03 8月 

こんにちは。6月15日(水)、16日(木)で樹脂成型による多摩美リングのワークショップを行いました。
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1回定員30名の予約制で参加者を募集し、2日間で計6回開催。毎年恒例のこのワークショップは、学生に「樹脂の基本的な特徴や扱い方を学ぶこと」「樹脂を身近な素材として知り、制作に活かすこと」を目的としています。今回のブログでは当日の様子にあわせて、樹脂成型で失敗しないための3つのポイントをご紹介

●講義「樹脂の性質と扱い方」
まず初めに講義を受けます。樹脂についての予備知識を頭に入れます。
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●実験「ウレタン樹脂に水を混ぜてみる」
ウレタン樹脂にわざと水を入れ、攪拌(かくはん)します。攪拌から数十秒後、ぶくぶくと気体を出しながら発泡し固まりました。驚きの変化に学生達の目が釘付けです。
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下の画像の左側は正常に硬化(こうか)したもの、一方右側は水を加えたものです。左は表面がつるつるとした塊になっているのに対して、右は穴だらけでスポンジのようです。
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これが1つ目のポイントです。今回扱うウレタン樹脂の特徴の1つに、湿気水分の影響を受けやすいという点があります。水分が混ざった樹脂は正常に硬化せず、気泡のある硬化物になってしまいます。このように正常に硬化しないことを “硬化不良(こうかふりょう)” といいます。わずかな湿気でも気泡の原因になるため、作業する日の天候にも注意が必要です。雨天のような多湿時を避け湿度の低い日を選ぶことをおすすめします。

実験のあとは、スタッフのいる各テーブルに移りいよいよ実習です。
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●実習「樹脂を使ってみよう」
1.型の準備
今回CMTELが用意したシリコン型は2つに分割できる “割型”(わりがた) という形状をしています。シリコン型の内側のゴミやカスを取り除いてから、離型剤(りけいざい)スプレーを散布。離型剤とは、樹脂と型の固着を防ぎ、型から硬化物をスムーズに取り出すための潤滑剤(じゅんかつざい)の役割を果たすものです。DSC_0872

スプレーの散布後、ガムテープを型の周りに巻きます。そうすることで型がしっかり固定され、樹脂を流し込んだ際に割型のすき間から漏れ出てしまうことを防ぐことができます。これでシリコン型の準備は完了です。
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2.計量
ここからが2つ目のポイントです。樹脂を扱う上で重要な計量。今回使用するウレタン樹脂は2種類の液体(主剤・硬化剤)を混合すると、発熱しながら硬化する2液性の樹脂です。混合する比率は各種樹脂によって異なりますが、今回は1:1なので2液共に同じ分量を0.1g単位で厳密に計っていきます。

硬化剤(こうかざい)は樹脂の硬化を早めたり、固まらせる働きをします。だからといって、硬化剤を多く入れれば硬化のスピードが促進される訳ではありません。樹脂の種類によって既定の混合比を必ず守り計量しましょう。
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3.撹拌(かくはん)
ここからは時間を意識しながら作業をします。主剤の中に硬化剤を入れ撹拌棒で約20秒かき混ぜます。2つの樹脂を混ぜ合わせた瞬間から、硬化が始まるまでの時間は約90秒です。ここが3つ目のポイント混ぜ方のコツは、ムラがないように大きく “の” の字を書くように素早く混ぜ合わせることです。攪拌を十分に行わないと化学反応が起こらない箇所が存在して、部分的に固まらない表面がベタベタするといった硬化不良の原因に。
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4.注入
撹拌が終わったらシリコン型に素早く注ぎ入れていきます。
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20秒を過ぎても注がないままにしていると硬化がどんどん進み、注ぎ終わる前にこんなことに…。また、硬化が進むことで粘度が高くなると、樹脂に含まれたままの空気が抜けきれず気泡が多くなる原因にもなります。スピーディーな作業が必要ですね。
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注型が完了しました。後は10〜15分程硬化を待ちます。硬化が始まると、画像左側のように色が白っぽく変化していきます。
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硬化を待っている間にスタッフへ樹脂の質疑応答タイムが始まります。
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実際に樹脂を使った作品やシリコン型を用いながら、制作プロセスを丁寧に解説します。
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5.脱型(だっけい)
硬化が完了したら、リングを取り出しやすくするために型をグネグネとひねらせ抜き取ります。シリコン製の型は伸びる性質を持っているため、手で形をゆがませることが可能です。
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6.完成
リング以外の余分な部分をニッパーで切りおとし、切断面をやすりで整えて完成です。
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最後

