19 12月 

こんにちは、CMTELです。9月26日(水)に、マテリアルメーカーにお越しいただいての「マテリアル説明会」を開催しました。

今回は、スエード調人工皮革Ultrasuede®を製造している東レ株式会社(敬称略)をお招きしました。製品に関して詳細はこちらから(CMTELの過去のブログ記事

なおこの説明会は、卒業制作に取り組む生産デザイン学科の4年生・院2年生に対して、卒業制作への素材提供を前提とした取り組みの一環として開催しました。今回のブログ「前半」では、主に説明会の様子をレポート。3月以降には、実際の卒業制作作品を交えた「後半」をレポート予定です。


【開催概要】

●日 時:2018年9月26日(水)16:10開場 16:20~17:50
●場 所:八王子校舎 デザイン棟2F(7-213)プロダクトデザイン講義室A
●ご協力:東レ株式会社
●対 象:多摩美術大学 生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻・テキスタイルデザイン専攻の4年生・院2年生で卒業制作にてUltrasuede®を使う可能性がある学生、もしくは使用を検討したい学生
●ご注意:作業着での入室・飲食物の持ち込みはできません。
●申し込み方法:プロダクトデザイン研究室もしくはCMTELどちらかの記名表にご記入ください

【説明会の様子】
会社紹介とUltrasuede®製品説明
集まったのは、卒業制作にのぞむ学生12名(+お話だけでも聞きたいというプロダクトの他学年の学生も)。Ultrasuede®の特徴や歴史・製品への採用事例を、講義形式でご紹介いただきました。

靴やカバン、スツールの座面など、たくさんの加工サンプルが揃いました。

インテリア用に加工されたファブリックのハンガーサンプル、縫製された衣類も。

質疑応答
中には、実際に試作品を持参し見せながら相談をする学生や、担当者とお話しする中で自身の制作へのヒントを探る学生もいました。

【説明会後の流れ】
●1.試作用Ultrasuede®をCMTELヘリクエストする(10月初旬)
図面を描き、必要な「数量」「厚み」をリクエストします。説明会に参加した学生のうち、5名がリクエストをしました。色々なスケッチが集まりました、どんな作品が生まれるのか楽しみです。

●2.試作用Ultrasuede®が届く(10月中旬)
約10日間が試作期間。レーザー加工機でのカットや、細く切ったUltrasuede®をファブリック状に織る実験、ミシンで縫い合わせた時の厚みの検証など、多様な試みをそれぞれが行います。また、他の素材との組み合わせや、色の検証を行いました。

●3.本制作用Ultrasuede®をCMTELヘリクエストする(10月下旬)
2.の検証結果を踏まえて、「数量」「厚み」「色」を指定します。最終的に参加者は4名(テキスタイル専攻4年1名、プロダクト専攻4年3名)となりました。

●4.本制作用Ultrasuede®が届く(11月初旬)
ここから講評会までの期間で本制作を行います。衣類や、カバン、玩具、家具など、制作するアイテムは様々です。みなさん頑張ってください!

 

これ以降のレポート「後半」3月以降にUP予定です。実際に学生の作品を交えたレポートになる予定ですので、続きをどうぞお楽しみに。

 

※今回のイベントは、下記企業様にご協力いただきました。
東レ株式会社

14 12月 

こんにちは。2018年7月14日(土)、15日(日)のオープンキャンパスにて「マテリアルワークショップ~アクセサリーバッジをつくろう!~」を開催しました。2日間で合計227名の方にご参加いただきました。

このワークショップは、下の画像左の水溶性樹脂造形材料ジェスモナイト(AC100)といろいろな素材を組み合わせ、アクセサリーバッジをつくるというものでした。今回のブログでは当日の様子に加え、後半ではジェスモナイトと異素材をデコレーションする時のポイント2つをご紹介します。

ジェスモナイトとは有機溶剤など有害な物質を含まない、身体と環境にやさしい水性樹脂のこと。下のような特徴があります。

①安全性と作業性の良さ
(有機溶剤を含まないので防毒マスクは不要。匂いもアクリル絵具程度で硬化(こうか)※は15分程度と短い。水性のため道具は水洗い可能。)
②発色性、質感の高さ
(写真右に写っている蛍光着色剤の発色はかなり高く、ごく少量で着色可能。質感は石膏や陶器のようにマット。)
③軽量で頑丈
④成形のバリエーションが豊富
(注型(ちゅうけい)※、塗布、盛り・削り、やすり、スプレーガンでの噴射が可能)

使用例としては、彫刻・アート作品・考古学モデル・映画撮影セット・アクセサリー・家具・内装・建築など幅広いクリエイティブの場で使用されています。詳細はこちらからどうぞ。

※硬化とは…柔らかい物質が何らかの化学的作用によって硬くなっていくこと。
※注型とは…型に材料(樹脂等)を流し込み固化させた後、型を外して製品を作る方法。

当日は、樹脂の取り扱いに長けた学生インストラクターが各作業テーブルについてレクチャーを行いました。
では実際どのようなワークショップを行なっていたのか、ご紹介します!

