04 10月 

こんにちはCMTELです。2018年6月14日(木)に開催した透明樹脂を用いた樹脂成形ワークショップ、「透明樹脂(クリスタルレジン)を始めよう!」のレポート記事です。記事の後半では粘度のあるレジンを使う際に、一手間でクオリティがグッと上がる小ワザをご紹介します。

今回のワークショップは日新レジン株式会社様にご協力をいただきました。

使用した樹脂のご紹介
今回のワークショップでは高い透明度が魅力の透明樹脂、クリスタルレジンを扱う内容に挑戦しました。

クリスタルレジンとは主剤硬化剤の2液性の注型用(ちゅうけい)※1エポキシ樹脂で、数ある樹脂の中で透明度が高く低粘度で泡抜けに優れた樹脂です。そのため、素材封入(ふうにゅう)にもってこいの材料です。
こちらの商品は大学内の画材店でも取り扱われています。

※1 注型とは…型に材料(樹脂等)を流し込み固化させた後、型を外して製品を作る方法。

ワークショップは2部構成。まず、「素材封入(ふうにゅう)」に関しての講義・実習、次に「樹脂の着色」についての講義・実習を行いました。

 


●講義1「エポキシ樹脂の性質と扱い方」
はじめに日新レジン株式会社の講師の方々から樹脂の性質、取り扱いの講義を受けます。

デモンストレーションを交えながら講師の方々はとても分かりやすく樹脂についてのお話をしてくださいました。

●実習1「素材の封入」
樹脂の扱い方を理解したら各自テーブルに移動し、実習に移ります。

一つ目の実習として、学生の皆さんがそれぞれ用意してきた素材を樹脂に封入していきます。あらかじめ1層の硬化(こうか)※2 済みの樹脂の上から、素材と2層目の樹脂を流し込み硬化させ、最後に3層目を流すというプロセスです。
※2 硬化とは…柔らかい物質が何らかの化学的作用によって硬くなっていくこと。

トレーナーからの説明をよく聞き、2種類の樹脂を計量し攪拌(かくはん)※3していきます。攪拌が完了したら、樹脂を型に流し入れ、素材を配置します。
※3 攪拌(かくはん)とは…かき混ぜること


思うところに配置ができたら2層目の樹脂を流し、さらにその後3層目を流していきます。

●完成
24時間経ち完全に硬化したら、樹脂を型から取り外します。3層構造で作ったことにより、奥行きが生まれ素材と素材の重なりが豊かなものになりました。また、型に丸みがついているので、角度によって素材の見え方が変化します。レンズのような効果が生まれ、素材の形が湾曲して見える点も面白いです。


●講義2「透明樹脂の着色」
クリスタルレジンは透明着色剤のNRクリアカラーを使用することで、透明に鮮やかな色をつけることが可能です。4色の着色剤の混合比率を変えると作れる色の幅も広がります。



●実習2「透明着色剤の混合」
色見本を見ながら自分が作りたい色に調色していきます。


着色ができたら硬化剤と合わせ攪拌し、配布されたシリコン型にゆっくりと流して硬化させます。

●完成
みなさんそれぞれとてもカラフルな色になりました。


調色は、鮮やかさを保ちたい場合には2色程度がお勧めです。色数を増やすと、落ち着いた渋い色味も出すことができます。


ワークショップの概要は以上となりますが、ここで学生のみなさんの作品ををもう少し見ていきましょう。

●作品のご紹介
出来上がった成果物をみると、みなさん様々な試みをしています。中では、お菓子などグミをいれた実験的なもの、おもちゃなど小さなミニチュアを封入したものなど、素材ごとに違う面白い表情が出ていました。





