18 7月 

こんにちは。2016月12月7日(水)に孔版印刷のワークショップを行いました。 講師としてレトロ印刷JAM様より山本氏・伯田氏、理想化学工業株式会社様より澤田氏をお招きし、デモンストレーションを交えながら製版〜印刷までのプロセスを体験できる内容でした。今回のブログでは当日の様子にあわせて、シルクスクリーンで失敗しないためのコツをご紹介!

 

●講義「孔版印刷について」
まず初めに予備知識を学びます。孔版印刷とはスクリーン状の版に細かい孔(あな)を開け、そこからインクを紙や布に押し出す印刷技法。シルクスクリーンや、ステンシルなどを総称して孔版印刷と呼びます。現在のシルクスクリーンは、江戸小紋や伊勢型紙などの日本の捺染(なっせん)型紙の技術を元に開発されたものです。Tシャツやトートバッグへのプリントにも使われている身近な印刷技術です。

従来、シルクスクリーンの版を作るには多くの手間時間機材暗室、そしてテクニックが不可欠でした。しかし今回はそれらを大幅に短縮する「デジタル製版機」を使って版を作ります。こちらがデジタル製版機「ゴッコプロ」。マシンの中には紗(しゃ)となるフィルムがロール状になってセットされています。

このフィルムは樹脂層メッシュ層2層構造になっています。このフィルムをマシンに通し、サーマルヘッドで熱をかけると樹脂層だけに微細な孔が開く仕組みです。孔の開いた部分がインクののる色面になります。

機械とパソコンを繋いでIllustratorで作ったデータを送ります。するとデータ通りの図案がフィルムに開きます。インクをのせたい色面を、データ上では黒色で表現します。プリンタ感覚で出力が可能で、1枚の紗が100秒で完成しました。このように特別な技術を必要としないので紗に出来不出来がなく、高いクオリティーを一定に保った紗を作ることができます。

●下準備「枠に紗(しゃ)を張る」
紗とは、インクを通す(樹脂層に孔があいている)部分と通さない(孔があいていない)部分をもつシルクスクリーンの網目状の版のことです。今回紗に使用したのは70メッシュ。メッシュの数は網目の細かさを表し、数字が大きくなる程目が細かくなります。精細な図案の印刷ができ、印刷解像性が高くなります。

70メッシュの他には、120メッシュ・200メッシュ等があります。数字の大きなメッシュは細い線の表現ができる一方、インクの種類によっては目が詰まりやすく、こまめな洗浄が必要です。そのため図案のデザインどのインクで刷りたいかによって、適したメッシュ数を選ぶ必要があります。

今回はこの後の特殊加工に使うホットバインダー(粒子が大きく目詰まりを起こしやすい)で刷ることをふまえて、70メッシュを選択。70メッシュは0.35mm幅の線以上の太さなら印刷可能なので、予めその点も頭に入れてデータを作る必要があります。

1.使った道具
シルクスクリーンには紗を張るための枠が必要です。今回使ったSURIMACCAはレゴのようにパーツを連結させて7通りのサイズの枠ができるフレームパーツです。(詳細はこちら) 今回はSサイズ(200×200mm)の紗を使うので、青色と黄色のパーツを使います。なお、紗は参加者が事前に製作したデータから出力したオリジナルデザインのものを準備しました。

2.枠を組み立てる
組み立てにはちょっとしたコツが。まずコの字型に組み立てます。それを2つ作ります。その後2つのコの字同士連結させます。ぐるりと一周するように組んでしまうと最後の1パーツが繋げにくくなってしまうからです。組んだ後は連結部分に隙間が無いようにギュッと枠をしめます。

3.裏側から紗を張る
枠を裏返し、紗のツルツルした面にして置きます。付属のゴムとローラーを使って紗を張っていきます。(詳しくはこちら

通常のシルクスクリーンでは紗をたるみなくピンと張るには慣れが必要です。しかしSURIMACCAを使い、皆さん初めてでもうまく張ることができました。でき上がった版の紗は、従来のシルクスクリーンと遜色ないほどの高いテンションで張ることができました。

 

●実習1「紙・布用インクを刷る」
今回プリントをする素材は参加者に持ってきてもらいました紙袋やトートバッグなど色々なものが集まりました。インクは準備してある10色以上の中から1つを選択。

1.インクはたっぷり使う
紗の図案部分の幅をカバーできる量のインクをおいていきます。スキージで刷る時、図案途中で紗の上のインクが尽きてしまうとかすれの原因になってしまいます。刷り終わった後、版に余ったインク再利用することができます。乾燥して固まりができていなければ、密閉容器に入れてとっておきましょう。