.素材を選ぶ
台の上に並べられた素材の中から好きなパーツを選びます。

アルファベットや動物の形をしたパスタや、

CMTELにある3Dプリンターでプリントした造形物。「CMTEL」のロゴになっています。ちなみにこの造形物に使われた材料のプラスチックは、ポリ乳酸というトウモロコシ由来のデンプンから作られています。

こちらは「サポート材」「ラフト」と呼ばれる、3Dプリント造形物時に作られる端材。日頃CMTELで3Dプリンタを使っている学生のみなさんから、不要な端材を提供してもらいました。プリンタが自動計算で作り出す端材には、意図しない造形美があります。

ちなみに、3Dプリンタのデモンストレーションも館内で行いました。3Dプリンタの動く様子に見入る来場者の方の姿も。

こちらは、ワックスコードを短くカットしたもの。

この他にも、CMTELならではの特殊な素材もありました。その中から珍しい素材をいくつかご紹介します。

「スチレンビーズ」(協力 積水化成品工業株式会社様)
画像左側は、発泡スチロールの原材料”原料ビーズ”(ポリスチレンの粒)です。およそ0.4mmほどのビーズの中には発泡材のガスが含まれています。蒸気をあて加熱させることで50倍以上に膨らみます。向かって右側は原料ビーズを予備発泡させた“発泡ビーズ”です。

生鮮食料品用の保冷梱包材緩衝材に加工された後の姿はお馴染みですね。

今回は原料ビーズ、発泡ビーズの両方を揃えました。原料ビーズの段階ではビビットな色半透明ですが、発泡ビーズになると乳白色・不透明色になります。日常生活では見ることのできない、身の回りの物の元の姿に驚きです。

「メッシュ」(協力 株式会社NBCメッシュテック様)
網戸やふるいをはじめ、家電製品や自動車内のフィルター音響機器のスピーカー部材など日常生活のあらゆるところで幅広く使われています。普段目につきづらいところで活躍することの多いメッシュですが、よく見ると色や目の大きさに様々なバリエーションがあります。

今回は4種類のメッシュをレーザー加工機でカットしたパーツを準備しました。暗い所で光る蓄光(ちっこう)繊維を織り込んだものや、蛍光ピンクのメッシュは靴や鞄の試作品に使われているもの、撥水加工されているものなど種類が豊富です。

「ケミカルウッド」(協力 株式会社ミナロ様)
加工性や環境性に優れた、樹脂でできた言葉通り人工の木材です。木のように木目がなく繊維の方向を気にせず加工ができ、色で硬度が分かれているので用途に合わせて選ぶこともできます。また、着色性にも富んでいるので模型フィギュアの製作でも多く使われています。ものづくりの可能性を広げる使い勝手のよい素材です。多摩美生もよくお世話になっています。

.作業テーブルへ移動
学生トレーナーの元いよいよ作業スタート。小さなお子さんも沢山参加いただきました。

今回型に使ったのは、直径3cm、厚さ5mmの正円の型です。

.ジェスモナイトのリキッドとベースを混ぜる
予めピンク・ブルー・イエローに着色されたジェスモナイトのリキッドから好きな色を選択。

そこにベースといわれる粉状の材料を入れ、むらの無いようよく混ぜます。(リキッドとベースの重量比率は1:2.5なので、今回リキッドは4gベースは10gを計量)

混ぜ始めは粉っぽさが目立ちますが、混ぜ続けるとなめらかなクリーム状になっていきます。ここで3分程頑張って混ぜましょう!攪拌(かくはん)※が足りないと、完成した後に色がまだらになってしまうためです。
※攪拌とは…かき混ぜること

4.型に流す
混ぜた棒でかき出し、シリコンの型に流し入れます。

5.デコレーション
上からパーツをデコレーションしていきます。ジェスモナイトは15分程で固まります、そのうちデコレーションができる時間は2〜3分程と限られています。それ以上デコレーションを続けると表面がデコボコに…。完成をしっかりイメージしておくことが大切です。

