10 5月 

EVENT REPORT@「Material Experimental Workshop」開催

Posted by CMTEL  |  2021/05/10 13:29

こんにちは、CMTELです。5月6日(木)に、マテリアルメーカーにお越しいただいての「ワークショップ説明会」を開催しました。

スエード調人工皮革Ultrasuede®を製造している東レ株式会社(敬称略)にお越しいただき、提供いただく素材について説明していただきました。製品に関して詳細はこちらから(CMTELの過去のブログ記事

今回のワークショップは生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻・テキスタイル専攻の学部3・4年生、院1・院2年生が対象で、全3回を予定しています。ご提供いただいた素材を用いて自由に実験・探究し、最後には知識や経験を発表・共有する場としてこのワークショップは開催されます。

 

【ワークショップの流れ】

第一回 説明会(5月6日実施)
東レ様により、素材の説明会
●第二回 中間報告(5月27日実施予定)
●第三回 成果報告(6月23日実施予定)
実験したこと、探求したことをみなで共有する報告会

 

【説明会の様子】

会社紹介とUltrasuede®製品説明
Ultrasuede®の特徴や歴史・製品への採用事例を、講義形式でご紹介いただきました。


製品サンプルなども多数ご用意いただきました。

 

卒業生による前年度の取り組みについて
2020年テキスタイルデザイン専攻卒の竹内瑠奈さんから、Ultrasuede®を使用したご自身の卒業制作についてお話しいただきました。

 

現在CMTELではMaterial Experimental Workshop開催に合わせ、Ultrasuede®を使った卒業制作作品を4点展示しています。
今回発表していただいた竹内瑠奈さんの作品も展示中ですので、ぜひご来館ください。

 

27 4月 

こんにちは、CMTELです。今回のブログは、2018年9月からスタートした、2018年度の卒業制作へむけての素材提供を前提とした取り組みの後半レポートで、実際に参加学生の卒業制作作品をご紹介します。前半レポートではこの取り組みの最初に行なった「マテリアル説明会」の様子をまとめています。

提供素材は東レ株式会社(敬称略)のスエード調人工皮革Ultrasuede®。製品に関して詳細はこちらからどうぞ。(CMTELの過去のブログ記事


なおこの取り組みの対象は多摩美術大学生産デザイン学科(プロダクトデザイン専攻・テキスタイルデザイン専攻)4年生・院2年生となっています。CMTELでも初めてのこの試みに参加したのは、計4名(プロダクトデザイン専攻3名、テキスタイルデザイン専攻1名)でした。

それでは早速皆さんの作品を見ていきましょう。

 

【「へんてこアニマル」覚野翔大(多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻4年 2018年度卒業)
ハニカムから生まれたあそびどうぐの提案
私が考えるあそびどうぐのコンセプトは、思わず触ってみたくなる・無意識にガシガシ動かしてみたくなる・直感で遊びたくなるような「あそんじゃうデザイン」です。遊び方をあらかじめ備えた玩具のように限られたルールに縛られることなく、もっと自由自在に変形して同じ物でも見え方が違って見えたりするフレキシブルな「伸びる・広げる・身につける」へんてこなあそびどうぐをデザインしました。


思いもよらないへんてこなあそびかた

へんてこアニマルのデザインは「うさぎ・はりねずみ・いぬ」の3種類。実際に検証モデルを使った学童でのリサーチを行い、子ども達の遊ぶ様子を観察しました。思いもよらない遊び方を展開する子どもたちの様子から得られた発見も制作に活かしました。

今回の取り組みに参加した感想
当初はフェルトで作る予定でしたが検証したところ、厚さの問題や、マジックテープによって表面が毛羽立ってしまう点、重量の面で現実的ではないということがわかりました。一方Ultrasuede®は、マジックテープと組み合わせても毛羽立ちが気にならず、しかも軽量で子どものためのツールを作るには適材でした。カラーも上品かつ豊富で、目にも楽しいあそびどうぐになりました。

