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Apr 03, 2009

中沢新一×池野紀×沼野充義・鼎談掲載 『をちこち』4月号

国際交流基金の発行誌(隔月発行)、『をちこち』No.28 4月号に、 池内紀氏×沼野充義氏×中沢所長の鼎談が掲載されています。

鼎談タイトルは「ドナウ河は多様さを結びつける知恵を育んだ」。 ドイツ文学専門の池内氏の視点、ロシア・ポーランド文学専門の沼野氏の視点、 中沢所長のアジアから見た視点をまじえて、 東欧=中欧(1989年の東欧革命以降、「東欧」ではなく「中欧」とよばれるようになる) の文化のもつ多様性について、14pに渡って語られています。

本文では中沢所長の著作『東方的』や、先月まで開催していたジンガロのスペクタトル 『BATTUTA(バトゥータ)』にも話が触れられています。 この『バトゥータ』は、ハンガリーの音楽文化を取り入れたロマの世界の精神構造を テーマにした舞台です。

ドナウ河流域に暮らすひとびとの知恵の豊かさや未来性について、 沼野氏が作家のミラン・クンデラの言葉、 「東欧という地域は最小限の地理的な広がりのなかに最大限の多様性がある」を文中で 紹介しており、中沢所長は文中で、 「そもそもヨーロッパとは中欧のことを言ったのだと思います。パリやロンドンは、むしろ 周辺だった。」 と、もともと堅固な穀倉地帯であったヨーロッパの構造について、言及しています。

私たちの認識しているヨーロッパの姿と、この鼎談を通して見えてくるヨーロッパの姿は、 どこでひっくり返っているのでしょうか。 距離は日本から決して近くない中欧ですが、彼らが抱えている普遍性や問題点は、 私たちとそう遠くない場所にあることを感じさせます。

『をちこち』2008年10月号では、長谷川祐子所員×五十嵐太郎氏×水沢勉氏の鼎談が掲載されています。 →『をちこち』の購読方法はこちら

ポスト @ 2009/04/03 17:00 | 雑誌記事掲載

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