島崎 亜美《11851020》

 透明な器が、特定の時間を収めるために用意された。タイトルは学籍番号を示し、四つの階層は、下から順に学年に対応する。今後、記憶に付随するものたちがここに封じられ、顧みるための箱となると。感傷に浸るには、しかしなぜ、透明な素材を選ぶのか。そこでものたちは、透視され、晒される。私の目は、すでに外から見る他者のものとなる。箱は、本は、そこに私を写す鏡ではない。
 上層に向かい、箱は箱らしい形状から解かれていく。降る光に貫かれ、ものたちはそこではじめて、中空の器に束ねられる。位相を違えた領野こそ、投げ擲つべき場所。[K. Miyaura]