今回のワークショップは、学生にとって樹脂の特性や扱い方を体感しながら学ぶことのできた機会となったようです。毎年恒例のこのワークショップは来年度も開催予定。興味のある学生は是非一度ご参加ください。

今回ご協力いただいた日新レジン株式会社様では、今回使用したウレタン樹脂以外にも透明な封入用樹脂(クリスタルレジンNeo)や、グミのように柔らかい樹脂(グミーキャスト)、また樹脂専用の着色剤なども取り扱っています。
様々なサンプルをCMTELにも展示していますので、是非一度お越しになりご覧ください。

※このワークショップは、サポート企業・日新レジン株式会社様にご協力いただきました。
日新レジン ロゴ

27 6月 

EVENT REPORT!「トレンドセミナー」

Posted by CMTEL  |  2016/06/27 14:41

こんにちは、CMTELです。今回は5月27日に行われたトレンドセミナーのイベントリポートです。
TREND UNIONさんより家安 香氏を講師として招き、昨年に引き続き今年もセミナーを開催。実際にトレンドブックを閲覧しながらトレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。
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●トレンドブックとは?
社会背景の分析やリサーチを行い、それに基づいて1年半から2年半先のトレンドを予測し作られたブックです。詩的なキーワード、カラー、美しいヴィジュアルで構成されており、デザインしたり構想を練るために必要かつ役立つ情報が詰まっています。そして貴重なファブリックサンプルも多数添付されており、実際に触れることができます。全てのページがインスピレーションの源になっている貴重なブックです。

●TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
パリを本拠地にして、トレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間本来のもつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。


●セミナーの様子

1.講義
「トレンドは誰かが作るもの?」
一般的に『トレンド』という言葉はファッションの世界においての”流行り”という意味で使われがちです。またトレンドは”誰かによって作られるもの”と言われます。しかしこれらは間違った概念です。

人の価値観や興味は、その人の置かれている環境に影響を受けます。身近な例を挙げると、ここ数年スニーカーを履いている人を見かける機会が多くなりました。通勤する人達でさえスニーカーを履いていることは珍しくありません。

この現象のきっかけの一つとなったのは東日本大震災。帰宅困難者で街は大混乱になりました。歩きやすく疲れない靴を求めて、とあるスポーツブランドショップではスニーカーが売り切れたそうです。この時不安な気持ちから人々が靴に求めたのは機能性でした。機能性に優れた素材・デザインのモノを持つことで安心感を得たのです。
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また日本だけではなく、地球規模でも様々な異常気象が頻発しています。予知できない災害に対する不安な気運が高まる中、人は不安な状況を少しでも改善しようと行動します。これは自然な心のはたらきです。こういった状況下で、人が求めるモノはどんな素材で作られているべきでしょうか?まさしくこれらの情報が『トレンド』なのです。
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自然な心のはたらきを反映したトレンド情報は、こういった理由からファッション業界に限らず金融業界や流通業界など様々な場面で影響を及ぼし形となって現れます。実際にトレンドユニオンさんのクライアントには銀行や食品メーカーもいるそうです。トレンドユニオンさんの商品は、世の中の一人一人の微妙な心の動きを読み、2年後・3年後その動きがどうなっているのかを考える世界規模の未来予測なのです。


「トレンド予測がなぜ必要なのか」

講義では”お茶のデザインをすること”を例にしたお話がありました。この場合に、いきなりペットボトルやロゴのデザインをするだけでは、意味がなく表面的なデザインになってしまいます。人がいつどこでなぜお茶を飲みたいのか、人の心理にまで掘り下げた『トレンド予測』(=人間研究)をすることで、お茶をデザインすることの意味が変わってきます。
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家安氏は講義の中で”デザインは形や色を設計することではなく、その商品が人生にどのような影響を与えるのかを考えること”ととても印象的な言葉を学生に投げかけました。トレンド予測はモノを作る前には欠かせないプロセスなのです。


