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Jan 27, 2009

富山県南砺市・調査報告8

お膳の後にお蕎麦を食べ、報恩講の食事はひと段落します。 (南砺市名物の五箇山豆腐)

食後、再び合掌し、 「われ今この浄き食をおわりて 心ゆたかに力身にみつ ごちそうさま」 と斉唱して、報恩講は終わります。

(蕎麦粉と水のみで打った蕎麦)

単に形式ではなく、心を伴い、味わい感謝する共同の食事という考え方は、 家庭の食事でも同じであり、自分のために命を捧げてくれるものや、食材を作ってくれた人、 料理を作ってくれた人への感謝が原点になっています。

(素麺瓜と蕗と胡桃)

食材には土地や太陽の光や雨の恵みも関わっており、料理を作るのにも火や水は不可欠です。 開祖への感謝から始まったというこの報恩講ですが、進んでゆくうちに、 宗教という枠を超えた、環境そのものとの関係性に繋がることが印象的でした。 食事という小さな営みが拡大していくことを感じさせます。

また、民藝は道具を出発点にしていますが、柳宗悦はそこから道具の作られる環境へと行き着きます。

今回の調査では、「土徳」と、浄土真宗の行事、民藝という一見別々の要素が、土地を媒体に 繋がり、環境と一体となっている様子を見ることができました。 一口にその土地の風土と言ってもさまざまな切り口があり、 それらを繋げている大元の存在なくしては、文化の継承はなされないのかもしれません。

もちろん、2日という短期間での調査では、土地の方々が実感しているものには、 まだ触れることができていないのかもしれません。 そのほんの断片でも、お伝えできていれば幸いです。

ところで、雑誌『ku:nel(クウネル)』最新号に、福井県の報恩講の様子が紹介されています。 土地によって同じ行事にも違いがあり、興味深いです。

こうした食文化調査は、今後も継続して行う予定です。

ポスト @ 2009/01/27 16:06 | 調査報告

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