[title] Institute for Art Anthropology INFORMATION

Dec 11, 2008

富山県南砺市・調査報告2

家の中での時間を充実したものにしようとすると、室内のしつらえにも 工夫するようになり、富山では欄間などの伝統工芸が発達しました。 井波彫刻もそのひとつです。 もともとは寺社建築の技術だったものが、次第に民間にも波及していったのだそうです。 南砺市「いなみ木彫りの里 創遊館」では、彫刻の実演等を紹介しています。

木を加工する技術から発展して、現在ではバット製造業でも有名です。 加工する技術が発達するためには、よい木材が手に入る環境でなければなりません。 豊かな山林があり、木々によって水が地下に蓄えられ、豊かな水脈をなします。 富山では、田んぼに使う水の量が、他のお米の産地と比較しても格段に多いのだそうです。 そうして育てられたお米で餅をつくと、水分が豊かに含まれてもちもちの、 美味しいお餅ができるといいます。

こちらは屋敷の内部です。もともと民家だったものを、造りをいかして料理屋さんに改造したそうです。 座敷を仕切る襖を開け放し、広い空間となっています。現在ではあまりなくなりましたが、 一昔前まではこうした部屋に親族が集い、冠婚葬祭等の行事ごとを行ったそうです。

襖の持ち手の部分です。100年前のものだそうで、今でも現役です。 普段目に留めない部分ですが、手描きの彩色が施されています。 細かな部分への仕事が、家の中の空間をいかに大切にしてきたかという土地柄を うかがわせます。 しかし、そこに暮らす人達にとっては当然のことなので、 家の中に100年前の貴重な資料があっても何も思わずに使用するのだそうです。 「そうした小さなことが積もり積もって、いつの間にかこの土地の『土徳』になっているんです。」 と、現地の方々は口々に言います。

(まだ続きます。)

ポスト @ 2008/12/11 15:32 | 調査報告

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