ハニカムのピッチ構造によって、伸び方を長くしたり短くしたり調整できるということがわかりました。この検証には実際に使う素材がたくさん必要になるのですが、今回は提供していただいたおかげで納得できるまで実験ができてありがたかったです。

 

【「頭上でものを運ぶかたち」大平夢(多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻4年 2018年度卒業)
『身体を使ってものを運ぶ』をもっと楽しむために、鞄の新しい可能性を考える
バックパック、ショルダーバッグ、トートバッグ…。毎日荷物を運ぶために私たちは様々なスタイルの鞄を使い分けます。このことをもっと楽しんで、ワクワクしてほしい。そこで今ある運び方のスタイルではない、頭上運搬を研究することで新しい可能性を探ることにしました。現代人の身体で、安定した頭上運搬をするためにはどのような形が良いのか。専門機関の協力を得て試作品を持ち込み、動作分析も行なってもらいました。

今回の取り組みに参加した感想
裁断にはレーザー加工機を使用しました、Ultrasuede®と相性が良く加工がしやすかったです。鞄を立体的に立ち上げるための構造体(樹脂製の形状維持線材)を表面に縫い込みましたが、布に適度な伸縮性があるので綺麗に仕上げることができました。また、Ultrasuede®は切った面がほつれないため、突き合わせ縫いに向いていて、黒い作品の方では突き合わせ縫いを活かした形状にデザインすることができました。

 

【「FLEXIBLE FURNITURE」越出つばさ(多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻4年 2018年度卒業)
簡単な仕組みからなる家具の研究
折り畳むことで一枚の板のようになる家具。本の装丁に用いられている布ヒンジの構造を家具に採り入れることで、板材とUltrasuede®を貼り合わせるだけの簡単な仕組みでつくり上げました。大掛かりな製造設備のないところでもつくれるシンプルな生産プロセスを意識し、収納性や運搬性の向上を考慮しながら、新しい人と家具の関係性を描こうと試みました。

Flat shelf
棚板部分を折り畳んで収納すると、一枚の板のようになる棚。フラッシュ構造※を使用したシンプルなパーツ構成でつくられており、軽く耐久性も高いです。

※フラッシュ構造:木で枠を組み両面に板を貼った構造で、見た目は一枚の板のような仕上がりになる。板の内部に空洞ができるため軽量であり、板材の反りも抑えられる。大量生産の際にも材料制約が少なく、安くつくれることがその大きな特徴。


Flat partition
折り畳んで収納すると一枚の板のようになるパーテーション。シナ合板をレーザーカット加工したパーツとUltrasuede®を接着し、端面を整えるだけでできるため、シンプルな生産プロセスでコストも低く抑えることができます。

今回の取り組みに参加した感想
木材とUltrasuede®を3層重ねて一枚の板状に接着してから、パネルソー(木材やプラスチックなどの板をカットする工作機械)で一度に切断をしてみたところ、断面を綺麗にカットできることがわかりました。シート状のフェルトを用いて同じ加工を試みましたが、切断面のフェルトが綺麗にカットできず、ボサボサになりました。Ultrasuede®と木材との加工の相性は良いと感じました。またUltrasuede®は適度な伸縮性があるので、ヒンジ(蝶番)※を用いた可動性のある家具やプロダクトに活用できるのではないかと思いました。

※ヒンジ(蝶番):開き戸・開き蓋などの開く建具を支え、開閉できるようにする部品のこと

Flat partitionの断面の様子

 

【「Primitive beauty」厳悦(多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻4年 2018年度卒業)
レニ・リーフェンシュタールの写真集「The Last of  the Nuba」から着想を得て現代女性のための衣服を作成しました。アフリカ、スーダンの自然の中で人々が草木を身にまとい土や身体構造で肌を装飾する姿に人間の原始的な美しさを感じました。素材には綿やウール、スエードなど自然を感じさせる素材を使い、柄の意匠は動物やスカリフィケーション※をモチーフにしています。コンクリートに囲まれた都会の街中でも、生命力にあふれ力強く生きる女性像を表現しました。
※スカリフィケーション:身体装飾の一種で、皮膚に切れ込みや焼灼を行った際に形成されるケロイドを利用して肉体に文様を描くもの



