東京FILMEXレポート3〜『数立方メートルの愛』〜

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 「22年ぶりに訪れることが叶ったアフガニスタン。そこで“男女の2人がコンテナの中で死んでいた”という新聞を目にした。それが映画をつくったきっかけ」と述べるのは本作プロデューサーのナウィド・マームディ。

 イランとアフガニスタンの合作である『数立法メートルの愛』(14)は、ジャムシド・マームディ監督による長編デビュー作だ。テヘランの郊外で働く、アフガニスタンからの違法労働者たち。そこで暮らすイランの若者サベールとアフガニスタン難民の少女マロナが出会い、恋に落ちる様子が微笑ましく描かれている。だが、マロナの父親が違法労働者としてアフガニスタンに送還されることになり、イラン人、アフガン人それぞれの矜持の対立とともに恋人たちは次第に追いつめられてゆく…。

 上映後のQ&Aでは監督とプロデューサーが登壇し、会場からは結末を巡って多くの意見が寄せられた。「“心の中にずっとしまっていたもの”を一度だけでいいから外に出させてください」監督は、Q&Aの中で映画の中に込めた思いを語った。マームディ兄弟自身も映画の登場人物と同じようにアフガニスタン難民で、後にイランへと移住している。そんな彼ら自身の経験が本作に強く反映されているということは想像に難くない。宗教や文化的な背景が全く異なる映画を見る機会が多いのもフィルメックスならではと言えるだろう。

『数立方メートルの愛』 (イラン、アフガニスタン / 2014 / 90分)
英題:A Few Cubic Meters of Love
監督・脚本:ジャムシド・マームディ(Jamshid MAHMOUDI)
制作:ナウィド・マームディ(Navid MAHMOUDI)
撮影監督:モルテザ・ガフリー
出演:サイド・ソヘイリ、ハッシバ・エブラヒミ、ナデル・ファッラー、アリレザ・オスタディ、マスード・ミルタヘリ

文=韓松鈴