2.スキージで紙布用インクを刷る
この時のコツは以下の3つ。

 ・“ジー”という音がたつ位の力加減で刷ること
思っていた以上に手に力を入れなければこの音はでませんでした。

 ・スキージは深くつかみ、指を広げてしっかりと持つこと
スキージ全体均等にかかるようにしないと、力のかかっていない部分のインクが厚くなってしまいます。
力のかかりムラを起こさないよう図案の大きさに応じてスキージのサイズを選ぶことも大切です。

 ・スキージの角度を45°にすること
スキージが傾きすぎると、インクが余分に孔を通り抜けてしまいにじみの原因に。

それではこの3点を意識しながら刷ってみましょう。刷っている最中に版が動いてしまわないよう近くの人に枠を押さえてもらいます。


刷っている最中に枠が動くと、この様に図案がブレてしまいます。枠はしっかりと固定しましょう。

色々な特殊紙に刷る実験をしている学生も。表面がつるつるとしたメタリックな紙へのプリントもうまくいきました。

紙袋等厚みのあるものは中に板や厚紙を中に入れてプリントします。印刷面がフラットになるよう高さを調整すると、マチ部分の凹凸でインクがたまることを防ぐことができます。へのプリントは以上で完成です!

3.布へのプリントは仕上げにアイロンをかける
布製品にしたプリントは洗濯すると落ちてしまうのでアイロンを当てましょう。インクは熱で定着します。

 

●実習2「金箔・銀箔を転写する」
箔とは金・銀のメタリックな質感をもつ転写フィルムです。このフィルムをホットバインダーを刷った箇所にのせアイロンをかけると定着し、箔の加工ができます。

1.ホットバインダーを刷る
ホットバインダーとは箔フィルムや起毛シートを印刷物に転写するための接着剤です。インクではありません。加熱することで溶け、接着力を発揮します。紙布用インクより粘り気が強く粒子が大きくザラザラしています。刷り方は布用インクと同じで、版の上にのせてスキージで刷って使用します。

ホットバインダーは色が半透明でプリントした場所が見えにくくなるため、裏技として紙布用インクを少量混ぜておく刷った場所が見えやすくなります。こうすることで、次の工程で箔を重ねる際の目印になります。また、ホットバインダーは2回刷りましょう。より厚くホットバインダーを付着させておくことで、箔をしっかりとつけることができます。

印刷後はすぐに濡れたウエスで版を裏側から拭きましょう。ホットバインダーは紙布用インク以上に早く乾燥しやすい性質を持っています。乾いてしまうと版の目が詰まり、版自体が使えなくなってしまうので要注意。ウエスの水分を与えることで目詰まりを防ぐことができます。

2.熱圧着する
アイロンを150℃に温めます。使用するアイロンのかけ面には蒸気孔の穴がないものを使用します。蒸気孔のあるものだと穴の跡がついてしまうことがあります。またアイロン台は表面が柔らかいものだとかけた圧力が分散してしまうため、硬い板(厚紙でも可)がおすすめ。

バインダーを刷った部分の上に箔を重ねます。さらにその上に料理用のクッキングシートを被せ、アイロンを3秒程軽くあてます。

クッキングシートの上からウエスで優しくなでます。ホットバインダーと箔の間に残っている空気を抜き、しっかりと密着させるためです。

箔がずれないように気をつけながら、さらに20秒加熱。しっかりと体重を乗せ圧力をかけます。

3.熱が完全に冷めたら箔フィルムを剥がす
ホットバインダーを使った転写で、最も重要なポイントがここです。フィルムを剥がしたくなる気持ちをぐっと堪えましょう…!冷める間に熱で溶けたホットバインダーと箔とが、しっかりと固着します。熱が冷めないままフィルムを剥がしてしまうと、固着が不十分で箔がまだらについて失敗します。十分冷えたらフィルムをゆっくりと剥がし完成。


 

●実習3「起毛加工をする」
ここで使用するのは起毛シートホットバインダー。起毛シートとは台紙の上に短い毛がついているシートです。加工した面はベロアのようにふわふわした肌触りになります。こちらでもホットバインダーを使い、箔と同じ要領で定着させていきます。