今回の取り組みに参加した感想
今回はUltrasuede®を使って「織り」「箔の転写」を行いました。「織り」では、Ultrasuede®を細い幅でうろこが横向きにつながったようなかたちにカットし、織物の横糸として使用しました。表面・断面共に手触りが良く、柔らかな感触の織物ができました。

「箔の転写」においては、Ultrasuede®と箔の相性があるように感じたので、様々な組み合わせでどのような質感になるか実験をする重要性を感じました。薄手の品番LXはしっかりとしたプリーツ加工をすることもでき、動きが加わると面白い表情を見せるテキスタイルになる点が意外な発見でした。

 

 

 

最後に
インテリア、衣服、玩具、鞄と様々な作品が仕上がりました。みなさんの制作で共通して感じたのは作品にUltrasuede®の特徴を驚くほどうまく活かしている点でした。自分の理想とするイメージを実現するために、みなさんの素材を選ぶ力、活かしきる力を見たように思います。

同時に、Ultrasuede®という素材の可能性も強く感じました。上品な質感・用途に合わせて選べる様々な厚み・カラーの豊富さをはじめ、軽量である点・裁ち切りをしてもほつれない点・表面加飾のバリエーションの多さは、作り手にとってどれも魅力的な特徴です。創造の具現化を力強く後押しするUltrasuede®という素材と、作り手との出会いが、作品作りを発展させる一つのきっかけになったのではないでしょうか。

これからもCMTELでは、マテリアルとの出会いを通して、みなさんのインスピレーションを刺激をする機会を提供していきます。

最後に今回の企画で多大なご協力・素材提供をいただいた東レ株式会社 新流通開拓室・ウルトラスエード事業部の皆様に厚く御礼申し上げます。

※今回のイベントは、下記企業様にご協力いただきました。
東レ株式会社

28 2月 

EVENT REPORT@「トレンドセミナー」

Posted by CMTEL  |  2019/02/28 15:21

こんにちは、CMTELです。今回は2019年1月9日に行われた、2020春夏シーズントレンドセミナーのイベントリポートです。

Edelkoort East 株式会社(TREND UNION)様より家安 香氏を講師としてお招きしセミナーを開催。実際にトレンドブックを閲覧しながらトレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。(以下敬称略)

●トレンドブックとは?
社会背景の分析やリサーチを行い、それに基づいて1年半から2年半先のトレンドを予測し作られたブックです。詩的なキーワード、カラー、ヴィジュアルで構成されており、デザインしたり構想を練るために役立つ情報が詰まっています。そしてファブリックサンプルも多数添付されており、実際に触れることができます。インスピレーションの源になる貴重なブックです。

TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
Lidewij Edelkoort
リドヴィッジ・エデルコートを中心として、本拠地のパリでトレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間が本来もつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。

セミナーの様子

1.講義
「トレンドはファッション業界のもの?」
トレンドとは一般的には、次にどんな服や色が流行るかということだったり、とりわけファッション業界のこととして捉えられがちな言葉ですが、TREND UNIONの発信する「トレンド」は違います。TREND UNIONが発信しているのは、純粋に「人(mind/心理欲求)を研究」した結果を核にした未来予測の情報を「トレンド」としています。



トレンド予測は天気予報にも似ている」

トレンド予測のプロセスの解説をするにあたり、会場のスクリーンに登場したのは気象予報図。いうまでもなく、高気圧・低気圧・前線、これから天気がどうなるか予想をするためのものです。高気圧が張り出して前線を押し出すと晴れるエリアが広がるように、それぞれの気象現象は離れたりくっついたり打ち消しあったりと、互いに影響し合い変化します。

