こんにちは。
今回は「レトロ印刷」をご紹介します。
現在展示中の印刷サンプルは『株式会社JAM』さんにご協力いただいています。
「レトロ印刷」 とは、株式会社JAMさんから提供されている、孔版印刷を利用した一種のスクリーン印刷です。
従来のフルカラー印刷とは根本的に考え方も違い、入稿データの作り方や印刷の原理も、シルクスクリーンや版画に近い作り方です。そのためランダムに版ズレが起き、インクの色ムラやかすれが起こりますが、印刷の風合いがまさにレトロな、雰囲気のあるモノに仕上がります。
まるで現代の版画のような印刷が、この『レトロ印刷』なのです。
●孔版印刷とは?
スクリーン状の版に細かい穴を開け、そこからインクを紙に押し出す印刷技法です。新聞の折り込みチラシや、学校でのプリントなどでも使用されており、もっとも簡易的な印刷のひとつです。
●レトロ印刷の特徴
1) ランダムに起こる版ズレ
レトロ印刷の大きな特徴として、版ズレがあります。シルクスクリーンのように1色ごとに色を重ねていくため、予想外のランダムな版ズレが起こります。そのため、1枚1枚違った風合いに仕上がります。
2) 混色するインク
レトロ印刷インクは半水性のため、色を重ねたときに混色します。PhotoshopやIllustratorなどで色を乗算したような感覚で、濃度設定やインクの組み合わせを行うことができます。
3) かすれるインク
レトロ印刷はインクがかすれやすく、手描き感が出ます。木炭画やパステル、鉛筆のかすれ具合を表現しやすく、木炭画などの絵をスキャンして刷っても同じような仕上がりになります。
4) インクの色ムラやグラデーション
色によってムラが出やすかったり、出にくかったりする場合があります。
また、薄い色や細かいものはグラデーションが出にくい場合もあります。
●レトロ印刷の原理
版の小さな孔の密度で濃淡を表現するため、濃度の薄い部分は密度が荒くなります。
●オフセット印刷とレトロ印刷の違い
雑誌やポスターなど、よく目にするフルカラーの印刷物のオフセット印刷と、レトロ印刷は大きく異なります。水と油が反発することを利用して印刷を行っているオフセット印刷に対し、レトロ印刷は版に細かい孔を開け、インクを紙に押し出します。
また、インクにも大きな違いがあります。オフセット印刷では油性のインクを使用しますが、レトロ印刷では半水性(エマルジョン)インクを使用しています。紙に直接インクがのったような仕上がりになることも、レトロ印刷の特徴になります。オフセット印刷では特色扱いになる蛍光色も、レトロ印刷では通常インクと同じ扱いになります。
●紙、インクの種類
株式会社JAMさんでは様々な種類の紙、色のインクを使用することができます。印刷がチラシやフライヤーといった薄い紙のための『ペラ紙印刷』と、ポストカードのような厚紙のための『厚紙印刷』に分かれており、それぞれインクに合わせて選ばれたこだわりの紙が揃えられています。さらに29色のインクを組み合わせて、自分のアイディアを表現していくことができます。
CMTELでは、新色のパステルカラーのサンプルも展示しています。
●ツヤプリ印刷
ツヤプリ印刷とは、米国・バーコ社が開発した隆起効果をだす特殊印刷(バーコ印刷)になります。発泡性の樹脂パウダーを印刷面に定着させ、加熱させて樹脂パウダーを溶解、膨張させ印刷面を立体的に仕上げます。
レトロ印刷の味わいをそのままに、ぷっくりツヤツヤした印刷面を生み出してくれます。また、ツヤプリ印刷をしたインクは色落ちする事はなく、丈夫で長持ちです。
ツヤプリ印刷でも、レトロ印刷の特徴であるズレの表現が可能です。
こちらで紹介した印刷以外にも、金インク印刷や、製本、断裁加工、折り加工など様々な加工も行っています。
WEBや郵送での入稿も可能なので、個展やイベントでのフライヤー、ポートフォリオの表紙、名刺作りなど様々な場面で活用できそうですね。
また、大阪にある実店舗ではワークショップや、孔版印刷、シルクスクリーンを使った印刷や制作をすることができるワークスペースの提供も行っています。
こちらに紹介しきれなかった印刷サンプルが、まだまだたくさん展示されています。
制作意欲をとても刺激される印刷サンプルですので、是非CMTELに来館して実物をご覧ください。
皆様のご来館をお待ちしております。
上記のHPでは実際に印刷されたフライヤーの見本や、紙・印刷の種類がより詳しく紹介されています。
サイズ別の価格表も掲載されているので、是非参考にしてみてください。