11月も後半となり、だんだんと冬に近づいてきました。
現在、1年生必修科目「芸術基礎・制作-2」彫刻コースでは、木彫課題の制作を行っています。
モチーフは「アジの干物」。過去の記事でも何度か掲載しています(①,②,③)。
干物自体は10cm程度ですが、作品ではこれを倍のサイズに拡大して制作。
受話器ほどの大きさのアジは、なんだか独特の存在感があります…。
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制作は、たくさんのアジの中からモデルとする1匹を選ぶところからスタートしますが、
同じアジといえど、大きさ・曲がり方・表情など、個性はさまざま。
作りやすいものを選ぶも良し、面白い格好のものを選ぶも良し、完成までの大事なパートナーとなります。
モデルが決まったらデッサンへ。
デッサンでは、対象を様々な角度から観察したり触れることで、構造の理解や質感の発見へと繋がります。
例えば、干物のひび割れた部分などは、よく見ると木の材質にそっくり。再現難度は高いですが、素材を生かした表現が可能です。
ほかにも、モチーフと向き合い、時代背景や場面設定といった直接的には表現されない部分も熟考することで、作品に奥行きが生まれます。
デッサンで情報がまとまったら、彫刻作業へと入ります。
木材に見当を付け、のこぎりで大まかな形を切り出した後、彫刻刀で細部を彫り込んでいきます。
もともと平らな板2枚が、張り合わせて厚みを持たせたり、パーツを組み合わせて動きを出すことで、どんどん立体的に。
一つ前の課題である塑像もそうですが、彫刻作品は、盛り上げたり彫り出したりすることで「物」から「形」が生まれていく過程が、魅力のひとつです。
こうして冬休みをはさんで1月までに作品を仕上げます。
着彩まで行うため、例年、授業時間内では終わらず、冬休みに持ち帰る学生もしばしば。
今年も頑張って良い作品となるよう目指して欲しいです…!
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「芸術基礎・制作」では、“制作を通して何を考えたか・感じたか”を大事にしてほしいという思いがあります。
同じテーマで作品作りを行っても、制作の過程で考えることはそれぞれ異なります。
講評会では、それを言葉にして発表することで、お互いの考えを交換し、様々な視点を共有します。
(研究室としては、作品作りのためのサーチとして、「芸術基礎・制作」をきっかけに色々な作家・作品を知ってほしいです!
作家を調べていくと、無関係に見える民俗学や経済学にも繋がっていたりして、意外な発見があることも。
資料は、大学図書館や芸術学文庫にたくさん所蔵されています。
誰から調べればいいかわからない!という方は、例えば、
油画ならワシリー・カンディンスキー、日本画なら小野竹喬、版画なら浜口陽三、彫刻ならバリー・フラナガン…というように、
まずは好きな作家を見つけるところから始めてみてはいかがでしょうか。)
試行錯誤を繰り返しながら作品を作り上げていく経験を大切に、
これからもたくさんの芸術作品に触れ合ってもらえたら嬉しいです。