天気図(気象庁ホームページより)

実はTREND UNIONの予測もこれと全く同じなのだそうです。現在ある事実を配置し、それぞれの事実が持っている勢力の強度を見ていきます。現在ある事実とは、規模の大小にかかわらず、人々の間で共通して起きている事象をいいます。

例えば「パンケーキが流行っている」「チーズ入りホットドッグをSNSでよく見る」、今起きている「現象」の一つです。ではこの二つの現象の間にある関係性は…?なぜそういうものを人々は求めるのか、現象を単体で認識するだけでは不十分で、現象同士の共通点や意味を考えることが重要です。
身近な食べ物の例をあげましたが、そういったミクロな視点はもちろん、世界の政治経済といったマクロな視点でどんな現象が起きているのかまでを広く見つめ、正しく現象を配置していきます。TREND UNIONで、これをいち早く見つけてくるのはディレクターたち。これがトレンド予測の起点になっていきます。

そしてこの現象同士はそれぞれのパワーバランスによって、長く勢力を維持したり衰退し新しい現象にとって代わられたりと構図を変えていきます。それぞれの勢力の強弱をどう見極めるのかもポイントになりそうですね。


「トレンドの成り立ち」
TREND UNIONでトレンド情報をまとめるにあたって実践している4ステップを今回特別に教えていただきました。図解のプリントも配布、みなさんたくさん書き込んで持ち帰っていました。

① analization of moment
ディレクターやアナリストのアンテナに引っかかった「現在の世の中のムード」、「人々の中で共通しておきている現象」などを集めます。

②mind tendency
その状況がもたらす人のmindの変化を分析。

③translation to action
mindの変化を反映するマーケットのアクションを予測。どういう価値観が求められるか、クリエイティブ層がデザイン・ビジネス展開しやすいキーワードに言葉化する。

④season theme and color
マーケットや商品、地域の多様性をベースに毎回16テーマ分程の小テーマ発表。キーワード・テーマを視覚化するビジュアルを専門職のアイコングラフィストが選定。それをブックにまとめ発行します。

ちなみにブックに使われている写真は、6〜7割は既存の写真(フォトグラファーが撮ったものや雑誌などのもの)です。全て撮り下ろしにしないのは、全て作ると作り物になってしまうから。これからの天気を知るための天気予報図は、現在の事実(高気圧・低気圧の位置や勢力)を元にしています。これと同じように、今世の中に存在する膨大なビジュアルの中から、次の未来を予感させる新しい芽になるような写真をピックアップします。そして残りの数割はオリジナルの撮り下ろしです。ピックアップした写真だけでは伝えきれない行間を補い、写真同士を繋ぐことでより強いメッセージを見る人に与えます。


「2020年春夏のテーマ Folklore(民俗学)
テーマを象徴する16のキーワードを挙げながら、家安氏よりテーマについての解説を行いました。

今、政治をはじめ世界には排他的な主張やムードが漂っています。そして、性・宗教・文化などにおいて「多様性」という言葉が頻繁に叫ばれる時代でもあります。

人類の多様性を認めるにはまず「私たち人類のルーツが同一だということを知る必要があるということ」、そして美しい未来を作る第一歩となるのは、「世界各地の文化には世界でたったひとつのものは存在せず、遠く離れた国同士であってもその文化には共通性があるということを知ること」だという大きなテーマが込められたシーズンでした。

2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上映
今回のセミナーではトレンドのイメージを感覚的に表したオーディオヴィジュアル(音と映像)の上映を行いました。セミナーの会場のみで上映されるムービーでは、美しい写真に合わせて流れる音楽は歌詞もその場面に合ったものを選曲しているのだそう。