1.ホットバインダーを刷る
箔の加工時と同じく、ホットバインダーを2回刷り終わった後はすぐに濡れたウエスで版を拭きます。

2.熱圧着する
箔の時よりもアイロンの温度を上げ165℃にします。起毛シートは、白い台紙を上にしケバケバした面が下になるよう重ねます。クッキングシートの上からアイロンで軽く3秒加熱した後、クッキングシートを重ねたまま上から布でなでて空気を抜きます。その後再びアイロンで20秒しっかりと圧着します。

3.熱が完全に冷めたら台紙をはがす
何度も繰り返しますが、ここでもやはり焦りは禁物です!冷えてから台紙をはがすと…プリント面がふわふわケバケバになります。講師陣の経験とアドバイスのおかげで、起毛シートに初めて挑戦するにもかかわらず、皆さん順調に加工ができました。

ちなみに、冷めきらないうちに台紙をはがしてしまうとこんなことに…。温かい状態だと接着があまく、毛をプリント面に定着させることができません。

 

今回のワークショップでは、大変なイメージのあるシルクスクリーンを身近に感じることができました。また成功させるためには一つ一つの作業に細やかな配慮工夫が必要なことを学びました。 製版から印刷、特殊加工までと内容盛りだくさんなワークショップは2017年度も開催予定です。今回参加出来なかった学生の皆さん、次回をお楽しみに。

今回ご協力いただいたレトロ印刷 JAMさんでは、SURIMACCAの販売はもちろん、孔版印刷サービスも行っています。興味のある方は是非、HPをご覧ください。

※このワークショップは、サポート企業・レトロ印刷 JAM理想化学工業株式会社様にご協力いただきました。

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17 4月 

EVENT REPORT!「トレンドセミナー」

Posted by CMTEL  |  2017/04/17 15:56

こんにちは、CMTELです。今回は2016年11月29日に行われたトレンドセミナーのイベントリポートです。

Edelkoort East 株式会社(TREND UNION)様より家安 香氏を講師としてお招きし、前期に引き続き後期もセミナーを開催。実際にトレンドブックを閲覧しながらトレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。(以下敬称略)

●トレンドブックとは?
社会背景の分析やリサーチを行い、それに基づいて1年半から2年半先のトレンドを予測し作られたブックです。詩的なキーワード、カラー、ヴィジュアルで構成されており、デザインしたり構想を練るために必要かつ役立つ情報が詰まっています。そしてファブリックサンプルも多数添付されており、実際に触れることができます。全てのページがインスピレーションの源になる貴重なブックです。


TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
Lidewij Edelkoort
リドヴィッジ・エデルコートを中心として、本拠地のパリでトレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間が本来もつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。


セミナーの様子
1.講義
「トレンド流行」
一般的に「トレンド」という言葉は「流行」という意味で、“次のトレンドカラーは◯◯色”や“スカートの丈は短め”といったファッション分野の言葉としてよく使われます。しかしTREND UNIONは、ファッションに限った断片的な流行情報を扱っているわけではありません。

なぜ◯◯色を求めるようになるのか・短いスカートを履きたくなるのかという、これから起きる人々の心(欲求)の変化を過去・現在を元に予測しています。つまり未来予測がTREND UNIONの商品なのです。そしてその予測に基づいて選んだカラーや素材等の情報を発信しています。

「人の心(欲求)を変化させるもの
未来予測のための研究対象となる人の心は、周りの状況から影響を受けます。例として、ここでは「周りの状況」=「経済状況」として考えてみましょう。

現在も世界中で続く不安定な経済状況。経済状況を改善するため、小さな子どもがいる家庭でも共働きをする夫婦が一般的になってきました。母親も仕事で外へ出ていく機会が増えると、必然的に父親が子どもを預かり一緒に過ごす時間が増えます。するとそれまで外でバリバリ働くことが主で、見た目も硬派でいなければならなかった父親に変化が起こります。

第1の変化が現れるのはです。子どもは緊張感を感じる父親よりも、優し抱きしめてくれるような父親が大好きです。子どもの喜ぶ優しい父親でいるうちに、子どもが父親にある気付きをもたらします。それは“男性も優しくていい”ということです。

こうして優しい男性像を肯定された父親には、第2の変化がおきます。その一例として様相(見た目)が挙げられます。子どもの柔らかで繊細な肌に触れることが日常となった男性の選ぶ服は、どの様な素材・色・形になるでしょうか?きっと以前と比べて選ぶ基準が異なるはずです。

例えば、生地には優しくソフトな肌触りや汚れても洗えばすぐに乾く衛生的な機能を、また服自体の形状には子どもと出かける時のことを考え、荷物で手が塞がらないようポケットの数や大きさを気にするかもしれません。そしてこの変化は服装だけではなく、肌の質感、食べ物、移動の手段など様々な分野に及びます。