●小ワザ紹介「粘度のあるレジンの泡抜けをよくするには?」

最後に、クリスタルレジンを扱う上でクオリティを上げるためのちょっとした小ワザのご紹介。気温の低い時期にクリスタルレジンを使う方は必見です。

記事の文頭でお話しした通り、クリスタルレジンは主剤硬化剤を混ぜ、攪拌することで硬化する2液性の樹脂です。低粘度ではありますが主剤は常温だと粘り気が高く、はちみつ程度にとろとろしています。攪拌や着色時に慎重に扱っても気泡が入りやすくなっています。

泡が残ると、仕上がりの見栄えにも影響が出てくるため、注型する前は出来るだけ気泡が無い状態にしておきたいところです。

そこで、前準備として大事なことは、あらかじめ主剤と硬化剤を50~60℃程度に温めておくこと。温めることで常温のものより段違いに粘度が下がりサラサラになります。計量時や攪拌時、硬化時に巻き込んでしまう気泡の量を極力抑えることができます。

温めるのに用意するものは、密閉できるチャック袋2枚耐熱ボウル。袋を2重にして、その中に主剤・硬化剤の缶を入れます。(袋に入れることで缶内に水が混ざってしまったり、容器の缶が錆びてしまうことを防ぎます。)
次にチャックを閉めお湯を張った耐熱性のボールでゆっくり湯煎にかけます。※お湯の取り扱い時にはヤケドに気をつけましょう。

温まったらやけどに注意しながら、タオルなどを介して袋から缶を出し使用します。

少し手間がかかる作業ではありますがこの行程を踏むことで仕上がりが目に見えて変わるので、これから透明樹脂を扱う方、気泡に悩んでいる方は試してみてください。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました、今回のワークショップは全2回でどちらも満席となりました、残念ながら参加できなかった方々もまたの機会にぜひご参加ください。

 

※このワークショップは日新レジン株式会社様にご協力いただきました。

01 10月 

10月の休館日のお知らせ

Posted by CMTEL  |  2018/10/01 12:29

10月の休館日をお知らせいたします。

土曜:6、13、20、27日
日曜:7、14、21、28日
芸術祭期間:31日(水)〜11月6日(火)

また、下記日程は都合により一時閉館いたします。
5日(金):12:30~13:30
8日(月)、9日(火)、10日(水):11:30~12:30

なお、10月8日(月)体育の日は授業調整日(平常授業)のため、開館いたします。

以上、10月も是非CMTELをご活用ください!

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10月1日(月)2日(火)、3日(水)に開催される試作用サンプル 素材配布イベントについての詳細はこちら

21 9月 

EVENT「試作用素材サンプル 配布イベント」

Posted by CMTEL  |  2018/09/21 11:29


こんにちは、CMTELです。10月1日(月)〜3日(水)に、「試作用素材サンプル 配布イベント」を開催します!

普段から CMTELでは、数々のマテリアルメーカーから提供された素材サンプルを、試作用に配布しています。 今回のイベントではその内の4社(以下順不同 東レ株式会社様、ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社様、有限会社和晃プラスチック様、SOLIZE Products 株式会社様)をピックアップし、素材サンプルを学生の皆さんに配布します。(一部CMTELのストックしていた端材等も配布)

【開催概要】
●日 時:2018年10月1日(月)2日(火)3日(水) 10:30〜16:30
●場 所:八王子校舎 メディアセンター2F CMTEL
●対 象:多摩美術大学 全在学生
●ご注意:入室の際は学生証をお持ちください作業着での入室・飲食物の持ち込みできません。上限は1人につき1日3点まで。配布物が無くなり次第終了します。
●お願い:今回配布する素材を用いた作品の画像の画像を常時募集しています(任意)。ご協力いただける方はCMTEL(cmtel@tamabi.ac.jp)までご連絡ください。

【配布するものについて】※順不同
●スエード調 人工皮革  Ultrasuede® (東レ株式会社様)
●湿式ポリウレタンレザー (ウルトラファブリックス・ホールディングス株式会社様)
●立体3次元プラスチック PlaRain® (有限会社和晃プラスチック様)
●3Dプリント サポート材 (SOLIZE Products株式会社様)

