梅津 元 UMEZU Gen

1966年神奈川県に生まれる。
1991年多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻芸術学修了(修士課程)。
埼玉県立近代美術館学芸員(1991年〜2021年)。
多摩美術大学美術学部芸術学科非常勤講師(2023年〜)。

活動紹介
専門は芸術学、学生時代の研究対象はミニマル・アート。モダニズムの成果と限界を示すミニマル・アートへの関心から、芸術作品の成立におけるメディウムの働きと芸術作品の体験における鑑賞者の知覚のあり方を探究。モダニズム以後の芸術の可能性を探るため、美術、写真、映像、音楽に関わる批評やキュレーションを中心に領域横断的な活動を展開。展覧会の方法論に対する持続的な関心から、「出来事の組織化としての展覧会」を原理的なレベルから捉え直すキュレーションを実践。テキストの文体や形式に関わる実験的な試みにも取り組み、メディウムとしての言語の可能性を開拓。展覧会カタログや作品集等の編集、造本、制作を通して、印刷媒体の可能性を開拓。映像ならびに音楽については理論と実践の両面からの探究を継続。

キュレーション
「DE/construct: Updating Modernism」(阿木譲をめぐる3つのプログラム)NADiff modern & SuperDeluxe(2014年)
「CON/cretism」スピンオフ2「Sound of the Real」(伊東篤宏・角田俊也)hiromiyoshii roppongi(2014年)
「樋口朋之 Trans/speed, Dub/paint」ART TRACE Gallery(2015年)
「トランス/リアル-非実体的美術の可能性」ギャラリーαM(ゲスト・キュレーター、2016-17年)

企画協力
「CON/cretism」(編集=阿木譲、構成=秋山伸)hiromiyoshii roppongi(2014年)
Hardcore Ambience企画「Another World:大野松雄《タージ・マハル旅行団「旅」について》+スペシャルライヴ」第11回恵比寿映像祭/東京都写真美術館(2019年)

埼玉県立近代美術館における主な企画
上映会
「ミュージアムシアター:フレームの美学-アニメーションの理論と実践」(1992年)
「ミュージアムシアター:鈴木了二映像作品上映会」(2019年)

講座
「光-絵画と写真」(1992年)
「写真表現の可能性」(1993年)
「映像メディア時代のヴィジュアル・アート」(1994年)
「現代絵画の実践と理論」(1996年)
「現代美術入門 画廊へ行こう」(1998年)
「近現代建築探検ツアー:建築の可能性」(2017年)
「映像の可能性:建築と映像の交差点」(2017年)
「映像の可能性:物質と写真の衝突」(2019年)
「映像の可能性:映像の断層/物質の残響」(2020年)※コロナ禍により中止

企画展(共同企画を含む)
「1970年・南仏-パリ シュポール/シュルファス展」(1993年)
「〈うつすこと〉と〈見ること〉-意識拡大装置」(1994年)
「1970年-物質と知覚 もの派と根源を問う作家たち」(1995年)
「光の化石-瑛九とフォトグラムの世界」(1997年)
「ドナルド・ジャッド 1960-1991」(1999年)
「デモクラート 1951-1957」(1999年)
「プラスチックの時代|美術とデザイン」(2000年)
「生誕100年記念 瑛九展」(2011年)
「日本の70年代 1968-1982」(2012年)
「竹岡雄二 台座から空間へ」(2016年)
「版画の景色-現代版画センターの軌跡」(2018年)
「DECODE/出来事と記録-ポスト工業化社会の美術」(2019年)

コレクション展示特別プログラム
「キュレーターの視点:ゆれる・まなざし」(2004年)
「キュレーターの視点:〈点〉と〈網〉」(2005年)
「アーティスト・プロジェクト:関根伸夫《位相-大地》が生まれるまで」(2005年)
「風景・窓・絵画-アーティストの視点から:母袋俊也の試み」(2006年)
「アーティスト・プロジェクト:靉嘔 AY-O 感覚のスペクトル」(2007年)
「線・記号・文字-〈本〉をめぐる試み」(2007年)
「キュレーターの視点:重層するイメージ」(2009年)
「美術館物語:展示ディスプレイ」(2009年)
「アーティスト・プロジェクト#2.02 北野謙:光を集める」(2017年)
「特別展示:瑛九の部屋」(2019年)