今回は経済状況を例に挙げましたが、その他にも人の心に影響を与えるのは世界情勢・消費者動向など。これらが複合的に作用し、欲求を形作ります。

このように「人がどのように変化するか」を感じとることができれば、それをきっかけにしてデザインをはじめることができます。ファッションやプロダクトのデザインはもちろん、食品の企画開発や新しい交通手段の提案など、おのずとデザインができあがっていくのです。そのためTREND UNIONのクライアントの業界は幅広く、製造業以外にも食品加工や金融、航空業界など様々です。意外にもアパレル系のクライアントは全体の3割ほどだそうです。


「ブックを作るTREND UNIONのメンバー」
ヘッドのエデルコート氏は主体となって未来予測の研究をしている中心人物です。彼女をはじめとしてディレクターアイコングラフィストキュレーターを含む多国籍なメンバーでチームを組み、ブックを作り上げています。

ディレクターはエデルコート氏と同様に、未来予測の研究を行います。アイコングラフィストとはメンバーが持ち寄った予測を聞き、その言葉をビジュアル(写真)に転換する特殊な作業を担当する人物です。キュレーター新しいアーティストデザイナーの作品をピックアップし、次のデザインのあり方を発表します。


「トレンド情報の集め方」

目に見えない情報を扱うトレンド予測はどのようにして導き出されるのでしょうか。

トレンドは人の心(欲求)が生み出すもので、流れをもちます。未来を予測するためには過去・現在を把握しなければなりません。そのためTREND UNIONの情報収集は、今起きていることをサンプリングするところから始まります。

街をぶらぶらする人、本や写真を見る人、アート作品を見る人など、情報収集の方法はメンバーによって様々。中には拾ってきたものを集める人もいるのだそうです。しかしそれらの方法に共通するのは、人をじっくり観察するということ。“前髪が短い人が増えた”や“ドラマの設定が変わってきた”など、人々の様子で共通して起きている現象や変化をキャッチします。

次に集めた情報を皆でシェアすると、共通点が見えてくるといいます。似た事柄をグルーピングし、カテゴリーごとに分類・分析していきます。そしてカテゴリーに対して仮の定義を考えます。“男性が女性化するきざしかも?”“新しいものに興味がなくなっているとしたら?”といったように。それからその定義を答えとして断定しないまま、飛行衛星のように宙に浮かせた状態でしばらく過ごします。

しばらくすると裏付ける関連事象がだんだん集まってくる定義もあれば、そうでないものもあるといいます。裏付けがとれないカテゴリーは仮定が間違っている可能性があるので、もう一度考え直します。この試行錯誤を繰り返してトレンド情報を形作っていきます。

この方法で情報収集が可能なのかとよく聞かれるそうなのですが、実際に行っているそうです。確かに個人の感じることと世界規模の大きなトレンドでは、スケールの違いに大きくかけ離れたギャップを感じるかもしれません。しかし世界はでできています。個人の欲求の変化は小さくても類似する変化が束になれば、大きなうねりとなり世界のトレンドに発展しえます。一人一人がトレンドを生み出す当事者なのです。トレンド予測にはミクロな視点とマクロな視点の両方をもつことが必要です。


「制作のアイデア探しにも有効」

普段の制作のアイデア探しやリサーチにもこの方法は活用できます。一番身近な自分を調査・研究対象にして、日常のごくごく小さな変化を探します。

“読む雑誌が変わった”や“前まで聴いていた曲を聴かなくなった”というような、何となく気分で片付けてしまいそうな心の変化に敏感になってみましょう。心の変化には必ず理由があります。その理由を“なぜ?”と突き詰めるのです。

さらに心の変化に仮の定義をつけて周りの人を観察します。その定義が合っていれば裏付けが集まり始めます。この定義は制作する時の大きな材料となります。自分の変化した心が結果として“別の雑誌や曲”を求めたのだとしたら、この心に似た心をもった人が欲しくなるキッチンツールは?パッケージデザインは?…というように自分の製作の分野に展開させていきます。すると問題提起と同時にメッセージ性のある作品になります。変化とその理由を知ろうとする力は、世の中の動き未来を読み解く洞察力に繋がっていきます。

髪型・ドラマの設定・その日買った飲み物・選んだ交通手段、それぞれ一見関連性のないようなできごとでも共通する情報を発しています。その情報が、自分の制作ではどんな意味になるのか変換する。そうしてアイデアを膨らませることも可能でしょう。


