多摩美術大学芸術学科では、本学科の素顔を見せる雑誌『R』(編集長:小川敦生教授)の記事を電子版で配信いたします!
SDGs(持続可能な開発目標)が世界的に注目される中で、資源やモノを大切に使い続けることが重要な使命となりつつあります。今、生活の回りには「一瞬で使い捨てるもの」がたくさんあふれています。一方、小さな頃から大切に愛用しているものもきっとあるはずです。本誌ではそれを「NAGAMOCHI(長持ち)」と呼ぶことにしました。芸術は時代の先を見据える文化ですから、資源とモノの循環性を考えるテーマとは親和性があるのではないでしょうか。本記事では、芸術学科の学生たちが、長く愛用している物について、入手の経緯や使い方、思い出などを調査しました。
質問事項:
Q1:それはどのようなモノか
Q2:いつから持っているモノか
Q3:どこで入手したモノか
Q4:なぜNAGAMOCHIなのか
Q5:NAGAMOCHIにまつわる思い出
本島美瑠さん(1年)
A1:母、祖母からもらったアクセサリー
A2:1990年頃(パールのものは祖母からのものなので不明)
A3:宝石店など
A4:母や祖母が大切にしてきたものを自分が身につけられることがとてもうれしく、大切に使っているから。
A5:母が20歳になった時に祖母からもらったものを、私も今年18歳になったのでもらった。なんだか大人になったようで、母や祖母の思いがこもっているような気がしてドキドキした。
井上凜さん(2年)
A1:食べた物の記録(箸袋、コーヒーミルクの容器、木製のアイスクリームスプーン、チョコレートの包み紙、ケーキ屋さんのシール、コースターなど)
A2:この中で1番古い物は中学2年生のときに収集したピック(エクレアに刺さっていたもの)。実家には小学校時代の収集物も残っている。
A3:駄菓子屋、喫茶店、旅先の牧場、ケーキ屋、定食屋などいろいろ。いつも何かを持ち帰るわけではなく、思い立ったときに収集している。
A4:楽しかった思い出やおいしかった思い出が詰まっていて捨てられず、結果的にNAGAMOCHIになった。日付を記録していないため、いつ食べたのか不明なものもたくさんあるが、あまり気にしていない。
A5:中学生のとき、チェリーボンボンの細長い箱にニスを塗ってペンケースにしようとしたことがある。(2~3日でリュックに押しつぶされ、コレクション用の箱にした…)
奥谷笑子さん(3年)
A1:ハサミ。幼稚園のときにもらったハサミが大きさの点で使いづらくなったため買ったもの。
A2:小学3年生のときから
A3:近所のショッピングモールの中に入っている雑貨屋
A4:ずっと使っているうちに自然と馴染み、機能性も衰えないため、ハサミを買い替えるという発想がそもそも湧かなくなったから。
A5:学校にこのハサミを持っていったとき、色がピンクだったこともあって友達に「ついに女の子らしくなったのね」と言われ、妙に腹がたった。このハサミは無性です。
友永理子さん(4年)
A1:図鑑
A2:小学生の時から
A3:近所の本屋
A4:自分のものの中で一番古いものだから
A5:初めて自分から欲しいと思って買ったもの。小さい頃、文字を読むのが苦手で写真が中心の図鑑は唯一楽しめるもので、読むというよりは模写したりして楽しんでいた。今でもたまに見返すと、その当時の記憶が蘇ってきて懐かしくなる。
取材・文=伊藤華
撮影=岡村瞳
※本記事は、『R』2023版(2023年3月15日発行予定)に掲載されます。