2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上演
トレンドのイメージを感覚的に表したオーディオヴィジュアル(音と映像)の上映です。ここでは実際上映している様子は載せられないのですが、美しい写真に合わせて流れる音楽は歌詞もその場面に合ったものを選曲しているのだそう。


3.ブックの閲覧
セミナーでは普段CMTELには無い様々なジャンルのブックを13冊見ることができました。セミナーで流したオーディオヴィジュアルとリンクしているGENERAL TREND(CMTEL所有)、建築と人についてのARCHITECTUREやプロダクトやインテリアのヴィジュアルが豊富なLIFESTYLEなど幅広いジャンルのブックがあります。

今回取り揃えたのは最新の2017-18秋冬と現在の2016春夏のブック。今と未来を見比べることができます。更にその2シーズンの間に発行されたブックも一部ジャンルをディスプレイ。
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添付された珍しいファブリックに興味深々です。どのブックも装丁のデザインが凝っていて次から次に手が伸びます。ポートフォリオの参考にもなりますね。
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4.質疑応答
講義後に家安氏のもとへ学生達が集まっています。彼らはプロダクトやテキスタイル、グラフィックや工芸などそれぞれに別の専攻をしている学生達です。彼らからは普段制作を通して考えていることや将来のことなど様々な意見、質問が寄せられていました。
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その中で、ブックでのフォントの使い方についての質問がありました。2017-18 秋冬のメインテーマである「肉体労働への愛」。無骨でダーティーな写真にはスマートで洗練されたフォントが使用されており、その点を”意外ですね”と尋ねる学生がいました。「労働」が力強く粗っぽいイメージだからこそ、あえてフォントは線の細いものを使用したのだそう。そうすることで「労働」を崇高で品格のあるものに昇華し、それを賛美する今シーズンのメインテーマを表現しています。
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自分の質問が終わった後もその場を離れずに、別の学生と家安氏の会話に聞き入る学生も多くいました。講義の最中同様、家安氏からの核心を突く多くの言葉を逃すまいと必死にメモをとり続ける姿が印象的でした。
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多摩美でのセミナーは(今回を含めて)年内に2回開催されます!今回のセミナーを楽しんでくれた方や今回参加を逃してしまったという方、後期開催予定のセミナーに是非参加してください!

またCMTELでは GENERAL TREND 2017-18 秋冬 GENERAL TREND 2017 春夏 常時展示しています。美しい写真と豊富な種類のファブリックを、見に触りにお越しください。また、トレンド情報について詳しい内容の書かれた日本語訳の解説ブックも付いています。

※今回のセミナーはTREND UNIONさんにご協力いただきました。
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19 1月 

12月18日にCMTELにて孔版印刷ワークショップを開催しました。
デモンストレーションを交えながら、製版〜印刷までのプロセスを体験できる内容でした。
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●孔版印刷(こうはんいんさつ)とは?
スクリーン状の版に細かい孔(あな)を開け、そこからインクを紙や布に押し出す印刷技法です。シルクスクリーンや、ステンシルなどの技法が孔版印刷に含まれます。もっとも簡易的な印刷のひとつです。

●ワークショップの様子
レトロ印刷 JAMさんご協力の元、シルクスクリーンの体験を行いました。今回使用した版は参加者オリジナルデザインのものです。道具は遊び感覚でシルクスクリーンが簡単にできる、キットを使用しました。

こちらはレトロ印刷 JAMさんオリジナルの簡易シルクスクリーンセットです。必要な道具が全て揃っているこのセットと版があれば、どこでも気軽に印刷ができます。(詳細はこちらから
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1)講義「孔版印刷のしくみ」
講師の山川氏(右)、小林氏(左)より孔版印刷の版のしくみや、印刷方法などシルクスクリーンの概要を学びました。
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2)製版する
原稿の版の制作には、下の画像の機材、ゴッコプロを使用。
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【ゴッコプロとは?】
従来の製版プロセスは、乳剤塗布・露光・乾燥など数々のステップを踏むため、時間と手間がかかっていました。しかしゴッコプロはその工程がなく、プリンターのようにデータから版を出力します。データ製版なので失敗がなく、すぐに版を確認することが可能。