著述(主なもの)
単行書
『テクノカルチャー・マトリクス』NTT出版(1993年)
『高松次郎を読む』水声社(2014年)
『竹岡雄二 もうひとつの台座考』ワコウ・ワークス・オブ・アート(2016年)
『〈見ること〉と〈写真を見ること〉-若江漢字に照らして』カスヤの森現代美術館(2016年)
『成田克彦「もの派」の残り火と絵画への希求』東京造形大学(2017年)
『絵画へ 1990-2018 美術論集』論創社(2019年)
『横溝美由紀|MIYUKI YOKOMIZO』HeHe(2021年)

定期刊行物、図録、作品集等(上記掲出の展覧会関連刊行物および単行書に掲載の著述以外の主なもの)
「メディアの鼓動[音楽編]-光源としてのエスノ」『ユリイカ』1990年4月臨時増刊
「パラダイス・オブ・レプリカ」『ユリイカ』1993年4月号
「桑山忠明-絵画的なるものへの挑発」(インタビュー)『美術手帖』1996年9月号
「そのたびごとにリアルななにか」『美術手帖』1996年12月号
「埼玉の美術家たち 21 中村一美」『ソカロ』(埼玉県立近代美術館広報紙)第69号、1999年
「同時多発的に発生する思いがけないリンク」『Inter Communication』2001年冬号
「脱皮する彫刻-〈見る〉ことから〈こぼれおちるもの〉」『MOTOHIRO TOMII 2006-2010』(冨井大裕作品集)、2011年
「モダニズムのハード・エッジ」『ABST』第6号、2011年
「反転する皮膜-《位相-大地》を奪還せよ」『関根伸夫 RE-CREATIONS 1970/2011』鎌倉画廊、2011年
「音/響/光/景-〈都市の無意識〉をシャッフルせよ」『現代の眼』第601号、東京国立近代美術館、2013年
「山中信夫-プロジェクション装置としてのピンホール」『マンハッタンの太陽』栃木県立美術館、2013年
「写真の余韻、絵画の残響-杉浦邦恵の1970年代」『You are always in my mind/ You are always in my heart; 写真-絵画とコラージュ 1976-1982』タカイシイギャラリー、2014年
「Sound of the Real 3」『引込線2015』、2015年
「無客体と無主体のせめぎあい-ロバート・モリス&菅木志雄展」『美術手帖』2016年6月号
「ガラスの光春-瑛九の乱反射」『現代の眼』622号、東京国立近代美術館、2017年
「霧のシステム-粒子をめぐる銀河」『海のプロセス-言葉をめぐる地図』エステティック・ライフ、2018年
「現前/想起-出来事と記録」『1968年 激動の時代の芸術』千葉市美術館ほか、2018年
「跡/層|積層-絵画の捧げもの」(石川順惠個展レビュー)『web版美術手帖』、2018年
「Another World – ANYWAY, WE DEPARTED」『小松浩子 Silent Sound』MEM、2021年
“Walk the Apocalypse – Experimental Visual Research of Hiroko Komatsu in the context of ‘The Work of Art in the Age of Post-Industrial Society’ ”, Komatsu Hiroko: Creative Destruction, Davis Museum at Wellesley College, 2022

特別講義、講評、レクチャー、シンポジウム、審査員など
多摩美術大学、名古屋芸術大学、東京藝術大学、金沢美術工芸大学、東京造形大学、慶応義塾大学アートセンター、学習院大学、ハートフォード大学(東京授業)、大阪府立現代美術センター、川崎市市民ミュージアム、東京都写真美術館、川口現代美術館スタジオ、青梅市立美術館、東京都現代美術館、静岡県立美術館、DIC川村記念美術館、NTTインターコミュニケーション・センター、東京都美術館、川越市立美術館、金村修ワークショップ等で特別講義、講評、レクチャー、シンポジウム等に参加。
群馬青年ビエンナーレ(2012年と2015年)、岩手県芸術祭現代美術部門(2014年〜2016年)の審査員をつとめる。

受賞
「第12回神奈川芸術祭映像コンクール」最優秀賞(「NG Baroque」としての受賞)、1990年
「第53回全国カタログ・ポスター展」カタログの部「金賞」「国立印刷局理事長賞」(『生誕100年記念 瑛九展』)、2012年
「美術館連絡協議会大賞奨励賞」奨励賞(「生誕100年記念 瑛九展」)、2012年