戒田 有生 《blessed breath(加護を受けた生命)》

kaida

読書を“他者により排泄された情報の不完全な共有”であると捉える。この際の共有は不完全で不公平なものであり、さらに不衛生でいびつなものである。共有されるものは不完全で不明瞭であり、さらには全く別のものを配られる場合もある。他者の排泄物は共有されるものにとって異物であると同時に同化するものである。
この作品はこの「排泄と共有」というプロセス自体が作品であり、その結果生まれたものは副産物でしかない。形取られた量産品であるアーモンドチョコを他者に食べてもらい、その後中身のナッツを作品にしていいか、と問う。この場合、拒否されることも作品の一つである。口の中で消化され加工されたチョコレートはナッツの部分だけを残し、不衛生な経路をたどって排泄され共有される。これは読書そのものを追体験する経路である。

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