【デモンストレーション①】
ゴッコプロの中に版の元になるロール状のフィルムをセットします。
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薬品や水を使わないので特別なスキルや経験、知識がなくても簡単に版を制作することができます。洗浄工程がなく排水が出ないので環境にも優しい製版方法です。データを送信し、スタートボタンを押せば1分程で版が完成。
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3)出力した版を木枠に張る
自分でデザインしたオリジナルの版を木枠に張ります。この作業で使用するのはマスキングテープと両面テープのみ。従来のシルクスクリーンで行う紗張り(しゃばり)に比べあっという間にできてしまいます。
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木枠と版を両面テープで接着させた後、4辺を付属のクリップで挟みセット完了です。クリップは印刷する素材と版の間に隙間を作り、版が素材に貼りついてインクがにじんでしまうことを防ぎます。ちょっとした工作感覚で版を張ることができました。
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4)布用インクを刷る
準備した8色の布用インクの中から、今回は1人1色を選んで印刷しました。混色してオリジナルの色を作ることもできます。また、このインクは布にはもちろん紙にも印刷が可能です。
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【デモンストレーション②】
図案の上部に均等にインクをのせて、スキージを上から下に動かして刷ります。下に動かしたスキージは、一度離して、上に移動させてからもう1度刷ります。
スキージを動かす時の力加減は、”ザーッ”という版が擦れる音がする位がベストです。刷り終わったら慎重に版を素材から離します。
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布用のインクを布に刷る場合、印刷・乾燥をさせた後、あて紙をしてアイロンプレスをすることでインクが定着します。高温(約150℃)の熱をあてるので、熱に強い綿50%以上のものを使用します。定着が不完全だと色落ちの原因になります。
今回布は業務用プレスアイロンと家庭用アイロンを使用しました。このプレスアイロンは熱と圧を均一にかけることができるため、しっかりとインクを定着させることができます。
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【実習①】
デモンストレーションの後、参加者がそれぞれ持参した素材に印刷していきます。紙やトートバッグ、トレーナーなどが集まりました。スキージを動かすと版がずれてしまうため、版を押さえてもらう人と二人で協力しながら刷っていきます。
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学生同士でインクをシェアして、2色を一度に刷っています。紙に刷った後のインクは乾燥させれば完成です。
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繰り返し刷るとオリジナルパターンの布を作ることも可能。印刷物の下にあて板や紙を敷いて、刷る面が平らになるように工夫します。この後アイロンでインクを熱圧着し完成です。
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版は数回刷ったら、湿らせたウエスでこまめに拭きましょう。刷りつづけているとインクが乾燥し、版の目に詰まって綺麗に印刷ができなくなってしまいます。
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5)特殊印刷 箔・起毛加工をする
布インクの後は、特殊印刷にも挑戦。そこで使用した材料を紹介します。

【ホットバインダー】
ホットバインダーは箔フィルムや起毛シートを布などに転写するための接着剤です。インクではありません。加熱することで溶け、接着力を発揮します。布用インクより粘り気が強く、ザラザラしています。刷り方は布用インクと同じで、版の上にのせてスキージで刷って使用します。
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【箔フィルム】
金・銀のメタリックな質感をもつ転写フィルムです。このフィルムをホットバインダーを刷った箇所にのせアイロンをかけると定着し、箔の加工ができます。
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【起毛シート】
起毛シートは表面にフサフサとした細かく短い毛が植毛された転写シートです。このシートもホットバインダーを使い定着させることによって、ベロアのような肌触りの加工ができます。今回は12色準備した中から、参加者には1色を選んでもらいました。
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【デモンストレーション③】
まずホットバインダーを箔・起毛シートを定着させたい場所に刷ります。
ここでは重要なポイントが3つあります。まず1点目は、“印刷後すぐに濡れたウエスで版を拭く”です。ホットバインダーは布用インク以上に乾燥しやすい性質を持っています。乾いてしまうと版の目が詰まり、版自体が使い物にならなくなってしまうので要注意です。ウエスの水分を与えることで目詰まりを防ぐことができます。
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続いて2点目は、“ホットバインダーが乾かない内に熱圧着する”です。刷った部分に箔のメタリック面を上に置き、当て紙をしてアイロンをかけます。箔の定着がなかなかうまくいかず実験を重ねた結果、ホットバインダーを刷ってすぐに箔を圧着した方が転写が上手くいくことが分かりました。
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3点目は、“熱が十分取れるまで時間をおく”です。実はこの時間がとても重要です。この間に熱で溶けたホットバインダー(接着剤)と箔とが、しっかりと固着します。熱が冷めないままフィルムを剥がしてしまうと、固着が不十分で箔がまだらについてしまいます。フィルムをゆっくりと剥がし完成。
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次に起毛シートの定着方法です。先程の3つのポイントを意識して作業します。
ホットバインダーを刷った上に、起毛シートの起毛面を下にして配置します。その上に当て紙をして、20秒程しっかりとアイロンをします。
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箔フィルムと同様にこちらも熱が完全にとれるまで冷まします。ゆっくりシートを剥がすとホットバインダー部分に毛が付着します。起毛シートの定着は以上です。
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【実習②】
デモンストレーションで手順を学び、箔・起毛シートの実習をします。
箔・起毛シートはコツをつかむまでが難しく、一喜一憂しながら皆さん真剣に取り組んでいました。難しい加工にチャレンジする過程で、より綺麗な仕上がりを目指し、発見したコツを参加者同士で共有する場面も。
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“シルクスクリーンをやってみたいけどよく分からない”、”版の作り方が分からない”という疑問が解消され、シルクスクリーン印刷がより身近に感じられたのではないのでしょうか。
また、製版から印刷、特殊加工までと大変盛りだくさんな内容のワークショップでした。