2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上映
今回のセミナーではトレンドのイメージを感覚的に表したオーディオヴィジュアル(音と映像)の上映を行いました。セミナーの会場のみで上映されるムービーでは、美しい写真に合わせて流れる音楽は歌詞もその場面に合ったものを選曲しているのだそう。


3.ブックの閲覧
セミナーでは普段CMTELには無いジャンルを含む計13冊のブックが閲覧可能。オーディオヴィジュアルとリンクしているGENERAL TREND、建築と人についてのARCHITECTUREやプロダクトやインテリアのヴィジュアルが豊富なLIFESTYLEなど、幅広いジャンルのブックを取り揃えました。ブックのシーズンは2018春夏とセミナー開催時の2016-17秋冬。今と未来を見比べることができました。

ビジュアルや豊富なファブリックサンプルにじっくり見入る学生の姿も。
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4.質疑応答
講義の最後に家安氏と学生による質疑応答が行われました。彼らはプロダクトやテキスタイル、グラフィックや工芸などそれぞれに別の専攻をしている学生達です。彼らからは普段制作を通して考えていることや将来のことなど様々な意見、質問が寄せられました。

 

多摩美でのセミナーは(今回を含めて)1年で2回開催されました!セミナーを楽しんでくれた方や今回参加を逃してしまったという方、2017 年度開催予定のセミナーに是非ご参加ください。(開催日程は決定次第このブログ・Twitterにてお知らせします)

またCMTELでは3月に入荷したばかりの最新号ACTIVEWEAR 2018-19秋冬を閲覧できます。その他、バックナンバー3冊も常時展示中。豊富な写真とファブリックを、ぜひ見に・触りにお越しください。また、トレンド情報について詳しい内容の書かれた日本語訳の解説ブックも付いています。

※今回のセミナーはEdelkoort East 株式会社様にご協力いただきました。

30 8月 

OPEN CAMPUS 2016「多摩美リングをつくろう!」

Posted by CMTEL  |  2016/08/30 16:36

2016年7月16日(土)、17日(日)のオープンキャンパスにてワークショップ「多摩美リングをつくろう!」を開催。2日間で合計287人の方にご参加いただき、大盛況となりました。このワークショップでは、多摩美の校章が入ったリングを、材料となるホビーキャスト(ウレタン樹脂)とシリコン型を使って成型をします。樹脂を扱ったことがない方でも、簡単に樹脂成型を体験することができます。
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樹脂の取り扱いを熟知した学生インストラクターが各作業テーブルについてレクチャーを行います。
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テーブルの上には、事前に計量されたA剤(青色に着色済)とB剤の入ったカップが1人分ずつ用意されています。今回使用したホビーキャストは液状です。A剤・B剤の2液を混ぜ合わせると化学変化で100℃以上に発熱しながら固体化する性質をもっています。インストラクターのレクチャーでは、失敗しないためのコツもご紹介(くわしくはこちら)。20秒間で2液をムラのないようにしっかり混ぜます。
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スピーディーな作業が必要なため、インストラクターの合図に合わせて参加者は一斉に型へ樹脂を流し入れます。
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液体から固体に変わる硬化(こうか)が始まると、樹脂が白っぽくなります。樹脂の色の変化に興味津々です!
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硬化が完了するまでの15分間、こちらのテーブルでは質疑応答タイムになりました!樹脂のことから学校生活についてなど、様々な話題が飛び交っていました。
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別のテーブルでは各自の紙コップに余っていた樹脂を取り出しています。硬化したての樹脂は温かく、柔らかい状態なので指で押すと形が変わります。
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ではいよいよシリコン型を開いてみます!型を開くと綺麗に注入されているのがわかります!
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リングを取り出しやすくする方法として、型をぐにゃぐにゃと曲げると型とリングの間に隙間が空き、取り出しやすくなります。
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取り出したリングについている余分な箇所をニッパーで切り落とせばできあがり!完成したリングはお持ち帰りが可能です。
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今年のワークショップもお子様から大人の方まで幅広い年代の方々に体験していただきました。
今回参加できなかった皆さんは、また来年参加してみてくださいね!

