こんにちは。
CMTELでは6月17日(水)、18日(木)で樹脂成型による多摩美リング制作のワークショップを行いました。
このワークショップは1回定員30名の予約制で参加者を募集し、2日間に計6回開催しました。
毎年恒例のこのワークショップでは、学生に「樹脂の基本的な特徴や扱い方を学ぶこと」「樹脂を身近な素材として知り、制作に活かすこと」を目的としています。
まず初めに樹脂の特性や扱い方の講義を受けます。
次にの実演では、樹脂の計量から完成までの一連のプロセスを見て、流れを把握します。
今回扱うウレタン樹脂の特徴の1つとして、湿気や水分の影響を受けやすいという点があります。
水分が混ざってしまった樹脂は正常に硬化せず、気泡がでて汚くなってしまいます。このように正常に硬化しないことを“硬化不良(こうかふりょう)”といいます。
実演では、実際に硬化不良を起こした樹脂を学生に見てもらいました。
以下の画像の左側は正常に硬化したもの、一方右側は故意に水を加え混ぜたものです。発泡が激しく、気泡ができています。このようにウレタン樹脂は水分に対してとてもデリケートな素材なので、撹拌に使用する容器にはプラスチック製のものをお勧めします。
紙コップを使用する方もいますが、紙コップは湿気を含みやすく硬化不良の原因になりかねません。こういった細やかな配慮の積み重ねが、正常な硬化物を作るためのコツです。
最後にスタッフのもといよいよ実習を行います。
●樹脂成型の流れ
1)型の準備
今回CMTELが用意したシリコン型は2つに分割できる“割型(わりがた)”という形状をしています。
シリコン型の内側にゴミやカスが付いていないか確認し、離型剤となるスプレーを散布します。ゴミが付着している場合は、ゴミを取り除いてから離型剤を散布します。
スプレーの散布後、ガムテープを型の周りに巻きます。そうすることで型がしっかり固定され、樹脂を流し込んだ際に漏れ出てしまうことを防ぐことができます。これでシリコン型の準備は完了です。
2)計量
次に、樹脂を扱う上でとても重要な分量の計量を行います。
今回使用するのは2種類の樹脂(A剤・B剤)を混合すると硬化する2液性というタイプの樹脂です。混合する比率は樹脂によって異なりますが、今回の混合比は1:1なので、2種類共に同じ分量を厳密に計っていきます。
硬化剤を多く入れれば硬化のスピードが促進される訳ではありません。硬化剤が多すぎるとかえって硬化不良の原因となりますので、混合比は必ず守り計量しましょう。
3)撹拌(かくはん)
ここからは時間を意識しながらの作業となります。A剤の中にB剤を入れ撹拌棒で約20秒かき混ぜます。2つの樹脂を混ぜ合わせた瞬間から、硬化が始まるまでの時間は約90秒です。混ぜ方のコツは、撹拌棒の先端を紙コップの底にあて、部分的にかき混ぜるのではなく、ムラがないように大きくのの字を書くように素早く混ぜ合わせていきます。この際に割り箸などを使用すると、割り箸が湿気を含んでいる可能性もあるので硬化不良の原因になります。ここでもプラスチック製の撹拌棒を使用することをお勧めします。
4)注入
撹拌が終わったらシリコン型に素早く注ぎ入れていきます。20秒を過ぎても注がないままにしていると硬化が始まり、型に注ぎ終わる前に硬化してしまったり、気泡が多く入ってしまうこともありますのでスピーディーに作業を行います。
注型が完了しました。後は15分程硬化を待ちます。
硬化が始まると色が白っぽくなってきます。
硬化を待っている間にスタッフへ樹脂の質疑応答タイムが始まります。
実際に樹脂を使った作品を用いながら、その作品の制作プロセス等を丁寧に解説します。
4)脱型(だっけい)
硬化が完了したら、型から樹脂を取り出します。
5)完成
リング以外の余分な部分をニッパーで切りおとし、切断面をやすりで整えて完成です。
今回のワークショップは、学生にとって樹脂の特性や扱い方を体感しながら学ぶことのできた機会となったようです。毎年恒例のこのワークショップは来年度も開催しますので、興味のある学生は是非一度ご参加ください。
今回ご協力いただいた日新レジン株式会社様では、今回使用したウレタン樹脂以外にも透明な封入用樹脂や、グミのように柔らかい樹脂、また樹脂専用の着色剤なども取り扱っております。
様々なサンプルをCMTELにも展示していますので、是非一度お越しになりご覧ください。
※このワークショップは、サポート企業・日新レジン株式会社様にご協力頂きました。
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