3.ブックの閲覧
セミナーでは普段CMTELには無いジャンルを含む計7冊のブックが閲覧可能でした(2019-20秋冬シーズン、最新の2020春夏シーズン)。オーディオヴィジュアルとリンクしているGENERAL TREND、プロダクトやインテリアのヴィジュアルが豊富なLIFESTYLEなど、幅広いジャンルのブックを取り揃えました。


4.質疑応答
講義の終了後、時間の許す限り家安氏に質問をする学生もいました。


今回の参加を逃してしまったという方、2019年度のセミナーにぜひご参加ください。(開催日程は決定次第このブログ・Twitterにてお知らせします)

またCMTELでは常時下記のブック(日本語訳の解説ブックつき)が閲覧できます。豊富な写真と添付してあるファブリックを、ぜひ見に・触りにお越しください。
2017年春夏号 GENERAL TREND
2017-2018年秋冬号 GENERAL TREND
2018年春夏号 ACTIVE WEAR
2018-2019年秋冬号 ACTIVE WEAR
2019年春夏号 GENERAL TREND
2019-2020年秋冬号 GENERAL TREND
2020年春夏号 GENERAL TREND

※今回のセミナーはEdelkoort East 株式会社にご協力いただきました。

31 1月 

こんにちは、CMTELです。今回は、2018年11月26日(月)に開催した「マテリアル説明会」のイベントレポートです。

今回は、ステンレスメッシュを製造しているアサダメッシュ株式会社様(以下敬称略)をお招きしました。極細のステンレス繊維で織られたメッシュは、オーガンジーの様に薄く柔らかくしなやかで、従来の金属のイメージを覆すような存在感です。光との相性も良く、メッシュ越しに光源を見るとプリズムが起こるのも特徴。本来の用途は、フィルターやふるいですが、インスピレーションを刺激する興味深いマテリアルです。

会場ではステンレスメッシュを使った照明「QUARTZ LAMP」や、種類豊富なメッシュを展示。メーカーのご担当者だからこそ知る、製造のプロセスや専門的知識を直接伺える貴重な機会となりました。

【開催概要】

●日 時:2018年11月26日(月)16:20~17:20
●場 所:八王子校舎 メディアセンター2F CMTEL
●ご協力:アサダメッシュ株式会社 林氏 熊田氏
●対 象:多摩美術大学 全学部学科学生

【説明会の様子】
ステンレスとは?
「ステンレス」とは、Stainless Steel(錆びない・錆びにくい鋼)という意味。鉄を主成分(50%以上)とし、クロムを10.5%以上含む錆びにくい合金。耐食性・耐熱性・加工性・強度に優れています。

アサダメッシュ株式会社では、極細の金属線を用いた様々な細かさの織物を製造しています。その中でももっとも細かいものは「977メッシュ」。世界で一番細かいメッシュとされています。(メッシュ数は細かくなればなるほど数字が大きくなります。茶こしが30メッシュなので、いかに細かいかがわかりますね)

977メッシュがどの位の細かさかというと、1cmの幅の中に髪の毛の1/6の太さのステンレスの糸が384本入っているということになります。とてもミクロなスケールで精巧に織られたメッシュですね。ちなみに、これほど細い繊維を織るにはやはり手間も時間もかかります。製品の中には、24時間かけて織っても50cmしか織れないようなメッシュ(1×1mあたりの価格約60万円程度)もあるのだそう…。

ステンレスメッシュの用途
主に3つの用途で使われています。

①スクリーン印刷
Tシャツや紙への印刷で用いられるシルクスクリーン※と同じ仕組みを用いて、電子部品(積層セラミックコンデンサー)や太陽電池、タッチパネルの印刷にステンレスメッシュが使われています(ステンレスメッシュ自体が部品になるわけではなく、部品を作る印刷の資材として)。

電子部品においては、導電性のインクをプリントし、電子回路などを作ることがあるのですが、プリントが少しでもにじんでしまうと製品にはなりません。また、ステンレスの繊維は伸びないので、印刷精度が高いのも電子部品の印刷に用いられる大きな理由の一つです。
※シルクスクリーンとは…印刷技法の一種。メッシュ状の版に孔(あな)をつくり、孔の部分にのみインクを通してプリントをする方法。

