[title] Institute for Art Anthropology INFORMATION

Jan 07, 2009

富山県南砺市・調査報告5

浄土真宗(真宗)の盛んなこの地では、お講という集まりが昔から続けられてきました。 お講の始まりは、宗祖・親鸞の没した11月28日にちなんで、毎月28日に信者が集まり、法会を 行うようになったことだったといいます。 お講はひとつの共同体を作り、そこに住む人たちが協力し合って生活する風土を育みもしました。

(報恩講の食事の様子)

11月28日前後には、毎年最も大きな法会を行うようになり、それが「報恩講」となりました。 皆で仏前に集い、お経を唱えて、お斎(おとき)と呼ばれる食事をいただき、 親鸞によってもたらされた徳に感謝します。

しかしなぜ、親鸞を偲ぶことと、食事が結びつくのでしょうか?

太田住職が説明してくださいました。 「『報恩講』は『報恩謝徳(受けためぐみや恩に対して報いようと、感謝の気持ちを持つこと)』 に繋がります。人の恩と、自然の徳を受けることが幸い。自然とは、仏様のことでもあります。 その幸いを味わうための方法を皆で確認しあったとき、共感が確信になります。 当時の人たちは、親鸞を、自然の徳が人格として現れた化身として考えました。 その化身を感じ、恩を味わうことが、報恩講であり、 また、食事をするという動作に行き着きました。」

昔はどのお寺にも報恩講になると多くの人が訪れ、お祭りのように賑わったそうですが、 今は昔ほどではなくなってきたとか。大勢の食事の支度をするのも大変になったという 話も聞きました。 それでもこうして続いていくのは、単なる形式ではなく、共に味わい感謝する共同の食事 という、根の部分が揺らいでいないからなのかも知れません。

報恩講が始まる前の準備の様子です。仏壇や部屋を飾ってお供え物をし、お膳の準備をします。

※次回も報恩講の内容を報告致します。

ポスト @ 2009/01/07 16:35 | 調査報告

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