デコレーションのポイント①
ジェスモナイトの厚みが薄くなってしまうと、この後型から外す時に割れてしまいます。パーツを沢山デコレーションする時は、ジェスモナイトの厚さが2mm以下になってしまわないよう、気をつけましょう。今回使用した型の深さは3mmと浅いため、型に注いだ後のジェスモナイトの中に沢山パーツを封入してしまうと、薄い部分が多くなり強度が落ちます

デコレーションのポイント②
重たいパーツ2分程経ってから乗せましょう。金属でできたものや、比重の大きいパーツは、早く乗せるとジェスモナイトの中に沈んでいって見えなくなってしまいます。

みなさん頭の中のイメージをどんどん形にしていきます。ピンセットや爪楊枝を使うとデコレーションがしやすいです。

6.固まるのを15分待つ
固まるまでの待ち時間は学生トレーナーへの質問タイムに。多摩美での学生生活についてや、志望する学科の話、受験のこと……様々な話で盛り上がりました。

CMTELの展示素材を見学する方もいらっしゃいました。

7.型から取り出す
つい先程まで液状だったジェスモナイトが…カチカチに固まりました!質感は石膏や陶器のようマットで、しっとりとしています。固まる時に少し熱が発生しますが、手で触っても問題なくほんのり温かい程度。

8.ピンをつける
最後に、裏側の面に瞬間接着剤でピンバッジ用の金属パーツをつけていきます。

9.完成!
ここで完成品をいくつかご紹介!
発泡ビーズ3Dプリント造形物を使用した作品。発泡ビーズはジェスモナイトに乗せるだけだと接着が十分ではないので、乗せた後に爪楊枝などで少し押すとしっかりとくっつきます。エメラルドグリーンと水色の淡い色の組み合わせがきれいですね。

こちらは3Dプリント端材、ワックスコードを使った作品。立体的で存在感のあるバッジが続々とできていきます。

グレーのパーツはケミカルウッド、ピンク色のメッシュワックスコードの組み合わせです。

アルファベット型のパスタをメインに、様々なパーツも盛り込んだ作品です。

個性あふれるバッジの数々が2日間で完成しました!

今年のワークショップでも、お子様から大人の方、学生や受験生、たくさんの方が体験をしました。樹脂に触れたことのない初心者の方はもちろん、樹脂に親しみのあるユーザーも、ジェスモナイトの使いやすさに驚いていました。完成したバッジは、みなさん早速身につけてお帰りになっていました!

 

多摩美の学生が普段製作に使用している材料や、珍しい素材に実際に触れて、ものづくりを楽しんでいただけたようです。次回のオープンキャンパスのワークショップも、ぜひお楽しみに!

04 10月 

こんにちはCMTELです。2018年6月14日(木)に開催した透明樹脂を用いた樹脂成形ワークショップ、「透明樹脂(クリスタルレジン)を始めよう!」のレポート記事です。記事の後半では粘度のあるレジンを使う際に、一手間でクオリティがグッと上がる小ワザをご紹介します。

今回のワークショップは日新レジン株式会社様にご協力をいただきました。

使用した樹脂のご紹介
今回のワークショップでは高い透明度が魅力の透明樹脂、クリスタルレジンを扱う内容に挑戦しました。

クリスタルレジンとは主剤硬化剤の2液性の注型用(ちゅうけい)※1エポキシ樹脂で、数ある樹脂の中で透明度が高く低粘度で泡抜けに優れた樹脂です。そのため、素材封入(ふうにゅう)にもってこいの材料です。
こちらの商品は大学内の画材店でも取り扱われています。

※1 注型とは…型に材料(樹脂等)を流し込み固化させた後、型を外して製品を作る方法。

ワークショップは2部構成。まず、「素材封入(ふうにゅう)」に関しての講義・実習、次に「樹脂の着色」についての講義・実習を行いました。

 


●講義1「エポキシ樹脂の性質と扱い方」
はじめに日新レジン株式会社の講師の方々から樹脂の性質、取り扱いの講義を受けます。

デモンストレーションを交えながら講師の方々はとても分かりやすく樹脂についてのお話をしてくださいました。

●実習1「素材の封入」
樹脂の扱い方を理解したら各自テーブルに移動し、実習に移ります。

一つ目の実習として、学生の皆さんがそれぞれ用意してきた素材を樹脂に封入していきます。あらかじめ1層の硬化(こうか)※2 済みの樹脂の上から、素材と2層目の樹脂を流し込み硬化させ、最後に3層目を流すというプロセスです。
※2 硬化とは…柔らかい物質が何らかの化学的作用によって硬くなっていくこと。