04 8月 

2016年7月16日と17日のオープンキャンパスにて、メディアセンター2階で「素材体験!CMTEL MATERIAL FACTORY」というイベントを開催。デザインやアートの現場で使用される色々な素材を、見て、触れて、遊んで、体感することができます。「実演+体験」ブースと「マテリアル展示」ブース、ワークショップ「マテリアル・ネックレスを作ろう!」の3つのイベントに沢山の方々がご参加くださいました。
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●実演・体験
建物入り口手前のテラスでは、100%自然素材で作られた「漆喰(しっくい)」の壁塗り体験ブースがあります。

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「しっくい」
とは、城壁や住宅の壁などに使われる消石灰を主成分とした建材です。湿度を調整するはたらきを持ち、燃えにくく、消臭効果もあります。道具は左官職人も使用するコテを使用。コテ使いの微妙な変化でさまざまな模様を生み出すコツや、道具の使い方を紹介しました。
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しっくいという言葉は聞いたことがあっても、触れる機会の無い素材に多くの方がチャレンジ。「塗ったことないんですが…」と言っていた方でも、ひとたび塗り始めるとあっという間に大きな板を塗りきってしまいます。コテ越しに伝わるシャリシャリとした漆喰のなめらかな塗り心地に、思わず夢中に。広い面積をもっと塗ってみたいと自然と思わせてくれる、不思議な魅力をもった建材です。
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今回使用したのは少量パッケージ(800g)のチューブタイプ本格漆喰。DIY感覚でかなり気軽に挑戦できます。つなぎに使われているのは、化学的な接着剤ではなく自然の海藻のりです。自然素材100%でできていて、身体にも優しい建材です。
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●マテリアル展示
建物の中では、もの作りのプロが現場で使っている材料や加工技術を展示。様々な素材に触れたり、加工技術を間近で見たり、一部それを体験できます。
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それでは展示の内容を紹介します。

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ノミや彫刻刀で削ることが可能で、彫刻や試作モデルのための材料「ケミカルウッド」。Chemical Wood(化学的な木)という名のとおり、木材の代わりとして樹脂を使って人工的に作られた素材です。ケミカルウッドができる前までは、もともと天然木が多く使われてきました。しかし天然木には木目や節があり、加工の方向を間違えると木目に沿って割れたり欠けたりしてしまいます。そういった点をクリアしつつも、木材のような加工のしやすさを併せ持つのがケミカルウッドです。
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色の違いは、硬さの違いを表しています。削り出した後、表面に色を塗ることも可能です。フィギュアなどの作成時で、図面やモニター上の3Dデータだけでは実際の立体感をイメージできません。形の検証用素材として使われています。
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こちらは削れるプラスチック「サイコウッド」。一つ前で紹介したケミカルウッドと同じく樹脂をベースにした素材ですが、手で加工するのではなく専用の工作機械を用いて削るのに向いています。細かな形状の削り出しも可能なため、用途は主に精密なマスターモデルなどの作成です。
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硬さ別に3つの種類があります。樹脂と一緒に混ぜられている材料と密度でサイコウッドの硬さは調整されています。一番左の茶色のレギュラータイプ(硬さ:中)には木の粉が混ぜられています。中央緑色のソフトタイプ(硬さ:柔らかい)は木の粉を混ぜさらに微発泡させたもの。微細な気泡を含み、他の2種類よりも軽量です。右の赤茶色のものはハードタイプ(硬さ:かたい)、石の粉が混ぜられています。DSC_0126

均一で高密度な材質なので、細かくシャープな造形でもエッジが欠けません
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こちらは「レーザー彫刻機」です。その名のとおり、レーザー光線を用いて材料の表面に文字や絵を彫刻できます。大きさはトースターを2台積み上げた程度でかなりコンパクト
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今回は参加者が描いたイラストをスキャンし、サイコウッドに彫刻する加工も行いました。
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材料を庫内に置き、データを送信するとレーザーが照射されます。自分の描いたイラストがレーザー光線で浮き出てくる様子には自然と見入ってしまいます。
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レーザー加工機は、従来の刃物を使用した彫刻機や切削器具とは異なり、加工部品(刃)が材料と接触しません。そのためレーザー加工は材料に圧力や摩擦による負荷がかからないというメリットがあります。例えば圧力をかけると壊れてしまうような精密機器(スマホやタブレット等)の表面に、直にロゴや名前を入れることができるのです。また、マシン本体も密閉された設計なので、使う人への安全性が高いのも長所の一つです。


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こちらでは「電解マーキング」の展示と加工を行いました。“10秒でできる金属加工です!”というキャッチーなフレーズに、多くの方が足を止めて加工にトライしていました。
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電解マーキングとは電解液を塗った金属に低電流を流すことで、塗った部分に腐食という化学変化を起こす表面加工方法。腐食の起きた部分は変色をおこすので、図案を施すことができます。今回はマテリアル・ファクトリーのロゴマークの型紙を使用。ロゴ部分は細かいメッシュ状になっています。電解液を型紙の上からのせると図案部分だけに電解液を塗ることができます。
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“10秒”というだけに、あっという間にロゴマークが浮き出ます。普段なかなか身近に接することのない金属加工だけに、自分でできると感激です。
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こちらは「粉体塗料」の展示と加工を行っています。塗料といえば “液体状で、スプレー缶やハケで塗るもの” というイメージが一般的です。“粉” 状の塗料とはいったいどういうものなのでしょうか…?

