10月22日にCMTELにて漆喰ワークショップを開催しました。
漆喰の基本的な特性、道具の使い方、塗り方等をレクチャーしました。
●漆喰(しっくい)とは?
漆喰は石灰を原料とした壁塗り材です。二酸化炭素を吸収しながら硬化していく壁材で、古くから城郭(じょうかく)や民家などあらゆる建築物に使用されています。
今回はロハスウォールさんの「本格漆喰」を使用。こちらは100%天然素材でつくられているためケミカルレスです。接着性を高めるための化学樹脂は一切使わず、昔ながらの海藻のりを用いています。そのため、シックハウスの原因であるホルムアルデヒドを発散しません。人体にとても安全で、速乾性・防水性・調湿機能・抗菌防カビ・消臭効果・防火性にも優れています。
ワークショップでは、大容量の「タンクタイプ」(12kg)を使いました。
漆喰は石灰の粉末・海藻のり・水がペースト状に練られた状態で届くので、すぐに使用することができます。使いきれなかった漆喰は、袋の中の空気を抜いて口をしっかり閉めることで、1年以上経ってもまた使うことができます。
漆喰を少量使いたい場合は「チューブタイプ」(800g)もあります。
こちらもペースト状の漆喰がチューブに入っています。コテに直接盛り付ければ、盛り板も不要です。準備も後片付けも少ないのでビギナー向けです。ペットボトルのように蓋がついているので、空気を抜いて蓋をすればこちらも1年以上保管が可能。持ち運びも便利で、画材のジェッソの様に気軽に使えるパッケージです。
ロハスウォールさんでは、漆喰を購入することができます。カラーバリエーションもホワイトだけでなく、数種類の中から選べます。また、道具レンタルや壁塗りの講習会も開催しているので、興味のある方はぜひHPをご覧ください。
HPはこちらから→ロハスウォール
●「しっくい塗りを体験しよう!」ワークショップの様子
1)講義「漆喰とは?」
講義では講師の辻氏より漆喰の原材料や、硬化の仕組み、特長について詳しく学びました。
原材料である石灰石を、実際に触れてみます。ザラザラした質感で、キラキラとした結晶を含んだ石です。
2)道具の紹介
使用した道具は「コテ」と「盛り板」。両方とも左官職人が現場で使うものと同じものです。盛り板は裏側に持ち手が付いています。コテは中指と人差し指の間で中心の棒を挟み、柄を握ります。
3)実習「板材に塗ってみよう」
漆喰を使用する際はまず、使用できる柔らかさにしなければなりません。
袋の中では漆喰と水が分離し、固くなっているため袋の上から足や手で揉みます。
ある程度柔らかくなってきたら、次は柄杓(ひしゃく)を使ってよく混ぜます。
目安はパンケーキミックスの生地状です。塊がなくなれば使用できます。
盛り板に漆喰をのせます。漆喰の端をコテですくい、盛り板をひっくり返しながらコテの腹にのせます。この盛り板さばき、辻氏がしているのを見ると簡単そうですが実際にやってみると難しいです。
コテにのせた漆喰を、まず下から上へ塗ります。
次に左右にならしていきます。
辻氏にコツを教わります。
コツを掴み、盛り板さばきにもだんだんと慣れてきました。皆さん集中して板材を塗っています。
基本の塗り方は以上です。
●様々なコテと表現できる模様
今回使用したコテは3種類。これらを使って作ることのできる模様を紹介します。
「剣先コテ」
先が剣先のように尖っているのが特長のコテ。
剣先コテには長所が二つあります。一つは他のコテよりも壁に接する面積が最も大きく、1度でたくさん漆喰を塗ることができます。もう一つは、先が角になっているので、角(かど)をそのまま塗ることができます。表面をならし滑らかな面を作ることはもちろん、エッジを使ってシャープな模様を表現することも可能。
扇型の模様を描くこともできます。
「ランダムパターンコテ」
ランダムで立体的な模様を簡単に描くことができるコテです。
予め漆喰を3mm以上に厚めに塗りつけておきます。その上からコテを直線的・曲線的に動かすことで、立体的な仕上げ模様を表現することが可能。レリーフ状の壁面と、光源がつくりだす影の変化を楽しめます。他のコテではこの仕上げ模様を出すことは難しく、このコテならではの表現です。
「クシコテ」
「櫛引仕上げ(くしびきしあげ)」という仕上げ模様をつくる専用のコテ。櫛引仕上げとは、クシで引いたようにギザギザした凹凸をもつ模様のことをいいます。店舗の内装などでよく見かける仕上げ模様の代表的な表現方法の一つです。
コテのギザギザしたエッジを、壁に対して少し起こした状態で動かします。そうすると櫛引き模様のできあがりです。
「木コテ」
木コテは「乱流」「引きづり仕上げ」という仕上げ模様を作る時に使用します。底に丸みがついているので、滑るように模様を描くことができます。
「ブラシ」
身近にある道具でも模様を描くことができます。身の回りにあるものでどんな模様を作ることができるのか実験してみたくなりました。使い方しだいで身近な日用品も壁塗りの道具に使えそうです。
●自由制作
各自が持参した素材に漆喰を組み合わせて、自由制作を行いました。制作の様子を一部紹介します。
「漆喰×ダンボール」
漆喰の水分をダンボールが吸い膨張するため、表面が波うちました。その凹凸が漆喰の表面越しにもうっすら浮き出てきました。水分の影響を受けやすい下地材の特徴を逆手にとると、思いもよらない模様が現れました。
「しっくい×ビーズ」
漆喰を塗った上からビーズを散布しています。ネオンカラーのビーズと漆喰との色の組み合わせがきれいですね。乾く前の漆喰は柔らかいので、表面に他の素材を埋め込む加工が可能です。
「漆喰×カゴバッグ」
カゴバッグをタンクタイプの漆喰に丸ごと浸しています。塗り終えた後のバッグは想像以上の重量でした。乾燥後が楽しみですね。
「漆喰×フィギュア」
コテではなく指を使い、厚みを調節しながら塗っていました。
普段触れることのない漆喰を体験することで、今後の制作にも活かせるのではないでしょうか。また、それぞれ違った素材を持参し、漆喰でどのような表現が可能かを楽しんで検証できたようでした。
CMTELには漆喰のサンプルが展示されています。今回のワークショップに参加出来なかった学生もサンプルを見にぜひCMTELにお越しください。
※今回のワークショップはロハスウォールさんにご協力いただきました。