Posted by CMTEL | 2016/05/09 17:40
こんにちは、今回は ウルトラスエードをご紹介します。
現在展示中のサンプルは東レ株式会社さんにご協力いただいています。
●スエードとは
皆さんご存じの通り、スエードとは動物の革などの内側をサンドペーパーでやすり起毛させた革のこと。スエード生地は汚れやすく雨にも弱いため、普段のお手入れが欠かせません。
●ウルトラスエードとは
一般的な上記のスエードに対して、ウルトラスエードは化学繊維でできた”人工皮革(じんこうひかく)”という種類に属します。表面は繊維が起毛されているため、天然スエードのような風合いと肌触りが特長です。
ここからはウルトラスエードを”特長・機能”、”豊富なカラーバリエーションと厚さ”、”後加工の自由度の高さ”の3つの側面から掘り下げます。
1)特徴・機能
【 天然スエードと同じ構造】
本革が3層で構成されているのと同様、ウルトラスエードも3層構造です。特に表層は超極細繊維で覆われ精密に起毛されているため、造り・外観ともに本革スエードによく似ています。また、フェルトの様に繊維が立体的に絡み合う”3次元不織構造”をしているため、切りっぱなしでもほつれません。本革のおよそ半分の重さなのも特徴で、様々な製品を軽量化することができます。
【上質な素材感】
ソフトでなめらかな肌触りです。独自の方向性を加えた毛羽を表面に入れることで、高級スエード特有の指で文字や模様がかけるフィンガーマーク効果を生み出しています。
【用途の多彩さ】
ウルトラスエードの持つ高いファッション性と機能性から、ファッションの世界からインテリア、自動車や航空機の内装、機器の部材などライフスタイルだけではなく様々な分野で使用されています。
【お手入れが簡単な高いメンテナンス性】
シワになりにくく、型崩れしにくいため、家庭用洗濯機で洗うことが可能です。これはウルトラスエードがポリエステル繊維で作られているためです。また、汚れたり雨に濡れたりしても乾けば元の風合いになるので、デイリーユースも可能。
【環境対策への取り組み】
ウルトラスエードの製品ラインナップの一部に使用されているポリエステルのうち30%は植物性由来(サトウキビ)の成分で作られています。残り70%は現時点では石油由来の成分でできていますが、近い将来100%植物性由来ポリエステルで作るための技術開発を進めています。
2)豊富なカラーバリエーションと厚さ
1.10mm厚の生地(HP)では100色近い色数があります。ウルトラスエードを形成するポリエステル・マイクロファイバーは、900kmの長さで1gにも満たない驚異的な細さの繊維です。こういった超極細繊維は、染めるのが難しいとされていますが、東レさん独自の染色技術によって鮮やかな色味から淡い色味、蛍光カラーまで多彩なカラーバリエーションがラインナップされています。
厚さは0.43mm~3mmまでで16種類以上あります。ウルトラスエードはニードルパンチ(多数の針がついた剣山の様な道具で刺し、繊維同士を絡める製法)で作られています。ニードルパンチでないと、これだけの厚さの人工皮革を作ることはできません。この製法を用いてこれだけの豊富なバリエーションを持っているのは東レさんだけです。
3)後加工の自由度の高さ
箔・型押しなどの伝統工芸的な表面技法はもちろん、最先端のデジタルテクノロジーによる印刷やレーザー処理まで多様な後加工が可能です。以下ではそのバリエーションをご紹介します。
【貼り合わせ加工】
ウルトラスエードは貼り合わせることができます。
こちらは2.0mm~3.0mmの生地を何層にも重ね、貼り合わせたブロックです。ウルトラスエードは繊維をフェルト状のシートに加工した後に染色するのですが、高い染色技術によって厚みのある布地の裁断面もムラなく均一に染まっていることがわかります。
【パーフォレーション】
丸型に穴あき加工したウルトラスエードに、透け感のあるオーガンジーを貼り合わせています。切りっぱなしでもほつれない3次元不織布構造ならではの加工ですね。
※パーフォレーションとは、用紙の切り取り線や切手のフチ周りのような一定間隔で抜かれている穴のこと。
【インクジェットプリント】
インクジェットプリントされたチェック柄のウルトラスエード。鮮やかな色合いが綺麗にでています。
【箔プリント】
加工したメタリック感のある部分とウルトラスエードのマットな質感の対比がきれいです。
【エンボス】
エンボス加工を施した生地には、箔加工とはまた違ったさりげない柄感が出ます。見る角度によって柄の見え具合が変わるため、奥行きのある上品な印象のテキスタイルに。
※エンボス加工とは、凸板と凹板の間に布や紙などの材料を挟んで型押しをすることで表面に凸凹を作る加工方法。
【3Dエンボス】
ウルトラスエード2枚の間にスポンジを挟み丸いエンボス加工をしたものです。ぷくぷくとした起伏がうまれ、立体的なテキスタイルになります。
上にあげたもの以外にも、色×厚み×加工技術で表現の可能性は無限大です。まだまだ多様な組み合わせ、種類の生地があります。なお、ウルトラスエードは厚さ0.63mmと1.1mmのものをCMTELを通して個人で購入することも可能。ウルトラスエードを使った洋服やインテリアなどの制作に活かせそうですね。現在、東レさんから配布用のサンプルをいただいております。興味がある方やサンプルを希望する方、詳しくはCMTELまでお問い合わせください。