あまり知られていない粉体塗料ですが、実はとても身近なところで使われている塗料。ガードレールや自動車部品など、屋外で雨風にさらされたり耐久性が求められる製品に使われる、工業塗装分野ではかなりメジャーな塗料です。
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こちらは作業台内部です。金属パーツの上に茶こしで粉体塗料をさらさらと振りかけます。触ってみると粒子が細かく片栗粉のようです。シンナーを含まないので、においはありません。
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粉をかけた後は180℃で焼き付け。塗料の中に含まれる樹脂を、加熱することで溶かして固めます。そしてこの作業、なんと家庭用オーブンを使って約30分で行うことが可能。下の画像では電解マーキングの上から塗料をのせてみました。クリアカラーなので下の図案が透けて見えます。塗料の膜をぽってりと厚くすることができるのも特徴です。
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●ワークショップ「マテリアル・ネックレスを作ろう!」
展示している素材のパーツを組み合わせてネックレスをつくるワークショップです。
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まずは受付でネックレスに使用するヒモを選びます。7色の中から好きな色を選びます。
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次に、展示されているマテリアルの中から好きな素材を選びます。以下のパーツはマテリアル展示でご協力いただいている企業様からのご提供です。
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ご提供パーツ以外に、今回CMTELが準備したパーツはこの2種類。
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まず1つ目は「スエード調人工皮革」を使ったシンメトリーパーツです。一見すると幾何図形にしか見えませんが、上下を折り曲げるとアルファベットになります。折り曲げてできた輪にひもを通し、イニシャルを作ることができます。極細の繊維がフェルト状にからまった構造で、切りっぱなしでもほつれない布です。
ウルトラスエード

2つ目は「3Dプリンタ造形端材」。これは3Dプリントする時に、造形を安定して行うために作られる「ラフト」という土台です。プリントしたい本体データを出力する前に作られ、完成したら手で本体から取り外すことができます。3Dプリンター自身が計算して作るものなのですが、意図しない造形美があります。
ラフと

以上のパーツの中から好きなパーツを選んでいきます。
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こちらでは紙やすりを使用して素材を削ることができます。
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みなさん黙々とやすっています。中には30分以上ここで熱中する方も。パーツの角を削って丸くしたり、表面をツルツルに磨き上げたり。素材と向き合うことの楽しさを満喫している様子でした。
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テーブルの上には、素材を加工する道具があります。自由に素材を加工してオリジナルのネックレスのパーツを制作していきます。
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加工ブースでは素材に穴を開けたり、文字を打刻することができます。
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最後に加工したパーツをヒモに通して完成。
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皆さん普段あまり馴染みのない素材や加工が多く、創作意欲をかきたてられ熱中してくださった方々も多く見受けられました。ものづくりのプロが現場で使用している素材の実物に、触れることができたとてもいい機会だったのではないかと思います。

「CMTEL MATERIAL FACTORY」は以下のサポート企業の方々にご協力いただき開催しました。
株式会社シノダ
株式会社ソニックス
株式会社ミナロ
メタルDIY  株式会社関東精密
LOHAS WALL
株式会社三王

 

03 8月 

こんにちは。6月15日(水)、16日(木)で樹脂成型による多摩美リングのワークショップを行いました。
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1回定員30名の予約制で参加者を募集し、2日間で計6回開催。毎年恒例のこのワークショップは、学生に「樹脂の基本的な特徴や扱い方を学ぶこと」「樹脂を身近な素材として知り、制作に活かすこと」を目的としています。今回のブログでは当日の様子にあわせて、樹脂成型で失敗しないための3つのポイントをご紹介

