2013年7月20日と21日に開催されたオープンキャンパスにて、
CMTELでは「CMTEL MATERIAL FACTORY」と題したイベントを行いました。
「CMTEL MATERIAL FACTORY」とは、いろいろな素材を、見て、触れて、遊んで、体感することができるワークショップスペースです。「マテリアル展示」ブースと「実演+体験」ブース、ワークショップ「マテリアル・ネックレスを作ろう!」の3つのイベントを開催し、オープンキャンパスの2日間でなんと約1000名の方々にご参加いただきました!
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・マテリアル展示
いろいろな素材に触れたり、素材に関する技術を見ることができるブースです。
それでは展示した素材を紹介していきます。
こちらは、ジュエリーの原型を作るための「ジュエリーワックス」と、ゴム型などに射出する「インジェクションワックス」です。ジュエリーワックスとは、指輪などの原型をつくるための素材で、簡単に切削できる点や、熱でかたちを変形させることができる点などが特徴です。また、切削加工機などデジタルツールでの加工も可能です。ワックスの熱で溶ける点を利用し、射出成型用につくられたものがインジェクションワックスです。この素材は、細部の再現性、硬化速度、収縮の少なさや、優れた流動性などの特徴を持ち、加工目的に合わせてさまざまな種類のものがあります。
3Dデータを実際の形状に切削加工してくれる「3D切削加工機」を展示し、実際に切削の実演をしました。3D切削加工機とは、コンピュータ制御による切削加工機です。3DCADソフトなどを使ってモデリングし、そのデータを切削機に送ることで、3次元の立体物を得ることができます。加工素材は、ケミカルウッド、モデリングワックス、アクリル樹脂などの材料です。このようにコンピュータを通して加工を行う機械のことを、デジタルクラフティングツールと呼びます。現在では個人で扱えるのも増えており、デジタルクラフティングツールは今後ますます広がっていくと思います。
こちらは、高い寸法精度と寸法安定性のある快削性樹脂「サイコウッド」です。サイコウッドとはABS樹脂をベースにした特殊なプラスチックで、機械加工に最適な造形材料です。写真の龍の切削物のような細かな形状の切削に向いており、主に精密なマスターモデルなどに使用されます。均一で高密度な材質なので、簡単な塗装をするだけで艶やかな表面となる点も特徴で、加工性や剛性別に3つの種類が用意されています。
こちらは、デザインモデル、マスターモデル、試作用素材などに適している、ウレタンなどを主原料にした「ケミカルウッド」です。ケミカルウッドは木材のような性質を持った人工素材で、硬度に応じていろいろな種類があります。軽い、加工性が良い、接着性が良い、着色性が良い、経年変化がほとんどないなどの特性があり、モデルづくり初心者にもおすすめできる使い勝手の良い造形材料です。また、械加工用素材としても使用できます。
こちらでは、金属の型抜き加工品、曲げ加工品など、アルミニウムと真鍮の加工品を展示しました。アルミニウムは、耐食性、熱伝導性、電気伝導性に優れた素材で、金属の中でも加工性が良いのが特徴です。真鍮とは銅と亜鉛の合金のことを指し、アルミニウムと同じく加工性の良い金属の代表です。こちらも日用品から工芸品に至るまで幅広く使用されている金属です。また、これらの金属加工技術を使って制作されたiPhone Trick Coverも展示しました。
鋳造(ちゅうぞう)という技術を紹介する展示です。鋳造の工程モデルや、鋳造品、鋳造機器を展示しました。鋳造とは、金属を高温で熱して液体状にしたものを型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法です。鋳造に使用する型のことを鋳型(いがた)、鋳造でできた製品のことを鋳物(いもの)と呼びます。そしてこの鋳造技術を使って多摩美マークのペンダントトップを制作していただきました。3DソフトRinocerosでモデリングし、ワックスのブロックを3D切削機で加工して原型をつくり、それを型取りしたものを真鍮で鋳造して制作しました。
「インダストリアルクレイ」を始めとするモデリング材料や、その他デザインツールを展示しました。
インダストリアルクレイとは、プロダクトデザイン(主にカーデザイン)やフィギュアの原型、特殊メイクなどの立体造形の開発・検討に使用される専用の粘土です。専用のオーブンやウォーマーで指定温度まで温めると、柔らかくなり造形がしやすくなります。常温に冷めると適度な硬度を保ち、ツール類を使用してサクサクとかたちを削り出せます。試行錯誤をしながらのデザイン開発・検討に最適な素材です。
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・実演+体験
プロの技術の実演を見ることができるブースです。
またプロの道具を使っての体験型ワークショップも行いました。
こちらでは、プロのモデラーさんによるクレイモデリングの実演を行いました。カーモデルにクレイを盛ったり、特殊なヘラを使い、キレイにカーモデルを削っていく方法など、実際のデザインの現場と同じ工程でクレイモデリングをしていただきました。クレイモデルは樹脂や石膏等に比べてスケッチの立体化に適しているため、寸法精度よりもイメージを重視した。ねらい通りの表現ができる点が特徴です。
また、実際にインダストリアルクレイの造形体験も行い、クレイの盛り方や削り方、道具の使い方など、さまざまな方にクレイモデリングを体験していただきました。
こちらでは100%自然素材の漆喰壁塗り体験を行いました。漆喰(しっくい)とは、瓦や石材の接着や目地の充填、壁の上塗りなどに使われる、水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とした建材です。調湿機能に優れている点や、難燃性であること、消臭効果がある点などが特徴です。
漆喰壁塗り体験では、「コテ」という漆喰を塗る道具と、誰でも簡単に扱える「チューブタイプ本格漆喰」を使った体験を行いました。コテ使いの微妙な変化でさまざなま模様を生み出せる壁塗りのコツや、道具の詳しい使い方を紹介しました。こちらのチューブタイプ漆喰はたくさんのカラーバリエーションがあるので、それを活かして絵を描く方や、初めてでもきちっと均一に塗る方などさまざまな使い方で楽しんでいただきました。
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・ワークショップ「マテリアル・ネックレスを作ろう!」
展示している素材のパーツを組み合わせてネックレスをつくるワークショップです。
まずは受付でネックレスのもとになるヒモを選びます。
いろいろな素材の中から好きなパーツを選んでいきます。
素材を自由に加工し、自分だけのネックレスを作っていきます。
素材の中には、吉田キャスト工業さんに制作していただいた多摩美マークのペンダントトップもあり、研磨して金属をピカピカに仕上げる加工も体験できました。
また、メッキ加工の実演も行いました。ペンダントトップの仕上げとしてメッキ加工を施すことで艶やかな表面が保たれます。
普段あまり触れる機会のない工業用材料を前に、みなさん真剣に加工に取り組んでいます。
企業の方々も真剣です!
最後に出来上がったパーツにヒモを通せば完成です。
たくさんのオリジナリティーあふれるネックレスができました。
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「CMTEL MATERIAL FACTORY」は以下のサポート企業の方々にご協力頂き開催しました。
日本フリーマン株式会社
株式会社ミナロ
株式会社ソニックス
株式会社シノダ
吉田キャスト工業株式会社
株式会社ニットー
有限会社 辻建材
富士重工株式会社
株式会社トゥールズインターナショナル
イベントは、多くの方々のご協力により両日ともに大盛況のうちに終わりました。展示した素材は、引き続きCMTELにて紹介しますので、素材の詳しい内容や使い方、企業情報などが知りたい方はぜひ一度CMTELにお越し下さい。