Dec 12, 2008
京都大学研究会で高木正勝さんの作品上映+解説
ポスト @ 2008/12/12 19:51 | お知らせ
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12月26日(金)、京都大学で第四回宗教映像研究会(略称)が開催されます。
今回は特別上映として、高木正勝さんの2つの映像作品が上映されます。 芸術人類学研究所副手の石倉敏明が解説とコメントをおこないます。 『Homiĉevalo(ホミチェヴァロ)』をご覧いただける貴重な機会です。
※なお、事前登録制となっておりますので、参加ご希望の方は、 事前に下記連絡先までご連絡くださいますよう、お願い申し上げます。
第四回「映像実践による現代宗教復興現象の解明を通じた地域研究手法の開発」 参加申し込み:religion.visuality[at]gmail.com ([at]を@に変えてください)
特集:「研究者による映像実践+宗教実践者による映像実践+報道機関・映像作家による映像実践」 [京都大学地域研究統合情報センター全国共同利用研究+協力:多摩美術大学芸術人類学研究所]
【日時と場所】 日時:2008年12月26日(金) 13:00-18:30 場所:京都大学稲盛財団記念館,3階中会議室 京市左京区吉田下阿達町46(川端近衛南東角) アクセスマップ
【キーワード】 見えないもの、言葉にしえぬもの、「メディア」の連鎖、感知、Aesthetics
趣旨:今回は、本共同研究の3つの柱のうちのに関する研究会を実施します。 3つの柱については、こちらのサイトの「実施計画」をご覧ください。
プログラム: [趣旨説明]葛西賢太+新井一寛(司会)
[発表・上映] 1.「映像で表現される『不在』のイスラーム的カリスマ」 高尾賢一郎(同志社大学) 発表概要:映像作品は、シリアの高名なイスラーム学者であったアフマド・クフターローの葬送儀礼(2004年9月1日) を、彼の弟子が撮影、販売しているものである。報告では、その弟子たちが伝えたい師のカリスマ性が、故人のどのような要素やエピソード、ヴィジュアル・イメージによって作中で根拠付けられているのかという点に着目する。イスラームの文脈において個人のカリスマは、従来、血統や奇跡譚などを元に語られることが多く、それらはイスラームという宗教の黄金律に還元される形で更なる根拠付けがなされてきた。しかし作中には、宗教的価値に限って保証されるものではない多くの要素やエピソードによって、師のカリスマ性を表そうとした弟子の様子がうかがえる。それらを受けて報告では、制作者が対象のカリスマ性を、どのような価値基準を加味しながら、どのような映像表現を駆使しながら伝えようとしたのかという点を浮かび上がらせたい。 映像内容:アフマド・クフターローの葬送儀礼(2004年、19分、制作:シャイフ・アフマド・クフターロー財団)
2.「霊の増殖とメディア―霊媒師と映像作家の視聴覚表現をめぐって」岩谷彩子(広島大学) 発表概要:神と人、意識と無意識のあいだを媒介する霊媒師(medium)の身体は、彼/女が自分自身でありながら同時に別のものでもあるという状態をあらわしている。霊媒師による無媒介的な神の憑依=模倣的な再現(ミメーシス)は、彼/女らをまなざす人々に神の力(霊力)を分け与えるとされている。このような場は、テクノロジーの発達によってまさにメディア(media: mediumの複数形)として増殖しているが、それはどこまで霊媒師の身体をもちいた霊の増殖と等価といえるのだろうか。一方で、イメージや情報を際限なく複製・編集できる環境が恒常化した現代において、生と死、日常と非日常をシミュレートした映像表現が、人々の意識を攪乱する媒体(media)となっている。こうしたテクノロジーを用いた映像表現にやどる力は、霊媒師の行うミメーシスとどのような共通点と相違点をもつのだろうか。南インドの霊媒師と日本の前衛映画の映像表現を事例として参照しながら、感覚を攪乱することで異界的な力を引き出すテクネーについて考察してみたい。 映像内容:1.呪術の神の光臨1<人類学者編>―南インド、女性霊媒師の事例より(2005年、撮影:岩谷彩子)2.呪術の神の光臨2<信徒周辺編>―南インド、男性霊媒師の事例より(2004年、撮影:Ragam Digital)3.「呪術的」な映像<映像作家編>―『東京天使病院』(1998年、撮影:黒澤潤)
3.「映像と肉感性」 古川優貴(一橋大学) 発表概要:「芸術とは呪文であり魔術である――これが芸術の体験のいちばん始めの形であったに違いない。芸術とは模倣であり現実の模写である――これが芸術の理論のいちばん始めの形、ギリシアの哲学者たちの理論だった」。ソンタグは「反解釈」の冒頭でこのように述べている。また、バック=モースは近代以降の感覚不在の美学に対しcorpothetics(肉感学)という語を用い、美学の本来の領域は肉体的・モノ的なリアリティだと主張している。本発表では、ほかに、A. Gellやベンヤミンらの議論を主たる背景とし、映像それ自体が放ち得る直接的、肉感的な力について議論したい。なお、冒頭で報告者による映像作品rhythmとrhythm extraを上映するが、これらは「肉感的」というよりも「解釈的」な色合いが濃い作品であるということを付記しておきたい。 映像内容:1.rhythm(2007年、制作:古川優貴、12分)、2.rhythm extra(2007年、制作:古川優貴、10分)2作品とも、古川がケニアの寄宿制初等聾学校で撮影した素材、動画共有サイトの素材をコラージュして制作した。
[特別上映:映像と目に見えないもの] 1.『Homiĉevalo(ホミチェヴァロ)』(高木正勝、12分、2008年) 出演:ベイヤード (堀井厩舎), 大淵靖子 (多摩美術大学芸術人類学研究所)企画:中沢新一, 多摩美術大学芸術人類学研究所, エピファニーワークス助成:財団法人セゾン文化財団 人間("homi")と馬("ĉevalo")との融合と結婚をあらわす映像作品。東アジアに伝わる「馬娘婚姻神話」をベースに、世界中の神話によって語り継がれてきた「人間と動物の対称的関係」を現代に蘇らせようとしている。 2.『NIHITI(ニヒチ)』(高木正勝、6分27秒、2008年) 映像+音楽:高木正勝 企画:独立行政法人理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 「普段見えないもの」を見えるようにする。本来あるものを感知できるようにする」。科学と芸術と霊性の幸福な出会い。細胞の発生をめぐる最新科学の成果と、古くから伝わる「虹の神話」を基に、細胞レベルでの映像体験が呼び覚まされる。
[コメント] 石倉敏明(多摩美術大学芸術人類学研究所):高木正勝作品の解説+コメント 田中雅一(京都大学人文科学研究所)