●講義「樹脂の性質と扱い方」
まず初めに講義を受けます。樹脂についての予備知識を頭に入れます。
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●実験「ウレタン樹脂に水を混ぜてみる」
ウレタン樹脂にわざと水を入れ、攪拌(かくはん)します。攪拌から数十秒後、ぶくぶくと気体を出しながら発泡し固まりました。驚きの変化に学生達の目が釘付けです。
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下の画像の左側は正常に硬化(こうか)したもの、一方右側は水を加えたものです。左は表面がつるつるとした塊になっているのに対して、右は穴だらけでスポンジのようです。
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これが1つ目のポイントです。今回扱うウレタン樹脂の特徴の1つに、湿気水分の影響を受けやすいという点があります。水分が混ざった樹脂は正常に硬化せず、気泡のある硬化物になってしまいます。このように正常に硬化しないことを “硬化不良(こうかふりょう)” といいます。わずかな湿気でも気泡の原因になるため、作業する日の天候にも注意が必要です。雨天のような多湿時を避け湿度の低い日を選ぶことをおすすめします。

実験のあとは、スタッフのいる各テーブルに移りいよいよ実習です。
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●実習「樹脂を使ってみよう」
1.型の準備
今回CMTELが用意したシリコン型は2つに分割できる “割型”(わりがた) という形状をしています。シリコン型の内側のゴミやカスを取り除いてから、離型剤(りけいざい)スプレーを散布。離型剤とは、樹脂と型の固着を防ぎ、型から硬化物をスムーズに取り出すための潤滑剤(じゅんかつざい)の役割を果たすものです。DSC_0872

スプレーの散布後、ガムテープを型の周りに巻きます。そうすることで型がしっかり固定され、樹脂を流し込んだ際に割型のすき間から漏れ出てしまうことを防ぐことができます。これでシリコン型の準備は完了です。
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2.計量
ここからが2つ目のポイントです。樹脂を扱う上で重要な計量。今回使用するウレタン樹脂は2種類の液体(主剤・硬化剤)を混合すると、発熱しながら硬化する2液性の樹脂です。混合する比率は各種樹脂によって異なりますが、今回は1:1なので2液共に同じ分量を1g単位で厳密に計っていきます。

硬化剤(こうかざい)は樹脂の硬化を早めたり、固まらせる働きをします。だからといって、硬化剤を多く入れれば硬化のスピードが促進される訳ではありません。樹脂の種類によって既定の混合比を必ず守り計量しましょう。
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3.撹拌(かくはん)
ここからは時間を意識しながら作業をします。主剤の中に硬化剤を入れ撹拌棒で約20秒かき混ぜます。2つの樹脂を混ぜ合わせた瞬間から、硬化が始まるまでの時間は約90秒です。ここが3つ目のポイント混ぜ方のコツは、ムラがないように大きく “の” の字を書くように素早く混ぜ合わせることです。攪拌を十分に行わないと化学反応が起こらない箇所が存在して、部分的に固まらない表面がベタベタするといった硬化不良の原因に。
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4.注入
撹拌が終わったらシリコン型に素早く注ぎ入れていきます。
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20秒を過ぎても注がないままにしていると硬化がどんどん進み、注ぎ終わる前にこんなことに…。また、硬化が進むことで粘度が高くなると、樹脂に含まれたままの空気が抜けきれず気泡が多くなる原因にもなります。スピーディーな作業が必要ですね。
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注型が完了しました。後は10〜15分程硬化を待ちます。硬化が始まると、画像左側のように色が白っぽく変化していきます。
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硬化を待っている間にスタッフへ樹脂の質疑応答タイムが始まります。
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実際に樹脂を使った作品やシリコン型を用いながら、制作プロセスを丁寧に解説します。
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5.脱型(だっけい)
硬化が完了したら、リングを取り出しやすくするために型をグネグネとひねらせ抜き取ります。シリコン製の型は伸びる性質を持っているため、手で形をゆがませることが可能です。
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6.完成
リング以外の余分な部分をニッパーで切りおとし、切断面をやすりで整えて完成です。
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最後

今回のワークショップは、学生にとって樹脂の特性や扱い方を体感しながら学ぶことのできた機会となったようです。毎年恒例のこのワークショップは来年度も開催予定。興味のある学生は是非一度ご参加ください。

今回ご協力いただいた日新レジン株式会社様では、今回使用したウレタン樹脂以外にも透明な封入用樹脂(クリスタルレジンNeo)や、グミのように柔らかい樹脂(グミーキャスト)、また樹脂専用の着色剤なども取り扱っています。
様々なサンプルをCMTELにも展示していますので、是非一度お越しになりご覧ください。

※このワークショップは、サポート企業・日新レジン株式会社様にご協力いただきました。
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