トレーナーからの説明をよく聞き、2種類の樹脂を計量し攪拌(かくはん)※3していきます。攪拌が完了したら、樹脂を型に流し入れ、素材を配置します。
※3 攪拌(かくはん)とは…かき混ぜること


思うところに配置ができたら2層目の樹脂を流し、さらにその後3層目を流していきます。

●完成
24時間経ち完全に硬化したら、樹脂を型から取り外します。3層構造で作ったことにより、奥行きが生まれ素材と素材の重なりが豊かなものになりました。また、型に丸みがついているので、角度によって素材の見え方が変化します。レンズのような効果が生まれ、素材の形が湾曲して見える点も面白いです。


●講義2「透明樹脂の着色」
クリスタルレジンは透明着色剤のNRクリアカラーを使用することで、透明に鮮やかな色をつけることが可能です。4色の着色剤の混合比率を変えると作れる色の幅も広がります。



●実習2「透明着色剤の混合」
色見本を見ながら自分が作りたい色に調色していきます。


着色ができたら硬化剤と合わせ攪拌し、配布されたシリコン型にゆっくりと流して硬化させます。

●完成
みなさんそれぞれとてもカラフルな色になりました。


調色は、鮮やかさを保ちたい場合には2色程度がお勧めです。色数を増やすと、落ち着いた渋い色味も出すことができます。


ワークショップの概要は以上となりますが、ここで学生のみなさんの作品ををもう少し見ていきましょう。

●作品のご紹介
出来上がった成果物をみると、みなさん様々な試みをしています。中では、お菓子などグミをいれた実験的なもの、おもちゃなど小さなミニチュアを封入したものなど、素材ごとに違う面白い表情が出ていました。





●小ワザ紹介「粘度のあるレジンの泡抜けをよくするには?」

最後に、クリスタルレジンを扱う上でクオリティを上げるためのちょっとした小ワザのご紹介。気温の低い時期にクリスタルレジンを使う方は必見です。

記事の文頭でお話しした通り、クリスタルレジンは主剤硬化剤を混ぜ、攪拌することで硬化する2液性の樹脂です。低粘度ではありますが主剤は常温だと粘り気が高く、はちみつ程度にとろとろしています。攪拌や着色時に慎重に扱っても気泡が入りやすくなっています。

泡が残ると、仕上がりの見栄えにも影響が出てくるため、注型する前は出来るだけ気泡が無い状態にしておきたいところです。

そこで、前準備として大事なことは、あらかじめ主剤と硬化剤を50~60℃程度に温めておくこと。温めることで常温のものより段違いに粘度が下がりサラサラになります。計量時や攪拌時、硬化時に巻き込んでしまう気泡の量を極力抑えることができます。

温めるのに用意するものは、密閉できるチャック袋2枚耐熱ボウル。袋を2重にして、その中に主剤・硬化剤の缶を入れます。(袋に入れることで缶内に水が混ざってしまったり、容器の缶が錆びてしまうことを防ぎます。)
次にチャックを閉めお湯を張った耐熱性のボールでゆっくり湯煎にかけます。※お湯の取り扱い時にはヤケドに気をつけましょう。

温まったらやけどに注意しながら、タオルなどを介して袋から缶を出し使用します。

少し手間がかかる作業ではありますがこの行程を踏むことで仕上がりが目に見えて変わるので、これから透明樹脂を扱う方、気泡に悩んでいる方は試してみてください。

 

ここまで読んでくださりありがとうございました、今回のワークショップは全2回でどちらも満席となりました、残念ながら参加できなかった方々もまたの機会にぜひご参加ください。

 

※このワークショップは日新レジン株式会社様にご協力いただきました。

04 9月 

EVENT REPORT!「トレンドセミナー」

Posted by CMTEL  |  2018/09/04 14:20

こんにちは、CMTELです。今回は2018年6月1日に行われた、2019-2020秋冬シーズントレンドセミナーのイベントリポートです。

Edelkoort East 株式会社(TREND UNION)様より家安 香氏を講師としてお招きしセミナーを開催。実際にトレンドブックを閲覧しながらトレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。(以下敬称略)