今回のワークショップでご協力いただいたレトロ印刷 JAMさんでは、冒頭で紹介したTOY SILKSCREEN KITの販売はもちろん、孔版印刷サービスも行っています。興味のある方は是非、HPをご覧ください。

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09 12月 

EVENT REPORT!「トレンドセミナー」

Posted by CMTEL  |  2015/12/09 18:12

11月19日(木)にTREND UNIONさんご協力のもと、トレンドセミナーを開催。
実際にトレンドブックを閲覧しながら、トレンド予測の必要性やその背景の説明を行いました。TREND UNIONではシーズン毎にトレンドを象徴するキーワードを設定しています。そのキーワードがどのように紡ぎ出され、どのように編集されて、どう形となって社会に現れるかまでの流れをつかむことのできるセミナーでした。
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●トレンドブックとは?
ライフスタイル・経済・アートなど幅広い分野を検証し、予測したトレンド情報を発信する本です。1年半から2年先のシーズンテーマが各カテゴリーに分けられ発行されます。

●TREND UNION(トレンドユニオン)とは?
パリを本拠地にして、トレンドに関する情報発信を行っています。キーワード、カラー、テクスチャーなどトレンドを知る上で大切な情報をブックにまとめ発行。また、世界各地で年2回セミナーも開催しています。TREND UNIONは、人間本来のもつクリエイティビティーを信じ、その「自然の欲求」が向かう先を繊細かつ大胆に捉えている全10種類のトレンドブックを年2回発行しています。

●セミナーの様子
1.講義「トレンドとは?」
まずは講師である家安氏の講義です。「トレンド」とは単なる「流行りの予測」ではありません。数年後人々がどのような価値観を持ち、何を心の支えとして生きているのかを分析します。その分析を元に、人々が自然と求めていく色や素材等の情報を「トレンド」としているのです。
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講義では「人々の価値観の変化」の身近な例として、スポーツが取り上げられました。少し前まで運動といえばジムに通いマシンでトレーニングをすることが主流でした。ところが今は自分の身体一つで行うヨガやランニングが大きなムーブメントとなっています。

人々はスポーツにフィジカルさ(肉体的な効果)よりもスピリチュアルさ(精神的な効果)を求める傾向にあります。読者の皆さんの中には、例に挙げたスポーツをもう既にしている方がいるのではないでしょうか?