なかなか手に入らない珍しい素材もありますので、ぜひお越しください。

04 9月 

下記のように休講となりましたので、メディアセンターCMTELも16:10迄で休館いたします。

施設の利用はできません。

http://tamabi.jp/urgent/
またのご来館をお待ちしております。

04 9月 

EVENT REPORT!「トレンドセミナー」

Posted by CMTEL  |  2018/09/04 14:20

こんにちは、CMTELです。今回は2018年6月1日に行われた、2019-2020秋冬シーズントレンドセミナーのイベントリポートです。

Edelkoort East 株式会社(TREND UNION)様より家安 香氏を講師としてお招きしセミナーを開催。実際にトレンドブックを閲覧しながらトレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。(以下敬称略)

●トレンドブックとは?
社会背景の分析やリサーチを行い、それに基づいて1年半から2年半先のトレンドを予測し作られたブックです。詩的なキーワード、カラー、ヴィジュアルで構成されており、デザインしたり構想を練るために役立つ情報が詰まっています。そしてファブリックサンプルも多数添付されており、実際に触れることができます。インスピレーションの源になる貴重なブックです。

TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
Lidewij Edelkoort
リドヴィッジ・エデルコートを中心として、本拠地のパリでトレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間が本来もつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。

 

セミナーの様子

1.講義
「人が物を作るのはなぜ?
家安氏は前置きとして、“人がものを作る理由は何?”と問いかけました。

原始的な時代において、衣服は“身体を隠すため”、履物は“足をケガから守るため”として、「必要性」によって人が作り出しました。

その後、“自己を他者よりも特別に見せたい”という心理が発生した頃、豪華な装飾品が生み出されたように、「必要性」だけではなく「欲求(動機)」もものづくりのきっかけになりました。

「欲求を探るには、今がどんな時代かを考えることが重要」
“何を作ろう?”と考える時、に目を向けてみましょう。今起きている出来事、人の欲求や価値観ライフスタイル。大きなスケールで考えるだけでなく、一番身近な自分にも今を知るヒントは存在します。情報過多な現代でこの作業は大変なことではあるのですが、「今ってどんな時代?」「なぜ?」と考えることが、ものを作る・生み出すために必要なことだといいます。

昔の人々が衣服や履物を作り出したように、「必要性」「人々の欲求」分類・分析することで、作るべき対象の方向性が見つかります。その方向性はデザインの分野(プロダクトやグラフィック、建築など)はもちろん、業界を問わず様々な分野(食品、サービス、金融など)で展開しかたちにしていくことができます。


「トレンドには流れがある」
トレンドは断片的ではなく、過去・現在・未来と連なっており流れを持ちます。前述で「今を分析すること」が重要だといったのは、この点が理由です。未来を予測するには「今」を知らなくてはなりません(もちろん過去も重要です)。ここで時代がどのように変化しているか“お茶”を例に説明したいと思います。

人々が一つの製品に求めるものが、時代とともに大きく変化していることが分かります。


「デザインの2つの役割」
“デザイン”という言葉には、意匠・設計・下絵など様々な意味がありますが、ここでいう“デザイン”は下の2つの役割を果たします。
①特徴・特性を分かりやすく伝えるための手段
②ものの新しい観点・価値観をもたらすはたらき

今回のお茶の例において、①②は次のように言い換えられます。
①→ネーミングやパッケージ等で体脂肪を気にする人に効果があることを伝える
②→飲むことがダイエットにつながるという、お茶の新しい価値観の提案

人々の心の変化が発端となり、“お茶”のあり方に新たな一面が生まれました。このように人々の心の変化を捉えること未来を読み解くヒントに繋がるのです。


「2020年秋冬のテーマ Enlightment(啓発)

