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Dec 10, 2008

富山県南砺市・調査報告1

12月4〜5日と、富山県南砺市へ浄土真宗の重要行事「報恩講」の調査へ行って参りました。 南砺市は富山県西部。 昔から、浄土真宗(一向宗)の檀家の多い地域です。

高岡駅から車で移動、福光町に入ります。 この辺りの住居形式は「散居村」と呼ばれています。 読んで字のごとく、家々が密集しておらず、散らばるように建てられている集落です。 確かに、家と家の間の距離が離れて、 どの家も田畑の間にぽつんぽつんと建っています。

家の周りに木が植えてあるのは、敵から家を守るため。 敷地の南側には、強い光をさえぎるために必ず大きな木を植えるのだそうです。

現地を案内して下さった日の出屋製菓・ささら屋の疋田さんに 「この様子だと一つ一つの町の面積はとても大きいのではないですか?」と聞くと、 まさにそうだとのこと。 「隣の家にちょっとお醤油を借りに行く、ということはまずありません。 『ちょっと行く』には遠いですから。コンビニは少ないですし、あったとしてももっと遠いので、 コンビニに買いに走ることもありません。 このあたりの町内運動会なんて大変なものです。皆車で集まってくるほど遠いのです。」 とは疋田さんの言。

なぜこのような集落の形になったのかについての詳細は不明なのだそうですが、 水脈の場所に関係しているという説があるとのこと。 「南アルプスからの雪解け水が流れてくるから、地下水脈が豊かなんでしょう。その水脈に沿って、 最初、好きな場所に家を建てていったのがはじまりじゃないですかね。」

このあたりでは昔から、春夏はよそに出稼ぎに出て、冬にあたたかく快適に過ごせる 大きな屋敷を建ててきたのだそうです。 だから、皆刺激を外に求めず、家の中で楽しむことを考えるのだとか。 確かに外を歩く人をほとんど見かけません。 「人がいないわけではないんです。皆家の中にいるか、車なんです。」 と、疋田さん。 家々が離れていてもさびしいと思うことはなく、 返って、都会に出て突然マンションの近所づきあいに出会い、戸惑うこともあるのだそうです。

山の上から街を見下ろすと、散居村の様子がよくわかります。 ずっと田んぼの続く中を、家々が本当に散らばっているようです。

(次回に続きます。)

ポスト @ 2008/12/10 15:20 | 調査報告

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