●トレンドブックとは?
社会背景の分析やリサーチを行い、それに基づいて1年半から2年半先のトレンドを予測し作られたブックです。詩的なキーワード、カラー、ヴィジュアルで構成されており、デザインしたり構想を練るために役立つ情報が詰まっています。そしてファブリックサンプルも多数添付されており、実際に触れることができます。インスピレーションの源になる貴重なブックです。

TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
Lidewij Edelkoort
リドヴィッジ・エデルコートを中心として、本拠地のパリでトレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間が本来もつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。

 

セミナーの様子

1.講義
「人が物を作るのはなぜ?
家安氏は前置きとして、“人がものを作る理由は何?”と問いかけました。

原始的な時代において、衣服は“身体を隠すため”、履物は“足をケガから守るため”として、「必要性」によって人が作り出しました。

その後、“自己を他者よりも特別に見せたい”という心理が発生した頃、豪華な装飾品が生み出されたように、「必要性」だけではなく「欲求(動機)」もものづくりのきっかけになりました。

「欲求を探るには、今がどんな時代かを考えることが重要」
“何を作ろう?”と考える時、に目を向けてみましょう。今起きている出来事、人の欲求や価値観ライフスタイル。大きなスケールで考えるだけでなく、一番身近な自分にも今を知るヒントは存在します。情報過多な現代でこの作業は大変なことではあるのですが、「今ってどんな時代?」「なぜ?」と考えることが、ものを作る・生み出すために必要なことだといいます。

昔の人々が衣服や履物を作り出したように、「必要性」「人々の欲求」分類・分析することで、作るべき対象の方向性が見つかります。その方向性はデザインの分野(プロダクトやグラフィック、建築など)はもちろん、業界を問わず様々な分野(食品、サービス、金融など)で展開しかたちにしていくことができます。


「トレンドには流れがある」
トレンドは断片的ではなく、過去・現在・未来と連なっており流れを持ちます。前述で「今を分析すること」が重要だといったのは、この点が理由です。未来を予測するには「今」を知らなくてはなりません(もちろん過去も重要です)。ここで時代がどのように変化しているか“お茶”を例に説明したいと思います。

人々が一つの製品に求めるものが、時代とともに大きく変化していることが分かります。


「デザインの2つの役割」
“デザイン”という言葉には、意匠・設計・下絵など様々な意味がありますが、ここでいう“デザイン”は下の2つの役割を果たします。
①特徴・特性を分かりやすく伝えるための手段
②ものの新しい観点・価値観をもたらすはたらき

今回のお茶の例において、①②は次のように言い換えられます。
①→ネーミングやパッケージ等で体脂肪を気にする人に効果があることを伝える
②→飲むことがダイエットにつながるという、お茶の新しい価値観の提案

人々の心の変化が発端となり、“お茶”のあり方に新たな一面が生まれました。このように人々の心の変化を捉えること未来を読み解くヒントに繋がるのです。


「2020年秋冬のテーマ Enlightment(啓発)

テーマを象徴する16のキーワードを挙げながら、家安氏よりテーマについての解説を行いました。その中から、ここでは1つをご紹介します。


「Switch Off(スイッチを切る)」
このキーワードの解説のはじめに、家安氏から“腕時計をしている方はいますか?”という質問が投げかけられました。

この問いに対して、意外な程多くの人が手を上げました。腕時計を身につける理由として会場内からは、“すぐに見られる” “アナログ時計だと時間の経過が分量として視覚的に分かりやすい”といった意見も出ました。

家安氏が某時計メーカーの方から聞いたエピソードによると、携帯電話の普及と同時に時計離れが進んでいたにもかかわらず最近リバイバルの兆しが出てきているというのです。その理由の一つに、“携帯電話だと時計以外の情報(SNSやメッセージアプリ)が目に入ってしまい、思わず時間を取られてしまう”といったものがあったそうです。

確かに、時間を問わず飛び込んでくるメッセージの着信音に、わずらわしさを感じたことは誰しもあるのではないでしょうか?時間を知りたかっただけなのに、メッセージが届いていたことに気がつき返信をし始め、SNSもチェック…、いつの間にかあっという間に時間が経っている。コメントや反響が返ってくることは嬉しい反面、そういった“ノイズから自分の時間や空間を遠ざけたい・守りたいという心理が強まる”というお話に、共感を覚えた参加者も多かったようでした。