②ふるい
様々な粉のふるい分けにもメッシュは使われています。インクが粉状になっている「トナー式」と呼ばれるレーザープリンターのインクも、ふるいにかけられ、粒子の細かさを均一にするプロセスを経て製品となります。

③フィルターでの濾過(ろか)
船舶や車両の中のフィルターとしてステンレスメッシュが使われています。製造後のこまめなフィルター交換が難しい工業製品において、ステンレスメッシュの高い耐食性・強度が有用とされています。

ステンレスメッシュの特徴
・均一に穴が開いている
・水、光、空気が通る(=音が通る)
・耐食性がある
・強度がある
・不燃
・溶接が可能(荒いメッシュの場合)
・導電性がある

これに加えて、アサダメッシュ株式会社製品の特徴は以下の通りです。
・軽い
・薄い
・箔のような光沢がある
・オーガンジーのように柔らかい

ステンレスメッシュのメリット・デメリット
メリット

①縫うことができる
ステンレス繊維を薄いシート状に広げ、その上からミシンステッチをかけてシートの形状をキープしています。これ以外にも舞台衣装の素材として、ステンレスメッシュが採用されたことがあるそうです。

②折り紙のように折り目を作ることができる
手で簡単に折り目もつけられます。

③ハサミなどで簡単にカットができる
薄いコピー用紙を切る程度の握力で、簡単にカットが可能です。

④メッシュ越しに光源を見るとプリズムが起きる
ナイロンやポリエチレンなどのメッシュでは起きないのですが、ステンレスのメッシュを通して光を見ると、光が虹色に拡散します。説明会の中では、光源をメッシュ越しに覗く実験も行われました。プリズムの起きている状況が写真では捉えられないのでここには載せていません、気になる方はCMTELでぜひご覧くださいね。

デメリット
①鋭利なものが刺さると裂ける
テンションをかければ、端から手でも裂くことができます。あえて手で裂くことを前提にしたパッケージなど、紙やフィルムの代わりに使用すると面白い作品ができそうです。

②一度跡がついたら取れない(シワになりやすい)
手で伸ばしてもフラットには戻りませんが、くしゃくしゃのメッシュに入ったハイライトも魅力的です。

③何度も折り曲げたりすると金属疲労を起こす

④裁ち落としした部分の繊維が刺さりやすい
繊維自体の太さが大きくなってくると、端に出た繊維が多少チクチクします。

サンプルに触れながらのQ&Aタイム
プロジェクターを使って、メッシュに光を当てる実験を始める参加者も。

メッシュに光を当ててみると、映像は投影されつつ、メッシュの裏側にある物にも透けて二重に映し出されました。光を通すメッシュならではの面白い現象が見られました。また、ステンレスメッシュは水に強いため、屋外の投影での雨の心配がありません。

ブースに展示された様々な細かさのメッシュを手で触って見る学生たち。普段CMTELには置いていないものもご用意いただきました。

ステンレスメッシュをシェードとして用いたQUARTZ LAMP。写真では伝わりづらいのですが、中の光源が乱反射することで複雑な視覚効果を生みます。

今回の説明会でインスピレーションを受け、素材への探究心が刺激された学生もいたようです。学生たちの制作にどのような新たなアイデアが湧き出るかとても楽しみです。

アサダメッシュ株式会社のステンレスメッシュはCMTELにて展示をしており、実際に素材に触ることもできます。今回参加できなかった方もぜひCMTELに足をお運びください。

※今回のイベントは、下記企業様にご協力いただきました。
アサダメッシュ株式会社

18 1月 

こんにちは、CMTELです。

今回は2018年11月13日(火)、14日(水)の二日間で開催したワークショップ、「孔版印刷(シルクスクリーン)を体験しよう!」の当日の様子をご紹介します。

株式会社JAM様(以下敬称略)より辰巳氏・武田氏を特別講師として迎え、シルクスクリーンキットSURIMACCAを用いて製版~プリントまでのプロセスを体験し、初めて触れる方にもシルクスクリーンの技法がより身近となる内容になりました。

