国宝なども写し取ってきた、世界的に希少なコロタイプ印刷機。
2019年6月8日ー10日
書物設計ゼミは研修旅行として、平出隆先生、須山悠里先生、さらにはOBやOG、院生、留学生とともに京都を訪れた。目的は、便利堂コロタイプアカデミーにてコロタイプ印刷を見学し、体験コースを実習すること。昨年に引き続いての2度目の訪問となった便利堂では、あらかじめ送付していた各自の写真から特殊な刷版が用意されていて、世界でも希少な印刷技術にただちに入門することができた。
コロタイプ印刷とは、感光性のゼラチンを塗布したガラス版を用いる、ドットのない滑らかな階調の古典印画技法。ゼミ生たちはコロタイプアカデミーの山本さん、溝縁さん、李さんの熱心な指導のもと、2日間にわたり、160年前からの貴重な技法にじかに触れた。
まずは本格的な印刷現場を見学する。
工房では、版を整えるところから。ゼラチン面に水分を与えると、シャドー部は深い谷、ハイライト部は浅い谷となる。
特殊インキを練り、ヘラやローラーでのばして準備する。
赤や青などの色をかけ合わせることもできる。
インクの盛り方や色味の出し方など、おのおの趣向を凝らしつつ「一点もの」を仕上げていく。
刷るたびごとに、画面の表情に差異があらわれる。
「たくさんのオリジナル」のプリントができあがる。
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この研修旅行では、みんなを夢中にさせたコロタイプ印刷の実習のほかに、藤森照信設計の樹上の茶室がある徳正寺や、国際的な芸術家支援組織であるHAPSの展示を訪れるなど、地元との交流も深めた。