また、この心理から単機能を欲する傾向が今後強くなるといいます。

例えば服装において、この心理を持つ人はどのようなものを求めるでしょうか?肌を露出してオープンな服装というよりかは、自分を外界からを隔てるため身体を覆う面積を広くしたものに落ち着きを感じるかもしれません。襟の形、袖の長さ、ファブリックの質感や色、このように考えるとデザインすべき服装のイメージの輪郭が浮かんでくるようです。

参加者の中には、“Switch Off”というキーワードの説明を聞き、「自分にも当てはまると実感した。時代やトレンドの流れに自分も無縁ではなく、その中に存在しているんだということを感じた。」という感想をもつ方もいました。


2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上映
今回のセミナーではトレンドのイメージを感覚的に表したオーディオヴィジュアル(音と映像)の上映を行いました。セミナーの会場のみで上映されるムービーでは、美しい写真に合わせて流れる音楽は歌詞もその場面に合ったものを選曲しているのだそう。オーディオビジュアルで使用されていた十数曲の音楽にも、興味を持つ学生が沢山いました。


3.ブックの閲覧
セミナーでは普段CMTELには無いジャンルを含む計12冊のブックが閲覧可能でした。オーディオヴィジュアルとリンクしているGENERAL TREND、プロダクトやインテリアのヴィジュアルが豊富なLIFESTYLEなど、幅広いジャンルのブックを取り揃えました。ブックは最新の2019-20秋冬シーズンと、セミナー開催時の2018春夏シーズン。今と未来を見比べることができました。

今回のセミナーには過去最多の90名の方々が集まりました。ブックを十分見ることができなかった参加者のみなさんは、一部のブックをCMTELに常設していますので、ぜひ見にきてくださいね。


4.質疑応答
講義の終了後、時間の許す限り家安氏に質問をする学生もいました。


今回の参加を逃してしまったという方、2018年度後期開催予定のセミナーにぜひご参加ください。(開催日程は決定次第このブログ・Twitterにてお知らせします)

またCMTELでは常時下記のブック(日本語訳の解説ブックつき)が閲覧できます。豊富な写真と添付してあるファブリックを、ぜひ見に・触りにお越しください。
2017年春夏号 GENERAL TREND
2017-2018年秋冬号 GENERAL TREND
2018年春夏号 ACTIVE WEAR
2018-2019年秋冬号 ACTIVE WEAR
2019年春夏号 GENERAL TREND
2019-2020年秋冬号 GENERAL TREND

※今回のセミナーはEdelkoort East 株式会社様にご協力いただきました。

23 2月 

こんにちは。2018年1月12日(金)のワークショップにて「孔版印刷(シルクスクリーン)を体験しよう!」を開催しました。講師として株式会社JAM様より辰巳氏・吉野氏をお招きし、デモンストレーションを交えながら製版〜プリントまでのプロセスを体験できる内容でした。今回のブログでは当日の様子をご紹介。

●講義「孔版印刷(シルクスクリーン)について」
まず初めに孔版印刷の種類やシルクスクリーンの仕組みの紹介です(詳細な情報はこちら)。シルクスクリーンはTシャツやトートバッグの印刷にも使用されている身近な印刷技術です。

従来、シルクスクリーンの紗(しゃ)※を作るには多くの時間機材・薬剤専用の作業空間、そして何よりテクニックが必要でした。しかし今回は手軽に作ることのできる「デジタル製版機」を使用します。機械とパソコンを繋ぎ、Illustlatorで作ったデータを送信すると、図柄状に孔(あな)の開いた紗が出てきます。プリンタで印刷するような感覚で紗が完成しました。

※紗:繊維がメッシュ状に織られた布で、図柄以外の部分のメッシュの孔を何らかの方法で目止めし、インクが通らない部分を作ったもの。

だるま(図柄部分)に孔が開いた状態の紗が数分で出てきました(だるまの周りの色面は孔が開いていません)。スピーディーな点もさることながら、デジタル出力のため同じ紗を何枚でも作ることができる点も魅力的です。

●準備「枠に紗を張って版を作る」
1.使った道具

シルクスクリーンには紗を張るための枠が要ります。今回使うは、パーツを連結させて7種の大きさの枠を作ることができるフレームパーツです(詳細はこちら)。

今回のワークショップでは印刷サイズが200×200mmのため、青色と黄色のパーツのみ使用します。なお、紗は参加者が事前に製作したデータから出力したオリジナルデザインのものを用意しました。