また、今年は例年より紙・布用インクでのプリントをじっくり楽しめる構成にしました。

それではワークショップの流れを順に追っていきます。

講義1「孔版印刷(シルクスクリーン)とは」
はじめに講師の方々からシルクスクリーンの起源・変遷、そして版の構造と印刷の仕組みについての講義をしていただきました。(シルクスクリーンについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。)


シルクスクリーンは孔版印刷という印刷方法の一種。メッシュ状の版にインクが通る部分と通らない部分を作ることで、刷りたい図面をTシャツや紙、バッグにプリントすることができる印刷技術です。

SURIMACCAとデジタル製版機
シルクスクリーンで必要なのは(しゃ)とです。従来の方法で作ろうとすると、必要な機材や工程が多く技術が必要とされます。初心者からするとシルクスクリーンを始めるにはなかなか敷居が高いものでした。

そこで株式会社JAMが生み出したのが、冒頭で紹介したシルクスクリーンキット、SURIMACCAです。パーツとパーツを組み合わせることで枠の大きさを自由に変えられ、テクニックが必要な従来の紗張りの作業を格段にやりやすいものにしました。

講師が持っているフィルム状のものが紗です。デジタル製版機(画像内:赤いマシン)を用いることで、手軽に素早く版を出力することが出来ます。この製版機に図面のデータを送信することで、数分ほどで図面の部分だけインクが通るようフィルムに微細な穴を開ける仕組みになっています。

古くからある専用の薬剤を使った製版の方法を知っている参加者からは、あまりの簡単さとスピーディーさに驚きの声が。参加者には各自制作した版データを事前に提出してもらいました。本番ではオリジナルデザインの紗を使ったプリントができます。

準備「枠に紗を張ってみよう」
紗を、枠に張っていきます。今回はSサイズの枠(プリント範囲 19×19㎝)を使用。

張る時に使用するものは、キット付属のゴムチューブローラーです。チューブを枠の4辺にある溝へ押し込んでいきます。一辺ずつ、少しずつローラーでゴムを奥まで押し込むことで、満遍なく紗にテンションが加わり、ピンと張った状態で綺麗に張り上がります。

版の完成です。次はいよいよ刷る工程に入っていきます。

実習「実際にプリントしてみる」
講師のデモンストレーションを見て、プリント時のコツを理解します。ここではそのコツを4点ご紹介。

コツ①     スキージは図面の大きさに合わせたサイズを選ぶこと
付属のスキージは全ての辺でプリントができます。大きい図面の場合は長い辺を、小さいものは短い辺を使うと良いでしょう。

コツ②    スキージはしっかりと深くにぎり45度で動かす(布にプリントする場合)
インクを押し出す時に使用するスキージーは45度の角度で持ち、「ジー」と音がするくらいの力加減で上から下に均一な力で下ろしてきます。両手の指でスキージー全体を支えながら持つと、刷る時に力を満遍なく加えることが出来ます。なお、紙などインクを吸収しない素材に刷るときは、スキージの角度は60度にしましょう。

コツ③     インクは多めに使う
図面の幅をカバーできる量を紗の上にのせましょう。スキージを動かしている途中でインクが尽きてしまうとかすれの原因になります。

コツ④     版がズレないようにしっかり固定
版がズレないようにしっかり固定して刷ることが大事です。人の手を借りられる時は版の枠を押さえてもらうと、両手を使って安定して刷ることが出来ます。