テーマを象徴する16のキーワードを挙げながら、家安氏よりテーマについての解説を行いました。その中から、ここでは1つをご紹介します。


「Switch Off(スイッチを切る)」
このキーワードの解説のはじめに、家安氏から“腕時計をしている方はいますか?”という質問が投げかけられました。

この問いに対して、意外な程多くの人が手を上げました。腕時計を身につける理由として会場内からは、“すぐに見られる” “アナログ時計だと時間の経過が分量として視覚的に分かりやすい”といった意見も出ました。

家安氏が某時計メーカーの方から聞いたエピソードによると、携帯電話の普及と同時に時計離れが進んでいたにもかかわらず最近リバイバルの兆しが出てきているというのです。その理由の一つに、“携帯電話だと時計以外の情報(SNSやメッセージアプリ)が目に入ってしまい、思わず時間を取られてしまう”といったものがあったそうです。

確かに、時間を問わず飛び込んでくるメッセージの着信音に、わずらわしさを感じたことは誰しもあるのではないでしょうか?時間を知りたかっただけなのに、メッセージが届いていたことに気がつき返信をし始め、SNSもチェック…、いつの間にかあっという間に時間が経っている。コメントや反響が返ってくることは嬉しい反面、そういった“ノイズから自分の時間や空間を遠ざけたい・守りたいという心理が強まる”というお話に、共感を覚えた参加者も多かったようでした。

また、この心理から単機能を欲する傾向が今後強くなるといいます。

例えば服装において、この心理を持つ人はどのようなものを求めるでしょうか?肌を露出してオープンな服装というよりかは、自分を外界からを隔てるため身体を覆う面積を広くしたものに落ち着きを感じるかもしれません。襟の形、袖の長さ、ファブリックの質感や色、このように考えるとデザインすべき服装のイメージの輪郭が浮かんでくるようです。

参加者の中には、“Switch Off”というキーワードの説明を聞き、「自分にも当てはまると実感した。時代やトレンドの流れに自分も無縁ではなく、その中に存在しているんだということを感じた。」という感想をもつ方もいました。


2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上映
今回のセミナーではトレンドのイメージを感覚的に表したオーディオヴィジュアル(音と映像)の上映を行いました。セミナーの会場のみで上映されるムービーでは、美しい写真に合わせて流れる音楽は歌詞もその場面に合ったものを選曲しているのだそう。オーディオビジュアルで使用されていた十数曲の音楽にも、興味を持つ学生が沢山いました。


3.ブックの閲覧
セミナーでは普段CMTELには無いジャンルを含む計12冊のブックが閲覧可能でした。オーディオヴィジュアルとリンクしているGENERAL TREND、プロダクトやインテリアのヴィジュアルが豊富なLIFESTYLEなど、幅広いジャンルのブックを取り揃えました。ブックは最新の2019-20秋冬シーズンと、セミナー開催時の2018春夏シーズン。今と未来を見比べることができました。

今回のセミナーには過去最多の90名の方々が集まりました。ブックを十分見ることができなかった参加者のみなさんは、一部のブックをCMTELに常設していますので、ぜひ見にきてくださいね。


4.質疑応答
講義の終了後、時間の許す限り家安氏に質問をする学生もいました。


今回の参加を逃してしまったという方、2018年度後期開催予定のセミナーにぜひご参加ください。(開催日程は決定次第このブログ・Twitterにてお知らせします)

またCMTELでは常時下記のブック(日本語訳の解説ブックつき)が閲覧できます。豊富な写真と添付してあるファブリックを、ぜひ見に・触りにお越しください。
2017年春夏号 GENERAL TREND
2017-2018年秋冬号 GENERAL TREND
2018年春夏号 ACTIVE WEAR
2018-2019年秋冬号 ACTIVE WEAR
2019年春夏号 GENERAL TREND
2019-2020年秋冬号 GENERAL TREND

※今回のセミナーはEdelkoort East 株式会社様にご協力いただきました。