2.紗を張る
組み立てた枠の上に紗を乗せます。枠にある溝に、紗の上からゴムチューブを一周埋めていきます。付属のローラーを使いゴムチューブを埋め終わると、ピンと紗を張ることができました。シルクスクリーンでは、紗をたるみなく張る必要があり慣れないと難しいものです。しかし、初めての参加者でも簡単に上手に張ることができました。(張り方の詳細はこちら)

それでは準備もできたところで、早速プリント実習に移っていきます。


●プリント実習①「紙・布用インクを刷る」
プリントをするアイテムは各々持参してもらった好きな素材。色紙やトートバッグに靴下に手ぬぐいなどなどが集まりました。12色の中から選びます。

へのプリント後、インクの種類によっては洗濯でインクが落ちないよう定着させるためにアイロンでの熱圧着の必要があります。使用するインクにはアイロンの仕上げがいるのかどうかチェックしましょう。アイロンが必要なインクの場合、熱で布が変形しないよう、プリントする布製品は綿50%以上である必要があります。

今回用意した「金・銀・銅色」のインクは、株式会社JAM様で扱っているオリジナルインクでアイロン作業が不要のインクです。そのため、熱に弱くアイロンがけの出来ないアクリルポリエステルといった化学繊維にもプリントができます。ただし、金銀銅などのラメ入りのインクを使う場合、紗は荒目(今回使用した紗は荒めの70メッシュ)のものでないとインクに含まれているラメが詰まってしまうので注意しましょう。

1.インクはたっぷり使う
図柄部分の幅をしっかりカバーできる量のインクを置きます。もし刷っている間に紗の上でインクが無くなってしまうと、かすれの原因になってしまいます。(印刷後、版に余ったインクは乾燥していなければ再利用できます。)

2.スキージでインクを刷る
スキージというインクを伸ばすための専用のへらを使い刷っていきます。刷る時のコツは4つ。

・“ジー”という音がたつくらいの力加減で刷ること
力を入れても意外と大丈夫でした。余分なインクをこそぎ取るようなイメージで、しっかりスキージで紗を擦りましょう。
・深くスキージをつかみ、指を広げしっかりと持つこと
スキージに加わる力にむらが出来てしまうと、インクの乗りが厚い部分・そうでない部分ができてしまいます。
・スキージの角度を45°にすること
角度が低過ぎると、インクが余分に紗を通ってしまい滲みの原因になってしまいます。
・図柄の幅に合わせて的確な大きさのスキージを使うこと
図柄の幅に対して大き過ぎるスキージを使った場合、スキージにかけた握力が分散してしまいます。そうするとインクの付着が均一にならず、ムラができやすくなります。小さい図柄よりも大きい図柄をプリントする方が難易度が高いです。

力を入れてスキージを動かす際、版が動いてしまうため参加者同士で枠を押えます。トートバッグなどマチがあるものは中に板や厚紙を入れて、印刷面をフラットにしてから刷るときれいに刷れます。

版がずれると、このように図柄がブレる原因になるのできっちり固定しましょう。

版を外す時は、枠の一辺を押さえゆっくり持ち上げるとプリントした物が版にくっつかずうまく剥がせます。

プリント後はすぐに、版の裏側から濡れたウエスインクを拭い目詰まりを防ぎましょう。インクが乾燥すると紗の目が詰まり、次のプリントの際にその部分だけインクがのらなくなってしまいます。

3.仕上げにアイロンをかける
アイロンがけの必要なインクを使ったものにはアイロンをかけましょう。熱によってインクが定着します。

4.完成!
以下の画像2枚は参加者に大人気だった銅色のインクでプリントした作品です。この写真では見えないのですが、細かいラメが入っていてキラキラしています。

同じく銅色のインクでプリントした作品です。黒地の色が透けることなく、図柄部分にこってりとインクが乗っています。濃い色のものにプリントすると、下地の色が透けるインクもあるのですが、このインクは不透明色なのが特徴です。

表面に編み目の起伏がある靴下にもプリントができました。

みなさんコツをつかみ、完成度の高いプリントが続々とでき上がっていきます。出来上がりの嬉しさから、思わずその場で着用する学生も…!