内面に向きあおうとする人が選ぶウェアの素材や色はどんなものになるかを考えてみてください。それらはきっとマシントレーニングをする人が選ぶそれとは異なるものになるはずです。
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“なぜマシントレーニングではなくそれを選んだのか?” まず自分の中の変化に敏感になり”なぜ?”と思うこと。その積み重ねが未来への洞察力となり、必然的なデザインを生むための起点になるというお話でした。
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家安氏から次々と発せられる言葉を取りこぼすまいと、みなさん集中して聴き、メモに書きとめていました。「書き残しておきたい情報の多さに、手が追いつかなかった…!」という学生もいたほどです。

2.トレンドを具現化したオーディオビジュアルの上演
TREND UNIONのセミナーの核となるのは鮮烈なオーディオビジュアル(音と映像)です。ここでは実際上演している様子が載せられないのですが、感覚的にそのトレンドのイメージを把握することができる貴重なムービーを見ました。

3.ブックの閲覧、質疑応答
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家安氏の前には、質疑応答を待つ学生の列。一人一人との対話を楽しみながら、寄せられる質問に対して丁寧に受け答えをする家安氏の姿と、学生のみなさんの積極的な姿勢が印象的でした。
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合計10冊のブックが並びました。建築についてのARCHITECTUREや、人々の生活に注目したLIFESTYLE & DESIGN、男性のトレンドをまとめたMENS COLOURなど、これだけの数のブックが一度に揃うのは大変貴重な機会です。
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普段見ることのできないブックを、みなさん目と手に焼き付けるように閲覧していました。
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多摩美でのTREND UNIONのセミナーは、今回が初めて。学生向けに家安氏が特別に構成したセミナーでした。来年度は年2回開催予定ですので、ぜひ参加してくださいね。

またCMTELでは、最新のGENERAL TREND(2017年春夏号)を常時展示しています。
豊富な素材と写真が掲載されているのでぜひ、CMTELで実物をご覧ください。
なお次の2017・2018年秋冬号は、春休み中にCMTELに届きます。少し先になりますがみなさんには新学期から閲覧してもらうことが可能になります。どうぞお楽しみに。

※今回のセミナーはTREND UNIONさんにご協力いただきました。

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24 11月 

EVENT REPORT!「しっくい塗りを体験しよう!」

Posted by CMTEL  |  2015/11/24 18:03

10月22日にCMTELにて漆喰ワークショップを開催しました。
漆喰の基本的な特性、道具の使い方、塗り方等をレクチャーしました。
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●漆喰(しっくい)とは?
漆喰は石灰を原料とした壁塗り材です。二酸化炭素を吸収しながら硬化していく壁材で、古くから城郭(じょうかく)や民家などあらゆる建築物に使用されています。

今回はロハスウォールさんの「本格漆喰」を使用。こちらは100%天然素材でつくられているためケミカルレスです。接着性を高めるための化学樹脂は一切使わず、昔ながらの海藻のりを用いています。そのため、シックハウスの原因であるホルムアルデヒドを発散しません。人体にとても安全で、速乾性・防水性・調湿機能・抗菌防カビ・消臭効果・防火性にも優れています。

ワークショップでは、大容量の「タンクタイプ」(12kg)を使いました。
漆喰は石灰の粉末・海藻のり・水がペースト状に練られた状態で届くので、すぐに使用することができます。使いきれなかった漆喰は、袋の中の空気を抜いて口をしっかり閉めることで、1年以上経ってもまた使うことができます。漆喰ワークショップ25

漆喰を少量使いたい場合は「チューブタイプ」(800g)もあります。
こちらもペースト状の漆喰がチューブに入っています。コテに直接盛り付ければ、盛り板も不要です。準備も後片付けも少ないのでビギナー向けです。ペットボトルのように蓋がついているので、空気を抜いて蓋をすればこちらも1年以上保管が可能。持ち運びも便利で、画材のジェッソの様に気軽に使えるパッケージです。
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ロハスウォールさんでは、漆喰を購入することができます。カラーバリエーションもホワイトだけでなく、数種類の中から選べます。また、道具レンタルや壁塗りの講習会も開催しているので、興味のある方はぜひHPをご覧ください。

HPはこちらから→ロハスウォール

 

