03 8月  

こんにちは。6月15日(水)、16日(木)で樹脂成型による多摩美リングのワークショップを行いました。
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1回定員30名の予約制で参加者を募集し、2日間で計6回開催。毎年恒例のこのワークショップは、学生に「樹脂の基本的な特徴や扱い方を学ぶこと」「樹脂を身近な素材として知り、制作に活かすこと」を目的としています。今回のブログでは当日の様子にあわせて、樹脂成型で失敗しないための3つのポイントをご紹介

●講義「樹脂の性質と扱い方」
まず初めに講義を受けます。樹脂についての予備知識を頭に入れます。
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●実験「ウレタン樹脂に水を混ぜてみる」
ウレタン樹脂にわざと水を入れ、攪拌(かくはん)します。攪拌から数十秒後、ぶくぶくと気体を出しながら発泡し固まりました。驚きの変化に学生達の目が釘付けです。
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下の画像の左側は正常に硬化(こうか)したもの、一方右側は水を加えたものです。左は表面がつるつるとした塊になっているのに対して、右は穴だらけでスポンジのようです。
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これが1つ目のポイントです。今回扱うウレタン樹脂の特徴の1つに、湿気水分の影響を受けやすいという点があります。水分が混ざった樹脂は正常に硬化せず、気泡のある硬化物になってしまいます。このように正常に硬化しないことを “硬化不良(こうかふりょう)” といいます。わずかな湿気でも気泡の原因になるため、作業する日の天候にも注意が必要です。雨天のような多湿時を避け湿度の低い日を選ぶことをおすすめします。

実験のあとは、スタッフのいる各テーブルに移りいよいよ実習です。
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●実習「樹脂を使ってみよう」
1.型の準備
今回CMTELが用意したシリコン型は2つに分割できる “割型”(わりがた) という形状をしています。シリコン型の内側のゴミやカスを取り除いてから、離型剤(りけいざい)スプレーを散布。離型剤とは、樹脂と型の固着を防ぎ、型から硬化物をスムーズに取り出すための潤滑剤(じゅんかつざい)の役割を果たすものです。DSC_0872

スプレーの散布後、ガムテープを型の周りに巻きます。そうすることで型がしっかり固定され、樹脂を流し込んだ際に割型のすき間から漏れ出てしまうことを防ぐことができます。これでシリコン型の準備は完了です。
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2.計量
ここからが2つ目のポイントです。樹脂を扱う上で重要な計量。今回使用するウレタン樹脂は2種類の液体(主剤・硬化剤)を混合すると、発熱しながら硬化する2液性の樹脂です。混合する比率は各種樹脂によって異なりますが、今回は1:1なので2液共に同じ分量を0.1g単位で厳密に計っていきます。

硬化剤(こうかざい)は樹脂の硬化を早めたり、固まらせる働きをします。だからといって、硬化剤を多く入れれば硬化のスピードが促進される訳ではありません。樹脂の種類によって既定の混合比を必ず守り計量しましょう。
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3.撹拌(かくはん)
ここからは時間を意識しながら作業をします。主剤の中に硬化剤を入れ撹拌棒で約20秒かき混ぜます。2つの樹脂を混ぜ合わせた瞬間から、硬化が始まるまでの時間は約90秒です。ここが3つ目のポイント混ぜ方のコツは、ムラがないように大きく “の” の字を書くように素早く混ぜ合わせることです。攪拌を十分に行わないと化学反応が起こらない箇所が存在して、部分的に固まらない表面がベタベタするといった硬化不良の原因に。
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4.注入
撹拌が終わったらシリコン型に素早く注ぎ入れていきます。
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20秒を過ぎても注がないままにしていると硬化がどんどん進み、注ぎ終わる前にこんなことに…。また、硬化が進むことで粘度が高くなると、樹脂に含まれたままの空気が抜けきれず気泡が多くなる原因にもなります。スピーディーな作業が必要ですね。
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注型が完了しました。後は10〜15分程硬化を待ちます。硬化が始まると、画像左側のように色が白っぽく変化していきます。
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硬化を待っている間にスタッフへ樹脂の質疑応答タイムが始まります。
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実際に樹脂を使った作品やシリコン型を用いながら、制作プロセスを丁寧に解説します。
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5.脱型(だっけい)
硬化が完了したら、リングを取り出しやすくするために型をグネグネとひねらせ抜き取ります。シリコン製の型は伸びる性質を持っているため、手で形をゆがませることが可能です。
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6.完成
リング以外の余分な部分をニッパーで切りおとし、切断面をやすりで整えて完成です。
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最後

今回のワークショップは、学生にとって樹脂の特性や扱い方を体感しながら学ぶことのできた機会となったようです。毎年恒例のこのワークショップは来年度も開催予定。興味のある学生は是非一度ご参加ください。

今回ご協力いただいた日新レジン株式会社様では、今回使用したウレタン樹脂以外にも透明な封入用樹脂(クリスタルレジンNeo)や、グミのように柔らかい樹脂(グミーキャスト)、また樹脂専用の着色剤なども取り扱っています。
様々なサンプルをCMTELにも展示していますので、是非一度お越しになりご覧ください。

※このワークショップは、サポート企業・日新レジン株式会社様にご協力いただきました。
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