19 1月  

12月18日にCMTELにて孔版印刷ワークショップを開催しました。
デモンストレーションを交えながら、製版〜印刷までのプロセスを体験できる内容でした。
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●孔版印刷(こうはんいんさつ)とは?
スクリーン状の版に細かい孔(あな)を開け、そこからインクを紙や布に押し出す印刷技法です。シルクスクリーンや、ステンシルなどの技法が孔版印刷に含まれます。もっとも簡易的な印刷のひとつです。

●ワークショップの様子
レトロ印刷 JAMさんご協力の元、シルクスクリーンの体験を行いました。今回使用した版は参加者オリジナルデザインのものです。道具は遊び感覚でシルクスクリーンが簡単にできる、キットを使用しました。

こちらはレトロ印刷 JAMさんオリジナルの簡易シルクスクリーンセットです。必要な道具が全て揃っているこのセットと版があれば、どこでも気軽に印刷ができます。(詳細はこちらから
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1)講義「孔版印刷のしくみ」
講師の山川氏(右)、小林氏(左)より孔版印刷の版のしくみや、印刷方法などシルクスクリーンの概要を学びました。
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2)製版する
原稿の版の制作には、下の画像の機材、ゴッコプロを使用。
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【ゴッコプロとは?】
従来の製版プロセスは、乳剤塗布・露光・乾燥など数々のステップを踏むため、時間と手間がかかっていました。しかしゴッコプロはその工程がなく、プリンターのようにデータから版を出力します。データ製版なので失敗がなく、すぐに版を確認することが可能。

【デモンストレーション①】
ゴッコプロの中に版の元になるロール状のフィルムをセットします。
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薬品や水を使わないので特別なスキルや経験、知識がなくても簡単に版を制作することができます。洗浄工程がなく排水が出ないので環境にも優しい製版方法です。データを送信し、スタートボタンを押せば1分程で版が完成。
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3)出力した版を木枠に張る
自分でデザインしたオリジナルの版を木枠に張ります。この作業で使用するのはマスキングテープと両面テープのみ。従来のシルクスクリーンで行う紗張り(しゃばり)に比べあっという間にできてしまいます。
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木枠と版を両面テープで接着させた後、4辺を付属のクリップで挟みセット完了です。クリップは印刷する素材と版の間に隙間を作り、版が素材に貼りついてインクがにじんでしまうことを防ぎます。ちょっとした工作感覚で版を張ることができました。
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4)布用インクを刷る
準備した8色の布用インクの中から、今回は1人1色を選んで印刷しました。混色してオリジナルの色を作ることもできます。また、このインクは布にはもちろん紙にも印刷が可能です。
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【デモンストレーション②】
図案の上部に均等にインクをのせて、スキージを上から下に動かして刷ります。下に動かしたスキージは、一度離して、上に移動させてからもう1度刷ります。
スキージを動かす時の力加減は、”ザーッ”という版が擦れる音がする位がベストです。刷り終わったら慎重に版を素材から離します。
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布用のインクを布に刷る場合、印刷・乾燥をさせた後、あて紙をしてアイロンプレスをすることでインクが定着します。高温(約150℃)の熱をあてるので、熱に強い綿50%以上のものを使用します。定着が不完全だと色落ちの原因になります。
今回布は業務用プレスアイロンと家庭用アイロンを使用しました。このプレスアイロンは熱と圧を均一にかけることができるため、しっかりとインクを定着させることができます。
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【実習①】
デモンストレーションの後、参加者がそれぞれ持参した素材に印刷していきます。紙やトートバッグ、トレーナーなどが集まりました。スキージを動かすと版がずれてしまうため、版を押さえてもらう人と二人で協力しながら刷っていきます。
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学生同士でインクをシェアして、2色を一度に刷っています。紙に刷った後のインクは乾燥させれば完成です。
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繰り返し刷るとオリジナルパターンの布を作ることも可能。印刷物の下にあて板や紙を敷いて、刷る面が平らになるように工夫します。この後アイロンでインクを熱圧着し完成です。
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版は数回刷ったら、湿らせたウエスでこまめに拭きましょう。刷りつづけているとインクが乾燥し、版の目に詰まって綺麗に印刷ができなくなってしまいます。
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5)特殊印刷 箔・起毛加工をする
布インクの後は、特殊印刷にも挑戦。そこで使用した材料を紹介します。

【ホットバインダー】
ホットバインダーは箔フィルムや起毛シートを布などに転写するための接着剤です。インクではありません。加熱することで溶け、接着力を発揮します。布用インクより粘り気が強く、ザラザラしています。刷り方は布用インクと同じで、版の上にのせてスキージで刷って使用します。
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【箔フィルム】
金・銀のメタリックな質感をもつ転写フィルムです。このフィルムをホットバインダーを刷った箇所にのせアイロンをかけると定着し、箔の加工ができます。
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【起毛シート】
起毛シートは表面にフサフサとした細かく短い毛が植毛された転写シートです。このシートもホットバインダーを使い定着させることによって、ベロアのような肌触りの加工ができます。今回は12色準備した中から、参加者には1色を選んでもらいました。
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【デモンストレーション③】
まずホットバインダーを箔・起毛シートを定着させたい場所に刷ります。
ここでは重要なポイントが3つあります。まず1点目は、“印刷後すぐに濡れたウエスで版を拭く”です。ホットバインダーは布用インク以上に乾燥しやすい性質を持っています。乾いてしまうと版の目が詰まり、版自体が使い物にならなくなってしまうので要注意です。ウエスの水分を与えることで目詰まりを防ぐことができます。
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続いて2点目は、“ホットバインダーが乾かない内に熱圧着する”です。刷った部分に箔のメタリック面を上に置き、当て紙をしてアイロンをかけます。箔の定着がなかなかうまくいかず実験を重ねた結果、ホットバインダーを刷ってすぐに箔を圧着した方が転写が上手くいくことが分かりました。
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3点目は、“熱が十分取れるまで時間をおく”です。実はこの時間がとても重要です。この間に熱で溶けたホットバインダー(接着剤)と箔とが、しっかりと固着します。熱が冷めないままフィルムを剥がしてしまうと、固着が不十分で箔がまだらについてしまいます。フィルムをゆっくりと剥がし完成。
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次に起毛シートの定着方法です。先程の3つのポイントを意識して作業します。
ホットバインダーを刷った上に、起毛シートの起毛面を下にして配置します。その上に当て紙をして、20秒程しっかりとアイロンをします。
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箔フィルムと同様にこちらも熱が完全にとれるまで冷まします。ゆっくりシートを剥がすとホットバインダー部分に毛が付着します。起毛シートの定着は以上です。
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【実習②】
デモンストレーションで手順を学び、箔・起毛シートの実習をします。
箔・起毛シートはコツをつかむまでが難しく、一喜一憂しながら皆さん真剣に取り組んでいました。難しい加工にチャレンジする過程で、より綺麗な仕上がりを目指し、発見したコツを参加者同士で共有する場面も。
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“シルクスクリーンをやってみたいけどよく分からない”、”版の作り方が分からない”という疑問が解消され、シルクスクリーン印刷がより身近に感じられたのではないのでしょうか。
また、製版から印刷、特殊加工までと大変盛りだくさんな内容のワークショップでした。

今回のワークショップでご協力いただいたレトロ印刷 JAMさんでは、冒頭で紹介したTOY SILKSCREEN KITの販売はもちろん、孔版印刷サービスも行っています。興味のある方は是非、HPをご覧ください。

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