●プリント実習②「箔を転写する」
とは金・銀のメタリックな質感をもつ転写フィルムです。ホットバインダーを刷った箇所に乗せ、アイロンをかけることで定着させることができます。

1.ホットバインダーを刷る
ホットバインダーとはフィルムやシートを印刷物に転写するための接着剤です。加熱すると溶け、接着力を発揮します。プリント時には2回刷りましょう、粘り気が強く粒子も大きいためしっかりと印刷物にホットバインダーをのせるためです。また紙布用インクよりもさらに乾燥が早いので、印刷後はすぐに濡れたウエスで紗を拭い目詰まりを防いでください。

画像中央の、うっすらと見える丸い図柄部分がホットバインダーを刷った色面です。触ってもホットバインダーが手につかない程度に乾燥させます。

2.熱圧着する
アイロンを150度に温めます。蒸気孔のあるものだと穴の跡がついてしまう可能性があるので、かけ面がフラットなアイロンを使用しましょう。また、アイロン台は表面が柔らかなものだと圧力が分散し圧着がうまくいかないので、下に敷くのは硬い板や厚紙がオススメです。

布製品でバッグなどの筒状のものには中に紙や板を入れましょう。アイロンの熱で溶けたホットバインダーが、裏側の生地に染み込んでしまうのを防止するためです。(紙など、ホットバインダーの染み込まない素材は必要ありません)

ホットバインダーを刷った部分に箔が上向きになるように重ねます。その上にクッキングシートを被せ、アイロンを3秒ほど当てます。きちんと圧着させるため、クッキングシートの上からアイロンを数秒かけた後、乾いたウエスで撫でてホットバインダーと箔の間に残っている空気を抜きます。箔がずれないように気をつけながら、さらに20秒加熱。体重を乗せしっかりをかけます。

3.箔フィルムを剥がす
最も重要なポイントがここです!フィルムを剥がしたくなる気持ちをぐっとこらえ、熱が完全に冷めきるのを待ちましょう。この間でホットバインダーと箔が固着します。冷めきらないまま剥がしてしまうと、このように箔がまだらになってしまいます。十分冷えてからゆっくりフィルムを剥がしましょう

4.完成です!!


●プリント実習③「起毛加工をする」
起毛シートとは台紙の表面に短かい毛がついたシートのこと。ベロアのようにふわふわした手触りをしています。箔フィルムよりも少し難易度が高くなります。

1.ホットバインダーを刷る
箔の時と同じく、ホットバインダーをプリントします。起毛シートの定着がうまくいくかどうかは、元々のホットバインダーの乗り具合大きく影響します。2度刷りでしっかりプリントします。ちなみに図柄の大きさによっては、慣れてくれば下の画像のように片手で固定し一人で作業することも可能です。刷った後は乾燥させます。

2.熱圧着する
印刷面の上に、白い台紙が上になるよう起毛シートを乗せ、さらにクッキングシートを被せアイロン(温度設定165度20秒)をかけます。あまりに圧力をかけすぎてしまうと、起毛がつぶれて寝た状態で貼り付いてしまいます。適度な圧力のかけ具合を、みなさん感覚で探っていきます。

3.起毛シートの台紙を剥がす
先程の箔フィルム同様、大事なことなのでもう一度繰り返します。台紙は冷えきってから剥がしましょう

印刷面に毛が付き、ケバケバしたテクスチャーに…!起毛シートの毛が残っている余白部分はまだ使用ができます。切り取って小さな面積のプリントに使いましょう。



1度の定着でうまく起毛がつかなかったら…?
起毛シートは難易度が少々高く、始めはうまくいかない場合もあります。そういう場合には、もう一度圧着を試みましょう。ホットバインダーが残っていれば、接着が可能です。アイロンをかける圧力を調整したり、部分的に起毛がついていない場合にはその部分へ重点的にアイロンをかけてみてくだい。


 

孔版印刷やシルクスクリーンと聞くと大変で難しいイメージを持っていた学生もいましたが、今回のワークショップを経てイメージが変わったようでした。

ちょっとした工夫ポイントを押さえれば、初めてでも上手に刷ることができます。思ったようにいかなくとも、意図しない効果がでて想像よりも良い仕上がりになったりなど、手作業ならではの発見もあります。興味を持っている方は、ぜひ挑戦してみてください!

製版〜プリント・特殊加工という内容盛り沢山のワークショップは、2018年度も開催予定です。今回参加のできなかった学生のみなさん、次回をお楽しみに。

ご協力いただいた株式会社レトロ印刷JAM様では、今回使用した枠の販売はもちろん、孔版印刷サービスも行っています。都内にワークスペースもありますので興味のある方はHPをご覧ください。

※このワークショップは、サポート企業・レトロ印刷 JAMにご協力いただきました。

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