[title] Institute for Art Anthropology INFORMATION

May 21, 2009

「阿修羅のジュエリー」シンポジウム報告

16日(土)のシンポジウム「阿修羅のジュエリー」の様子です。 当日の会場、四谷ひろば4階ライブラリーが満員の中、鶴岡所員の講演でプログラムが始まりました。

聞き手は編集者であり、当研究所特別研究員でもある畑中章宏氏。 このたび理論社から出版された『よりみちパン!セ』シリーズ『阿修羅のジュエリー』の編集を担当しました。

鶴岡所員は興福寺阿修羅像の身にまとう数々のジュエリーに焦点をあて、写しきれないほどの画像を使って、ジュエリーの元々の成り立ちから話されました。 魔を除けるための腕輪、頭上の光の環を表す冠、土を直接踏まないためのサンダル。 光は中空に浮かぶ至高のものであり、人は昔からそれに憧れてやみませんでした。 ジュエリーはもともと、自分を光と一体化し、自分の内部に光を取り込むための器具であったと言います。

話の最中には鶴岡所員が熱をこめて聴衆を鼓舞する一幕や、時にはユーモアも交えて会場を湧かせる場面も。 今回のテーマにふさわしい、きらきらしい内容となりました。

休憩をはさんで、後半はゲストに占星術研究家で翻訳家の鏡リュウジ氏を迎え、鶴岡所員と中沢所長の鼎談へ。 鏡氏は占星術の視点から、最高神ユピテルなど神話の中の「光」の象徴について言及されました。

中沢所長は人類学の視点から、阿修羅の出自とジュエリーをまとう=「光をまとう行為」について言及。 かつてインドを旅行していた時に見た、ガンジス河岸にある焼き場の薪の管理人が絢爛豪華に 金を全身にまとい、まるで花魁道中のように道を闊歩していた様子を語りました。 神でありながら「異形」の身体を持つ阿修羅もまた、数々のジュエリーをつけています。

「美」とは何か、私たちはなぜ「光」の象徴たるジュエリーを身につけるのか、 そこには、表面の様子の美しさだけでは説明のつかないものがあることを感じさせます。 三人の出演者にまだまだ語ってほしい中、時間となったシンポジウムでした。

ポスト @ 2009/05/21 12:43 | イベント報告

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