刷り方のポイントを掴めたらインクを選んで実際に刷る作業に移ります。インクは全部で15色準備しました。たくさん種類があって迷います。

インクが選べたら同じテーブルの参加者や講師にサポートしてもらいながら刷っていきます。大きい図面をプリントする時は、枠がブレやすいので誰かのサポートが必須です。

「刷れた!」
作業が始まってしばらくすると、各テーブルから喜びの声が…!
ちなみにプリントするアイテムは各自持参しました。紙製の袋や封筒・ハガキ、布製のトートバックやハンカチ・靴下など様々なアイテムが揃いました。

刷った後、版をそのままにしておくとインクが固まって目詰まりを起こしてしまうので、裏側から濡れたウエスで優しく拭いてあげましょう。刷った後版の上に残ったインクは塊がなければ再度使えるので取っておくと無駄なく使えます。

紙等インクをあまり吸わない素材にプリントする場合はスキージの角度は60度で、少し立て気味で刷るとインクが滲まずに綺麗に刷れます。
こちらはオリジナルのフォントを紙にプリントしたもの。インクが出すぎて文字がつぶれたり、インクがかすれたり、何度もトライ&エラーを経て上手くいきました!スキージの角度60度が重要なポイントです。

初めてシルクスクリーンをする方も何度も回数を重ねて刷っていくと、テンポよく刷れるようになっていました。

色々なバリエーションの素材に印刷をした方や、ひたすら同じ素材にたくさんプリントをした方と、人によって取り組み方はそれぞれ。自分が用意したデザインの図面が実際に形になると、とても嬉しいですよね。トートバックを持ってきている方が多かったです。インクの種類によっては、仕上げにアイロンをかけて定着させる必要があるものもあります。

Tシャツやトレーナーなど衣服にもプリントできます。

中にはインク2色を同時にミックスさせて刷る実験を始める参加者も。赤と黄色を版の上に置きスキージで刷ると…

マーブル模様になりました。意図しないグラデーションや色の混ざり具合がきれいです。

ピンク×ブルーの同時刷りはグレイッシュな色合いに。

 

片付け
刷り終わった、又はインクの色を変える時は、版を水洗いしましょう。この時にスポンジの硬い材質の部分で洗ったり強い力でこすってしまうと、紗がダメージを受けてしまうので、柔らかいスポンジで水をかけながら優しく洗うよう心がけましょう。

もう版を使わない時は、枠の角の部分から紗をぐいっと押すと外すことができます。

小ワザ紹介
最後にプリントする際に役立つ小ワザをご紹介します。

今回のワークショップでは紗の印刷可能範囲(19×19㎝)にまるまる一つのデザインを配置する方もいれば、数種類のデザインを配置する参加者の方もいました。たとえば下図の(右)の様なレイアウトにすると、1つの紗から3通りのプリントが楽しめます。

ここで取り上げるのは後者で、いくつかある内の一つだけのデザインをプリントする場合は他の部分にインクが通らないようにマスキング※1しておく必要があります。マスキングをしやすくするため、それぞれのデザインの間隔を3、4センチ以上離しておくことをオススメします。
※1マスキングとは…色を塗らない部分に粘着テープなどを貼って予め保護すること。

刷りたいデザインの周りをマスキングテープで十字に囲みます。スキージは刷る図面の幅に応じて、持つ辺を替えましょう。

SURIMACCAのフレームの大きさは最小80×80〜最大200×450㎜にすることができます。パーツの組み合わせ次第でより大きい形や横長のデザインも刷れるのが魅力です。また、インクと版が数種類あれば多色刷りといったより多様なデザインも刷る事が出来ますよ。

「家で作業する場所がない!」といった方には株式会社JAMが設けている、その場で製版や印刷、素材・インクの購入ができるSURUTOCOというワークスペースもあります。品川にあるので気になった方、もっと刷ってみたいといった方は是非足を運んでみてください。

ここまで読んでくださりありがとうございます。今回のワークショップは二日間で全4回開催しました。残念ながら参加できなかった方々もまたの機会にぜひご参加ください。

※このワークショップは株式会社JAMにご協力いただきました。

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