●「しっくい塗りを体験しよう!」ワークショップの様子
1)講義「漆喰とは?」
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講義では講師の辻氏より漆喰の原材料や、硬化の仕組み、特長について詳しく学びました。
原材料である石灰石を、実際に触れてみます。ザラザラした質感で、キラキラとした結晶を含んだ石です。
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2)道具の紹介
使用した道具は「コテ」と「盛り板」。両方とも左官職人が現場で使うものと同じものです。盛り板は裏側に持ち手が付いています。コテは中指と人差し指の間で中心の棒を挟み、柄を握ります。
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3)実習「板材に塗ってみよう」
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漆喰を使用する際はまず、使用できる柔らかさにしなければなりません。
袋の中では漆喰と水が分離し、固くなっているため袋の上から足や手で揉みます。
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ある程度柔らかくなってきたら、次は柄杓(ひしゃく)を使ってよく混ぜます。
目安はパンケーキミックスの生地状です。塊がなくなれば使用できます。
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盛り板に漆喰をのせます。漆喰の端をコテですくい、盛り板をひっくり返しながらコテの腹にのせます。この盛り板さばき、辻氏がしているのを見ると簡単そうですが実際にやってみると難しいです。漆喰ワークショップ07漆喰ワークショップ11
コテにのせた漆喰を、まず下から上へ塗ります。
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次に左右にならしていきます。
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辻氏にコツを教わります。
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コツを掴み、盛り板さばきにもだんだんと慣れてきました。皆さん集中して板材を塗っています。
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基本の塗り方は以上です。

 

様々なコテと表現できる模様
今回使用したコテは3種類。これらを使って作ることのできる模様を紹介します。

剣先コテ
先が剣先のように尖っているのが特長のコテ。
剣先コテには長所が二つあります。一つは他のコテよりも壁に接する面積が最も大きく、1度でたくさん漆喰を塗ることができます。もう一つは、先が角になっているので、角(かど)をそのまま塗ることができます。表面をならし滑らかな面を作ることはもちろん、エッジを使ってシャープな模様を表現することも可能。
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扇型の模様を描くこともできます。
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「ランダムパターンコテ」
ランダムで立体的な模様を簡単に描くことができるコテです。
予め漆喰を3mm以上に厚めに塗りつけておきます。その上からコテを直線的・曲線的に動かすことで、立体的な仕上げ模様を表現することが可能。レリーフ状の壁面と、光源がつくりだす影の変化を楽しめます。他のコテではこの仕上げ模様を出すことは難しく、このコテならではの表現です。
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「クシコテ」
「櫛引仕上げ(くしびきしあげ)」という仕上げ模様をつくる専用のコテ。櫛引仕上げとは、クシで引いたようにギザギザした凹凸をもつ模様のことをいいます。店舗の内装などでよく見かける仕上げ模様の代表的な表現方法の一つです。
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コテのギザギザしたエッジを、壁に対して少し起こした状態で動かします。そうすると櫛引き模様のできあがりです。
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「木コテ」
木コテは「乱流」「引きづり仕上げ」という仕上げ模様を作る時に使用します。底に丸みがついているので、滑るように模様を描くことができます。
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「ブラシ」
身近にある道具でも模様を描くことができます。身の回りにあるものでどんな模様を作ることができるのか実験してみたくなりました。使い方しだいで身近な日用品も壁塗りの道具に使えそうです。
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●自由制作

各自が持参した素材に漆喰を組み合わせて、自由制作を行いました。制作の様子を一部紹介します。

「漆喰×ダンボール」
漆喰の水分をダンボールが吸い膨張するため、表面が波うちました。その凹凸が漆喰の表面越しにもうっすら浮き出てきました。水分の影響を受けやすい下地材の特徴を逆手にとると、思いもよらない模様が現れました。
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「しっくい×ビーズ」
漆喰を塗った上からビーズを散布しています。ネオンカラーのビーズと漆喰との色の組み合わせがきれいですね。乾く前の漆喰は柔らかいので、表面に他の素材を埋め込む加工が可能です。
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「漆喰×カゴバッグ」
カゴバッグをタンクタイプの漆喰に丸ごと浸しています。塗り終えた後のバッグは想像以上の重量でした。乾燥後が楽しみですね。
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「漆喰×フィギュア」
コテではなく指を使い、厚みを調節しながら塗っていました。
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普段触れることのない漆喰を体験することで、今後の制作にも活かせるのではないでしょうか。また、それぞれ違った素材を持参し、漆喰でどのような表現が可能かを楽しんで検証できたようでした。

CMTELには漆喰のサンプルが展示されています。今回のワークショップに参加出来なかった学生もサンプルを見にぜひCMTELにお越しください。

※今回のワークショップはロハスウォールさんにご協力いただきました。