下記のように休講となりましたので、メディアセンターCMTELも16:10迄で休館いたします。
施設の利用はできません。
http://tamabi.jp/urgent/
またのご来館をお待ちしております。
下記のように休講となりましたので、メディアセンターCMTELも16:10迄で休館いたします。
施設の利用はできません。
http://tamabi.jp/urgent/
またのご来館をお待ちしております。
こんにちは、CMTELです。今回は2018年6月1日に行われた、2019-2020秋冬シーズントレンドセミナーのイベントリポートです。
Edelkoort East 株式会社(TREND UNION)様より家安 香氏を講師としてお招きしセミナーを開催。実際にトレンドブックを閲覧しながらトレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。(以下敬称略)
●トレンドブックとは?
社会背景の分析やリサーチを行い、それに基づいて1年半から2年半先のトレンドを予測し作られたブックです。詩的なキーワード、カラー、ヴィジュアルで構成されており、デザインしたり構想を練るために役立つ情報が詰まっています。そしてファブリックサンプルも多数添付されており、実際に触れることができます。インスピレーションの源になる貴重なブックです。
●TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
Lidewij Edelkoort(リドヴィッジ・エデルコート)氏を中心として、本拠地のパリでトレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間が本来もつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。
●セミナーの様子
1.講義
「人が物を作るのはなぜ?」
家安氏は前置きとして、“人がものを作る理由は何?”と問いかけました。
原始的な時代において、衣服は“身体を隠すため”、履物は“足をケガから守るため”として、「必要性」によって人が作り出しました。
その後、“自己を他者よりも特別に見せたい”という心理が発生した頃、豪華な装飾品が生み出されたように、「必要性」だけではなく「欲求(動機)」もものづくりのきっかけになりました。
「欲求を探るには、今がどんな時代かを考えることが重要」
“何を作ろう?”と考える時、今に目を向けてみましょう。今起きている出来事、人の欲求や価値観、ライフスタイル。大きなスケールで考えるだけでなく、一番身近な自分にも今を知るヒントは存在します。情報過多な現代でこの作業は大変なことではあるのですが、「今ってどんな時代?」「なぜ?」と考えることが、ものを作る・生み出すために必要なことだといいます。
昔の人々が衣服や履物を作り出したように、今の「必要性」「人々の欲求」を分類・分析することで、作るべき対象の方向性が見つかります。その方向性はデザインの分野(プロダクトやグラフィック、建築など)はもちろん、業界を問わず様々な分野(食品、サービス、金融など)で展開しかたちにしていくことができます。
「トレンドには流れがある」
トレンドは断片的ではなく、過去・現在・未来と連なっており流れを持ちます。前述で「今を分析すること」が重要だといったのは、この点が理由です。未来を予測するには「今」を知らなくてはなりません(もちろん過去も重要です)。ここで時代がどのように変化しているか“お茶”を例に説明したいと思います。
人々が一つの製品に求めるものが、時代とともに大きく変化していることが分かります。
「デザインの2つの役割」
“デザイン”という言葉には、意匠・設計・下絵など様々な意味がありますが、ここでいう“デザイン”は下の2つの役割を果たします。
①特徴・特性を分かりやすく伝えるための手段
②ものの新しい観点・価値観をもたらすはたらき
今回のお茶の例において、①②は次のように言い換えられます。
①→ネーミングやパッケージ等で体脂肪を気にする人に効果があることを伝える
②→飲むことがダイエットにつながるという、お茶の新しい価値観の提案
人々の心の変化が発端となり、“お茶”のあり方に新たな一面が生まれました。このように人々の心の変化を捉えることは未来を読み解くヒントに繋がるのです。
「2020年秋冬のテーマ Enlightment(啓発)」
テーマを象徴する16のキーワードを挙げながら、家安氏よりテーマについての解説を行いました。その中から、ここでは1つをご紹介します。
「Switch Off(スイッチを切る)」
このキーワードの解説のはじめに、家安氏から“腕時計をしている方はいますか?”という質問が投げかけられました。
この問いに対して、意外な程多くの人が手を上げました。腕時計を身につける理由として会場内からは、“すぐに見られる” “アナログ時計だと時間の経過が分量として視覚的に分かりやすい”といった意見も出ました。
家安氏が某時計メーカーの方から聞いたエピソードによると、携帯電話の普及と同時に時計離れが進んでいたにもかかわらず最近リバイバルの兆しが出てきているというのです。その理由の一つに、“携帯電話だと時計以外の情報(SNSやメッセージアプリ)が目に入ってしまい、思わず時間を取られてしまう”といったものがあったそうです。
確かに、時間を問わず飛び込んでくるメッセージの着信音に、わずらわしさを感じたことは誰しもあるのではないでしょうか?時間を知りたかっただけなのに、メッセージが届いていたことに気がつき返信をし始め、SNSもチェック…、いつの間にかあっという間に時間が経っている。コメントや反響が返ってくることは嬉しい反面、そういった“ノイズから自分の時間や空間を遠ざけたい・守りたいという心理が強まる”というお話に、共感を覚えた参加者も多かったようでした。
また、この心理から単機能を欲する傾向が今後強くなるといいます。
例えば服装において、この心理を持つ人はどのようなものを求めるでしょうか?肌を露出してオープンな服装というよりかは、自分を外界からを隔てるため身体を覆う面積を広くしたものに落ち着きを感じるかもしれません。襟の形、袖の長さ、ファブリックの質感や色、このように考えるとデザインすべき服装のイメージの輪郭が浮かんでくるようです。
参加者の中には、“Switch Off”というキーワードの説明を聞き、「自分にも当てはまると実感した。時代やトレンドの流れに自分も無縁ではなく、その中に存在しているんだということを感じた。」という感想をもつ方もいました。
2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上映
今回のセミナーではトレンドのイメージを感覚的に表したオーディオヴィジュアル(音と映像)の上映を行いました。セミナーの会場のみで上映されるムービーでは、美しい写真に合わせて流れる音楽は歌詞もその場面に合ったものを選曲しているのだそう。オーディオビジュアルで使用されていた十数曲の音楽にも、興味を持つ学生が沢山いました。
3.ブックの閲覧
セミナーでは普段CMTELには無いジャンルを含む計12冊のブックが閲覧可能でした。オーディオヴィジュアルとリンクしているGENERAL TREND、プロダクトやインテリアのヴィジュアルが豊富なLIFESTYLEなど、幅広いジャンルのブックを取り揃えました。ブックは最新の2019-20秋冬シーズンと、セミナー開催時の2018春夏シーズン。今と未来を見比べることができました。
今回のセミナーには過去最多の90名の方々が集まりました。ブックを十分見ることができなかった参加者のみなさんは、一部のブックをCMTELに常設していますので、ぜひ見にきてくださいね。
4.質疑応答
講義の終了後、時間の許す限り家安氏に質問をする学生もいました。
今回の参加を逃してしまったという方、2018年度後期開催予定のセミナーにぜひご参加ください。(開催日程は決定次第このブログ・Twitterにてお知らせします)
またCMTELでは常時下記のブック(日本語訳の解説ブックつき)が閲覧できます。豊富な写真と添付してあるファブリックを、ぜひ見に・触りにお越しください。
2017年春夏号 GENERAL TREND
2017-2018年秋冬号 GENERAL TREND
2018年春夏号 ACTIVE WEAR
2018-2019年秋冬号 ACTIVE WEAR
2019年春夏号 GENERAL TREND
2019-2020年秋冬号 GENERAL TREND
※今回のセミナーはEdelkoort East 株式会社様にご協力いただきました。